PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

ミュージアム・コンサート藤木大地(カウンターテナー)& 大萩康司(ギター )

プログラム詳細

© 青柳 聡
■日時・会場
2014.3.28 [金] 18:30開演(18:00開場)[約90分]
※ この公演は終了いたしました。
国立科学博物館 日本館講堂

■出演
カウンターテナー:藤木大地 [インタビュー]
ギター:大萩康司

■曲目
ダウランド:
 恋人が泣くのをみた speaker.gif[試聴]
 流れよ、わが涙(ギター・ソロ)
 暗闇に住まわせておくれ speaker.gif[試聴]
 きたれもう一度、甘き恋 speaker.gif[試聴]
コルベッタ:シャコンヌの気まぐれ(ギター・ソロ)speaker.gif[試聴]
パーセル:しばしの間の音楽 speaker.gif[試聴]
スカルラッティ:すみれ speaker.gif[試聴]
J.S.バッハ:ロンド風ガボット(ギター・ソロ)
モーツァルト:
 春への憧れ K.596 speaker.gif[試聴]
 すみれ K.476 speaker.gif[試聴]
 夕べの想い K.523 speaker.gif[試聴]
ソル:《魔笛》の主題による変奏曲 op.9(ギター・ソロ)speaker.gif[試聴]
シューベルト:
 春の夢(《冬の旅》より)speaker.gif[試聴]
 死と乙女 D.531 speaker.gif[試聴]
 挨拶を送ろう D.741 speaker.gif[試聴]
 野ばら D.257 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
シューマン:献呈
ヘンデル:オンブラマイフ
ロンドンデリーの歌(アイルランド民謡)

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

カウンターテナー:藤木大地 Daichi Fujiki 2012年、第81回日本音楽コンクール声楽部門第1位。権威ある同コンクールにおいて、史上初めてカウンターテナーが優勝したことは、大きな話題となった。
その後、13年5月にボローニャ歌劇場に開場250周年記念として上演されたグルック《クレーリアの勝利》マンニオ役に抜擢されてデビュー。続いて6月には同劇場で▼続きを見る バッティステッリ《イタリア式離婚狂想曲》カルメロ役で出演。
バロックからコンテンポラリーまで、幅広いレパートリーで国際的な活動を展開する、現在最も注目を集めるアーティストのひとりである。
2002年東京藝術大学卒業。2005年新国立劇場オペラ研修所修了。文化庁派遣芸術家在外研修員としてイタリア・ボローニャ、ロームミュー ジックファンデーション奨学生としてウィーンに留学。
2003年に新国立劇場公演《フィガロの結婚》(ウルフ・シルマー指揮)クルツィオ役でテノール歌手としてデビュー後、メルボルン・インターナ ショナル・アーツ・フェスティバル(オーストラリア)における世界的舞踏家・勅使川原三郎氏の公演「Green」への客演や、シュタイアー音楽祭(オーストリア)での《椿姫》《カルメン》、神奈川フィルハーモニー管弦楽団との《バスティアンとバスティエンヌ》(井上道義指揮)、九州交響楽団との《第九》テノールソロ(小泉和裕、現田茂夫、山田和樹指揮)など、テノール歌手としての国内外での演奏活動の一方で、コンサートプロ デュース、ウィーン国立歌劇場におけるオペラ制作についての研修、ウィーン国立音楽大学大学院での文化経営学の研究など、多彩に活動する。
2011年に歌手活動をカウンターテナーに転向。同年11月、ローマ国際宗教音楽コンクール2011にてファイナリストとなる。
2012年、第31回国際ハンス・ガボア・ベルヴェデーレ声楽コンクールにてオーストリア代表として2年連続で選出され、世界大会でファイナリストとなり、ハンス・ガボア賞を受賞した。
同年秋、アイルランドにて2都市でのソロリサイタルに招聘されたほか、2013年にはダブリンでヘンデル作曲《メサイア》、ペルゴレージ作曲《スターバト・マーテル》のアルトソロを歌うなど、活躍の場を広げている。
今後は日生劇場でのライマン作曲《リア》エドガー役(下野竜也指揮/読売日本交響楽団)、オーケストラ・アンサンブル金沢との国内4都市で のニューイヤーコンサート(井上道義指揮)、九州交響楽団(黒岩英臣指揮)、東京フィルハーモニー交響楽団(小林研一郎指揮)との《第九》アルトソロ、また国内各地でのソロリサイタルが予定されている。
声楽を鈴木寛一、マイケル・チャンスなど諸氏に師事。
宮崎県出身、ウィーン在住。

