PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-

東京春祭 歌曲シリーズ vol.5アンゲリカ・キルヒシュラーガー(メゾ・ソプラノ)

-本公演は中止となりました-

プログラム詳細

■日時・会場
2011.3.20 [日] 16:00開演(15:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
メゾ・ソプラノ:アンゲリカ・キルヒシュラーガー
ピアノ:ヘルムート・ドイチュ

■曲目
シューベルト:
 シルビアに op.106-4, D.891 speaker.gif[試聴]
 エルラフ湖 op.8-3, D.586 speaker.gif[試聴]
 糸を紡ぐグレートヒェン op.2, D.118 speaker.gif[試聴]
 クレールヒェンの歌「愛」D.210
 劇《ラクリマス》からの2つの場面より「フロリオの歌」op.124, D.857
 春のおもい op.20-2, D.686 speaker.gif[試聴]
 耽溺 D.715 speaker.gif[試聴]
マーラー:
 《若き日の歌》より「春の朝」 speaker.gif[試聴]
 《子供の魔法の角笛》より「むだな骨折り」
 《子供の魔法の角笛》より「この世の生活」 speaker.gif[試聴]
 《子供の魔法の角笛》より「ラインの伝説」 speaker.gif[試聴]
 《子供の魔法の角笛》より「高い知性への賛美」
 《若き日の歌》より「外へ、外へ」
ブラームス:
 《リートと歌》op.63より「わたしの恋は緑にもえ」 speaker.gif[試聴]
 《低音のための6つのリート》op.86より「荒野を越えて」 speaker.gif[試聴]
 《低音のための6つのリート》op.86より「思いに沈んで」 speaker.gif[試聴]
 《低音のための6つのリート》op.86より「夢遊病者」 speaker.gif[試聴]
 《リートと歌》op.58より「おお来たれ、やさしい夏の夜」
 《7つのリート》op.48より「恋人を尋ねて」 speaker.gif[試聴]
 《4つの歌》op.43より「永遠の愛について」 speaker.gif[試聴]
リスト:
 ラインの美しき流れのほとり speaker.gif[試聴]
 わたしの歌は毒されている speaker.gif[試聴]
 昔テューレに王がいた speaker.gif[試聴]
 汝天上にある者
 3人のジプシー speaker.gif[試聴]
※当初発表の曲目より変更になりました。
曲目解説はこちら



