HARUSAI JOURNAL春祭ジャーナル

春祭ジャーナル 2015/02/21

アーティスト・インタビュー
~結成70周年!ボロディン弦楽四重奏団

1945年にモスクワ音楽院で産声を上げたボロディン弦楽四重奏団が、今年、結成70周年を迎えました。東京・春・音楽祭2015年にてこの記念イヤーを祝う特別演奏会を開くほか、同「リヒテルに捧ぐ」シリーズでは、巨匠リヒテルの"寵児"レオンスカヤと共演するボロディン弦楽四重奏団。リーダーでヴィオラ奏者のイゴール・ナイディンに、2015年の抱負や公演の聴きどころなどについて訊きました。

©Keith Saunders
clm0219.jpg リヒテルに捧ぐⅣ(生誕100年記念)
 ボロディン弦楽四重奏団
      with エリーザベト・レオンスカヤ(ピアノ)
           ~リヒテルとともに奏でた音楽家たち

■ボロディン弦楽四重奏団~結成70周年記念:ロシア音楽の潮流を聴く

clm_q.png 結成70周年をお迎えになられたのこと、おめでとうございます!この特別な年に寄せての抱負をお聞かせください。

 有難うございます。私たち現メンバーは、先輩たちが築いたこのクァルテットの確固たる伝統を、できるだけそのまま後世に伝えることができるよう、日々真剣に演奏にのぞんでいます。私たちが学生であった頃、ボロディン弦楽四重奏団はすでに世界的な評価を得ており、"雲の上の"存在でした。ですから基本的には、クァルテットの長い歴史をリスペクトし続け、いつも通りの演奏をする、ということが大切であると思っています。
 それでもやはり、70年という長い歴史を盛大に祝えるのは刺激的なことですね!今年は、この特別なイヤーを記念して、モスクワと東京の他、ロンドンやベルリン、ウィーン、モントリオール等でも公演を予定しています。

clm_q.png 東京・春・音楽祭では2公演にご出演いただきます。まず、「結成70周年」を記念するクァルテットでの演奏会。ショスタコーヴィチの「8番」の弦楽四重奏曲を選曲なさった理由を、ずばりお聞かせください。

 今回、東京・春・音楽祭のために用意したチャイコフスキーの1番、ボロディンの2番、ショスタコーヴィチの8番、という3曲はいずれも、ボロディン弦楽四重奏団が結成当初から、十八番として演奏してきた作品です。ロシアの弦楽四重奏曲の最高傑作をお聴きいただくという意味でも、大変に思い入れのあるプログラムです。
 とりわけショスタコーヴィチの8番は、初演された当時(1960年)からボロディン弦楽四重奏団が大切に演奏してきた作品です。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は全15曲とも、時代を代表する傑作であると思います。なかでも8番には、ショスタコーヴィチの天賦の才が如実に表れており、聴く人々が、その深遠さと力強さ、そして強烈な感情の数々をすぐさま理解できる作品ではないでしょうか。集中力が高く、常に演奏に敬意を表してくださる日本の聴衆の皆さまに、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の魅力が全て詰まったこの8番をお聴きいただけるのを、楽しみにしています。

clm_q.png もう一つの公演では、ピアニストのエリーザベト・レオンスカヤと共演し、今年生誕100年を迎えた巨匠リヒテルへオマージュを捧げます。ボロディン弦楽四重奏団にとって、レオンスカヤはどのような存在ですか?

 まず、リヒテルについて一言申し上げねばなりませんね。前世紀を代表する、といっても過言ではない巨匠リヒテルは、ボロディン弦楽四重奏団のかつてのメンバーとの共演を通して、室内楽演奏史に輝かしい足跡を残しています。私たち現メンバーは、これを日々、誇りに思っています。
 私たちの親愛なる「リザ」ことレオンスカヤは、長きにわたってボロディン弦楽四重奏団の重要な演奏パートナーであり続けてきました。旧メンバーたちとも、多くの名演を残しています。ご存じの通り、リザはマエストロ・リヒテルから、つとにその才能を愛され、高く評価されたピアニストです。事実、彼女の並外れた音楽性には常に圧倒されます。普段から、彼女の心優しい性格にも魅了されています。リザからは共演を重ねるたびに豊富なインスピレーションを与えられます。
 それにしても、私たちボロディン弦楽四重奏団の結成70周年と、マエストロ・リヒテルの生誕100年が重なるというのは実に幸運で光栄なことです。このような機会に、私たちがレオンスカヤと共に奏でるピアノ五重奏曲は、特別なものとなるに違いありません・・・!

~関連公演~
リヒテルに捧ぐⅣ(生誕100年記念)
ボロディン弦楽四重奏団 with エリーザベト・レオンスカヤ(ピアノ)~リヒテルとともに奏でた音楽家たち

ボロディン弦楽四重奏団~結成70周年記念:ロシア音楽の潮流を聴く

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