PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-

東京春祭 歌曲シリーズ vol.11クラウス・フロリアン・フォークト(テノール)

待望の日本初リサイタルが実現!シューベルトの三大歌曲集の1つ《美しき水車小屋の娘》。瑞々しい若者の恋心を、当代一の人気テノール、フォークトが歌い上げます。

プログラム詳細

2013:03:27:19:00:00

© 堀田力丸
■日時・会場
2013.3.27 [水] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
テノール:クラウス・フロリアン・フォークト
ピアノ:イェンドリック・シュプリンガー

■曲目
シューベルト:《美しき水車屋の娘》D795 speaker.gif[試聴]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~関連公演~
東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.4
東京春祭 歌曲シリーズ

出演者

テノール:クラウス・フロリアン・フォークト Klaus Florian Vogt シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州のハイデ生まれ。ハノーファーとハンブルクの音楽学校で最初はホルンを学び、ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の第1ホルン奏者として音楽家の道を歩み始める。オーケストラでの仕事と併行して、リューベック音楽大学でギュンター・ビンゲに師事して声楽を学んだ。学業を終えた後、1997/98年のシーズンよりフレンスブルク歌劇場に入る。 ▼続きを見る 98年ドレスデン・ゼンパー・オーパーに移り、ジュゼッペ・シノーポリやサー・コリン・デイヴィス等の指揮者と仕事をする。この時期に、《魔笛》のタミーノ、《売られた花嫁》のイェニーク、《アラベラ》のマッテオ等、レパートリーを大幅に増やした。《ローエングリン》のタイトルロールでのデビューで華々しい成功を収めて以来、ドレスデン、マドリード、その他の歌劇場でこの役を客演してきた。2003年からはフリーランスの歌手として活躍しており、ハンブルク、ドレスデン、ブリュッセル、アントワープ、アムステルダム、ケルン等で客演している。04~05年には、ハンブルクにおいて《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のヴァルター、《パルジファル》、《さまよえるオランダ人》のエリック、ドレスデンにおいて《ラインの黄金》のローゲという四つの役でのデビューを果たし、さらにレパートリーを広げた。05年にはアムステルダムで《死の都》のパウル、ケルンで《フィデリオ》のフロレスタン、ドレスデンでは《ローエングリン》のタイトルロールと《アラベラ》のマッテオを歌った。10月にはカールスルーエで《ワルキューレ》のジークムント役でデビューした後、東京において《ホフマン物語》のタイトルロールで日本へデビューした。06年の5月、《ローエングリン》を歌ってニューヨーク・メトロポリタン歌劇場でアメリカへのデビューを果たし大成功を収めた。この役は二つの新作でも歌っている。バーデン=バーデンにてケント・ナガノの指揮によるニコラス・レーンホフ演出の作品(テレビで放映され、DVDもリリースされた)と、ケルン歌劇場でクラウス・マリア・ブランダウアーが演出し、マルクス・ステンツが指揮した作品である。06/07年の冬にはジュネーヴにて《ニュルンベルクのマイスタージンガー》の新作でヴァルターを歌い、また《ローエングリン》を歌ってスカラ座にデビューした。