【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

メゾ・ソプラノ:アンゲリカ・キルヒシュラーガー
 Mezzo Soprano: Angelika Kirchschlager
アンゲリカ・キルヒシュラーガーはCD『シューマン歌曲集』が最優秀歌曲レコーディングとして認められ、権威ある2010年のエコー賞を受賞した。
オーストリア人のメゾ・ソプラノ。現在、最も重要な声楽家の一人として、ヨーロッパ、北米、そして極東においてリサイタルとオペラの両方で国際的な活躍を行なっている。特にR.シュトラウスとモーツァルトの解釈では、その第一人者として国際的に認められている。《ペレアスとメリザンド》《ソフィーの選択》《カルメン》他のオペラのタイトルロールでバラエティ豊かな声を披露している。リサイタルやコンサートの歌手として名高いキルヒシュラーガーのレパートリーは、バッハ、ベルリオーズ、ブラームス、ドビュッシー、ドヴォルザーク、コルンゴルト、マーラー、メンデルスゾーン、ラヴェルからロッシーニ、シューベルト、シューマン、ヴァイル、ヴォルフにいたるまで多岐に渡っている。
2007年6月、ウィーン国立歌劇場への多大なる貢献に対し、オーストリア政府から宮廷歌手の称号を授与された。2009年11月にはロンドンにある英国王立音楽院の名誉会員に任命された。
2010/11のシーズンには、ヨーロッパと極東で様々なコンサートやリサイタルが予定されている他、現在の居住地であるウィーンにおいて新しい役でのデビューもあり、彼女は楽しみにしている。
ウィーン・フォルクス・オーパーのシーズン開幕を祝うガラ・コンサートに出演、ロンドンのウィグモア・ホールではジュリアス・ドレイクとマルコム・マルティノーの伴奏によるリサイタルを行なう他、テノールのイアン・ボストリッジとヴォルフの《スペイン歌曲集》を歌い、ベルチャ弦楽四重奏団とコンサートも行なう。その他の公演としては、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場、またベルリンの放送交響楽団との共演で歌うヴァイルの《七つの大罪》、バーゼル室内管弦楽団とジュネーヴ、バーゼル、パリ、エクサン・プロヴァンス、香港をまわるシューベルト歌曲のツアー、東京、パリのオルセー美術館、ミラノ・スカラ座で行なうヘルムート・ドイチュ伴奏によるリサイタル等がある。さらに、リーズ、マンチェスター、ヘントで歌い、ボンではアカデミー室内管弦楽団と共演、ルクセンブルク、カリアリ、ジェノヴァ、ザンクト・ペルテン、シュバルツェンブルクのシューベルティアーデ、ドレスデンの有名な聖母教会、バードキッシンゲンでのバンベルク交響楽団と共演、またヴェルビエでも歌い、カメラータ・ベルンとコンサート・ツアーを行ない、ヘンデル&シューベルトのプログラムで南アメリカにも赴く。
年末にはウィーン国立歌劇場でのシュトラウス《こうもり》のオルロフスキーでオペラの舞台に戻る。来年の前半には、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で、ブリテンの《ルクレティアの凌辱》のルクレティアでのデビューを心待ちにしている。
2010年には様々なCDをリリース、その中にはエコー賞を受賞した『シューマン歌曲集』(ソニー)、マーラーの生誕150周年を記念した『マーラー歌曲集』(Quinton Records)、『ブラームス歌曲集』(ハイペリオン)、『ヨーゼフ・マルクス歌曲集』(CPO)等がある。また、著名なクラシック歌手たちと一緒にレコーディングした2枚組のCD『民謡集』(ソニー)もある。
その他の録音には、ソニーからリリースされたヴォルフの歌曲集、サイモン・キーリンサイドとのオペレッタ・アルバム、クリスマス・キャロルのアルバム、『ヘンデル:アリア』(「これは、ベイカー、ロレイン・ハント・リーバーソンのそれと比較されるべきヘンデルのリサイタルである」… Hugh Canning「サンデー・タイムズ」ロンドン)、マルコム・マルティノーがピアノを弾いたバーバラ・ボニーとのデュオ・アルバム『出会い』、ハイペリオンからリリースされた歌曲オムニバス『女性たちの人生と恋』(シューマンとレーヴェによる歌曲をフェリシティー・ロットと共演、ピアノはグラハム・ジョンソン)、ハルモニア・ムンディ(仏)からリリースされた『フィガロの結婚』(指揮はルネ・ヤーコプス)、これもまたソニーの『バッハ:アリア集』、古典で人気のある子守歌を集めた『When Night Falls/ララバイ』、そして高い評価を受けたデビュー・アルバム『アルマ・マーラー、グスタフ・マーラー&コルンゴルト歌曲集』等がある。
DVDは、グラインドボーン製作で絶賛されたヘンデルの『ジュリオ・チェーザレ』(Opus Arte)のセスト、『フィガロの結婚』(指揮はルネ・ヤーコプス)(Bel Air)のケルビーノ、ザルツブルク音楽祭での『ばらの騎士』(指揮はセミヨン・ビシュコフ)(TDK)のオクタヴィアン、ロイヤル・オペラ・ハウスからリリースされたニコラス・モーのオペラ『ソフィーの選択』でのソフィー等で、その姿を見ることができる。キルヒシュラーガーはグラミー賞に加えて、エコー賞も3度受賞している。
ザルツブルクに生まれ、モーツァルテウムでピアノを学ぶ。ザルツブルクの音楽系のギジナジウムを卒業後、1984年にウィーン音楽アカデミーに入学、ゲルハルト・カーリー教授や、今は亡きウィーン人のバリトン歌手ヴァルター・ベリーに師事して声楽を学ぶ。ザルツブルクのモーツァルテウムとグラーツ大学の教授。ウィーン在住。

© Nikolaus Karlinsky

メゾ・ソプラノ:アンゲリカ・キルヒシュラーガー<br> Mezzo Soprano: Angelika Kirchschlager

■曲目解説

シューベルト:「シルビアに」op.106-4, D.891

 テキストはシェイクスピアの『ヴェローナの二紳士』の一節。単純かつ甘美な曲で、劇中に出てくるミラノ大公の娘シルビアを思い憧れ、讃えている。

シューベルト:「エルラフ湖」op.8-3, D.586

 雑誌『絵の日誌』の付録として1818年に出版。シューベルトにとって初の公刊物となった。オーストリア近郊にあるエルラフ湖の美しさを、マイアーホーファーの歌詩に乗せて歌い上げる。

シューベルト:「糸を紡ぐグレートヒェン」op.2, D.118

 テキストはゲーテの『ファウスト』第一部。マルガレーテ(通称グレートヒェン)が、紬ぎ車を回しながらファウストへの激しい愛と欲求を歌う。ピアノの伴奏が、紬ぎ車の回転速度の揺れやグレートヒェンの昂奮・心の動揺を表現している。

シューベルト:「春のおもい」op.20-2, D.686

 歌詩はウーラントの作。シューベルトの民謡調歌曲の代表的なもので、ようやく訪れた春の美しい風景と、新たな季節への希望が巧みな転調を交えて描かれる。

シューベルト:「耽溺」D.715

 ゲーテに心酔していたシューベルトは、今回演奏される「魔王」や「糸を紡ぐグレートヒェン」など、彼の詩を数多くの作品に用いた(しかしながら、楽譜を献呈されたゲーテは全く関心を持たなかったという)。ゲーテ晩年の傑作『西東詩集』の一篇を用いた「耽溺」は1821年作曲。控えめな和音と、時おり差し挟まれる装飾音による伴奏が特徴的な作品。ちなみに、シューベルトは「ズライカI」「ズライカII」など、他でも同詩集を用いている。

