PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-

ミュージアム・コンサート「グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家 記念コンサート vol.1
~阿部早希子(ソプラノ)&つのだたかし(ティオルバ)

イタリアで数々のコンクールに入賞、多くの音楽祭、歌劇場に出演する阿部早希子と、古楽のジャンルを超えて活躍するつのだたかし。劇的なイタリアバロックの魅力をあざやかに伝えるデュオの誕生です。

プログラム詳細

2015:04:08:14:00:00

■日時・会場
2015.4.8 [水] 11:00開演(10:30開場)/14:00開演(13:30開場)[各回約60分]
国立西洋美術館 講堂

■出演
ソプラノ:阿部早希子
ティオルバ、バロックギター:つのだたかし
お話:渡辺晋輔(国立西洋美術館主任研究員)

■曲目
メールラ:
 かわいい歌がきこえるでしょう
 愚かな恋人
モンテヴェルディ(つのだたかし編):
 「力強い霊よ」によるトランスクリプション
モンテヴェルディ:
 愛しい私のトルコ女
カッチーニ:
 東方の門から speaker.gif[試聴]
モンテヴェルディ:
 あの高慢なまなざし
 見下された皇后(歌劇《ポッペアの戴冠》より)
 さらば、ローマよ(歌劇《ポッペアの戴冠》より)
サンス:
 カナリオス
フェッラーリ:
 恋する者たちよ、教えてあげよう

[アンコール]
南イタリア民謡:ピッツィカレッラ


~「グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家」記念コンサート~
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出演者

ソプラノ:阿部 早希子 Soprno:Sakiko Abe 東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。卒業後イタリア政府給費奨学生及びL.アルヴィーニ奨学金、F.セメンツァ奨学金を得て渡伊。ミラノ市立音楽院歌曲科首席卒業。ピアチェンツァ国立音楽院歌曲科修士課程並びにミラノ市立音楽院古楽科をそれぞれ満点、首席にて卒業。伊・パルマ・ドーロ国際音楽コンクール第3位並びに1900年代音楽賞、第75回日本音楽コンクール入選並びに岩谷賞、▼続きを見る伊・V・ブッキ国際現代音楽コンクール第2位、伊・コネリアーノ国際歌曲コンクール第3位並びにベスト・デュオ賞他、数々の賞を受賞。仏・モンペリエ・オペラ座に於いてC・カヴィーナ率いるラ・ヴェクシアーナによる歌劇《アルテミジア》(F・カ ヴァッリ)に出演ほか、東京およびミラノを中心にヨーロッパ各地にて近代歌曲を中心とした数多くのソロリサイタルや宗教曲のソリスト、オペラ、バロック及び現代音楽ソリストとして出演多数。中世音楽から現代音楽まで幅広いレパートリーに渡る演奏活動を行っている。声楽を高木浩子、後藤寿子、小宮順子、B.M.カゾーニ、バロック唱法をR.バルコーニの各氏に師事。2014年2月ALMレコーズより『A.ステッファーニ:2声のための室内カンタータ集』が発売され、レコード芸術誌特選盤、読売新聞推薦盤、音楽現代推薦盤に選出されている。コンセール・C、日本イタリア古楽協会会員。

©Shoji Onuma
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ソプラノ:阿部 早希子 Soprno:Sakiko Abe

ティオルバ/バロックギター:つのだ たかし Tiorba, Baroque Guitar :Takashi Tsunoda ドイツ国立ケルン音楽大学リュート科を卒業。ルネサンスからバロックの時代に愛された撥弦楽器リュートの独奏のほか、歌曲の伴奏者として歌手から厚い信頼を受けて活動。エマ・カークビー、エヴリン・タブ、ロベルタ・マメリ、波多野睦美、ルーファス・ミュラー、クラウディオ・カヴィーナ、牧野正人ら内外の多くの名歌手の伴奏を務める。▼続きを見るジャンルを超えた古楽器バンド「タブラトゥーラ」、聖歌・宗教音楽を演奏する「アンサンブル・エクレジア」を主宰。モンテヴェルディのオペラ《オルフェーオ》、シェイクスピアの舞台《十二夜》(Bunkamura)、フランス中世の歌物語《オーカッサンとニコレット》の音楽などの舞台作品、映画の音楽も手がける。古楽の新しい楽しみを発信し続け、ジャンルを越えた幅広い聴衆から支持を受けている。古楽CDレーベルのさきがけとなった「パルドン」をプロデュースして16-17世紀の声楽曲を中心にCD作品も多数発表。

©Yuriko Takagi
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ティオルバ/バロックギター:つのだ たかし Tiorba, Baroque Guitar :Takashi Tsunoda

■曲目解説

モンテヴェルディと「レチタル・カンタンド」
福島康晴 (エクス・ノーヴォ室内合唱団・指揮者)
 グエルチーノがローマ、ボローニャで華やかに活動していた時代、ヨーロッパの音楽は後期ルネサンスからバロックへと大きな転機を迎えていた。クラウディオ・モンテヴェルディ(1567-1643)は、この時代において最も重要な作曲家である。しかしそれを言葉で説明するのは難しい。というのも、必ずしもモンテヴェ ルディ自身が新しい様式や奏法などを発明したという訳ではないからである。彼の真骨頂である「レチタル・カンタンド(歌いながら語る)」という方法も、元を辿ればフィレンツェの『カメラータ』という哲学者、詩人、 作曲家などによる芸術サークルが生み出したものであった。『カメラータ』ではギリシャ悲劇を模範にした 新しい音楽を作るという理想のもと、真剣に試行錯誤が繰り返された。ギリシャ悲劇は演劇でありながらセリフは歌うように朗誦されていたことに基づいて、この「レチタル・カンタンド」の方法を導いたのだ。
 「レチタル・カンタンド」とは、一人の歌手が朗読するように歌い、ティオルバ、ハープ、チェンバロといっ た楽器で伴奏をするという演奏の形態である。その歌は耳に残りやすい一つのメロディという訳でもなく、 単なる朗読でもない。歌と語りの中間的な唱法である。この発明によって、長いテキストを短い時間で歌い進めることが可能となり、オペラが誕生した。
 ジュリオ・カッチーニ(1545-1618)も『カメラータ』のメンバーとして活動していた一人であった。彼は1601年に出版した曲集の序文で、大胆にも「レチタル・カンタンド」は自分の発明品だと高らかに宣言した。しかし、他にも自分が考案したという作曲家もいて、真相は藪の中である。とはいえ、フィレンツェの『カメラ ータ』から生まれたことは間違いなく、この手法はあっという間にヨーロッパ中に伝播して、オペラが量産されるに至った。モンテヴェルディは1607年にオペラ《オルフェオ》をマントヴァで上演するが、その際にも、 フィレンツェから歌手を招聘して上演したという記録が残っている。
 モンテヴェルディの最後のオペラである《ポッペアの戴冠》には、この「レチタル・カンタンド」でしか為し得ない感情の表出が見事に表現されている。彼は人間の感情をどの様に音楽に反映させるかを常に追求していた。特に本日演奏される二つのアリアにおいて、絶望、希望、悔恨といった様々な感情の含まれた言葉が音楽によって劇的に演出されている。それは演奏を聴くことでしか感得できない。モンテヴェル ディの音楽の素晴らしさは、音楽史の教科書の中ではなく、実際そこで演奏されている音楽の中に存在する。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立西洋美術館 後援:TBS 協力:日東紡音響エンジニアリング株式会社
※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

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