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お知らせ 2015/03/21

「《リヒテルの想い出》 ~生誕100年記念スペシャル・トーク」ミニレポート

昨日3/20(金)は、20世紀を代表する大ピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテル(1915-1997)の生誕100年の記念日。
この日、銀座のヤマハホールでは、『リヒテルは語る 人とピアノ、芸術と夢』の訳者として知られる音楽評論家の宮澤淳一氏のナビゲートにより、巨匠の人となりやその演奏・美学を回顧するイベント「《リヒテルの想い出》 ~生誕100年記念スペシャル・トーク」(無料・事前申し込み制)が催されました。

前半は、調律師としてリヒテルから全幅の信頼を寄せられた瀬川宏氏と村上輝久氏が、リヒテルとの出会いや交流、演奏家としてのリヒテルの個性などを回顧。
つづいて、若かりし頃からリヒテルのサークルに出入りし、リヒテル夫妻から格別の愛情を注がれたピアニスト、リュドミラ・ベルリンスカヤ氏が登場し、リヒテルが最後の日本公演で実際に使用したピアノ「YAMAHA CFⅢS」でメトネルの作品を演奏しました。

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Photo: Hidaki Tomoko

演奏後、宮澤淳一氏から感想を求められたベルリンスカヤ氏は、「リヒテルの音楽祭"12月の夕べ"の会場であるプーシキン美術館のYAMAHAを連想させる光り輝く音色」だと発言。続いて、実父ベルリンスキー(ボロディン弦楽四重奏団の創設メンバー)とリヒテルの友情や、独自の比喩を用いて楽曲について語るのが常であったリヒテルのエピソードなど、彼女ならではの貴重な想い出をたっぷりと披露しました。

休憩をはさみ、リヒテルのロシア語通訳を務めた河島みどり氏、パーソナル・マネージャーとして晩年のリヒテルの演奏活動を支えたミレーナ・ボッローメオ氏がそれぞれ登壇。日本文化や日本食、日本人の誠実さ、日本の清潔さなどをこよなく愛したリヒテルにまつわるチャーミングなエピソードの数々に、会場も和みます。また、会場選びや公演地選びにおいてルーティーンを徹底的に避け、公演直前までプログラムの発表も行わなかった晩年のリヒテルの自由な精神、あくなき好奇心なども、浮き彫りになりました。

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Photo: Hidaki Tomoko

「スペシャル・トーク」のフィナーレでは、全登壇者に、リヒテルの調律師 大里和人氏が加わり、観覧の皆様との質疑応答が行われました。「なぜ演奏中の照明は暗かったのか?」「本番で楽譜を置いたのはどうして?」「ヤマハの楽器を選んだ決定的な理由は?」「好きだった日本食は?」など、様々な質問を会場からいただきました。私的なエピソードをふんだんに交えながら答える登壇者たちの言葉からは、リヒテルへの尊敬の念、そしてあつい友情が常に感じられました。

2時間半にわたって行われたリヒテルのバースデー・パーティーは、無事にお開き。本日3/21(土)、「舞踊協奏曲《オーバード》 ~リヒテルが愛したプーランク&モーツァルト」から、いよいよ「リヒテルに捧ぐ」シリーズの公演がスタートいたします!


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