東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-
ミュージアム・コンサート秦 茂子 ソプラノ・リサイタル
プログラム詳細
2014.3.18 [火] 14:00開演(13:30開場)※ この公演は終了いたしました。
国立科学博物館 日本館講堂
■出演
ソプラノ:秦 茂子
ピアノ:佐野隆哉
■曲目
フォーレ:
ネル op.18-2

イスパーンの薔薇 op.39-4

月の光 op.46-2

ひめやかに op.58-2

ばら op.51-4

夢のあとに op.7-1

ドビュッシー:
《前奏曲集 第1集》より「亜麻色の髪の乙女」(ピアノ・ソロ)

ショーソン:はちすずめ op.2-7

アーン:クロリスに

カプレ:からすときつね(《ラ・フォンテーヌの寓話》より)

ルコック:オオカミと子羊(《ラ・フォンテーヌの寓話》より)
オッフェンバック:アリとセミ(《ラ・フォンテーヌの寓話》より)
クィルター:
もう泣いてくれるな op.12-1

赤い花びら、優しく眠る op.3-2

プーランク:
即興曲 第15番 ハ短調《エディット・ピアフに捧ぐ》(ピアノ・ソロ)

愛の小路(ピアノ・ソロ)
中田喜直:
たんぽぽ

さくら横ちょう

サルビア
歌をください
[アンコール]
高田三郎:くちなし
さくらさくら
【試聴について】

プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。
出演者
ソプラノ:秦 茂子 Shigeko Hata 福島県出身。国立音楽大学卒業、昭和音楽大学大学院オペラ科修了。2001年渡仏。フランス国立高等音楽院を満場一致の首席で卒業、同音楽院第三課程で研鑽を積む。2005年、エクサン・プロヴァンス音楽祭アカデミーに参加。2008年にエコール・ノルマル音楽院高等演奏家ディプロム取得。これまでに、横山由美子、吉沢祐江、秋山理恵、ペギー・ブヴレ、スーザン・マノフ、
ピアノ:佐野隆哉 Takaya Sano
ダイナミックにして繊細。天性のイマジネーションから織りなす「色彩感」と「叙情性」に満ちた"実力派"ピアニスト。
1980年東京生まれ。都立芸術高校、東京芸術大学を経て、同大学院修士課程を修了。2005年に渡仏後、パリのスコラ・カントルム高等課程を最優秀で修了。
フォーレの歌曲
「ネル」は、フランス高踏派の詩人ルコント・ド・リールの詩に1878年、付曲された。「イスパーンの薔薇」も同じくルコント・ド・リールの詩に1884年、付曲。印象的なピアノ伴奏と、息を呑むほどに美しい旋律が胸を打つ。「月の光」は1887年に書かれ、ヴェルレーヌの詩に集中的に付曲するきっかけとなった作品でもある。「ひめやかに」も、ヴェルレーヌの詩による。1891年に書かれたフォーレの最初の連作歌曲集《5つの歌曲「ヴェネツィア」》に収められており、官能的な沈黙に身を委ねるような歌である。「夢のあとに」は、フランスの詩人ロマン・ビュシーヌの詩に付曲されたもの。1865年に書かれたフォーレ初期の作品だが、馥郁たる抒情の香を湛えている。
ドビュッシー:《前奏曲集 第1集》より「亜麻色の髪の乙女」
1910年に完成した《前奏曲集第1集》の第8曲にあたる本曲は、ドビュッシーのなかでもよく知られた作品の1つだろう。ルコント・ド・リールの同名詩のイメージをもとに書かれたと思われる。ドビュッシーの古い未発表歌曲に同じ旋律が残されている。
ショーソン:はちすずめ
ショーソンが初めて手がけた歌曲集《7つの歌曲》所収。1882年に書かれたこの作品は、ルコント・ド・リールの官能的な詩にふさわしい音楽が付されている。
アーン:クロリスに
17世紀バロック時代の詩人テオフィル・ド・ヴィオーの詩に1910年、付曲された。バロック風の前奏が印象的なアーンの代表的歌曲。その甘美な旋律は師マスネ譲りであろうか。
《ラ・フォンテーヌの寓話》より
17世紀フランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌが書いた「寓話」は、人間社会を戯画化したもので、フランスの作曲家たちの想像力を大いに刺激した。多岐にわたるジャンルに印象主義的な作品を残したカプレの「カラスときつね」、オペラやオペレッタで活躍したルコックの「オオカミと子羊」、ドイツに生まれパリで活躍したオッフェンバックの「アリとセミ」等、いずれも流麗なフランス語の響きを音楽に乗せて楽しめる歌曲となっている。
クィルターの歌曲
「もう泣いてくれるな」は《7つのエリザベス朝の叙情曲集》のなかの1曲。作詞者不詳だが、この詩には様々な作曲家が付曲している。「赤い花びら、優しく眠る」は、アルフレッド・テニスンの詩による。夜の庭の、静謐な情景を歌う。
プーランク:即興曲 第15番《エディット・ピアフに捧ぐ》
全15曲からなる《15の即興曲》所収。その最後を飾る本曲は、フランスの高名なシャンソン歌手エディット・ピアフに捧げられたもので、1959年の夏に書かれた。哀愁のパリを感じさせるメロディが心に響く。
プーランク:愛の小径
本来はピアノ伴奏付きの独唱歌曲であり、シャンソンの趣が濃厚に香る作品である。ジャン・アヌイの舞台作品『レオカディア』の劇中歌として1940年に書かれた。
中田喜直の歌曲
「たんぽぽ」は三好達治の詩。頬を撫でる春風のようなピアノ伴奏に乗って、あと幾たび、タンポポの咲く春を迎えることができるだろうか、と哀しみが歌われる。「さくら横ちょう」は加藤周一の詩による。春宵のさくらに感じるひんやりとした美しさ、その美しさは追憶と一体になっている。「サルビア」は、堀内幸枝の詩。サルビアの真紅が呼び起こす激しい感情を語りかけるように歌う。「歌をください」は、渡辺達生の詩。この世界の希望と平和への真摯な祈りの歌である。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館 協力:タカギクラヴィア株式会社