PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-

ミュージアム・コンサート武満 徹の世界I~川崎洋介と仲間たち
~タケミツとラヴェル

私たちが今回演奏するプログラムについて話し合った際、「天と地」という言葉が最初に思い浮かびました。そして2夜における全体の構成を考えたとき、バルトークやラヴェルには非常に現世的な部分があることに対し、メシアンからは別世界のような天上の世界を感じ、タケミツはその中間くらいに、確かに存在しているように思えたのです。 ――川崎洋介

プログラム詳細

2015:04:10:19:00:00

■日時・会場
2015.4.10 [金] 19:00開演(18:30開場)
国立科学博物館 日本館講堂

■出演
トリオ・プラス
 ヴァイオリン:川崎洋介
 チェロ:ヴォルフラム・ケッセル
 ピアノ: ヴァディム・セレブリャーニ
クラリネット:ショーン・ライス

■曲目
武満徹:十一月の霧と菊の彼方から
ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタspeaker.gif[試聴]
武満徹:カトレーンII
ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調speaker.gif[試聴]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~武満 徹の世界~川崎洋介と仲間たち~  

出演者

ヴァイオリン:川崎洋介 Violin:Yosuke Kawasaki 現在、カナダの国立芸術センター管弦楽団のコンサートマスター。水戸室内管弦楽団、サイトウ・キネン・オーケストラ(どちらも小澤征爾指揮)のメンバー。これまでに日本センチュリー交響楽団とモンゴメリー交響楽団の首席奏者を務めた。現在、「アフィニス夏の音楽祭」「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」に演奏家として携わる他、オタワ大学音楽学部非常勤講師。▼続きを見るアスペン室内合奏団、グリニッチ・ヴィレッジ・オーケストラ、アイダホ州立市民オーケストラ、日本センチュリー交響楽団、九州交響楽団、水戸室内管弦楽団、リマ・フィルハーモニー・オーケストラ、サイトウ・キネン・オーケストラ、サウスカロライナ・フィルハーモニック管弦楽団、Thirteen Strings、東京都交響楽団、シンガポール・ナショナル・ユース・オーケストラと共演。室内楽奏者として、フェデリコ・アゴスティーニ、原田禎夫、ジェームズ・クライツと、アミーチ弦楽四重奏団を結成。またヴァディム・セレブリャーニ、ヴォルフラム・ケッセルとともにトリオ・プラスを結成。この2団体は、アメリカ大陸を始め、ヨーロッパや日本でも演奏活動を行っている。佐世保市のレジデンス四重奏団である、アルカス・クァルテットの創設メンバー。
最新の録音は、TDKコール、デノンから出ているベートーヴェン、モーツァルト、シューマンの室内楽等がある。またキングレーベルにて、ワルター・ファン・ハウヴェと共演した《2つのヴァイオリンのための協奏曲》、サイトウ・キネン・オーケストラの奏者と共演した《ブランデンブルク協奏曲》の全曲録音等もある。
6歳から、父である川崎雅夫にヴァイオリンの手ほどきを受けた後、後藤節に師事。10歳のときにジュリアード音楽院の初期課程に入学し、ドロシー・ディレイ、ヒョー・カン、フェリックス・ガリミール、ジョエル・スミルノフに師事し、1998年に同院卒業。

©PeterSchaaf
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ヴァイオリン:川崎洋介 Violin:Yosuke Kawasaki

チェロ:ヴォルフラム・ケッセル Cello:Wolfram Koessel カーネギー・ホールのデビューで絶賛され、ソリスト、リサイタリスト、室内楽奏者として、世界各地の主要なホールで演奏し、多彩なキャリアを積んできた。引く手あまたの演奏家になった彼は、ストラド誌において「非常に魅力的なチェリスト」と称され、これまでにジュピター交響楽団、ニューヨーク・メタモルフォーゼ・オーケストラ(1994年に共同設立)、▼続きを見るエルサレム交響楽団、大阪交響楽団、ザ・マネス・オーケストラ、そしてシュトゥットガルト、コルドバ、メンドーザ、コスタリカ、アイオワ、ニューヨーク等の交響楽団と共演している。2006年より、アメリカ弦楽四重奏団の一員として、主にベルリン・フィルハーモニーやアムステルダムのコンセルトヘボウ、ケルン・フィルハーモニー、メトロポリタン美術館、キンメル舞台芸術センター等で演奏している。またルネ・フレミング、リチャード・ストルツマン、エドガー・メイヤー、メナヘム・プレスラー、ザキール・フセイン、ウテ・レンパー、シャロン・カム、ジェレミー・デンク等、多くのアーティストと共演している。
マンハッタン音楽学校でチェロと室内楽を学んだ後、アスペン音楽祭、中国のグレート・ウォール・アカデミーで学ぶ。04~08年にかけて、マーク・モリス・ダンス・グループの音楽監督を務め、世界で多くのコンサートや初演、ツアー公演を行った。ニューヨークに拠点を置き、オルフェウス室内管弦楽団やニューヨーク・フィルハーモニックを始め、多くのアンサンブル、室内楽団と幅広く共演している。2014/15シーズンは、イスラエル、中国、ドイツ、カナダ、アメリカで演奏予定。ヴァイオリンの川崎洋介、ピアノのヴァディム・セレブリャーニとともに、トリオ・プラスの結成メンバーである。このユニークなトリオは、その独自のプログラムと、特徴ある演奏で、従来のピアノトリオの領域を広げている。現在は妻である音楽家・執筆家のマエ・バリッツォや娘と一緒に、マンハッタンに住んでいる。
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チェロ:ヴォルフラム・ケッセル Cello:Wolfram Koessel

