PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-

ミュージアム・コンサート「ルーヴル美術館展 地中海 四千年のものがたり」プレ・コンサート
vol.1 オリエントの夢〜ヨーロッパで流行ったトルコ趣味

7月から開催されるルーヴル美術館の膨大なコレクションを「地中海」というテー マで編んだ企画展の開催を記念して行われるプレ・コンサート。音楽で地中海の旅 を楽しんでください。

プログラム詳細

© 堀田力丸
■日時・会場
2013.4.11 [木] 14:00開演(13:30開場)[約60分]
※ この公演は終了いたしました。
東京都美術館 講堂

■出演
ヴァイオリン:白井 圭
ヴィオラ:川本嘉子
チェロ:横坂 源
コントラバス:幣 隆太朗
オーボエ:フィリップ・トーンドゥル
クラリネット:ディルク・アルトマン
ファゴット:ハンノ・ドネヴェーグ
ホルン:ヴォルフガング・ヴィプフラー

■曲目
モーツァルト:歌劇《後宮からの逃走》序曲 speaker.gif[試聴]
ベートーヴェン:
 トルコ行進曲(劇付随音楽《アテネの廃墟》より)
 七重奏曲 変ホ長調 op.20 speaker.gif[試聴]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。



~「ルーヴル美術館展 地中海 四千年のものがたり」プレ・コンサート~

出演者

ヴァイオリン:白井 圭 Kei Shirai 1983年トリニダード・トバゴ共和国生まれ。3歳でヴァイオリンを始め、6歳より徳永二男に師事。東京藝術大学附属高校を経て、同大学を卒業。その間、大谷康子、田中千香士、ゴールドベルク山根美代子の各氏に師事。2007年には、文化庁「新進芸術家海外研修制度」の奨学生として留学、ウィーン国立音楽大学でヨハネス・マイスルに師事する他、▼続きを見る ヴェスナ・スタンコーヴィチのレッスンも受ける。これまでに、日本音楽コンクール第2位及び増沢賞(2001)、ミュンヘン国際音楽コンクール第2位及び聴衆賞(2007)等、国内外での受賞歴多数。ソリストとして、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会への出演を始め、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、神戸市室内合奏団、ミュンヘン室内管弦楽団等と共演を重ねる。その他、ウィーン楽友協会のグラス・ホールや、東京のトッパンホール、シュヴァルツヴァルト音楽祭等の招きにより、ソロ及びデュオリサイタルを開催した。室内楽奏者としては、在学中に結成したピアノ三重奏「Trio Accord」としての活動の他、国内外数多くの音楽祭、演奏会に招かれている。11年9月より半年間は、ウィーン国立歌劇場管弦楽団及びウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の契約団員として、著名な指揮者との共演を重ねた。また、薫陶を受けた田中千香士氏亡き後、氏の創設したレボリューションアンサンブルの音楽監督に就任、岐阜県中津川市加子母で開催されている「田中千香士音楽祭」には指揮者として招かれている。 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:白井 圭 Kei Shirai

