東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-
東京春祭のStravinsky vol.4ストラヴィンスキーとパリ1920年代
~“Paris20年代 祝祭と狂騒の時代”を歌う
第1次大戦直後、人々の狂騒が新しい芸術を生む活力を与えた時代。
現代ヨーロッパ文化の礎ともなった華やかな時代にタイムスリップし、世界が憧れたパリを、フランス在住の国際的実力派、浜田理恵が再現します。
プログラム詳細
2015:03:18:19:00:00
2015.3.18 [水] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール
■出演
ソプラノ:浜田理恵
ピアノ: 三ツ石潤司
■曲目
~Paris20年代の扉を開けた作曲家たち〜
ストラヴィンスキー:
《4つのロシアの歌》
《猫の子守歌》
パストラール
《子どものための3つのお話》
サティ:《3つの歌》
プーランク:
セー(《2つの詩》より)
あなたはこんなふうだ(《メタモルフォーゼ》より )
パガニーニ(《メタモルフォーゼ》より)
《歌の調べ》
ドビュッシー:《ステファヌ・マラルメの3つの詩》
カプレ:《ポール・フォールの詩による5つのフランスのバラード》
ファリャ:《7つのスペイン民謡》
[アンコール]
サティ:エンパイア劇場のプリマドンナ
プーランク:愛の小径

出演者
ソプラノ:浜田理恵 Rie Hamada 東京藝術大学卒業および同大学院修士課程終了(中村浩子氏に師事)後、パリに留学、イザベル・ガルシザンズ氏に声楽を、イレーヌ・アイトフ氏にフランス歌曲を学ぶ。 1991年パリ市立シャトレー劇場にてデュカ《アリアーヌと青ひげ》(指揮 エリアフ・インバル)でオペラデビュー。UFAM主催国際声楽コンクールで第1位、
ピアノ:三ツ石潤司 Junji Mitsuishi 兵庫県生まれ東京藝術大学作曲科卒業、同学大学院博士課程(音楽学)単位取得。アンリエット・ピュイグ=ロジェ女史にコレペティツィオン、伴奏を学ぶ。その後ウィーン国立音楽大学に学び教育科、作曲指揮科講師を経て、同学で初めてのアジア人声楽科専任講師としてリート・オラトリオ科でエディット・マティス教授のアシスタントなどを務める。
ストラヴィンスキーの歌曲
1910 年代前半、ストラヴィンスキーは 3 大バレエ音楽によってパリの音楽界に一大センセーションを巻き起こした。名声を得た一方で 10 年代半ばからは、第 1 次世界大戦やロシア十月革命等によって故国に戻れず、経済的な困窮を抱えながらスイスに移住して創作を続ける。そんな時期、ストラヴィンスキーはロシアから持ち帰った民話・民謡集をもとに多くの歌曲を作曲した。
1919 年に書かれた《4 つのロシアの歌》では、その即興的な旋律が強烈にエキゾチックな印象を与える。かなりの猫好きとしても知られたストラヴィンスキーだが、1916 年に書かれた全 4 曲からなる《猫の子守歌》は、まるで眼前に猫たちを見るように、リアルに描写された伴奏の動きに微笑ましい愛情が感じられる。「パストラール」は 1907 年、リムスキー=コルサコフに作曲の指導を受けていた頃に書かれたもので、歌詞がないため、ヴォカリーズ(母音のみ)で歌われる。1917 年に書かれた《子どものための 3 つのお話》は、非常に愛らしい小品。なかでも、火事の際に鳴らされる半鐘の音を指す「チリンボン」はよく知られた 1 曲である。
サティ:《3 つの歌》
フランス音楽界の異端児サティが 1916 年に書いた《3 つの歌》は、洗練されたエスプリとユーモアにあふれている。レ オン=ポール・ファルグの詩による「青銅の像」は、遊戯箱にくっついている蛙のオブジェを描写したもの。ミミ・ゴデブスカの詩による「ダフェネオ」では、若い男女の交わす言葉に混じる女の「ああ……」というため息がシュールな空間へ放たれる。ルネ・シャリュの詩による「帽子屋」は、『不思議の国のアリス』のような一場面を描いている。どの曲も洒脱な明るさに満ちている。
プーランクの歌曲
シュールレアリスムの開拓者ルイ・アラゴンの詩による《2 つの詩》は、1943 年に作曲された。その第 1 曲「セー」とは、フランス西部アンジェ近郊の 4 つの橋につながれた町「レ・ポン・ド・セー(セーの橋)」のこと。
同じく 1943 年に書かれた、ヴィルモランの詩による全 3 曲の歌曲集《メタモルフォーゼ》から、「あなたはこんなふうだ」の原題は「肖像画」で、眼前の女を愛撫するように描写していく官能的な歌。「パガニーニ」は、ヴァイオリンという語に触発されて展開していく言葉遊びの歌。超絶技巧のピアノ伴奏に乗せて自由に想像力が羽ばたいていく。
《歌の調べ》は、1927~28 年に書かれたジャン・モレアスの詩による全 4 曲の歌曲集。4 曲それぞれに 20 代の若きプーランクの新鮮な息吹が感じられる。
ドビュッシー:《ステファヌ・マラルメの 3 つの詩》
円熟期のドビュッシーが 1913 年に作曲した《ステファヌ・マラルメの 3 つの詩》は、フランス象徴派の代表的詩人マラルメの晦渋な詩世界を余すところなく音楽化したような美しさを湛えている。
第 1 曲「溜め息」は、秋の透き通る空気のなかを漂うような浮遊感のある歌。第 2 曲「むなしい願い」は、気高い女性に捧げる逆説的な愛を歌う。第 3 曲「扇」では、女の持つ扇に詩的なインスピレーションがさく裂し、フランス語の音とリズムがドビュッシー独特の和声と美しく響きあう。
カプレ:《ポール・フォールの詩による 5 つのフランスのバラード》
ドビュッシー作品の編曲等によりその名が知られるカプレは、第 1 次世界大戦時の負傷により 40 代で生涯を閉じた。《ポール・フォールの詩による 5 つのフランスのバラード》は、象徴主義演劇の運動に奔走した詩人の作品を用いた、1919 年の歌曲。早暁に鳴り渡る教会の鐘を模した第 1 曲「暁の鐘」で始まる 5 つの歌は、いずれも個性的な響きを持っている。ドビュッシーとはまた一味違ったカプレの印象風景には、神秘と劇的な起伏とに彩られながら、どこかノスタルジックな趣きがある。
ファリャ:《7 つのスペイン民謡》
1907~14 年までファリャはパリに滞在し、ドビュッシーやラヴェルらと親交を深めた。《7 つのスペイン民謡》は、パリ留学から帰国した 40 歳のファリャが 1915 年に書き上げた歌曲集。スペイン各地の古謡を集めて再構築したもので、濃厚なスペインの香りを放つ作品である。特に第 5 曲の子守歌は、ファリャの故郷アンダルシア地方の旋律を用いており、ファリャ自身が幼少時に耳にしたものという。いにしえのスペインを感じさせるその神秘的な旋律と和声の美しさが無類のない歌である。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会
※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
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