PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-

メンデルスゾーン 弦楽八重奏
若き名手たちによる室内楽の極(きわみ)

プログラム詳細

Photo:青柳 聡
■日時・会場
2012.4.4 [水] 19:00開演(18:30開場)
※ この公演は終了いたしました。
上野学園 石橋メモリアルホール

■出演
ヴァイオリン:長原幸太、西江辰郎、佐久間聡一、三浦文彰
ヴィオラ:鈴木康浩、大島 亮
チェロ:上森祥平、宮田 大

■曲目
モーツァルト:弦楽五重奏曲 第4番 ト短調 K.516 speaker.gif[試聴]
ブラームス:弦楽五重奏曲 第2番 ト長調 op.111 speaker.gif[試聴]
 [長原幸太(Vn)、西江辰郎(Vn)、鈴木康浩(Va)、大島 亮(Va)、上森祥平(Vc)]
メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲 変ホ長調 op.20 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
シュポーア: 複弦楽四重奏曲 第1番 ニ短調 op.65 より 第4楽章

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ヴァイオリン:長原幸太 Violin:Kota Nagahara 1981年、広島県呉市に生まれる。東京藝術大学附属音楽高等学校を卒業後、同大学に進学。その間、全額スカラシップを受け、ジュリアード音楽院に留学。1992、93年と連続して全日本学生音楽コンクール全国第1位。1994年、ヴィエニアフスキー国際ヴァイオリンコンクール17歳以下の部第3位。1998年、日本音楽コンクール最年少優勝。五嶋みどりレクチャーコンサートで奨励賞を受賞し、ニューヨークに招待され、同氏のレッスンを受ける。また、サイトウ・キネン若い音楽家の為の勉強会で小澤征爾指揮のもとコンサートマスターやソリストを務め、サイトウ・キネン・オーケストラにも最年少で参加。12歳で東京交響楽団と共演したのを皮切りに、日本各地の主要オーケストラや、小澤征爾、岩城宏之、秋山和慶、ゲルハルト・ボッセといった名指揮者と共演。ソリスト以外にも室内楽奏者、オーケストラのゲストコンサートマスターとしても活躍。さらに、アルゲリッチ国際音楽祭、宮崎国際音楽祭、やまなみ国際音楽祭等、各地の音楽祭にも出演。演奏を通じてのボランティア活動にも力を入れている。
広島市長賞「広島フェニックス賞」、広島県教育長賞「メイプル賞」受賞、広島国際文化財団「ヒロシマ・スカラシップ」、広島ホームテレビ文化・スポーツ賞(最年少受賞)、東京藝大の福島賞等、受賞多数。これまでに村上直子、小栗まち絵、工藤千博、澤和樹、ロバート・マンの各氏に師事。
2004年9月、大阪フィルハーモニー交響楽団首席客演コンサートマスターに就任、2006年4月より首席コンサートマスターとなる。

©飯島 隆

ヴァイオリン:長原幸太 Violin:Kota Nagahara

ヴァイオリン:西江辰郎 Violin:Tatsuo Nishie 新日本フィルのコンサートマスター、ソリスト、室内楽奏者としても活躍する若手ヴァイオリニスト西江辰郎は、1976年、東京生まれ。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て、桐朋学園ソリストデュプロマコース修了。国内コンクールに多数入賞し、2001年、弱冠24歳で仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに就任。多くのソロを受け持ち、《英雄の生涯》《シェヘラザード》等で絶賛された。東京フィロスクヮルテット、セレーノ弦楽四重奏団を結成し、SPC大賞、せんだい芸術祭大賞、緑の風音楽賞、松尾音楽助成等の受賞歴を持つ。ヴァイオリンを辰巳明子、ティボール・ヴァルガ、景山誠治、藤原浜雄、海野義雄の各氏に、室内楽を安永徹、市野あゆみ、ガボール・タカーチ=ナジ、岡山潔の各氏に師事。
レパートリーもコレルリ、バッハから三善晃、カプースチンまでと幅広い。イタリアの作曲家アレッサンドロ・クオッツォは友人で、ピアノのジュゼッペ・アンダローロとのイタリア・リサイタルツアーでは無伴奏ヴァイオリンソナタを献呈された。
日本、オーストリア、スイス、フランス、イタリア、チェコ、韓国等、世界各地で演奏。サイトウ・キネン・オーケストラのメンバー。ソリストとしても東京交響楽団、オーケストラ・T・ヴァルガ、仙台フィルハーモニー管弦楽団、仙台市民交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、チェコ室内フィルハーモニー管弦楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団等、国内外のオーケストラと共演。クリスティアン・アルミンクに認められ、2005年より新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターに就任。2007年には「M・マイスキー60歳記念プロジェクト」でミッシャ・マイスキー(チェロ)と共演。2009年にはアールガウ交響楽団のソリストに抜擢され、チューリッヒ・トーンハレで協奏曲デビューを果たし、紙上でも賞賛された。またCD『カプースチン』をリリース。2010年にはソリストとして新日本フィルハーモニー交響楽団と4回の共演を行ない、リサイタルではアンドレア・タランティーノのSulla Via del Graalをアジア初演。
精力的な演奏活動のかたわら、最近、サンサーンスのオペラ《サムソンとダリラ》より“Printemps qui commence”をヴァイオリンとピアノのための小品に編曲し、好評を得る。DVDは『DUO』西江辰郎&アンダローロ(FOVD 101)。CDは『シューマン&R.シュトラウス』西江&坂野(FOCD3511)、『カプースチン』西江辰郎&アンダローロ デュオリサイタル3(FOCD3510)、『フランク&プロコフィエフ』西江&アンダローロ デュオリサイタル2(FOCD9337)、『西江辰郎&アンダローロ デュオリサイタル』(FOCD9236)、『ARENSKY』(HCC-2027)。

