PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-

ブラームス 弦楽六重奏 ~若き名手たちによる室内楽の極(きわみ)

ブラームス青年期の傑作と言われている2曲を聴く瑞々しい企画。それぞれにオーケストラのコンサートマスター、首席奏者、ソリストとして日本をリードする俊英たちの演奏にご期待ください。

プログラム詳細

2011:03:26:19:00:00

Photo: Rikimaru Hotta
■日時・会場
2011.3.26 [土] 19:00開演(18:30開場)
(※当初発表の開演時間より変更になりました)
東京文化会館 小ホール

■出演
ヴァイオリン:長原幸太、西江辰郎
ヴィオラ:鈴木康浩、大島 亮
チェロ:上森祥平、横坂 源

■曲目
ブラームス:
 弦楽六重奏曲 第1番 変ロ長調 op.18speaker.gif[試聴]
 弦楽六重奏曲 第2番 ト長調 op.36speaker.gif[試聴]
曲目解説はこちら

[アンコール]
ブラームス(マロツァルト編):ハンガリー舞曲 第5番

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ヴァイオリン:長原幸太 Violin: Kota Nagahara 1981年、広島県呉市に生まれる。東京藝術大学附属音楽高等学校を卒業後、同大学に進学。その間、全額スカラシップを受け、ジュリアード音楽院に留学。1992、93年と連続して全日本学生音楽コンクール全国第1位。1994年、ヴィエニアフスキー国際ヴァイオリンコンクール17歳以下の部第3位。1998年、日本音楽コンクール最年少優勝。五嶋みどりレクチャーコンサートで奨励賞を受賞し、ニューヨークに招待され、同氏のレッスンを受ける。また、サイトウ・キネン若い音楽家の為の勉強会で小澤征爾指揮のもとコンサートマスターやソリストを務め、サイトウ・キネン・オーケストラにも最年少で参加。12歳で東京交響楽団と共演したのを皮切りに、日本各地の主要オーケストラや、小澤征爾、岩城宏之、秋山和慶、ゲルハルト・ボッセといった名指揮者と共演。ソリスト以外にも室内楽奏者、オーケストラのゲストコンサートマスターとしても活躍。さらに、アルゲリッチ国際音楽祭、宮崎国際音楽祭、やまなみ国際音楽祭等、各地の音楽祭にも出演。演奏を通じてのボランティア活動にも力を入れている。
広島市長賞「広島フェニックス賞」、広島県教育長賞「メイプル賞」受賞、広島国際文化財団「ヒロシマ・スカラシップ」、広島ホームテレビ文化・スポーツ賞(最年少受賞)、東京藝大の福島賞等、受賞多数。これまでに村上直子、小栗まち絵、工藤千博、澤和樹、ロバート・マンの各氏に師事。
2004年9月、大阪フィルハーモニー交響楽団首席客演コンサートマスターに就任、2006年4月より首席コンサートマスターとなる。

© 飯島 隆

ヴァイオリン:長原幸太 Violin: Kota Nagahara

ヴァイオリン:西江辰郎 Violin: Tatsuo Nishie 新日本フィルのコンサートマスター、ソリスト、室内楽奏者としても活躍する若手ヴァイオリニスト西江辰郎は、1976年、東京生まれ。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て、桐朋学園ソリストデュプロマコース修了。国内コンクールに多数入賞し、2001年、弱冠24歳で仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに就任。多くのソロを受け持ち、《英雄の生涯》《シェヘラザード》等で絶賛された。東京フィロスクヮルテット、セレーノ弦楽四重奏団を結成し、SPC大賞、せんだい芸術祭大賞、緑の風音楽賞、松尾音楽助成等の受賞歴を持つ。ヴァイオリンを辰巳明子、ティボール・ヴァルガ、景山誠治、藤原浜雄、海野義雄の各氏に、室内楽を安永徹、市野あゆみ、ガボール・タカーチ=ナジ、岡山潔の各氏に師事。
レパートリーもコレルリ、バッハから三善晃、カプースチンまでと幅広い。イタリアの作曲家アレッサンドロ・クオッツォは友人で、ピアノのジュゼッペ・アンダローロとのイタリア・リサイタルツアーでは無伴奏ヴァイオリンソナタを献呈された。
日本、オーストリア、スイス、フランス、イタリア、チェコ、韓国等、世界各地で演奏。 サイトウ・キネン・オーケストラのメンバー。ソリストとしても東京交響楽団、オーケストラ・T・ヴァルガ、仙台フィルハーモニー管弦楽団、仙台市民交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、チェコ室内フィルハーモニー管弦楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団等、国内外のオーケストラと共演。 クリスティアン・アルミンクに認められ、2005年より新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターに就任。2007年には「M・マイスキー60歳記念プロジェクト」でミッシャ・マイスキー(チェロ)と共演。2009年にはアールガウ交響楽団のソリストに抜擢され、チューリッヒ・トーンハレで協奏曲デビューを果たし、紙上でも賞賛された。またCD『カプースチン』をリリース。2010年にはソリストとして新日本フィルハーモニー交響楽団と4回の共演を行ない、リサイタルではアンドレア・タランティーノのSulla Via del Graalをアジア初演。
精力的な演奏活動のかたわら、最近、サンサーンスのオペラ《サムソンとダリラ》より“Printemps qui commence”をヴァイオリンとピアノのための小品に編曲し、好評を得る。 DVDは『DUO』西江辰郎&アンダローロ(FOVD 101)。CDは『シューマン& R.シュトラウス』西江&坂野(FOCD3511)、『カプースチン』西江辰郎&アンダローロ デュオリサイタル3(FOCD3510)、『フランク&プロコフィエフ』西江&アンダローロ デュオリサイタル2(FOCD9337)、『西江辰郎&アンダローロ デュオリサイタル』(FOCD9236)、『ARENSKY』(HCC-2027)。

