PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2014-

偉大な芸術家の思い出に
~漆原啓子、向山佳絵子、野平一郎

プログラム詳細

© 堀田力丸
■日時・会場
2014.3.30 [日] 15:00開演(14:30開場)※ この公演は終了いたしました。
上野学園 石橋メモリアルホール

■出演
ヴァイオリン:漆原啓子 [インタビュー]
チェロ:向山佳絵子
ピアノ:野平一郎

■曲目
ドビュッシー:
 チェロとピアノのためのソナタ speaker.gif[試聴]
 子どもの領分 speaker.gif[試聴]
ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ speaker.gif[試聴]
チャイコフスキー:
ピアノ三重奏曲 イ短調 op.50《偉大な芸術家の思い出に》speaker.gif[試聴]
[アンコール]
ラフマニノフ:ヴォカリーズ

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ヴァイオリン:漆原啓子 Keiko Urushihara 1981年、東京藝術大学附属高校在学中に、第8回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールにおいて最年少18歳、日本人初の優勝と6つの副賞を受賞した。その翌年、東京藝術大学入学と同時に本格的演奏活動を開始。1986年ハレー・ストリング・クァルテットとして民音コンクール室内楽部門で優勝並びに齋藤秀雄賞を受賞。これまで、国内外での演奏旅行、TV出演、海外主要音楽祭、 ▼続きを見る マスタークラス等に多数出演。国内では特に木曽音楽祭、宮崎国際音楽祭等に毎年出演している。また、ウラディーミル・スピヴァコフ、エルヴィン・ルカーチ、イルジー・ビエロフラーヴェク、フェルディナント・ライトナー、ハインリヒ・シフ等の指揮者や、ハンガリー国立交響楽団、スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン放送交響楽団等のオーケストラと共演し、賛辞を浴びた。日本国内の主要オーケストラとの共演の他、リサイタル、室内楽でも高い評価を得ている。2011年にデビュー30周年を迎え、自身初となるJ.S.バッハの無伴奏録音を日本アコースティックレコーズよりリリース。「レコード芸術」特選盤に選ばれた。各地で30周年を記念したリサイタルや室内楽の公演に出演し、10月に行われた浜離宮朝日ホールでのリサイタル(共演:小林道夫/オール・バッハ・プログラム)は特に高く評価された。2012年「東京・春・音楽祭」では、ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタを一日で全曲演奏。各方面より注目を浴びた。なお、新譜CDは、10月に『チャイコフスキー&アレンスキー:ピアノ三重奏曲』をリリースの予定。期待が高まっている。常に第一線で活躍を続け、安定した高水準の演奏は音楽ファンのみならず、指揮者、オーケストラ・メンバー等の音楽家の間でも非常に高い信頼を得ている。東京藝術大学を経て、現在は国立音楽大学客員教授、桐朋学園大学特任講師として後進の指導にも力を注いでいる。

© 篠原栄治 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:漆原啓子 Keiko Urushihara

チェロ:向山佳絵子 Kaeko Mukoyama 東京生まれ。松波恵子、堀江泰氏、レーヌ・フラショー、毛利伯郎の各氏に師事。1985年、第54回日本音楽コンクール第1位入賞。東京芸術大学を経て1990年、ドイツ・リューベック国立音楽大学に留学し、ダヴィド・ゲリンガスに師事。同年、第10回ガスパール・カサド国際チェロ・コンクール第1位入賞。1988年、第3回アリオン賞審査委員奨励賞受賞。1992年、第2回出光音楽賞受賞。
▼続きを見る カザルスホールでの「向山佳絵子とチェロの世界」シリーズや、東京オペラシティでの連続リサイタル、各地の音楽祭への参加、JTアートホール室内楽シリーズのプランナー、ハレー・ストリング・カルテットの一員などとして活躍し、常に話題を集めている。
また、世界の一流演奏家との共演も数多くこなす一方、NHK交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、水戸室内管など数多くのオーケストラとも共演している他、リサイタル、室内楽にと多彩な演奏活動を繰り広げている。1998年にはNHK-FMの人気番組「おしゃべりクラシック」のパーソナリティをつとめ、広い層からの支持を得た。その後もNHK-FMには度々出演、特番の司会や、生放送でリスナーのリクエストに応える等特に話題となった。最近では企画の公演が、BSクラシック倶楽部等テレビでも放送されている。
録音はソニーより「バッハ無伴奏チェロ組曲全曲」ほか5枚のCDが発売されており、収録曲はNHKスペシャルやドラマのテーマ曲、TVCM曲などに使用されている。カメラータ・トウキョウからは池辺晋一郎と三善晃のチェロ協奏曲のCDもそれぞれ発売されているほか、日本コロムビア、日本アコースティックレコーズから室内楽も発売されている。2013年5月には、企画する公演のライブ録音『ミラクル・チェロ・アンサンブル-12人のチェロ・アンサンブル-』がEXTONよりリリースされた。
現在、東京芸術大学非常勤講師として後進の指導を務める傍ら、NHK交響楽団首席奏者も務めるなど、日本を代表する実力派チェリストとして今後の活躍が大いに期待されている。