ピアノ:ヴァディム・セレブリャーニ Piano:Vadim Serebryany トロント王立音楽院でマリーナ・ゲリンガスに師事し、優秀な成績で卒業後、ニューヨーク州ジュリアード音楽院にて、伝説的なピアノ奏者オクサナ・ヤブロンスカヤと、尊敬するアメリカ出身のピアノ奏者ジェイコブ・ラテイナーに師事し、学士・修士号を取得。さらにイェール大学でロシア出身のピアノ奏者ボリス・ベルマンに師事し、音楽芸術課程の博士号を取得。▼続きを見る卒業後、ソリスト及び室内楽の演奏家として高く評価されるようになる。ヨーロッパ各地、南アメリカ、オーストラリア、アメリカ等で演奏し、2008年には日本で8回の連続リサイタルツアーを行った。近年はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ、新ウィーン楽派の様々なピアノ曲、室内楽曲といった意欲的なプログラムも演奏している。これまでに、演出家マーク・モリス、バリトン歌手ゲイリー・レイラ、チェロ奏者のスレン・バグラトゥーニ、ユージーン・オサドシー、ヴァイオリン奏者のマユミ・セイラー、アルミタ・ヴァモス、川崎洋介、アメリカ弦楽四重奏団、エンソ四重奏団、グレン・グールド弦楽四重奏団といった著名な演奏家達と共演している。07年には、カーネギー・ホールで川崎洋介と初のリサイタルを行った。
05年、ヴァイオリンの川崎洋介とチェロのヴォルフラム・ケッセルとともにトリオ・プラスを結成。デュオ・トリオの曲だけでなく、奏者を迎えての室内アンサンブル等、多岐に渡った室内楽レパートリーによる独自のプログラムを演奏することで知られている。トリオとしてアメリカや日本で演奏をしており、各地で絶賛されている。05~08年に、カリフォルニア州ラ・シエラ大学のアーティスト・イン・レジデンスを務める。08年9月より、アラバマ州モンゴメリーのハンティングドン大学で音楽准教授を務めている。
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ピアノ:ヴァディム・セレブリャーニ Piano:Vadim Serebryany

