PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-

ブラームスの室内楽
~川本嘉子&リュドミラ・ベルリンスカヤ

アルゲリッチ、マイスキーなど世界のソリストたちからの信頼が厚いヴィオリスト川本嘉子と、往年の巨匠たちとの経験が豊かなベルリンスカヤ。同世代の2人がお互いの経験を活かし、ブラームス最期の秀作に挑む。

プログラム詳細

2015:03:25:19:00:00

■日時・会場
2015.3.25 [水] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ヴィオラ:川本嘉子
ピアノ:リュドミラ・ベルリンスカヤ

■曲目
ブラームス:
 4つの厳粛な歌 op.121 (ヴィオラ&ピアノ版)speaker.gif[試聴]
 ヴィオラ・ソナタ 第1番 ヘ短調 op.120-1 speaker.gif[試聴]
 ヴィオラ・ソナタ 第2番 変ホ長調 op.120-2 speaker.gif[試聴]
 11のコラール前奏曲 op.122 より(ヴィオラ&ピアノ版)

[アンコール]
ブラームス:4つの厳粛な歌 op.121 より 3.おお死よ、いかに汝は厳しいことか

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。



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出演者

ヴィオラ:川本嘉子 Viola:Yoshiko Kawamoto 1992年ジュネーヴ国際音楽コンクール・ヴィオラ部門で最高位(1位なしの2位)。1996年、村松賞受賞。1997年、第7回新日鉄音楽賞・フレッシュアーティスト賞受賞。東京都交響楽団首席奏者を経て、現在ではソリスト・室内楽奏者として最も活躍しているヴィオラ奏者の1人。京都アルティ弦楽四重奏団、AOI・レジデンス・クヮルテットのメンバー。3歳より才能教育研究会にて▼続きを見るヴァイオリンを始める。桐朋学園子供のための音楽教室、桐朋女子高等学校音楽科を経て、同大学に入学。これまでに、ヴァイオリンを江藤俊哉、鈴木愛子、室内楽を末吉保雄、原田幸一郎の各氏に師事。在学中より演奏活動を開始。1989年イグレック・クァルテットで第6回東京国際コンクール室内楽部門優勝。1989/90年にはタングルウッド音楽祭に招待を受けて参加。Grace B.Jackson賞を受賞。1991年、東京都交響楽団への入団をきっかけにヴィオラに転向。1999年より2002年退団まで首席奏者を務める。アメリカのマールボロ音楽祭、スイスのダボス音楽祭、〈東京の夏〉音楽祭、霧島国際音楽祭等に参加。サイトウ・キネン・オーケストラ、小澤征爾音楽塾、水戸室内管弦楽団、別府アルゲリッチ音楽祭等にも定期的に参加しアルゲリッチやユーリ・バシュメット等、世界一流のソリスト達と共演し絶賛を博している。ソリストとしても高い評価を得ており、1995年11月「新日鉄コンサート」、第59回“プロミシング・アーティストシリーズ”でのリサイタル、1997年7月から一年間カザルスホールで行ったリサイタル・シリーズ『HASEKO CLASSIC SPECIAL/川本嘉子ザ・ヴィオリスト』はいずれも好評を博した。これまでにガリー・ベルティーニ、ジャン・フルネ、ペーター・マーク等の著名な指揮者と共演している。指揮者/ピアニスト、チョン・ミョンフンの提唱する「セブンスターズ・ガラ・コンサート」にも参加し、2000年、日本・韓国公演を行う。2003年7月にも再び共演し、『臨機応変、他のパートに寄り添いつつ、しっかり支えたビオラの川本は達人』(朝日新聞・白石美雪氏評)との評価を得た。CD録音はチェンバロの中野振一郎との『ヴィオラ・バロック・ミュージック』(マイスターミュージック MM-1028)『J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバとチェロのためのソナタ』(マイスターミュージックMM-1075)がリリースされている。 ▲プロフィールを閉じる

