PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-

ミュージアム・コンサートN響メンバーによる弦楽四重奏
~オール・ベートーヴェン・プログラム

プログラム詳細

Photo:青柳 聡
■日時・会場
2012.4.7 [土] 14:00開演(13:30開場)※ この公演は終了いたしました。
国立科学博物館 日本館講堂

■出演
N響メンバーによる弦楽四重奏
  第1ヴァイオリン:山口裕之
  第2ヴァイオリン:宇根京子
  ヴィオラ:飛澤浩人
  チェロ:藤村俊介

■曲目
ベートーヴェン:
 弦楽四重奏曲 第5番 イ長調 op.18-5 speaker.gif[試聴]
 弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 op.95《セリオーソ》 speaker.gif[試聴]
 弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調 op.131 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 op.10より 第4楽章

~関連コラム~

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

第1ヴァイオリン:山口裕之 1st Violin:Hiroyuki Yamaguchi 鷲見三郎に師事。桐朋学園大学卒業。桐朋女子高等学校(共学)在学中の1969年に全国学生音楽コンクール高等学校の部全国第1位。1975年、第44回日本音楽コンクール第2位。1977年、民音コンクール室内楽部門第2位(1位なし)。1975年6月、在学中に東京フィルハーモニー交響楽団に入団、翌年卒業と同時にコンサートマスターに就任し1979年まで在籍。同年5月、NHK交響楽団入団、第2ヴァイオリン首席奏者を務め、1984年6月、コンサートマスターに就任。ゼルフィス弦楽四重奏団を結成、「カザルスホール・レジデント・クァルテット」として活躍。現在、NHK交響楽団第1コンサートマスター、桐朋学園大学講師。

©松嶋 惇

第1ヴァイオリン:山口裕之 1st Violin:Hiroyuki Yamaguchi

第2ヴァイオリン:宇根京子 2nd Violin:Kyoko Une 桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学卒業。同大学研究科を修了後、スイス政府給費留学生として2002年、国立チューリヒ・ヴィンタートゥーア音楽大学ソリストディプロマコースに入学。2004年、最高位でディプロマを取得し卒業。サイトウ・キネン・フェスティバル松本等の音楽祭や、小澤征爾音楽塾、トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ等に参加。1998年、神戸国際学生音楽コンクール県知事賞、東京室内楽コンクール第1位。2002年、パガニーニ国際ヴァイオリンコンクール第6位。2005年、東京文化会館にて日本演奏連盟主催によるリサイタルを開く。2006年4月、NHK交響楽団入団。中村静香、小林健次、ジョルジュ・パウクの各氏に師事。

第2ヴァイオリン:宇根京子 2nd Violin:Kyoko Une

ヴィオラ:飛澤浩人 Viola:Hiroto Tobisawa 桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て同大学音楽学部卒業。卒業後、ヴィオラ奏者の店村眞積の薦めによりヴィオラに転向。1990年、第101回神奈川県立音楽堂推薦演奏会で第3回新人賞受賞。同年よりサイトウ・キネン・オーケストラのメンバーとして公演に参加。1992年、フランスの第4回モーリス・ヴュー国際ヴィオラコンクール第2位(1位なし)。1995年、文化庁在外研修員としてパリに留学。1997年、パリ・エコール・ノルマルでコンサート・ディプロムを満場一致で取得。L'Orchestre National des Pays de la Loireにヴィオラ第2ソリストとして入団。帰国後、2006年にNHK交響楽団入団。これまでにヴィオラを店村眞積、ジェラール・コッセの両氏に師事。

ヴィオラ:飛澤浩人 Viola:Hiroto Tobisawa

チェロ:藤村俊介 Cello:Syunsuke Fujimura 1963年、東京生まれ。1986年、桐朋学園大学卒業。この間、チェロを安田謙一郎に師事。日本演奏連盟賞受賞。第21回東京国際室内楽コンクール入選。第58回日本音楽コンクールチェロ部門第2位。桐朋学園オーケストラ、九州交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団等と共演。1989年、NHK交響楽団入団。1990年、東京文化会館で初リサイタルを開く。1993年、アフィニス文化財団の研修員としてドイツに留学し、メロス・カルテットのペーター・ブックに師事。現在、NHK交響楽団フォアシュピーラー、フェリス女学院大学講師。ソロや室内楽でも活躍中。チェロ四重奏「ラ・クァルティーナ」メンバー。
©松嶋 惇

チェロ:藤村俊介 Cello:Syunsuke Fujimura

■曲目解説

ベートーヴェン:
弦楽四重奏曲第5番 イ長調 op.18-5
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が30歳を迎える頃に書き上げた全6曲の弦楽四重奏曲は、第1番から第6番までまとめて「作品18」として1801年に出版された。折しもこれは、交響曲第1番を世に送り出した時期と重なる。弦楽四重奏の分野では、ハイドンとモーツァルトといった先達たちの偉業を真面目に継承しつつある時代であった。弦楽四重奏曲第5番は作品18の全6曲中、もっとも明るい気分に満ち溢れた曲であり、モーツァルトの影響が少なからず見受けられるものの、ソナタ形式となっている第4楽章の後半、展開部からコーダにかけては、他ならぬベートーヴェンの独創性が顔を覗かせている。

弦楽四重奏曲第11番 へ短調 op.95《セリオーソ》
「セリオーソ」とは「厳粛な」という意味であるが、ベートーヴェン自身によるその指示は、第3楽章に見られる。草稿段階では全曲につけられていたが、出版の際、なぜか省かれた。つまり、第3楽章がこの曲の中心をなすと考えられたのかも知れない。とはいえ、そもそも第1楽章冒頭から、まさに肖像画にある通りの激しく気難しいベートーヴェン、聴き所満載の一曲である。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は交響曲等と同じく初期・中期・後期に分かれるが、この曲は1810年に書かれており、中期最後の作品となる。この後10年あまりの空白をおいて、後期の壮大な弦楽四重奏曲群が始まる。

弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 op.131
ベートーヴェン後期の弦楽四重奏曲の中では第13番から第15番までが、形式も構造もまさしく破格の音楽として、時代を超越した輝きを放っている。特にこの第14番は、思索の糸を丹念に解きほぐすような音楽であり、死の前年1826年初から夏にかけて書かれた。ベートーヴェンは、最晩年の5年間を弦楽四重奏曲の分野にほぼ費やしているが、その到達した一つの極地点がこの第14番といえる。この曲はベートーヴェンの生前に演奏された記録がなく、初演は没後の1828年となっている。その演奏を、死を目前にしたシューベルトが聴いて感涙したというエピソードが残っているが、真偽のほどは定かでない。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館

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