西江辰郎公式サイト http://homepage3.nifty.com/nishie-tatsuo/

© Kazuhiko Suzuki

ヴァイオリン:西江辰郎 Violin: Tatsuo Nishie

ヴィオラ:鈴木康浩 Viola: Yasuhiro Suzuki 桐朋学園大学卒業。第12回宝塚ベガコンクール弦楽部門第1位。2001年よりドイツのカラヤンアカデミーで研鑽を積み、2004年秋に帰国。ソリストとしてオーケストラとの共演やリサイタル、JTアンサンブルシリーズ、サイトウ・キネン・フェスティバル松本、宮崎国際音楽祭に参加する等、多方面で活躍している。現在、読売日本交響楽団のソロ首席ヴィオラ奏者。

ヴィオラ:鈴木康浩 Viola: Yasuhiro Suzuki

ヴィオラ:大島 亮 Viola: Ryo Oshima 桐朋学園大学卒、同大学研究科修了。第11回コンセール・マロニエ21第1位、第7回東京音楽コンクール第1位、第42回マルクノイキルヘン国際コンクール・ディプロマ賞受賞。ヴィオラスペース、東京のオペラの森、水戸室内管弦楽団、宮崎や木曽の音楽祭、小澤征爾音楽塾等に出演。室内楽では今井信子、原田禎夫らと、ソリストとしては東京都交響楽団と共演。東京フィルハーモニー交響楽団、九州交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団等に首席奏者として客演している。

ヴィオラ:大島 亮 Viola: Ryo Oshima

チェロ:上森祥平 Cello: Shohei Uwamori 東京藝術大学在学中に日本音楽コンクール第1位、及び「松下賞」受賞。「安宅賞」受賞。各地で開催されたデビューリサイタルでは、その高い表現力や表情豊かな包容力が誌上で高く評価された。1999年の宮崎国際室内楽音楽祭でアイザック・スターン、エマニュエル・アックス、ジュリアード・クァルテット等に師事。スターン自身の招きによって2000年に再び同音楽祭に出演。この模様はNHK総合、BS他で繰り返し放送された。東京藝術大学でヨーヨー・マのマスタークラスを受講。2001年にベルリン芸術大学留学。2004年、J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲連続演奏会に出演し成功を収め、誌上では「無駄な音は一つもない。その響きは無類」と絶賛される。パブロ・カザルス国際チェロコンクール、エマニュエル・フォイアマン・グランプリ、セミファイナリスト。ベルリン・フィル定期演奏会にオーケストラの一員として出演の他、欧州各地で演奏活動の後、2005年ドイツ国家演奏家資格を取得し、ベルリン芸術大学を卒業。帰国後はソロ、室内楽、主要オーケストラの客演首席等で活躍する他、東京藝術大学において後進の育成に力を注ぐ。ドイツ三大Bチェロ作品全曲リサイタルシリーズでは、ベートーヴェン(2005年)、ブラームス(2006年)のソナタ、及びバッハ無伴奏チェロ組曲(2008年)を一夜で演奏し、成功を収めた。2008年「熱狂の日」音楽祭、東京のオペラの森、NHK-FM名曲リサイタル等に出演。また全国でバッハ無伴奏チェロ組曲全曲リサイタル(+6つの小品)を開催、大成功を収めた。この年よりバッハ無伴奏チェロ組曲全曲リサイタルをシリーズ化し、毎年開催する。小林研一郎、下野竜也らの指揮のもと、東京交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団、神戸市室内合奏団、藝大フィルハーモニア等と共演。アナ・チュマチェンコ、安永徹、玉井菜採、篠崎史紀、清水和音らと室内楽を共演。上村昇、河野文昭、藤森亮一、林裕らとチェロアンサンブルを結成。ヴォルフガング・ベッチャー、河野文昭、山崎伸子の各氏に師事。東京藝術大学非常勤講師。京都市芸術文化特別奨励者。