西江辰郎公式サイト http://homepage3.nifty.com/nishie-tatsuo/

©Kazuhiko Suzuki

ヴァイオリン:西江辰郎 Violin:Tatsuo Nishie

ヴァイオリン:佐久間聡一 Violin:Soichi Sakuma 1982年、山形県生まれ。桐朋学園附属子供のための音楽教室仙台分室に学び、桐朋学園大学卒業。中新田バッハホール音楽コンクール第1位。第23回霧島国際音楽祭にて優秀演奏賞及び特別奨励賞を受賞。大学在学中にNHK-FMにてイザイと武満徹の演奏が放送された。桐朋学園オーケストラコンサートマスター、新日本フィルハーモニー交響楽団契約団員を務め、現在は大阪フィルハーモニー交響楽団の第二ヴァイオリントップ奏者。
室内楽奏者としての活動も非常に盛んで、仲間達からの信頼も厚く、昴21弦楽四重奏団、エレメンツ・クァルテット、ヴィルトゥオーゾ横浜のメンバーとして、東京、大阪、神戸、仙台、台湾等で精力的に活動している。またソリストとしても27歳にしてベートーヴェンのヴァイオリンソナタ全10曲演奏会を、28歳の時にはブラームスのヴァイオリンソナタ全曲演奏を、いずれもピアニスト藤井快哉と開催、大成功を収める。これまでに上野裕佳里、菊池恭江、野村謙介、木村恭子、藤原浜雄の各氏に師事。

ヴァイオリン:佐久間聡一 Violin:Soichi Sakuma

ヴァイオリン:三浦文彰 Violin:Fumiaki Miura 2009年、世界最難関とも言われるハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールにおいて史上最年少の16歳で優勝、国際的に大きな話題となった。現在、最も将来が嘱望されるヴァイオリニストである。
東京都出身。両親ともにヴァイオリニストの音楽一家に生まれ、3歳よりヴァイオリンを始め安田廣務氏に、6歳から徳永二男氏に師事。2003/04年、全日本学生音楽コンクール東京大会小学校の部第2位。2006年4月ユーディ・メニューイン国際コンクール・ジュニア部門第2位。2009年10月ハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールにて史上最年少で優勝。同時に聴衆賞、音楽評論家賞も受賞。地元紙は「確かな技術と、印象的なヴィルトゥオーゾ性あふれる心温まる演奏は、国際審査員や音楽評論家の評価を得るにとどまらず、聴衆の心をもつかんだ」と賞賛した。また『The Strad』誌は「驚くべきその演奏はハノーファー国際コンクールのすべてを吸い取った」と記した。モスクワにてオレグ・カガン・メモリアルフェスティバル、ドイツにてブラウンシュヴァイク・クラシックス・フェスティバル等に出演。これまでに国内主要オーケストラはもとより、ハンブルク北ドイツ放送交響楽団、ポーランド・アマデウス室内オーケストラ等とも共演し、いずれも高い評価を得ている。
最近は、宮崎国際音楽祭、北京のオーケストラとの共演、ドイツ・シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭、フランス・マントン音楽祭、クロアチア・ラクリン・アンド・フレンズ音楽祭、メニューイン・フェスティバル等に参加。また、ウィーン室内管弦楽団、ニュルンベルク交響楽団と共演する等、国内のみならず国際的な活動を展開している。2012年にはプラハ・フィルハーモニー管弦楽団との日本ツアーを予定している。
これまでに、ザハール・ブロン、ジャン=ジャック・カントロフ、チョーリャン・リン、パヴェル・ヴェルニコフの各氏に師事。現在、㈶明治安田クオリティオブライフ文化財団より奨学金を得て、ウィーン私立音楽大学に入学、パヴェル・ヴェルニコフ氏のもとで研鑽を積んでいる。2009年度第20回出光音楽賞受賞。2011年5月にはCDデビューも果たした。

