PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-

グスタフ・マーラー《大地の歌》

-本公演は中止となりました-

プログラム詳細

■日時・会場
2011.4.2 [土] 18:00開演(17:00開場)
東京文化会館 大ホール

■出演
指揮:ミヒャエル・ボーダー
メゾ・ソプラノ:リオバ・ブラウン
テノール:ロバート・ディーン・スミス
管弦楽:読売日本交響楽団

■曲目
マーラー:
 《アダージョ》~交響曲 第10番 speaker.gif[試聴]
 《大地の歌》 speaker.gif[試聴]
曲目解説はこちら  《大地の歌》対訳はこちら

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

指揮:ミヒャエル・ボーダー Conductor: Michael Boder 2008年9月よりバルセロナのリセウ大劇場の音楽監督。フィレンツェの音楽学校で学んだ後、フランクフルト歌劇場でミヒャエル・ギーレンのアシスタントとして仕事を始める。29歳の時、バーゼル歌劇場の音楽監督に就任、ハンブルク、ミュンヘン、ベルリン、ケルン、チューリッヒ、ロンドン等に客演。現在はウィーン国立歌劇場を始め、ベルリン、ミュンヘン、コペンハーゲン、サンフランシスコ、東京等の歌劇場で指揮をしている。
これまでに指揮した主な作品は、ウィーン国立歌劇場での《ルル》《ヤコブの梯子》《ジャンニ・スキッキ》(新演出)、ドレスデン国立歌劇場とサンフランシスコでの《ニーベルングの指環》、ベルリン、サンフランシスコ、(東京)新国立劇場での《さまよえるオランダ人》、(東京)新国立劇場での《フィデリオ》、コペンハーゲン、サンフランシスコでの《ヴォツェック》、ボーフムのルール・トリエンナーレでの《モーゼとアーロン》等がある。バルセロナでは《サロメ》《ホヴァンシチーナ》を指揮し絶賛を博した。
現代音楽への関心がとりわけ高く、数多くの世界初演を指揮してきた。その中にはアリベルト・ライマンの《城》(ベルリン・ドイツ・オペラ)、クリシュトフ・ペンデレツキの《ユビュ王》、マンフレッド・トロージャンの《十二夜》(バイエルン国立歌劇場)、フリードリヒ・チェルハの《シュタインフェルトの大男》(ウィーン国立歌劇場)、ハンス・ヴェルナー・ヘンツェの《フェドラ》、パスカル・デュサパンの《Faustus, The Last Night》(ベルリン国立歌劇場)等がある。最近ではウィーン国立歌劇場でデンマーク王立管弦楽団とアリベルト・ライマンの《メデア》を指揮した。
コンサートの指揮者としても高い評価を得ており、バルセロナでの活動に加えて、ベルリン・フィル、デンマーク王立管弦楽団、アンサンブル・モデルン、ウィーン放送交響楽団、ウィーン交響楽団、東京のオペラの森管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、NHK交響楽団等も指揮している。今後もウィーン、コペンハーゲン、ワイマール、東京、ブリュッセル、ベルリン等での仕事が予定されている。