ヴィオラ:川本嘉子 Yoshiko Kawamoto 1992年ジュネーヴ国際音楽コンクール・ヴィオラ部門で最高位(1位なしの2位)。96年、村松賞受賞。97年、第7回新日鉄音楽賞・フレッシュアーティスト賞受賞。東京都交響楽団首席奏者を経て、現在ではソリスト・室内楽奏者として最も活躍しているヴィオラ奏者の1人。京都アルティ弦楽四重奏団、AOI・レジデンス・クヮルテットのメンバー。▼続きを見る 3歳より才能教育研究会にてヴァイオリンを始める。桐朋学園子供のための音楽教室、桐朋女子高等学校音楽科を経て、同大学に入学。これまでに、ヴァイオリンを江藤俊哉、鈴木愛子、室内楽を末吉保雄、原田幸一郎の各氏に師事。在学中より演奏活動を開始。89年イグレック・クァルテットで第6回東京国際コンクール室内楽部門優勝。89/90年にはタングルウッド音楽祭に招待を受けて参加。Grace B.Jackson賞を受賞。91年、東京都交響楽団への入団をきっかけにヴィオラに転向。99年より2002年退団まで首席奏者を務める。アメリカのマールボロ音楽祭、スイスのダボス音楽祭、〈東京の夏〉音楽祭、霧島国際音楽祭等に参加。サイトウ・キネン・オーケストラ、小澤征爾音楽塾、水戸室内管弦楽団、別府アルゲリッチ音楽祭等にも定期的に参加しアルゲリッチやユーリ・バシュメット等、世界一流のソリスト達と共演し絶賛を博している。ソリストとしても高い評価を得ており、95年11月「新日鉄コンサート」、第59回“プロミシング・アーティストシリーズ”でのリサイタル、97年7月から一年間カザルスホールで行ったリサイタル・シリーズ『HASEKO CLASSIC SPECIAL/川本嘉子ザ・ヴィオリスト』はいずれも好評を博した。これまでにガリー・ベルティーニ、ジャン・フルネ、ペーター・マーク等の著名な指揮者と共演している。指揮者/ピアニスト、チョン・ミョンフンの提唱する「セブンスターズ・ガラ・コンサート」にも参加し、2000年、日本・韓国公演を行う。03年7月にも再び共演し、『臨機応変、他のパートに寄り添いつつ、しっかり支えたビオラの川本は達人』(朝日新聞・白石美雪氏評)との評価を得た。CD録音はチェンバロの中野振一郎との『ヴィオラ・バロック・ミュージック』(マイスター・ミュージック MM-1028)『J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバとチェロのためのソナタ』(マイスター・ミュージックMM-1075)がリリースされている。 ▲プロフィールを閉じる

ヴィオラ:川本嘉子 Yoshiko Kawamoto

チェロ:横坂 源 Gen Yokosaka 2002年7月、チェリストの登竜門として知られる全日本ビバホールチェロコンクールでの最年少優勝(15歳)を始め、コンクールでの受賞歴多数。05年には第15回出光音楽賞を、08年には第7回齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。09年5月には全ドイツ学生音楽コンクールで第1位(室内楽)を、10年9月には最難関で知られる第59回ミュンヘン国際音楽コンクール・チェロ部門で▼続きを見る 第2位を受賞し、国際的なチェリストとしてのキャリアを本格化させる。1999年10月、13歳で東京交響楽団とサン=サーンスのチェロ協奏曲を共演したのを皮切りに、NHK交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団、東京都交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、バイエルン放送交響楽団、ミュンヘン室内管弦楽団等を含む主要なオーケストラと、また小澤征爾、岩城宏之、秋山和慶、小林研一郎、尾高忠明、小泉和裕、大友直人、広上淳一、山下一史、梅田俊明、渡邊一正、アレクサンドル・ラザレフ、クリストフ・ポッペン等と協奏曲を共演し、好評を博す。 ▲プロフィールを閉じる

チェロ:横坂 源 Gen Yokosaka

コントラバス:幣 隆太朗 Ryutaro Hei 10歳より、奥田一夫に手ほどきを受ける。1999年、兵庫県立西宮高校音楽科卒業、同年、東京藝術大学入学。2001年、渡独。ドイツ・ヴュルツブルク音楽大学入学。DAAD外国人のための学内コンクールで1位となり、奨学金を授与される。05年、同大学ディプロマ試験を最高得点で卒業、同大学院マスターコースに入学。▼続きを見る 同年ベルリン国立歌劇場オーケストラ(シュターツカペレ・ベルリン)のアカデミー試験に合格、首席指揮者ダニエル・バレンボイム指揮のもと、オーケストラの一員として研鑽を積む。07年、首席指揮者サー・ロジャー・ノリントンのもと、ドイツ公共放送局オーケストラの1つ、SWRシュトゥットガルト放送交響楽団に入団。09年ヴュルツブルク音楽大学マイスタークラスの修了試験を審査員の満場一致で合格、「コントラバスマイスター」の称号を得る。同年、デンマーク「Spor festival」からソリストとして招待を受け、現代の作曲家としては最高峰にあるベアート・フラー作曲:ソロコントラバスとソプラノのための《ロトファゴス》を演奏し、観客のみならず作曲家自ら「かつてない最高の演奏」と歓喜の称賛を受ける。10年、シュトゥットガルト・エクラ現代音楽祭にて、オーストリアのシュタットラー・カルテットと、ヴィーラント・ホーバン作曲:ソロコントラバスとカルテットのための楽曲を世界初演。現在、シュトゥットガルト放送交響楽団団員として、ドイツ国内外でのソロリサイタル、小菅 優、樫本大進、庄司紗矢香、横坂 源を始め、日本を代表するソリストとの室内楽の共演等、精力的に活動している。日本では毎夏、東京・大阪・神戸・姫路・徳島での帰国リサイタルを開催。10年よりサイトウ・キネン・オーケストラのメンバーとして公演に参加。文屋充徳、奥田一夫、河原泰則、永島義男、南出信一、村上満志、山本 修、マティアス・ヴィンクラーの各氏に師事。
12年より上野製薬株式会社より1670年製コントラバスの名器「ブゼット」を貸与されている。