クラリネット:ショーン・ライス  Clarinet:Sean Rice 北米及び世界中で精力的に演奏活動をしている。CBCナショナルラジオによるリサイタルの放送、スイス・ラジオDRSのための演奏、ニューファンドランドの週間ミュージック・プログラム「ミュージックラフト」での演奏も行っている。若い頃に、ナショナル・アーツ・センター・オーケストラによる大西洋ツアーの中の、マチネ・コンサートで同オーケストラと共演。▼続きを見るその後、ケベック交響楽団、ノーベル現代アンサンブル、ヌヴェル・アンサンブル・モデルヌ、アクシアム、ニュー・ジュリアード・アンサンブル、シンフォニー・ノヴァ・スコシア、ニューファンドランド交響楽団、パイオニア交響楽団、メモリアル大学室内オーケストラなどと、ソリストとして共演している。
現代楽曲の演奏に積極的な演奏家として知られ、近年のニュヨーク・タイムスでは、マグナス・リンドバーグ作曲「クラリネット五重奏曲」の演奏に対し、「正確な技術と、表現力豊かな主人公」と評された。また、ピエール・ブーレーズのルツェルン・フェスティヴァル・アカデミー(2008-10)、ニューヨークの現代芸術美術館でのサマーガーデン・シリーズ(07-09)、ジュリアード音楽院の2007年定期室内フェス、ジュリアード音楽院の「Focus!フェスティバル」、ナショナル・アーツ・センター若手演奏家プログラム(05-06)バンフ音楽祭、室内楽フェスティバル、トゥカモア室内楽音楽祭などに出演。さらに、メモリアル大学定期リサイタルシリーズにも、ゲスト奏者として多くの室内楽を演奏している。
2007年、モントリオールのジュネス・ミュジカルでのデビュー後、ラ・プレスは「カナダ出身のクラリネット奏者、ショーン・ライスは、完璧な技術、明確な音楽、次々とあらわれる激しさや繊細さを披露し、室内楽奏者としての素晴らしい才能を発揮した」と評している。続く07/08シーズンは、ピアニストのジャン=フィリップ・シルヴェスターと共に、ジュネス・ミュジカルのツアーシリーズでの最初の世界ツアーを行った。カナダでの他、アメリカ、ドイツ、スイス、マレーシア、ブラジル等の主要都市で演奏。日本では、09年、10年の京都国際音楽祭にてリサイタルを行っている。
ニューファンドランドのメモリアル大学にて、ポール・ベンツァに師事し、音楽の学士を取得して卒業。続いて、チャールズ・ナイディッチのもとで学び、ジュリアード音楽院にて音楽修士を取得後、音楽芸術の博士候補生として、勉強を続けた。音楽祭の受講生として、著名なクラリネット奏者であるキンバル・サイクス、アラン・ダミアン、アラン・ビヤール、ファン・レイらから指導を受ける幸運に恵まれる。06年、ケベック交響楽団カナダ協奏曲コンクールにて第1位を受賞の他、受賞多数。

©Kohei Take
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クラリネット:ショーン・ライス  Clarinet:Sean Rice

■曲目解説

武満徹:十一月の霧と菊の彼方から、カトレーンII

武満徹(1930–96)の《十一月の霧と菊の彼方から》は、1983年の第2回日本国際音楽コンクールのヴ ァイオリン部門の課題曲として作曲された。一音一音に多彩な技巧が凝らされたヴァイオリンの静と動の調べと、それに対比されたピアノが主従を入れ替えながら進行していく(作曲者によれば、旋律素材として用いた6音と対比された6音が「影のように」重ねられているという)。

《カトレーンII》は、1975 年に初演されその年の文化庁芸術祭大賞、翌年の第24回尾高賞を受賞した《カトレーン》からオーケストラを除く4つの独奏楽器(ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ピアノ)を抽出して改変を加え、1977年に発表された作品。《カトレーン》は武満が「数」を作曲の方法論に用いた最初の作品で、《カトレーンII》にもそれが受け継がれている。また本曲は、メシアンの《世の終わりのための四重奏曲》と同じ編成であることからもわかるように、メシアンへのオマージュである。

ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ、ピアノ三重奏曲

ラヴェル(1875–1937)の《ヴァイオリンとチェロのためのソナタ》は、1920年に第1楽章が「ドビュッシー への墓碑銘(トンボー)」として作曲され、残りの3楽章は22年に完成された。「和声的な魅力を排除し、 旋律の感覚にいっそう明確に反発し、音楽そのものをむき出しにした」というラヴェルの言葉の通り、ドビュッシーの最後の3つの器楽ソナタを参照しながらも、旋法的な旋律や半音階、大胆な対位法、ときに無調の寸前まで切り詰められたコラージュ風の手法など、ラヴェルの転換期の作風がちりばめられている。ア レグロの第1楽章を特徴づける冒頭の7音からなるテーマが、全ての楽章のモティーフとして用いられて いる。挑発的なピッチカートが多用される第2楽章、多彩な表情の変化が印象的な第3楽章、そして第4楽章はパロディ風のロンド形式を採用している。

《ピアノ三重奏曲》(1914)は、第1次世界大戦の勃発を受け、ラヴェルが心血を注いで完成させた作品である。ピアノによる第1主題の冒頭提示に続き、ヴァイオリンとチェロが2オクターブ・ユニゾンを奏でる。 広い音域のなかに弦楽器の様々な手法を織り込みながら中間音域にピアノを配することで、音楽の色彩感とバランスを保ちつつ三重奏のダイナミクスが確保されている。全4楽章から構成され、バスク風の舞曲を素材とした 8/8 拍子の第1楽章、「パントゥーム」という詩法を応用したスケルツォ風の第2楽章、教会旋法にもとづくパッサカイユの第3楽章、5/4と7/4 拍子の変則的なリズムが交互に現れラヴェルの器楽 書法が最大限に発揮された終楽章からなる。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館 協力:タカギクラヴィア株式会社 ※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

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