指揮:ミヒャエル・ボーダー Conductor: Michael Boder

メゾ・ソプラノ:リオバ・ブラウン Mezzo Soprano: Lioba Braun 1994年のバイロイト音楽祭で、急きょ代役としてダニエル・バレンボイムが指揮する《トリスタンとイゾルデ》のブランゲーネを歌うという急展開を経て、国際的な歌手としての活躍が始まった。その後、ミラノ・スカラ座、マドリッドのレアル劇場、バルセロナのリセウ大劇場、ベルリン、ドレスデン、ライプツィヒ、ミュンヘン、シュトゥットガルト、チューリッヒ、ローマ、ロサンゼルス、ウィーンといったヨーロッパの主要な歌劇場や、その他数多くの世界的な歌劇場に招かれ、ブランゲーネ以外にもワーグナーの諸役(《パルジファル》クンドリ、《ローエングリン》オルトルート、《ニーベルングの指環》フリッカ、《神々の黄昏》ヴァルトラウテ、《タンホイザー》ヴィーヌス、最近では《トリスタンとイゾルデ》イゾルデ)を歌ってきた。
ワーグナーやヴェルディ(エボリ皇女、アズチェーナ)に加えて、とりわけバルトーク(《青ひげ公の城》ユディット)、R.シュトラウス(《ナクソス島のアリアドネ》作曲家、《影のない女》乳母)、モーツァルト(《ドン・ジョヴァンニ》ドンナ・エルヴィーラ)、そしてマーラーの交響曲やベルク、ブラームス、ベートーヴェンの作品におけるソロ・パート(ウィーン楽友協会ホール、バーデン・バーデン音楽祭、ザルツブルク音楽祭、ドレスデン音楽祭、ローマ教皇の御前演奏、ベルリン・フィルハーモニー)も歌っている。共演した数多くの著名な指揮者には、クリスティアン・ティーレマン、マリス・ヤンソンス、アンドリス・ネルソンス、ズービン・メータ、ダニエル・バレンボイム、リッカルド・シャイー、クラウディオ・アバド、クリストフ・エッシェンバッハ、ロリン・マゼール、チョン・ミュンフン、ケント・ナガノ、ジュゼッペ・シノーポリ、サイモン・ラトル、リッカルド・ムーティ等がいる。
主要なオーケストラでは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、バイエルン放送交響楽団等と共演してきた。
現在は歌曲のリサイタルに重きを置きつつあり、特にワーグナーの《ヴェーゼンドンク歌曲集》や「イゾルデの愛の死」等、ドイツ・ロマン派の作品を組み合わせたプログラムに力を入れている。
リリースされたCDには、ペーター・シュナイダーの指揮によるワーグナー作品集(ソニー、2005年)、ティーレマン指揮によるモーツァルト《レクイエム》(ドイツ・グラモフォン、2006年)、ジョナサン・ノット指揮によるマーラーの交響曲第2番と第8番(Tudor、2009/11年)、ヘルムート・リリングと共演したブラームスの《アルト・ラプソディ》(Hänssler、2006年)等がある。

リオバ・ブラウン公式サイト  http://www.lioba-braun.de/

© Susie Knoll

メゾ・ソプラノ:リオバ・ブラウン Mezzo Soprano: Lioba Braun

テノール:ロバート・ディーン・スミス Tenor: Robert Dean Smith 1997年のバイロイト音楽祭で上演された《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のヴァルター・フォン・シュトルツィング役で鮮烈なデビューを果たして以来、世界各国の一流歌劇場やコンサートホールで活躍。ドラマティックなヘルデンテノールの解釈者として絶賛されており、世界中の劇場やコンサートホールでズービン・メータ、アントニオ・パッパーノ、クリスティアン・ティーレマン、リッカルド・ムーティ、ダニエル・バレンボイム、ウォルフガング・サヴァリッシュ、ピエール・ブーレーズ、クリストフ・フォン・ドホナーニ、ベルナルド・ハイティンク、ケント・ナガノ、ダニエレ・ガッティといった指揮者と共演し、現在、最も知名度の高い歌手の一人として、その地位を確固たるものにしている。
バイロイト音楽祭では《トリスタンとイゾルデ》のタイトルロール、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のヴァルター・フォン・シュトルツィング、《ローエングリン》のタイトルロール、《ワルキューレ》のジークムント等を歌ってきた。この他にもバイエルン国立歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》《フィデリオ》《トスカ》《マノン・レスコー》《魔弾の射手》《スペードの女王》)、ウィーン国立歌劇場(《トリスタンとイゾルデ》《マノン・レスコー》《ニュルンベルクのマイスタージンガー》)、ミラノ・スカラ座(《ローエングリン》《フィデリオ》)、ベルリン・ドイツ・オペラ(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》《フィデリオ》《ローエングリン》《パルジファル》)、ドレスデン国立歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》《カルメン》《ローエングリン》)、コヴェント・ガーデン王立歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》《ローエングリン》《カーチャ・カバノヴァ》)、(東京)新国立劇場(《運命の力》《ワルキューレ》)、ロサンゼルス・オペラ(《影のない女》)、サンフランシスコ歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》)、マドリッド・レアル劇場(《パルジファル》《影のない女》)、バルセロナのリセウ大劇場(《パルジファル》《ナクソス島のアリアドネ》)、ハンブルク国立歌劇場(《スペードの女王》)、フィレンツェ歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》)、アムステルダム歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》)等に出演している。
コンサートで共演したオーケストラとしては、バイエルン放送交響楽団(マーラー《大地の歌》)、バイエルン国立歌劇場管弦楽団(マーラー《大地の歌》)、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(マーラー《大地の歌》、コダーイ《ハンガリー詩篇》、ベートーヴェン《交響曲第9番》、ストラヴィンスキー《エディプス王》)、ロンドン交響楽団(エルガー《ゲロンティアスの夢》)、フィラデルフィア管弦楽団(ベートーヴェン《ミサ・ソレムニス》)、サンタ・チェチーリア国立音楽院管弦楽団(ドヴォルザーク《レクイエム》、ワーグナー《ワルキューレ》第一幕)、ベルリン国立歌劇場管弦楽団(マーラー《交響曲第8番》)、パリ管弦楽団(ベートーヴェン《交響曲第9番》、《フィデリオ》(演奏会形式))、ロサンゼルス・フィルハーモニック(ベートーヴェン《交響曲第9番》)、ウィーン交響楽団(ベートーヴェン《交響曲第9番》、ドヴォルザーク《スターバト・マーテル》)、ハンブルク・シンフォニカー(オペラ・ガラ)、ベルリン・ドイツ交響楽団(ベートーヴェンのオラトリオ《オリーヴ山上のキリスト》)、南西ドイツ放送交響楽団(シェーンベルク《グレの歌》)、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団(ワーグナー《パルジファル》(演奏会形式))、シンシナティ交響楽団(ワーグナー《ローエングリン》(演奏会形式))等がある。
2001年8月には、バイロイト祝祭劇場で行われたバイロイト音楽祭125周年を祝うティーレマン指揮のベートーヴェンの交響曲第9番で、バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団と共演し、テノール・ソロを歌うという栄誉に浴した。アルテ・ノヴァからリリースされたワーグナーのオペラ・アリア集のCDは、リリック・ディスク国際アカデミーのオルフェ・ドールを受賞している。
米国のカンザス州に生まれ、ピッツバーグ(カンザス)州立大学ではMargaret Thuenemannに、ニューヨークのジュリアード音楽院ではダニエル・フェッロに、またヨーロッパではジャニス・ハーパー教授に師事した。多くのドラマティック・テノールがそうであるように、最初はバリトンとしてスタートし、ドイツの国内で何年か歌っていた。優れたトレーニングと舞台で見せる多才さによって、オペラとコンサートの両方で様々な言語やスタイルによる幅広いレパートリーをこなす存在となっている。
今後の出演予定には、パリ・オペラ座(バスティーユ)での《死の都》《ワルキューレ》(新演出)、ミラノ・スカラ座での《タンホイザー》(新演出)、ドレスデン国立歌劇場での《ダフネ》(新演出)、そしてメトロポリタン歌劇場での《ナクソス島のアリアドネ》《蝶々夫人》等がある。