© Masato Tomii ▲プロフィールを閉じる

コントラバス:幣 隆太朗 Ryutaro Hei

オーボエ:フィリップ・トーンドゥル Philippe Tondre 1989年フランス・ミュルーズ生まれ。6歳でオーボエを始める。15歳でパリ国立高等音楽院に入学し、デイヴィッド・ワルターに師事、2010年には優秀な成績で修士号を取得した。数々の主要な国際音楽コンクールで受賞歴を誇り、08年、第60回プラハの春国際音楽コンクール第3位、同時にグスタフ・マーラー賞を最年少ファイナリストとして受賞。▼続きを見る 09年、国際ダブルリード協会「フェルナン・ジレ=ヒューゴ・フォックス」国際コンクール第1位。同年、第9回国際オーボエコンクール・軽井沢第2位。10年、第65回ジュネーヴ国際音楽コンクール第3位。11年9月には難関として知られる第60回ミュンヘン国際音楽コンクールで優勝し、聴衆賞、委嘱作の優秀な演奏解釈による特別賞も受賞した。ソリスト、室内楽奏者として、数々の著名なオーケストラに参加しており、08年、18歳でシュトゥットガルト放送交響楽団首席オーボエ奏者に就任。その他バイエルン放送交響楽団、ヨーロッパ室内管弦楽団、ミュンヘン室内管弦楽団、シュトゥットガルト室内管弦楽団、水戸室内管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラ等に参加。また、小澤征爾、ロジャー・ノリントン、コリン・デイヴィス、チョン・ミョンフン、ネーメ・ヤルヴィ、ヘルベルト・ブロムシュテット、エサ=ペッカ・サロネンといった名指揮者との共演も多い。 ▲プロフィールを閉じる

オーボエ:フィリップ・トーンドゥル Philippe Tondre

クラリネット:ディルク・アルトマン Dirk Altmann 1965年ドイツ・ハノーファー生まれ。7歳でクラリネットを始め、ハノーファー音楽大学にて学ぶ。81年ドイツ青少年音楽コンクール「jugend musiziert」にて第1位を受賞。83年より、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の研修生(カラヤン・アカデミー)になり、2年間オーケストラの一員として、研鑽を積む。▼続きを見る 85年より、シュトゥットガルト放送交響楽団首席クラリネット奏者。ソリストとして、多くの有名オーケストラとの共演、自身の手掛ける室内楽グループとのCD録音をする等、ドイツの一流オーケストラの奏者として、重要な役割を果たしている。 ▲プロフィールを閉じる