マーラー:《若き日の歌》より「春の朝」「外へ、外へ」

 全3集からなるマーラー最初期の歌曲集。「春の朝」は菩提樹の花が咲き始めた春の朝に、眠っている人をやさしく起こそうとするロマンティックな内容。「外へ、外へ」は、後に曲を付ける民謡詩集《子供の魔法の角笛》が原詩となっており、出征する兵士と娘の別れが行進曲調の伴奏で描かれる。

マーラー:《子供の魔法の角笛》より
「むだな骨折り」「この世の生活」「ラインの伝説」「高い知性への賛美」

 アルニムとブレンターノによる民謡詩集《子供の魔法の角笛》は、マーラーの創作に大きな刺激を与え、交響曲第2番《復活》や交響曲第3番などでも用いられた。「むだな骨折り」は誘惑する女と、それを拒否する男の滑稽な対話。「この世の生活」は、飢えた子供とその母親との対話。「ラインの伝説」は、《ニーベルングの指環》などで有名な「ラインの黄金」伝説をもじっている。「高い知性への賛美」は、カッコウとナイチンゲールの歌合戦を、聞く耳のないロバが審判するという皮肉な内容。


ブラームス:《リートと歌》op.63より「わたしの恋は緑にもえ」

 1874年頃に作曲された歌曲集(第5曲のみ1873年)。「わたしの恋は緑にもえ」は、「思いに沈んで」同様フェリックス・シューマンの歌詩。1873年のクリスマスに、当時19歳のフェリックスへのクリスマスプレゼントとして作曲。若き恋心を情熱的に描いた小品。

ブラームス:《低音のための6つのリート》op.86より「荒野を越えて」「思いに沈んで」「夢遊病者」

 《低音のための6つのリート》は、1873年から79年にかけて作曲、1882年に出版された。「荒野を越えて」はシュトルムの歌詩で、彼の詩を用いた唯一の歌曲。1分半ほどの長さの曲で、過ぎ去りし人生の空しさを語っている。「思いに沈んで」はロベルト・シューマンの末子フェリックスの歌詩。「夢遊病者」は1877年作曲で、歌詩はカルベック。長調と短調が交替する和声的な処理が印象深い。

ブラームス:《リートと歌》op.58より「おお来たれ、やさしい夏の夜」

 1871年に作曲された全8曲の歌曲集。第4曲「おお来たれ、やさしい夏の夜」はグローエの詩。学生歌のような軽い調子を特徴としている。

ブラームス:《7つのリート》op.48より「恋人を尋ねて」

 1855年から1868年にかけて作曲された歌曲集のなかの第1曲。「恋人を尋ねて」の歌詩は、ボヘミアの民謡。月夜に愛する女性のもとへ急ぐ男の心境が描かれている。

ブラームス:《4つの歌》op.43より「永遠の愛について」

 1864年に作曲された歌曲集のなかの第1曲。歌詩はチェコの詩人ヴェンツィヒ作とされているが、ヴェンド族の民謡という説もある。青年と少女の愛が、夜の風景のなかで甘美な悲しみを湛えて語られる。

リスト:ラインの美しき流れのほとり S.272  汝天上にある者 S.279

 この2曲は、プロイセン国王ヴィルヘルム一世の王妃アウグスタに献呈された。「ラインの美しき流れのほとり」はハイネの詩。川の小波のような前奏に導かれ、ライン川の美しい情景を歌い上げている。「汝天上にある者」は、ゲーテの詩による歌曲で、同じ詩がシューベルトの《さすらい人の夜の歌》でも採り上げられている。努力することに疲れ果てたさすらい人の、安らぎに対する渇望が込められている。

リスト:わたしの歌は毒されている S.289

 ハイネの詩による。詩人が己の激情を歌う内容で、短くも劇的な作品である。

リスト:「昔テューレに王がいた」S.278

 シューベルトの「糸を紡ぐグレートヒェン」同様、テキストはゲーテの『ファウスト』第一部。テューレ(ヨーロッパの古典文学における伝説の地)の王が死を目前に、大切にしていた王妃の形見である金杯を海に投げ捨てる際の悲しみを歌っている。

リスト:3人のジプシー S.320

 レーナウの詩による。3人のジプシーが、それぞれフィドルを弾き、煙草を吸い、愛用のツィンバロンを木に吊るして眠っている姿を見た「私」が、それらに対する想いを語る。ジプシー音階風の前奏など、異国情緒溢れるピアノ伴奏が印象的な作品。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 協力:株式会社ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

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