ロバート・ディーン・スミス公式サイト  http://www.robertdeansmith.com/

© www.photopulse.ch

テノール:ロバート・ディーン・スミス Tenor: Robert Dean Smith

管弦楽:読売日本交響楽団 Orchestra: Yomiuri Nippon Symphony Orchestra, Tokyo 読売日本交響楽団は1962年、日本のオーケストラ音楽の振興と普及のために読売新聞社、日本テレビ放送網、読売テレビの読売グループ3社を母体に設立された。翌63年にはハチャトゥリアン指揮、コーガンのヴァイオリンで公演を行ない、65年にはブリテン《戦争レクイエム》を日本初演する等、設立当初から話題を呼んだ。歴代常任指揮者を若杉弘(第3代)やレーグナー(第5代)といった世界的指揮者が歴任し、現在の指揮者陣には桂冠名誉指揮者のスクロヴァチェフスキ(第8代常任指揮者)を始め、桂冠指揮者のアルブレヒト(第7代常任指揮者)、名誉指揮者にクルト・ザンデルリンク、クルト・マズア、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(第4代常任指揮者)、名誉客演指揮者に尾高忠明(第6代常任指揮者)等が名を連ねている。2010年4月、第9代常任指揮者に現代フランスを代表する鬼才シルヴァン・カンブルランが就任し、正指揮者の下野竜也(初代、2006年11月就任)と共に、大きな注目を集めている。
創立以来、レオポルド・ストコフスキー、ズービン・メータ、ギュンター・ヴァント、セルジュ・チェリビダッケ、ロリン・マゼール、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、ネルロ・サンティ、ガリー・ベルティーニ、ユーリ・テミルカーノフ、マンフレッド・ホーネック、ワレリー・ゲルギエフといった世界的な巨匠を指揮台に招くと共に、アルトゥール・ルービンシュタイン、スヴャトスラフ・リヒテル、マルタ・アルゲリッチ、内田光子、ヨーヨー・マ、五嶋みどりといった世界の名だたるソリストと共演を重ねている。 現在、サントリーホールでの年間11回の定期演奏会を軸に、名曲シリーズ(サントリーホール)、東京芸術劇場名曲シリーズ、東京芸術劇場マチネーシリーズ、みなとみらいホリデー名曲コンサート・シリーズ(横浜みなとみらいホール)の5シリーズを揃え、最先端のプログラムから聴きやすい名曲プログラムまで、充実した内容で聴衆を魅了している。また2007年度より東京芸術劇場と提携し、同劇場主催のシアターオペラやファミリーコンサート等に度々出演、好評を博している。
新作の委嘱にも積極的に取り組み、三善晃《アン・ソワ・ロワンタン》、武満徹《トゥイル・バイ・トワイライト》等の名曲を生んできた。2001年以降は毎年、新作を委嘱する「読売日響 委嘱シリーズ」を継続しており、細川俊夫の作品を始め多くの作品が作曲賞を受賞する等、作曲界の発展にも寄与している。
海外では1967年の北米公演を始め、1971年から2003年にかけて計6回、欧州各国で公演を行なっている。また、1996年にタイ、1997年に中国(北京)を訪れている。1981年にライプツィヒ第1回国際オーケストラ・フェスティバルに参加。2000年にはアジア代表としてスペイン・カナリア諸島音楽祭に招かれ、さらに日本のオーケストラとして初めてザルツブルク祝祭大劇場のシリーズに出演した。
1968年、若杉弘指揮のペンデレツキ《ルカ受難曲》の日本初演が芸術祭賞に輝いたのを始め、2000年にはグルリット《ヴォツェック》が芸術祭優秀賞を、2004年のヤナーチェク《運命》が佐川吉男賞を受賞する等、受賞歴多数。最近では2008年の第475回定期演奏会《下野竜也プロデュース・ヒンデミット・プログラムⅡ》が芸術祭優秀賞に輝いた。
なお、定期演奏会等の様子は日本テレビ「読響Symphonic Live~深夜の音楽会」で放送されている他、インターネットの「第2日本テレビ」でも動画配信され、好評を博している。