©M.Hikita

ヴァイオリン:三浦文彰 Violin:Fumiaki Miura

ヴィオラ:鈴木康浩 Viola:Yasuhiro Suzuki 新潟県生まれ。5歳よりヴァイオリンを始める。辰巳明子氏に師事。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て、桐朋学園大学卒業。読売新聞社新人演奏会出演。第47回全日本学生音楽コンクール東京大会高校の部第1位。卒業後ヴィオラに転向、岡田伸夫氏に師事。第9回日本クラシック音楽コンクール全国大会ヴィオラ部門最高位。第2回淡路市立しづかホールヴィオラコンクール第2位。第12回宝塚ベガ音楽コンクール弦楽器部門第1位。2001年よりドイツのヘルベルト・フォン・カラヤン・アカデミーで研鑽を積み、その後ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の契約団員となる。2003年にはクラズィッシェ・フィルハーモニー・ボンのソリストとして、ドイツ各地で演奏し好評を博す。2004年秋に帰国し、日本で活動を始める。ソロ活動として、東京オペラシティでの「B→C(ビートゥーシー)」に出演、リサイタル、読売日本交響楽団とコンチェルトのソリストとして共演、ヴィオラスペースに出演。室内楽ではレガーメ弦楽四重奏団のメンバーとしてカルテットの活動、王子ホールでの「MAROワールド」やランチタイムに行われる名曲シリーズ、JTアートホールではJTアートホール室内楽シリーズに度々出演。その他にもサイトウ・キネン・フェスティバル松本、宮崎国際音楽祭等、多方面で活動中。フェリス女学院大学の非常勤講師として後進の指導にも当たる。現在、読売日本交響楽団ソロ首席ヴィオラ奏者。

©読売日本交響楽団

ヴィオラ:鈴木康浩 Viola:Yasuhiro Suzuki

ヴィオラ:大島 亮 Viola:Ryo Oshima 桐朋学園大学卒、同大学研究科修了。第11回コンセール・マロニエ21第1位、第7回東京音楽コンクール第1位、第42回マルクノイキルヘン国際コンクール・ディプロマ賞受賞。ヴィオラスペース、東京のオペラの森、水戸室内管弦楽団、宮崎や木曽の音楽祭、小澤征爾音楽塾等に出演。室内楽では今井信子、原田禎夫らと、ソリストとしては東京都交響楽団と共演。東京フィルハーモニー交響楽団、九州交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団等に首席奏者として客演している。

ヴィオラ:大島 亮 Viola:Ryo Oshima

チェロ:上森祥平 Cello:Shohei Uwamori 東京藝術大学在学中に日本音楽コンクール第1位、及び「松下賞」受賞。「安宅賞」受賞。各地で開催されたデビューリサイタルでは、その高い表現力や表情豊かな包容力が誌上で高く評価された。1999年の宮崎国際室内楽音楽祭でアイザック・スターン、エマニュエル・アックス、ジュリアード・クァルテット等に師事。スターン自身の招きによって2000年に再び同音楽祭に出演。この模様はNHK総合、BS他で繰り返し放送された。東京藝術大学でヨーヨー・マのマスタークラスを受講。2001年にベルリン芸術大学留学。2004年、J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲連続演奏会に出演し成功を収め、誌上では「無駄な音は一つもない。その響きは無類」と絶賛される。パブロ・カザルス国際チェロコンクール、エマニュエル・フォイアマン・グランプリ、セミファイナリスト。ベルリン・フィル定期演奏会にオーケストラの一員として出演の他、欧州各地で演奏活動の後、2005年ドイツ国家演奏家資格を取得し、ベルリン芸術大学を卒業。帰国後はソロ、室内楽、主要オーケストラの客演首席等で活躍する他、東京藝術大学において後進の育成に力を注ぐ。ドイツ三大Bチェロ作品全曲リサイタルシリーズでは、ベートーヴェン(2005年)、ブラームス(2006年)のソナタ、及びバッハ無伴奏チェロ組曲(2008年)を一夜で演奏し、成功を収めた。2008年「熱狂の日」音楽祭、東京のオペラの森、NHK-FM名曲リサイタル等に出演。また全国でバッハ無伴奏チェロ組曲全曲リサイタル(+6つの小品)を開催、大成功を収めた。この年よりバッハ無伴奏チェロ組曲全曲リサイタルをシリーズ化し、毎年開催する。小林研一郎、下野竜也らの指揮のもと、東京交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団、神戸市室内合奏団、藝大フィルハーモニア等と共演。アナ・チュマチェンコ、安永徹、玉井菜採、篠崎史紀、清水和音らと室内楽を共演。上村昇、河野文昭、藤森亮一、林裕らとチェロアンサンブルを結成。ヴォルフガング・ベッチャー、河野文昭、山崎伸子の各氏に師事。東京藝術大学非常勤講師。京都市芸術文化特別奨励者。