07年3月、ミュンヘンにおいて《ホヴァンシチーナ》の新作にアンドレイ役で出演し、ドイツ舞台芸術大賞「Der Faust」の2007年ドイツ歌劇場最優秀歌手/俳優賞にノミネートされた。07年の夏、バイロイト音楽祭にデビュー。カタリーナ・ワーグナーの演出した《ニュルンベルクのマイスタージンガー》の新作で演じたヴァルター・フォン・シュトルツィング役で大成功を収めた。また、ミュンヘン・オペラ・フェスティバルでもヴァルター役を歌った。同年秋にはナポリで《パルジファル》の新作に出演、その後、《フィデリオ》(ジェイムズ・コンロン指揮による新作でのフロレスタン役)でロサンゼルスに初めて登場した。08年春、《さまよえるオランダ人》のエリック、《ローエングリン》、《死の都》のパウル役でウィーン国立歌劇場にデビュー。秋にはアムステルダムで新作《影のない女》の皇帝を歌い、続いてビルバオにて《ナクソス島のアリアドネ》にも出演した。その後、ケルンとドレスデンにて《ローエングリン》の再演で歌い、ドレスデンでは《オイリアンテ》のアドラーも歌った。09年4月、《ローエングリン》の新作でベルリン国立歌劇場にデビュー(バレンボイム指揮、ヘアハイム演出)。09年のバイロイト音楽祭では《ニュルンベルクのマイスタージンガー》にヴァルター役で出演。9月にはハンブルクにて《ローエングリン》の再演で歌い、11/12月にはフランクフルトで《死の都》の新作に出演した。10年には、ベルリン・ドイツ・オペラにて《ニュルンベルクのマイスタージンガー》(2月)、ジュネーヴにて《パルジファル》の新作(3月/4月)、マドリードにて《死の都》の新作(6月)、夏には再びバイロイト音楽祭にて《ニュルンベルクのマイスタージンガー》、パリ・オペラ・バスティーユにて《さまよえるオランダ人》(9/10月)、バイエルン国立歌劇場にて《ルサルカ》の新作での王子(10/11月)、ドレスデン・ゼンパー・オーパーにてリサイタル(11月)等をこなした。11年には、バイロイト音楽祭にて《ローエングリン》、バルセロナ・リセウ大劇場にて《パルジファル》の新作、ウィーン国立歌劇場にて《カーチャ・カバノヴァ》の新作、トゥールーズにて《オベロン》の新作、ドレスデンとベルリンにて《トスカ》のカヴァラドッシ役でのデビュー、パリ・オペラ・バスティーユにて《皇帝ティートの慈悲》のタイトルロール等を歌った。最近の出演及びこれからの出演予定としては、12年3月ミュンヘン・バイエルン国立歌劇場にて《ワルキューレ》のジークムント(新作)、6月、東京にて《ローエングリン》(新作)、8月/9月バイロイト音楽祭《ローエングリン》、10月/11月ベルリン・ドイツ・オペラ《パルジファル》(新作)、11月ミュンヘン・バイエルン国立歌劇場《ローエングリン》、12月からバルセロナのリセウ大劇場にて《ルサルカ》(新作)、13年には、ミラノ・スカラ座《さまよえるオランダ人》(新作)、東京にて《ニュルンベルクのマイスタージンガー》、ハンブルクにて《ニュルンベルクのマイスタージンガー》、バイロイト音楽祭にて《ローエングリン》、ヘルシンキにて《死の都》パウル役等がある。コンサート歌手としても大活躍しており、ウィーン(マリス・ヤンソンスやダニエル・バレンボイムとともにウィーン楽友教会)からアテネ(《ミサ・ソレムニス》ヘルムート・リリング指揮)等で何度もコンサートに出演。ライプツィヒではベートーヴェンの交響曲第9番でライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団と共演した。10年にはザルツブルク音楽祭に出演(ダニエル・バレンボイム)、コヴェント・ガーデンには《大地の歌》(アントニオ・パッパーノ指揮)で出演した。その他にも数多くのコンサートに出演している。ソニーミュージックの専属歌手。初めてのソロ・アルバム『Helden』が12年2月にソニー・クラシカルからリリースされた。年間最優秀歌手としてエコー・クラシック2012を受賞。