読売日本交響楽団公式サイト  http://yomikyo.or.jp/

■曲目解説

マーラー:《アダージョ》~交響曲第10番

 マーラーは、1910年の夏より作曲に取りかかっていた「交響曲第10番」を完成させることなく、翌年心臓病のためこの世を去った。全5楽章の構想で残されたスケッチは、マーラーの娘婿である作曲家クルシェネクによって第1楽章と第3楽章がスコアとしてまとめられた。その後、指揮者シャルクや作曲家のベルク、ツェムリンスキーの協力によって手を加えられたのち、1924年10月12日にシャルク指揮のウィーン・フィルにより初演。その後、1964年にラッツ監修による第1楽章~アダージョが出版され、この作品の普及に大きく貢献した。近年はクックをはじめとする様々な音楽学者らによる補筆完成版も演奏の機会が増えている。晩年の彼の作品に見られる、穏やかかつ厭世感に満ちた曲想と悲痛な激しさが、大規模なオーケストラによって表現される。

マーラー:《大地の歌》

 《大地の歌》は、1907年から翌年夏にかけて作曲され、「テノール、アルト(あるいはバリトン)とオーケストラのための交響曲」という副題を持つ。詩はドイツの詩人ベートゲが1907年に出版した『中国の笛』から採られている。『中国の笛』は、李白らの詩をドイツ語やフランス語に訳した複数の訳書をもとに、ベートゲが比較的自由にドイツ語へと編訳したもので、作曲にあたってマーラーはさらなる改編を施している。
 第1楽章〈大地の哀愁に寄せる酒の歌〉はホルンのユニゾンから始まるオーケストラの前奏の後、テノール独唱によってこの世の美しさと儚さが歌い上げられる。歌詞に3回表れる「生も暗く、死もまた暗い」という一節が、非常に印象的な楽章である。楽章冒頭に「やや緩やかに、疲れたように」と指示された第2楽章〈秋に寂しき者〉は、アルトの独唱により秋の風景の中で疲れ果てた者の心情を表現する。東洋的な旋律が特徴的な第3楽章〈青春について〉は、人々が酒を酌み交わしながら語らう青春のひとこまが描かれている。オーケストラの性能をフルに活用して、可憐な乙女と勇壮な若者を対比的に表現する第4楽章〈美について〉、歌詞に表れる鳥の声などが弦や木管楽器に模倣される第5楽章〈春に酔える者〉と続き、アルトが現世との別れを切々と歌い上げる終楽章〈告別〉にて曲を閉じる。C-E-G-Aの和音が静かに流れる中、「永遠に、永遠に……」という歌詞とともに消え入るように終わる終結部は、聴く者の心を捉えて離さない余韻を残す。
 生前、マーラーはこの作品と交響曲第9番を聴くことが叶わず、初演の指揮は弟子のブルーノ・ワルターに委ねられた。その死の半年後、《大地の歌》は1911年11月20日にミュンヘンにてカイム管弦楽団(ミュンヘン・フィルの前身)によって初演された。
[対訳]はこちら




主催:東京・春・音楽祭実行委員会

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