東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2018-
ミュージアム・コンサート木川博史(ホルン)
~現代美術と音楽が出会うとき
若手芸術家の登竜門としても名高いVOCA展の作品とともに聴くコンサートでは、新しい才能との出会いが魅力です。大学在学中より数々のステージで活躍する、若きホルニストにご期待ください。
プログラム詳細
2018:03:23:19:00:00
2018.3.23 [金]19:00開演(18:30開場)
上野の森美術館 展示室
■出演
ホルン:木川博史
ピアノ:松岡美絵
■曲目
T.マドセン:サイが見る夢 op.92

B.クロル:3つの小品 op.72
I. Impromptu
II. Canto mesto
III. Geschwindmarsch
J.ヴィニェリ:ホルン・ソナタ op.7

I. Allegro
II. Lento ma non troppo
III. Allegro ben moderato
近江典彦:《寄せ絵巻》 (世界初演)
K.ピルス:ソナタの形式による3つの小品

I. Sinfonia
II. Intermezzo
III. Rondo alla caccia
[アンコール]
作者不詳(山本昭一編):さくらさくら
【試聴について】

~春祭ジャーナル~
近江典彦(作曲家)
まず始めにお聴きいただく曲は、ノルウェーの作曲家トリグヴェ・マドセンの《サイが見る夢》である。1940年生まれの氏は、同国内ではノルウェー国立歌劇場などで演奏されるプロコフィエフやショスタコーヴィッチの作品に影響を受けたポスト近代の作風で知られる作曲家だが、このホルン・ソロでは、まさに身体の大きいサイが深く静かな眠りの中で夢を見ている様を表現している。
次にお聴きいただく1920年生まれのベルンハルト・クロルは、作曲家であると同時にベルリン・フィルなどで活躍したホルン奏者でもあった。作曲家としては、最初に現代の作曲技法の教えを受けたが、後にレーガーなどの影響のもと、調性音楽寄りの作曲をするようになった。ホルン奏者自身のホルン曲ということで、間違いのない確かな音使いと楽曲構築をお聴きいただけるだろう。
3作品目のジャンヌ・ヴィニェリは、1913年生まれのベルギーの女性作曲家である。この華やかなファンファーレで始まる変ロ長調のソナタは、まさにホルン・ソナタの醍醐味を十分に味わえ、さらに女性らしい明るさに富んだ音使いが魅力的だ。個人的には、第3楽章が聴きどころだと思う。
4作品目は、筆者が本日のために作曲した《寄せ絵巻》である。今回はVOCA賞の作品が集められた会場で演奏されることと、受賞作のように複数の素材が並ぶ楽曲構造から、このタイトルとした。受賞作の政治的メッセージや水玉といった要素に触発され、また、作品を初めて見たとき、右上に描かれた女性と戦闘機が怖く感じられたため、イントロはこの印象から入り、次第に水玉などの要素に置き換わるようにした。政治的メッセージにはアイヌや沖縄の音階を使い、応答した。ポップな要素や色使いの妙味もあると感じ、高めの音や粒のような音型も多く用いた。音楽的にはイントロ再現部で前半・後半の2部に分けられる。前半は複数の楽句が並び、後半は一つの楽句に集中する全く違うもののようであるが、前半部の各音型が後半の各要素に異化されている。長三和音に根音から増四度の音を加えた和音が全体の中心的役割を担っているが、これがまさに絵画にとっての「紙」下地の役割と言えるだろう。
最後のカール・ピルスの作品は、とても「小品」とは思えないほど堂々とした壮大な作品で、彼の師であるフランツ・シュミットら後期ロマン派の影響がヒシヒシと伝わってくる。まさしくコンサートのトリに相応しいしっかりとした作品で、聴く者にホルンの重厚さを感じさせてくれるだろう。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:上野の森美術館 協力:タカギクラヴィア株式会社
※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
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(2018/03/24更新)