ヴィオラ:川本嘉子 Viola:Yoshiko Kawamoto

ピアノ:リュドミラ・ベルリンスカヤ Piano:Ludmila Berlinskaia 「ロシアが誇る芸術家」モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団のソリストであり、数々の国際コンクール優勝を始め、パリのシャンゼリゼ劇場、アムステルダムのコンセルトヘボウ、ウィグモア・ホール、ロンドンのバービカン・ホールやロイヤル・アルバート・ホール、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場、ブリュッセルの王立アカデミー、▼続きを見るマドリードのナショナル・オーディトリアム、香港シティ・ホール、サンクトペテルブルク・フィルハーモニア、故郷であるモスクワの主要ホール等、世界中の舞台で活躍している。またラ・ロック・ダンテロン、コルマール、オーヴェル=シュル=オワーズ、エクス=アン=プロヴァンス、エヴィアン、クフモ、エディンバラ、オールドバラ、オルランド、スタヴァンゲル、ポルトグルアーロ等の音楽祭に招聘演奏家として出演している。高い人気を誇る演奏家であり、ロストロポーヴィチ、ユーリ・バシュメット、ヴィクトル・トレチャコフ、アレクサンドル・クニャーゼフ、ポール・メイエ、ジェラール・コセ、イヴリー・ギトリス、ゴーティエ・カプソン、ジャン=ジャック・カントロフ、アラン・ムニエ、フランソワ=ルネ・デュシャーブルといったソリストとも共演。その他、ボロディン弦楽四重奏団、オルランド四重奏団、ファイン・アーツ四重奏団、アルデオ四重奏団、ダネル四重奏団、サンクトペテルブルク弦楽四重奏団等とも共演している。
チェロ奏者でボロディン弦楽四重奏団創設者のヴァレンチン・ベルリンスキーを父親に持ち、ソビエト連邦の芸術的に優れた家庭で育ち、グネーシン音楽大学とモスクワ音楽院で学んだ。彼女はとりわけ偉大な演奏家たちに囲まれたその特殊な環境を楽しみ、幼少期からショスタコーヴィチの音楽に感銘を受けて、現在ではショスタコーヴィチの演奏の第一人者として知られている。演奏機会の少ない曲や、未出版曲も含め、ショスタコーヴィチのピアノ室内楽を世界中で演奏している。加えて彼女は、スヴャトスラフ・リヒテルの親密なサークルの輪に加わる幸運に恵まれ、リヒテルと共演する特権を得たり、リヒテル自身のプロデュースによるベンジャミン・ブリテン《ねじの回転》に代理出演する等、リヒテルの音楽に対する姿勢から芸術的な自由を学ぶ機会を得たのだった。
ヴァージン・クラシックス、メロディア、サフィール・プロダクションズより、ラフマニノフ、グリンカ、シュニトケ、メンデルスゾーン、ヤナーチェク、シュトラウス、プロコフィエフ、チャイコフスキーの曲を含む、いくつかのアルバムを出している。 アルチュール・アンセルとピアノ・デュオを結成しており、最初の録音であるチャイコフスキー集は大きな反響を呼び、ヨーロッパとロシアの主だった音楽祭やコンサートホールで演奏し、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団とも協奏曲を演奏した。セカンド・アルバムは2014年に発売されたが、これは有名レーベルのメロディアによるソビエト連邦崩壊後初の単独プロデュースであり、プロコフィエフのバレエ音楽より「2台ピアノのための組曲集」が収録されている。
異なる芸術分野との共演にも情熱を注いでおり、ベルリンスキー財団を設立し、芸術的な遺産の保護、忘れ去られた作品の再評価、演奏家同士の交流の推奨を行っている。また、いくつかの音楽祭を主催しており、その一つである「パリの音楽の春」では数年に渡って街の音楽祭で主要な役割を務めている。現在、新しい音楽祭である「ラ・クレ・デ・ポルト(門の鍵)」の芸術監督に就任し、ロワール渓谷の魅力を最大限に引き出している。

©Charlotte Defarges
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ピアノ:リュドミラ・ベルリンスカヤ Piano:Ludmila Berlinskaia

■曲目解説

4 つの厳粛な歌 (ヴィオラ&ピアノ版)

原曲はバスとピアノのための歌曲で、テキストはルター訳『 聖書』から採られている。ブラームスにとって最後の誕 生日となった 1896 年 5 月 7 日に完成。その少し前の 3 月 26 日、クララ・シューマンが脳出血で倒れ、完成直後の 5月 20 日に亡くなっている。よって本作は、自らの死を予感したブラームスの「辞世の曲」とも言われている。


第 1 曲では重く暗いアンダンテのモチーフに躍動的なアレグロが続く。第 2 曲では沈み込むような音型が苦悩を連想させる。第 3 曲はさらに沈鬱な曲調となるが、第 4 曲では一転して長調となり、起伏に富んだ伸びやかな旋律が紡 ぎ出される。

ヴィオラ・ソナタ

ブラームスはその晩年、名クラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルトの演奏から強いインスピレーションを受け、ク ラリネットの名曲を立て続けに発表した。なかでも 1894 年に作られた 2 曲のクラリネット・ソナタは、ブラームスにとって の最後のソナタであり、作曲家自身によってヴィオラ版にも編曲された。


《第 1 番》 の第 1 楽章ではピアノによって暗い情熱に満ちた主題が提示され、それにむせび泣くようなヴィオラの旋 律が続く。第 2 楽章は緩徐楽章、第 3 楽章はレントラー風の穏やかな間奏曲だが、第 4 楽章ではヴィオラの快活な旋 律が聴かれ、華やかなフィナーレをむかえる。


情熱的な《第 1 番》とは対照的に《第 2 番》は終始穏やかな表情を持つ。優美な主題で始まる第 1 楽章は温かさと優しさに満ちている。第 2 楽章はスケルツォに近い間奏曲で、ヴィオラによって哀愁漂う旋律が奏でられる。第 3 楽章はブラームスが得意とした変奏曲形式で、抒情的な主題に 5 つの変奏が続く。

11 のコラール前奏曲より (ヴィオラ&ピアノ版)

原曲はオルガン曲で、クララの死後、ブラームスが取り組んだ唯一の楽曲であり、ブラームスの遺作でもある。1856 年のオルガン曲 《 前奏曲とフーガ イ短調》はクララに献呈されたが、本作もまたクララのために書かれたと考えられ る。ブラームスはこの曲集を書くことによって、自らの生涯を振り返り、静かにその幕を閉じたのかもしれない。極めて 古典的な書法のなかに、晩年のブラームスならではの枯淡の境地が感じられる。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:ロシア連邦大使館

※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

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