© K. Miura ▲プロフィールを閉じる

カウンターテナー:藤木大地 Daichi Fujiki

ギター:大萩康司 Yasuji Ohagi 高校卒業後にフランスに渡り、パリのエコール・ノルマル音楽院、パリ国立高等音楽院で学ぶ。1998年、ギター国際コンクールとして世界最高峰とされるハバナ国際ギター・コンクールにて第2位及び審査員特別賞(レオ・ブローウェル賞)を受賞。2002年から4年間、イタリアのシエナで開かれるキジアーナ音楽院でオスカー・ギリアに師事し、4年連続最優秀ディプロマを取得。
▼続きを見る 2003年に行ったワシントン・ケネディ・センターでの初公演は、インターネットにより全世界に同時配信された。2005年にはキューバの音楽見本市「CUBADISCO 2005」にクラシック・ギタリストとしては日本人で初めて招聘され、キューバ国立交響楽団(セナイダ・ロメウ指揮)とアランフェス協奏曲を演奏し、大成功を収めた。2006年にはコロンビアのボゴタで開催された「コンペンサール・ギターフェスティバル」に招聘され、ソロ・リサイタルが熱狂的な支持を得た。2007年韓国、2008年台湾でのリサイタルも実現。
2010年にはキューバにてオルケスタ・シンフォニカ・ナシオナル創立50周年の記念コンサートに招聘され、ピアソラ「ギターとバンドネオンのための二重協奏曲」を演奏し、好評を博した。同年、フルート、ヴァイオリンとのトリオで国際交流基金によるカナダ5都市ツアーに参加したほか、上海でのギター・フェスティバルにも招聘された。また、台湾ではロドリーゴ「アンダルシア協奏曲」、レオ・ブローウェル「ジスモンチアーナ」を披露するなど、世界各地に活躍の幅を広げている。
2000年にビクター・エンタテインメントからCDデビュー。これまでに12枚のCDおよび2枚のDVDをリリースしている。
ルネサンスから現代曲まで多彩なレパートリーを持ち、ソロ、室内楽、協奏曲と幅広く取り組んでいる。ジャズ・ギタリストの渡辺香津美、小沼ようすけらとの共演や、東京シティ・バレエ団、ダンサーの近藤良平とのコラボレーションなど、ジャンルを超えた活動を展開し、TV、ラジオ、雑誌での露出も多数。
ギターをアルベルト・ポンセ、福田進一、エドゥアルド・フェルナンデス、ウィリアム・カネンガイザー、オリヴィエ・シャッサン、キャレル・アルムス、中野義久、萩原博の各氏に、ソルフェージュを山田順之介、リュート、テオルボ、バロック・ギターをエリック・ベロックの各氏に、室内楽をラスロ・アダディ氏に師事。
第6回ホテルオークラ賞、第18回出光音楽賞受賞。宮崎県生まれ。

公式ブログ http://ohagiyasuji.cocolog-nifty.com/ ▲プロフィールを閉じる

ギター:大萩康司 Yasuji Ohagi

■曲目解説

ダウランドの歌曲
 英国エリザベス朝のリュート奏者・作曲家ジョン・ダウランドが書いたリュート伴奏付きの歌曲は、そのほとんどが4巻の歌曲集に収められており、ダウランドの生前に出版されている。「恋人が泣くのをみた」は、1600年出版の歌曲集第2巻所収。美しい人の涙が湛える甘美なメランコリーを歌う。同じく第2巻所収の「流れよ、わが涙」は、ダウランドの作品中もっとも親しまれている曲。冒頭4つの下降音が「涙のモチーフ」として知られ、切ない憂いを表現している。「暗闇に住まわせておくれ」は、ダウランドの息子ロバートが編纂し、1610年に出版された歌曲集《音楽の饗宴》所収。深い絶望に打ちのめされたような詩に、穏やかな哀しみに満ちた旋律が付けられている。「来たれもう一度、甘き恋」は、1597年出版の歌曲集第1巻所収。つれない女性を相手に、めげないで愛を呼びかける明るい歌である。

