PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-

ミュージアム・コンサート 「ユベール・ロベールー時間の庭」記念コンサート vol.1
18世紀のフランス音楽~曽根麻矢子(チェンバロ)

プログラム詳細

Photo:青柳 聡
■日時・会場
2012.
3.29 [木] 11:00開演(10:30開場)
3.29 [木] 14:00開演(13:30開場)[各回約60分]
※ この公演は終了いたしました。
国立西洋美術館 講堂

■出演
チェンバロ:曽根麻矢子
お話:陳岡めぐみ(国立西洋美術館 主任研究員)

■曲目
バルバトル:《クラヴサン曲集 第1集》より
 「ラ・ド・カーズ」(序曲)speaker.gif[試聴]
 「ラ・デリクール」 speaker.gif[試聴]「ラ・リュジャック」 speaker.gif[試聴]
デュフリ:《クラヴサン曲集》より
 「アルマンド」 speaker.gif[試聴]「クーラント」 speaker.gif[試聴]
 「ラ・フェリクス」 speaker.gif[試聴]「ラ・ド・ブロンブル」
ダカン:《クラヴサン曲集 第1巻》より
 「お気に入り」「寛大な怨み」「歓喜」「荒れ狂う風」
A.L.クープラン:勇ましい人(ロンドー) speaker.gif[試聴]
コレット:ディヴェルティメント《海戦の勝利》より「花火」
[アンコール]
デュフリ:クラヴサン曲集 第4巻より「ラ・ドゥ・ドゥリュモン」

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。



~「ユベール・ロベールー時間の庭」記念コンサート~

出演者

チェンバロ:曽根麻矢子 Cembalo:Mayako Sone 東京生まれ。桐朋学園大学附属「子供のための音楽教室」を経て、桐朋学園大学付属高校ピアノ科卒業。ピアノを寺西昭子、チェンバロを鍋島元子の各氏に師事。高校在学中にチェンバロと出会い、1983年より通奏低音奏者としての活動を開始。1986年ブルージュ国際チェンバロ・コンクールに入賞。その後、渡欧を重ねて同コンクールの審査員であったスコット・ロスに指導を受け、1990年より正式にパリに拠点を移す。スコット・ロスの夭逝後、エラート・レーベル(フランス)の名プロデューサー、ミシェル・ガルサンにスコット・ロスの衣鉢を継ぐ奏者と認められ、1991年にはエラート・レーベル初の日本人アーティストとしてCDデビューを果たす。
1992年以降、イスラエル室内管弦楽団の専属チェンバロ奏者としての演奏旅行、フランス、イタリア等のフェスティバル参加等、国際的に活躍している。また、サンチャゴ・サンペレ(現代舞踊家)とのコラボレーションをパリと東京で開催し、その意欲的内容が好評を博した。2006年にはラジオ・フランス(フランス国営放送)で3時間に及ぶ曽根の特集が組まれている。日本国内でも、リサイタル、室内楽と積極的な活動が注目を集めている。さらに、音楽活動とともにテレビ、ラジオへの出演、雑誌『DIME』でのエッセイ連載、『いきなりパリジェンヌ』(小学館)の刊行等、多才ぶりを見せている。
録音活動も活発に行い、デビューCD『J.S.バッハ:イギリス組曲』リリース以後、『J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲』『情熱のファンダンゴ』『シネマ・チェンバロ』『ジュ・レーム』『J.S.バッハ:フランス組曲』『J.S.バッハ:トッカータ』『ラティーナ』『シャコンヌ』と、定期的にCDをリリースし続けている。とりわけ『情熱のファンダンゴ』は、スコット・ロスの偉業『スカルラッティ:ソナタ大全集』の遺志を継ぐ追加録音として大きな話題を集めた。
2003~09年まで東京・浜離宮朝日ホールにて、6年計12回に渡るJ.S.バッハ連続演奏会を行い、並行して『イギリス組曲』『フランス組曲』の各全曲盤と『イタリア協奏曲、フランス風序曲』『平均律クラヴィーア曲集第1巻』(第20回ミュージック・ペンクラブ音楽賞オーディオ部門最優秀録音賞受賞)をエイベックス・クラシックスよりリリース。最新盤は1999年以来10年ぶり2度目の録音となった『ゴルトベルク変奏曲』である。2010年からは東京・上野学園エオリアンホールにてクープランとラモーのチェンバロ作品の全曲演奏会をスタート。好評を博している。
現在は、演奏活動の傍ら鬼才スキップ・センペのもとで研鑚を積んでいる。1996年、第6回出光音楽賞をチェンバロ奏者として初めて受賞。1997年、飛騨古川音楽大賞奨励賞を受賞。上野学園大学教授。

