PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-

ミュージアム・コンサート武満 徹の世界II~川崎洋介と仲間たち
~タケミツとメシアン

私たちが今回演奏するプログラムについて話し合った際、「天と地」という言葉が最初に思い浮かびました。そして2夜における全体の構成を考えたとき、バルトークやラヴェルには非常に現世的な部分があることに対し、メシアンからは別世界のような天上の世界を感じ、タケミツはその中間くらいに、確かに存在しているように思えたのです。 ――川崎洋介

プログラム詳細

2015:04:11:14:00:00

■日時・会場
2015.4.11 [土] 14:00開演(13:30開場)
国立科学博物館 日本館講堂

■出演
トリオ・プラス
 ヴァイオリン:川崎洋介
 チェロ:ヴォルフラム・ケッセル
 ピアノ: ヴァディム・セレブリャーニ
クラリネット:ショーン・ライス

■曲目
武満徹:雨の樹素描 II-オリヴィエ・メシアンの追憶に- speaker.gif[試聴]
バルトーク:コントラスツ speaker.gif[試聴]
武満徹:ビトゥイーン・タイズ speaker.gif[試聴]
メシアン:世の終わりのための四重奏曲 speaker.gif[試聴]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~武満 徹の世界~川崎洋介と仲間たち~  

出演者

ヴァイオリン:川崎洋介 Violin:Yosuke Kawasaki 現在、カナダの国立芸術センター管弦楽団のコンサートマスター。水戸室内管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラ(どちらも小澤征爾指揮)のメンバー。これまでに日本センチュリー交響楽団とモンゴメリー交響楽団の首席奏者を務めた。現在、「アフィニス夏の音楽祭」「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」に演奏家として携わる他、オタワ大学音楽学部非常勤講師。▼続きを見るアスペン室内合奏団、グリニッチ・ヴィレッジ・オーケストラ、アイダホ州立市民オーケストラ、日本センチュリー交響楽団、九州交響楽団、水戸室内管弦楽団、リマ・フィルハーモニー・オーケストラ、サイトウ・キネン・オーケストラ、サウスカロライナ・フィルハーモニック管弦楽団、Thirteen Strings、東京都交響楽団、シンガポール・ナショナル・ユース・オーケストラと共演。室内楽奏者として、フェデリコ・アゴスティーニ、原田禎夫、ジェームズ・クライツと、アミーチ弦楽四重奏団を結成。またヴァディム・セレブリャーニ、ヴォルフラム・ケッセルとともにトリオ・プラスを結成。この2団体は、アメリカ大陸を始め、ヨーロッパや日本でも演奏活動を行っている。佐世保市のレジデンス四重奏団である、アルカス・クァルテットの創設メンバー。
最新の録音は、TDKコール、デノンから出ているベートーヴェン、モーツァルト、シューマンの室内楽等がある。またキングレーベルにて、ワルター・ファン・ハウヴェと共演した《2つのヴァイオリンのための協奏曲》、サイトウ・キネン・オーケストラの奏者と共演した《ブランデンブルク協奏曲》の全曲録音等もある。
6歳から、父である川崎雅夫にヴァイオリンの手ほどきを受けた後、後藤節に師事。10歳のときにジュリアード音楽院の初期課程に入学し、ドロシー・ディレイ、ヒョー・カン、フェリックス・ガリミール、ジョエル・スミルノフに師事し、1998年に同院卒業。

©PeterSchaaf
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ヴァイオリン:川崎洋介 Violin:Yosuke Kawasaki