上森祥平公式サイト http://www.uwamori.jp/

チェロ:上森祥平 Cello: Shohei Uwamori

チェロ:横坂 源 Cello: Gen Yokosaka 2002年7月、チェリストの登竜門として知られる全日本ビバホール・チェロコンクールでの最年少優勝(15歳)を始め、コンクールでの受賞歴多数。2005年に第15回出光音楽賞を、2008年には第7回齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。2009年5月に全ドイツ学生音楽コンクールで第1位(室内楽)を、2010年9月には第59回ミュンヘン国際音楽コンクール・チェロ部門で第2位を受賞し、国際的なチェリストとしてのキャリアをスタートさせる。
1999年10月、13歳で東京交響楽団とサン=サーンスのチェロ協奏曲を共演したのを皮切りに、NHK交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団、バイエルン放送交響楽団等、主要なオーケストラと、また指揮者では、小澤征爾、岩城宏之、秋山和慶、小林研一郎、大友直人、広上淳一、山下一史、梅田敏明、渡辺一正、クリストフ・ポッペンらと協奏曲を共演し、好評を博す。ピアノの伊藤恵やヴァイオリンの佐藤俊介らとコンスタントに室内楽も演奏し、第1回「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」「〈東京の夏〉音楽祭」「宮崎音楽祭」「軽井沢八月祭」や、「題名のない音楽会21」「読響 Symphonic Live~深夜の音楽会」「クラシック倶楽部」「Dreaming 源」「FM名曲リサイタル」等、テレビやラジオにも頻繁に出演し、幅広い活動を展開している。豊かな音楽性やイマジネーションが卓抜したテクニックで表現され、「力強く、豊かで、円熟した音色、そして高い集中力と、何よりも情熱的で生き生きとした演奏」(ハレール・タグブロット)、「卓越した技巧に加え、鋭い感性、豊かな音楽性、質の高い表現力など、天才肌とも言える驚異的な才能の持ち主」(音楽の友)等と各誌で絶賛されている。
桐朋学園女子高等学校(男女共学)を卒業後、ソリストディプロマ・コースを経て、現在はシュトゥットガルト音楽大学に在籍中。鷲尾勝郎、毛利伯郎、ジャン=ギアン・ケラスの各氏に師事。ダヴィド・ゲリンガス、ジャン・ワンなどのマスタークラスを受講する。ピエール・ブーレーズによるルツェルン・フェスティヴァル・アカデミーに18歳で参加して以来、現代音楽にも強い関心を示している。明治安田クオリティオブライフ文化財団、ロームミュージックファンデーション海外派遣奨学生。サントリーホールディングス株式会社所有のPietro Giacomo Rogeri制作のチェロ(1710)を貸与されている。

横坂 源公式サイト http://www.yokosaka-gen.com/

チェロ:横坂 源 Cello: Gen Yokosaka

■曲目解説

ブラームス:弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 op.18

 ブラームスは壮年期に、比較的規模の大きな室内楽作品を数多く作曲した。こうした作品は、交響曲や弦楽四重奏曲といった伝統的な編成を用いる作曲に対し慎重だったブラームスが、習作的な役割も兼ねて作ったのではないかと推察される(交響曲第1番は43歳、弦楽四重奏曲第1番は40歳のときに完成)。弦楽六重奏曲第1番は、ブラームスが27歳のときに作曲された。若々しさを感じさせつつも、のちの作品に見られる重厚感がさまざまな面で見受けられる。1860年、ハノーファーの博物館ホールにて初演。第2楽章はピアノ独奏曲に編曲され、クララ・シューマンに捧げられている。

ブラームス:弦楽六重奏曲第2番 ト長調 op.36

 最初の着想から10年近い年月を経て作曲。1866年、ボストンにて公開初演されたのち、ヨーロッパでもヨアヒムやヘルメスベルガーらによって各地で演奏された。前作に比べこの第2番は、美しさと重厚さのなかに、時おり不安と憂いを交えた複雑な要素を持つ作品となっている。なお、第1楽章第2主題の後半部に表れる「A-G-A-H-E」の音型は、当時の恋人アガーテ・フォン・ジーボルト(江戸時代に来日したシーボルトの親類でもある)の名前を音名象徴的に用いたと言われているが(ブラームスの友人で最初の伝記執筆者カルベックによる)、今日では疑問視する向きもある。




主催:東京・春・音楽祭実行委員会

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