©Philippe Salaün

チェンバロ:曽根麻矢子 Cembalo:Mayako Sone

■曲目解説

バルバトル:
クロード=ベニーニュ・バルバトル(1724-99)はラモーの弟子で、ノートルダム大聖堂のオルガニストを務めるなど、一時はマリー・アントワネットにクラヴサンを教えるほどの名声を誇ったが、1789年のフランス革命によってすべてを失った。1759年に出版された《クラヴサン曲集 第1集》は、彼の生徒である「ド・カーズ」夫人に献呈されている。〈高貴に、遅くならず〉との指示がある「デリクール」、軽快なジーグの「リュジャック」など、標題につけられたのはすべて人物名であり、全17曲の肖像(ポルトレ)が並んでいる。

デュフリ:
1744~68年の間に4冊の《クラヴサン曲集》を出版したジャック・デュフリ(1715-89)は、クープラン、ラモーに続くフランス・クラヴサン楽派最後の世代に属する作曲家。彼は、宮廷の要職に就くことはなかったが、非常に優れた教師でもあった。第1集(1744)所収の「アルマンド」(「ドイツ風の」の意)及び「クーラント」(フランス語courir「走る」に由来する)は、バロック時代における代表的な舞曲の名称。第2集(1748)所収の「フェリクス」、第3集(1758)所収の「ド・ブロンブル」は人物名(ポルトレ)である。

ダカン:
神童の名をほしいままに、6歳にしてルイ14世の御前演奏を行ったルイ=クロード・ダカン(1694-1772)は、ラモーと同世代のクラヴサン奏者、作曲家。《クラヴサン曲集 第1巻》(1735)には、ロココ調のきらびやかな音色が凝縮されており、なかでもピアノで演奏される機会も多い「かっこう」が有名である。このようなバロック時代における標題音楽は、後のロマン派とは違い、シンプルな印象を描写したものが多い。例えば、同曲集の第1組曲第5番「荒れ狂う風」は、標題の如く、吹きすさぶ風を巧みに模している。

A.L.クープラン:
言うまでもなくクープラン家は、ルイ王朝におけるフランス音楽界に君臨した音楽家一門であった。パリ最古の教会のひとつであるサン=ジェルヴェ教会のオルガニストの地位を実に173年もの長きに渡って一族で独占した(クープランのオルガンは同教会に未だ現存する)。アルマン・ルイ・クープラン(1727-89)の父は大クープランのいとこに当たり、アルマンも同教会オルガニストの地位を受け継いだ。「勇ましい人」が収められた《クラヴサン曲集》(1751)は、ヴィクトワール王女に献呈されており、その名を冠した曲が冒頭に置かれている。

ミシェル・コレット:
ルーアン生まれのミシェル・コレット(1707-95)は、多才・多産な音楽家であった。彼はバレエ音楽から、コミック協奏曲、ソナタ、果てはカンタータに至る様々なジャンルの作品を書いたばかりか、ヴァイオリンを始めとする20近い楽器の教則本の著者でもあった。クラヴサンと朗読によるディヴェルティスマン《海戦の勝利》(1779)は、すべての鍵盤を一度に押さえるような効果音を用いたことでも知られており、「花火」はその終曲(第8曲)となる小品である。



主催:主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:上野学園 石橋メモリアルホール 協力:国立西洋美術館

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