チェロ:ヴォルフラム・ケッセル Cello:Wolfram Koessel カーネギー・ホールのデビューで絶賛され、ソリスト、リサイタリスト、室内楽奏者として、世界各地の主要なホールで演奏し、多彩なキャリアを積んできた。引く手あまたの演奏家になった彼は、ストラド誌において「非常に魅力的なチェリスト」と称され、これまでにジュピター交響楽団、ニューヨーク・メタモルフォーゼ・オーケストラ(1994年に共同設立)、▼続きを見るエルサレム交響楽団、大阪交響楽団、ザ・マネス・オーケストラ、そしてシュトゥットガルト、コルドバ、メンドーザ、コスタリカ、アイオワ、ニューヨーク等の交響楽団と共演している。2006年より、アメリカ弦楽四重奏団の一員として、主にベルリン・フィルハーモニーやアムステルダムのコンセルトヘボウ、ケルン・フィルハーモニー、メトロポリタン美術館、キンメル舞台芸術センター等で演奏している。またルネ・フレミング、リチャード・ストルツマン、エドガー・メイヤー、メナヘム・プレスラー、ザキール・フセイン、ウテ・レンパー、シャロン・カム、ジェレミー・デンク等、多くのアーティストと共演している。
マンハッタン音楽学校でチェロと室内楽を学んだ後、アスペン音楽祭、中国のグレート・ウォール・アカデミーで学ぶ。04~08年にかけて、マーク・モリス・ダンス・グループの音楽監督を務め、世界で多くのコンサートや初演、ツアー公演を行った。ニューヨークに拠点を置き、オルフェウス室内管弦楽団やニューヨーク・フィルハーモニックを始め、多くのアンサンブル、室内楽団と幅広く共演している。2014/15シーズンは、イスラエル、中国、ドイツ、カナダ、アメリカで演奏予定。ヴァイオリンの川崎洋介、ピアノのヴァディム・セレブリャーニとともに、トリオ・プラスの結成メンバーである。このユニークなトリオは、その独自のプログラムと、特徴ある演奏で、従来のピアノトリオの領域を広げている。現在は妻である音楽家・執筆家のマエ・バリッツォや娘と一緒に、マンハッタンに住んでいる。
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チェロ:ヴォルフラム・ケッセル Cello:Wolfram Koessel

ピアノ:ヴァディム・セレブリャーニ Piano:Vadim Serebryany トロント王立音楽院でマリーナ・ゲリンガスに師事し、優秀な成績で卒業後、ニューヨーク州ジュリアード音楽院にて、伝説的なピアノ奏者オクサナ・ヤブロンスカヤと、尊敬するアメリカ出身のピアノ奏者ジェイコブ・ラテイナーに師事し、学士・修士号を取得。さらにイェール大学でロシア出身のピアノ奏者ボリス・ベルマンに師事し、音楽芸術課程の博士号を取得。▼続きを見る卒業後、ソリスト及び室内楽の演奏家として高く評価されるようになる。ヨーロッパ各地、南アメリカ、オーストラリア、アメリカ等で演奏し、2008年には日本で8回の連続リサイタルツアーを行った。近年はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ、新ウィーン楽派の様々なピアノ曲、室内楽曲といった意欲的なプログラムも演奏している。これまでに、演出家マーク・モリス、バリトン歌手ゲイリー・レイラ、チェロ奏者のスレン・バグラトゥーニ、ユージーン・オサドシー、ヴァイオリン奏者のマユミ・セイラー、アルミタ・ヴァモス、川崎洋介、アメリカ弦楽四重奏団、エンソ四重奏団、グレン・グールド弦楽四重奏団といった著名な演奏家達と共演している。07年には、カーネギー・ホールで川崎洋介と初のリサイタルを行った。
05年、ヴァイオリンの川崎洋介とチェロのヴォルフラム・ケッセルとともにトリオ・プラスを結成。デュオ・トリオの曲だけでなく、奏者を迎えての室内アンサンブル等、多岐に渡った室内楽レパートリーによる独自のプログラムを演奏することで知られている。トリオとしてアメリカや日本で演奏をしており、各地で絶賛されている。05~08年に、カリフォルニア州ラ・シエラ大学のアーティスト・イン・レジデンスを務める。08年9月より、アラバマ州モンゴメリーのハンティングドン大学で音楽准教授を務めている。
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ピアノ:ヴァディム・セレブリャーニ Piano:Vadim Serebryany