上森祥平公式サイト http://www.uwamori.jp/

チェロ:上森祥平 Cello:Shohei Uwamori

チェロ:宮田 大 Cello:Dai Miyata 1986年宇都宮に生まれる。3歳よりチェロを始める。9歳での国内音楽コンクール第1位を皮切りに出場するコンクールのすべてに第1位入賞を果たす。第74回日本音楽コンクール第1位。第6回齋藤秀雄メモリアル基金賞、ドイツでは方伯モリッツ・フォン・ヘッセン賞を受賞。2009年、4年に一度開催され、チェロ部門の国際音楽コンクールの最高峰と言われるパリ市主催の第9回ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人として初優勝。2010年第20回出光音楽賞を受賞。第35回江副育英会奨学生。 栃木県での受賞歴も華やかで文化部門では初めての栃木県知事特別表彰を受け、とちぎ未来大使に任命される。
桐朋学園音楽部門特待生を受け、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースを首席で卒業。2009にジュネーヴ音楽院を卒業、現在はクロンベルク・アカデミーでフランス・ヘルメルソン氏に師事している。
これまでにチェロを宮田豊、倉田澄子の各氏に、室内楽を東京クヮルテット、原田禎夫、原田幸一郎、加藤知子、今井信子、リチャード・ヤング、ジュネーブ音楽院でガボール・タカーチ=ナジの各氏に師事する。16歳で小澤征爾指揮で協奏曲を演奏。サイトウ・キネンオーケストラに参加している。室内楽ではJリン・ハレル、ギドン・クレーメル、ユーリ・バシュメットや、日本を代表する多くの演奏家と共演する。
ソロでは第22回〈東京の夏〉音楽祭、クロンベルグ・チェロ・フェスティヴァル、武生国際音楽祭、ベートーヴェン音楽祭(ボン)、クレモナ・モンドムシカ、ドレスデン音楽祭、メッケンボルグ・ヴァルポーネン、マントン音楽祭などに招待される。
協奏曲をパリ管弦楽団、フランクフルトシンフォニエッタ、栃木県交響楽団、セントラル愛知交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団、東京交響楽団、読売日本交響楽団、東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、日本センチュリー交響楽団、関西フィルハーモニー交響楽団等と共演している。

チェロ:宮田 大 Cello:Dai Miyata

■曲目解説

モーツァルト:弦楽五重奏曲 第4番 ト短調 K.516
 モーツァルトの室内楽作品の中でも最高傑作との誉れ高い作品。彼が残した2曲の短調の交響曲(第25番と第40番)と同じ調性を持つ点も興味深い。
 ため息のような第1主題と、憧れを感じさせる第2主題が悲劇的な雰囲気を醸し出す第1楽章、時に鋭く時に悲しげなメヌエットの第2楽章、弱音器を使用するアダージョの第3楽章、暗めの序奏と明るいロンド形式の主部による第4楽章から成る。

ブラームス:弦楽五重奏曲 第2番 ト長調 op.111
 晩年のブラームスは室内楽の名作をいくつも生み出したが、この作品は1890年、ブラームス57歳のときに作曲された。力強く新鮮な楽想であるが、本作を書き上げた頃、ブラームスは創作力の衰えを感じて遺言状を作成するなど、老年期の悩みを抱えていた。
 第1楽章はチェロの幅広い音域を用いた第1主題と、優雅なニ長調の第2主題によるソナタ形式。第2楽章はブラームスが得意としていた変奏曲風で、やや諦観的な雰囲気が漂っている。第3楽章はほの暗い舞曲風の三部形式。終楽章はハンガリーの民族音楽風の主題を用いたロンド形式で、転調などさまざまな技法を巧みに駆使して徐々に華やかさを増していく。

メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲 変ホ長調 op.20
 弦楽八重奏曲という編成は非常に珍しく、その中ではこのメンデルスゾーン作品がもっとも有名で演奏の機会も多い。彼は16歳の秋に、わずかな期間でこの作品を書き上げたといわれている。その後、1832年になって改訂を施し、1842年に出版。ヴァイオリニストで幼い頃からの友人でもあったエドゥアルト・リーツに捧げられている。
 第1楽章は、勢いのある第1主題と柔らかな雰囲気の第2主題によるソナタ形式。第2楽章は、大胆な転調を交えて展開する緩徐楽章。第3楽章は、ゲーテ『ファウスト』の「ヴァルプルギスの夜」の最後の語句に霊感を得たとされるスケルツォ。終楽章は自由なフーガの形式によって大きなクライマックスを形成し、力強く全曲を閉じる。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 特別協力:上野学園 石橋メモリアルホール

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