コルベッタ:シャコンヌの気まぐれ(ギター・ソロ)
 フランチェスコ・コルベッタは17世紀に活躍したイタリア出身のギター奏者・作曲家。シャコンヌはスペイン由来とも言われる古い3拍子の舞曲だが、17~18世紀バロック音楽の時代には、その変奏曲を書くことが流行した。この曲もシャコンヌを主題とした古典的な香りのする素朴な小品である。

パーセル:しばしの間の音楽
 ソフォクレスの悲劇にもとづいたドライデンとリーの舞台作品『オイディプス』の劇中歌として1692年に書かれた。歌詞はドライデンによる。預言者テイレシアスの不吉な託宣の場面で、しばし楽の音に身を委ねよという歌だが、あとに続く悲劇を予感させるような美しさがある。

スカルラッティ:すみれ
 ナポリ楽派の代表的な作曲家アレッサンドロ・スカルラッティが1694年に書いた歌劇《ピッロとデメートリオ》の中で歌われるアリア。高貴な女性をすみれに喩えて歌う可憐なメロディは、イタリア古典歌曲の珠玉の名品として演奏機会も多い。

J.S.バッハ:ロンド風ガヴォット(ギター・ソロ)
 バッハ《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番》第3楽章のガヴォット・アン・ロンドーは、その明朗な旋律が愛され、単独で演奏されることも多い。このパルティータ第3番は、バッハ自身によりリュート組曲にも編曲されている。

モーツァルトの歌曲
 「春への憧れ」は、モーツァルトの最晩年1791年に生まれた作品。オーヴァーベックによる詩で、緑萌える5月を夢見るこの曲は、春を待ちわびる歌でもある。「すみれ」は、1785年に書かれたモーツァルト唯一のゲーテ歌曲。羊飼いの少女に想いを寄せるすみれの姿が、愛らしいメロディに乗せて歌われるのだが、その結末は……。「夕べの想い」は、モーツァルトの歌曲の中でも有名なものの1つ。人生の終焉に関する瞑想的な詩は、詩人カンペの作と言われている。深い哀愁がこもるこの歌は1787年、モーツァルトの父レオポルトが亡くなった翌月に作曲された。

ソル:《魔笛》の主題による変奏曲(ギター・ソロ)
 モーツァルトの歌劇《魔笛》第1幕でモノスタトスたちが歌うメロディを主題として5つの変奏が繰り広げられ、華やかなコーダで終わる。スペインのギター奏者・作曲家フェルナンド・ソルが書いたこの曲は、1821年に出版された。

シューベルトの歌曲
 「春の夢」は、1827年に書かれた連作歌曲集《冬の旅》の第11曲。歌詞はミュラーによる。暗澹とした世界観を持つこの歌曲集ではめずらしく明るい曲調で始まる。美しき春の夢、しかしそれは冷たく暗い冬の世界で夢見る幻想なのである。「死と乙女」は1817年、シューベルト20歳の時に作曲された。クラウディウスの詩により、少女と死との対話が描かれる。この重々しく悲劇的な情感にあふれた曲を、のちにシューベルトは弦楽四重奏曲第14番の第2楽章で変奏曲の主題に用いた。「挨拶を贈ろう」は、リュッケルト『東方のばら』の詩に1822年、付曲された。優雅なワルツ風の伴奏に乗せて、恋人に贈る情熱的な挨拶を歌った曲である。「野ばら」は、歌曲「魔王」と同じ1815年に作曲された永遠の名唱歌。このゲーテの詩には様々な作曲家が付曲している。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館

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