クラリネット:ショーン・ライス  Clarinet:Sean Rice 北米及び世界中で精力的に演奏活動をしている。CBCナショナルラジオによるリサイタルの放送、スイス・ラジオDRSのための演奏、ニューファンドランドの週間ミュージック・プログラム「ミュージックラフト」での演奏も行っている。若い頃に、ナショナル・アーツ・センター・オーケストラによる大西洋ツアーの中の、マチネ・コンサートで同オーケストラと共演。▼続きを見るその後、ケベック交響楽団、ノーベル現代アンサンブル、ヌヴェル・アンサンブル・モデルヌ、アクシアム、ニュー・ジュリアード・アンサンブル、シンフォニー・ノヴァ・スコシア、ニューファンドランド交響楽団、パイオニア交響楽団、メモリアル大学室内オーケストラなどと、ソリストとして共演している。
現代楽曲の演奏に積極的な演奏家として知られ、近年のニュヨーク・タイムスでは、マグナス・リンドバーグ作曲「クラリネット五重奏曲」の演奏に対し、「正確な技術と、表現力豊かな主人公」と評された。また、ピエール・ブーレーズのルツェルン・フェスティヴァル・アカデミー(2008-10)、ニューヨークの現代芸術美術館でのサマーガーデン・シリーズ(07-09)、ジュリアード音楽院の2007年定期室内フェス、ジュリアード音楽院の「Focus!フェスティバル」、ナショナル・アーツ・センター若手演奏家プログラム(05-06)バンフ音楽祭、室内楽フェスティバル、トゥカモア室内楽音楽祭などに出演。さらに、メモリアル大学定期リサイタルシリーズにも、ゲスト奏者として多くの室内楽を演奏している。
2007年、モントリオールのジュネス・ミュジカルでのデビュー後、ラ・プレスは「カナダ出身のクラリネット奏者、ショーン・ライスは、完璧な技術、明確な音楽、次々とあらわれる激しさや繊細さを披露し、室内楽奏者としての素晴らしい才能を発揮した」と評している。続く07/08シーズンは、ピアニストのジャン=フィリップ・シルヴェスターと共に、ジュネス・ミュジカルのツアーシリーズでの最初の世界ツアーを行った。カナダでの他、アメリカ、ドイツ、スイス、マレーシア、ブラジル等の主要都市で演奏。日本では、09年、10年の京都国際音楽祭にてリサイタルを行っている。
ニューファンドランドのメモリアル大学にて、ポール・ベンツァに師事し、音楽の学士を取得して卒業。続いて、チャールズ・ナイディッチのもとで学び、ジュリアード音楽院にて音楽修士を取得後、音楽芸術の博士候補生として、勉強を続けた。音楽祭の受講生として、著名なクラリネット奏者であるキンバル・サイクス、アラン・ダミアン、アラン・ビヤール、ファン・レイらから指導を受ける幸運に恵まれる。06年、ケベック交響楽団カナダ協奏曲コンクールにて第1位を受賞の他、受賞多数。

©Kohei Take
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クラリネット:ショーン・ライス  Clarinet:Sean Rice

■曲目解説

武満徹:雨の樹素描II、ビトゥイーン・タイズ

武満徹(1930-96)は 1982年に「雨」をモティーフとした《雨ぞふる》《雨の樹素描》《雨の呪文》を発表したが、《雨の樹素描II》は《雨の樹素描》の姉妹編と言えるピアノ曲。1992年4月に他界したオリヴィエ・メシアンへの追悼のために作曲され、同年10月の「オルレアン国際音楽祭」で初演された。《雨の樹素描》 に比べて音の動きが抑制され、雨の滴のひそやかな息遣いをピアノが巧みに描出する。

《ビトゥイーン・タイズ》は、作曲者自身が「海の波を暗示すると同時に、季節を意味するもの」と述べて いるように、「tide」という言葉の多義性の“間=between”で揺れ動くようなヴァイオリン、チェロ、ピアノのための作品で、《雨の樹素描II》の翌年に書かれた。相似形の音型が楽器間で対比されたり同時に奏され たりするなかで、波間を行き交う音楽が紡ぎ出される。

バルトーク:コントラスツ

バルトーク(1881-1945)は武満・メシアンより上の世代にあたるが、彼とハンガリーの民族音楽の関係は、 武満が雅楽や雅歌の響きに旋律の親和性を見出したことと通底していると言える。《コントラスツ》はバルト ークがアメリカに移住する直前の1938年、ヴァイオリニストのヨーゼフ・シゲティ、ジャズ・クラリネット奏者ベニー・グッドマンとの親交から生まれたクラリネット、ヴァイオリン、ピアノのための三重奏曲。第1楽章はハンガリー舞曲の「ヴェルブンコシュ(新兵の踊り)」がテーマとして用いられ、第2楽章は「ピヘネー(休息)」と題された間奏曲風の音楽となる。ブルガリア舞曲のリズムにもとづく第3楽章「シェベシュ(急速な踊り)」では、調弦をずらしたヴァイオリンが効果的に用いられる。

メシアン:世の終わりのための四重奏曲

《世の終わりのための四重奏曲》はメシアン(1908-92)が第2次世界大戦中の1940年、ゲルリッツの捕虜収容所に収容されていたときに書かれたことから、「世界」の終末を描いた悲劇的な作品と捉えられがちだが、タイトルの「世」はむしろ「時間」の意味である。敬虔なカトリック信者だったメシアンは、「ヨハネの黙示録 第10章」の「もはや時がない。第7の天使がラッパを吹くとき、神の秘められた計画が成就する」 という箇所から霊感を受け、救世主の不滅と再来を賛美する、祈りに満ちた本作を作曲した。全体は8曲から構成されるが、これは「天地創造の7日間の後に永遠の平安が訪れる」という意味による。また、収容所内の限られた楽器奏者を想定した作品だったため、ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ピアノという珍しい編成を採用している。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館 協力:タカギクラヴィア株式会社 ※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

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