クラリネット:ディルク・アルトマン Dirk Altmann

ファゴット:ハンノ・ドネヴェーグ Hanno Doenneweg 1977年生まれ。97年より、シュトゥットガルト音楽大学に入学。その後98年には、ベルリン・ハンスアイスラー音楽大学で巨匠クラウス・トゥーネマンのもとで奏法を習う。2001年より、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の研修生として、オーケストラの経験を積む。02年より、シュトゥットガルト放送交響楽団のソロ奏者を務める。▼続きを見る ドイツ、アメリカ、日本を始め、多くの国でマスタークラスを開き、後進の指導にも精力的に活動している。日本でもCDでお馴染みの名バスーン奏者セルジオ・アッツォリーニや、バスーン界の巨匠クラウス・トゥーネマン、そしてベルリン・フィルのソロ奏者シュテファン・シュヴァイゲルトに奏法を習った。現在は、シュトゥットガルト放送交響楽団のソロ奏者を務めるだけでなく、指揮者・大植英次やシギスヴァルト・クイケンらに認められ、パラグアイの交響楽団でも演奏しているという売れっ子である。またこれまでに、今世紀最高のオーボエ奏者と称されるハインツ・ホリガーや、現代トップランクに位置するホルン奏者ラドヴァン・ヴラトコヴィチ、カラヤンの希望でベルリン・フィルの首席を務めたこともあるクラリネット奏者ザビーネ・マイヤー、そしてシベリウスのヴァイオリン協奏曲で有名なレオニダス・カヴァコスといった、そうそうたるメンバーとアンサンブルを組んだ経歴は、彼自身が、まぎれもなくトップの一員であることを証明している。 ▲プロフィールを閉じる

ファゴット:ハンノ・ドネヴェーグ Hanno Doenneweg

ホルン:ヴォルフガング・ヴィプフラー Wolfgang Wipfler 1965年ドイツ・バーデン=バーデン生まれ。ケルン音楽大学にて、エーリッヒ・ペンツェルのもとで奏法を習う。86年より、ドルトムントの歌劇場で首席奏者となり、88年にはシュトゥットガルト州立歌劇場に移籍し、2004年よりシュトゥットガルト放送交響楽団の首席奏者となる。現在、シュトゥットガルト音楽大学講師。

ホルン:ヴォルフガング・ヴィプフラー Wolfgang Wipfler

■曲目解説

●モーツァルト:歌劇《後宮からの逃走》序曲
 当時流行していた華やかなトルコ風の音楽、刺激的なトルコの軍楽隊の響き、それが凝縮されているのがこの曲であり、冒頭からの主旋律はシンプルながら一度聴いたらなかなか耳を離れない。1782年に書かれた歌劇《後宮からの逃走》は、全3幕のドイツ語による歌芝居(ジングシュピール)で、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世の委嘱を受けて作曲された娯楽作品である。

●ベートーヴェン:「トルコ行進曲」(劇付随音楽《アテネの廃墟》op.113より)
 ピアノ編曲でもお馴染みのこの曲は、もともと劇作家コツェブーの戯曲《アテネの廃墟》の付随音楽である。1812年2月に新装落成したペスト(現在のハンガリー・ブダペスト)のドイツ劇場のこけら落とし公演のために、ベートーヴェンは序曲と8曲の付随音楽を作曲した。「トルコ行進曲」は付随音楽の第4曲にあたり、劇中ではトルコ兵の行進場面で用いられた。

●ベートーヴェン:七重奏曲 変ホ長調 op.20
 1792年に音楽の都ウィーンへ出てきたベートーヴェンは、当時のウィーンの聴衆の耳にかなう娯楽音楽を書くことにも腐心した。それは作曲家として名声を得るためには必要なことだった。1799~1800年に書かれたこの七重奏曲は、そうしたウィーン趣向の集大成とも言える作品で、形式的にはメヌエットとスケルツォを備えた6楽章構成のディヴェルティメントとなっている。
 木管3(クラリネット、ホルン、ファゴット)と弦4(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)という変わった編成で、ベートーヴェンにしては気の張らない音楽であるが、各楽器の特性を生かした、若きベートーヴェンならではの充実した書法は、単なる娯楽作品とも一線を画す、隠れた名作である。
 初演は1800年4月2日、ウィーンのブルク劇場で「交響曲第1番」とともに行われ、大きな成功を収めた。ちなみに第3楽章テンポ・ディ・メヌエットでは、ピアノ・ソナタ第20番op.49-2の第2楽章と同じ主題が使われているので、耳馴染みのある方も多いかも知れない。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館/日本経済新聞社

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