公式サイト http://www.klaus-florian-vogt.de/

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テノール:クラウス・フロリアン・フォークト Klaus Florian Vogt

イェンドリック・シュプリンガー Jendrik Springer 1972年ゲッティンゲン生まれ。7歳からカール=ハインツ・ケマーリンクのもとでピアノを学び、指揮法をハノーファー国立音楽大学でルッツ・ケーラーに師事した。在学中に歌曲伴奏者としての広範なレパートリーを築き始め、ハルトムート・ヘルのマスターコースで、この分野に関するさらに重要な示唆を受けた。ピアニストとしても数々のコンクールで受賞経験があり、 ▼続きを見る 特に初見演奏にすぐれた才能を持つことは、1995年ハノーファーのカール・ベルゲマン初見演奏コンクールで第1位を得たことが証明している。 現在は、主に2つの分野で活動している。一方では幾人かの著名な指揮者から定期的に招かれ、とりわけワーグナーやR.シュトラウスのレパートリーを演奏する際のオペラ稽古をアシストしている。例えば、クリスティアン・ティーレマンのバイロイト音楽祭やウィーン国立歌劇場における《ニーベルングの指環》、バーデン=バーデンの祝祭劇場における《ばらの騎士》《エレクトラ》、ザルツブルク音楽祭における《影のない女》や、サイモン・ラトルのウィーン国立歌劇場における《パルジファル》等があり、他にもファビオ・ルイージやフランツ・ウェルザー=メストのような名前が挙げられる。 もう一方では、歌曲伴奏者・室内楽ピアニストとして国際的に高い評価を受けており、リカルダ・メルベートやクラッシミラ・ストヤノヴァのような女性歌手と定期的に演奏会を行っている。ストヤノヴァとは2010年のミュンヘン・オペラ・フェスティバルで、ヴェッセリーナ・カサローヴァとともに「デュエットの歌曲の夕べ」を催した。またソプラノ歌手マーリス・ペーターゼンとの「歌曲の夕べ」は、ウィーン・コンツェルトハウス、チューリヒ・トーンハレ、ニューヨークのカーネギー・ホール、この1月にはロンドンのウィグモア・ホールで息の合ったところを見せて大成功を収めた。ウィーン楽友協会でも、ヤニーナ・ベヒレやアドリアン・エレートのような歌手たちの「歌曲の夕べ」にすでに幾度も客演している。 マーリス・ペーターゼンとともにハルモニア・ムンディに録音した1st CD『ゲーテ歌曲集~永遠に女性的なるもの』は、2012年3月に発売され、ディアパソン・ドール賞とドイツ・レコード批評家賞を受賞した。 ▲プロフィールを閉じる

イェンドリック・シュプリンガー Jendrik Springer

■曲目解説

シューベルト:歌曲集《美しき水車小屋の娘》
 《美しき水車小屋の娘》は、シューベルトが26歳の1823年に作曲された連作歌曲集で、《冬の旅》《白鳥の歌》とともにシューベルトの“三大歌曲集”のひとつに数えられている。シューベルトの没後にまとめられた《白鳥の歌》を除く2作品は、シューベルト自らが連作として意図したもので、主人公の心情の変化や感情の微妙な移ろいを描いている。
 《美しき水車小屋の娘》も《冬の旅》も、もととなった連作詩は、シューベルトと同時代(生没年も短命だったシューベルトとほぼ重なる)のドイツ・ロマン派の詩人ヴィルヘルム・ミュラー(1794-1827)によるもので、シューベルトがミュラーの詩に曲を付けたリートの数は、文豪ゲーテ、友人だったマイルホーファーについで3番目に多い。
 《美しき水車小屋の娘》は、シューベルトが友人のラントハルティンガー宅で偶然目にしたミュラーの『ワルトホルン吹きの遺稿からの詩集』に付曲した(「プロローグ」と「エピローグ」、そして途中3篇の詩が除かれている)作品で、それを借り受けた(無断借用だった!?)シューベルトは、翌日にはすでに3曲のリートを作曲していたという逸話が残っている。
 《冬の旅》が恋人と別れた後の若者の暗い諦念に満ちた心象風景を朗誦的な旋律作法を織り交ぜながらモノローグ風に描いているのに対し、《美しき水車小屋の娘》は、若者の旅立ちと恋の芽生え、そして失恋と失望、死までが一連のストーリーを持った流れとして描かれている。シューベルトの音楽は、詩に込められた心情の変化を、短調と長調のあいだを揺れうごきつつ、旋律線を変化させていく手法よって表現しているが、《美しき水車小屋の娘》では、それがストーリーの展開に即して巧妙に組み合わされ、連作歌曲としてふさわしい詩と音楽の統一が図られている。
 この作品は、アマチュアではあったが、ヨハン・ミヒャエル・フォーグルとともにシューベルトの生前もっとも親交のあったバリトン歌手カール・フォン・シェーンシュタイン男爵に献呈されている。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 協力:株式会社ソニー・ミュージックジャパン インターナショナル

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