公式サイト http://kaekomukoyama.jimdo.com/

© 大窪道治 ▲プロフィールを閉じる

チェロ:向山佳絵子 Kaeko Mukoyama

ピアノ:野平一郎 Ichiro Nodaira 1953年生まれ。東京藝術大学、同大学院修士課程作曲科を修了後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に学ぶ。作曲、ピアノ、指揮、プロデュース、教育等の多方面に渡る活動を行う。ピアニストとしては国内外のオーケストラにソリストとして出演する一方、多くの内外の名手たちと共演し、室内楽奏者としても活躍。古典から現代までレパートリーは幅広い。▼続きを見る マヌリやベンジャミン、松平頼則の作品を世界初演。リゲティ、武満徹作品他の日本初演を行う。また、東京シンフォニエッタの初代代表を務めた。80曲以上に及ぶ自らの作品の中にはフランス文化省、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、IRCAM、ベルリン・ドイツ交響楽団、国立劇場その他からの委嘱作品がある。2002年に東京でエレキギター協奏曲《炎の弦》をステーヴ・ヴァイのソロで、また05年にはドイツでオペラ《マドルガーダ》をケント・ナガノ指揮で、06年には東京でチェロとオーケストラのための《響きの連鎖》を初演。12年6月パリでサクソフォーンとコンピュータのための《息の道》を世界初演。第12回中島健蔵音楽賞(1996)、第35回サントリー音楽賞(2004)、第55回芸術選奨文部科学大臣賞(2005)、紫綬褒章(2012)、尾高賞(1996、2013)を受賞。現在、静岡音楽館AOI芸術監督、東京藝術大学作曲科教授。

公式サイト http://ichironodaira.com/ ▲プロフィールを閉じる

ピアノ:野平一郎 Ichiro Nodaira

■曲目解説

ドビュッシー:チェロとピアノのためのソナタ
 ドビュッシーは最晩年、6曲のソナタをまとめて出版するという構想を抱いていた。計画は、彼の死により実現されなかったが、結果的に3曲のソナタが残された。このチェロ・ソナタはそのひとつで、1915年に書かれ、ソナタ集の第1曲になるはずだった。演奏時間10分前後の短い曲だが、洗練された楽想を有している。

ドビュッシー:子どもの領分
 全6曲の小品からなる、独奏ピアノのための組曲《子どもの領分》は、1906~08年に作曲され、愛娘のクロード=エマ(シュシュ)に捧げられた。全曲中、最も有名な第6曲にはワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》からの引用がある。

ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
 1923年に着手されたが、完成には4年の月日を要した。初演は1927年、ジョルジュ・エネスコのヴァイオリンとラヴェルのピアノによって行なわれた。なお、本曲を献呈されたのは、女性ヴァイオリン奏者のエレーヌ・ジュルダン=モランジュ(彼女はもともと初演者として予定されていたが、病を患ってその任を果たせなかった)。
 不思議な透明感に満たされる第1楽章、ジャズへの関心が表れた第2楽章、そして第3楽章「無窮動」では、ヴァイオリンが息をつく間もなく軽やかに躍動する。

チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲《偉大な芸術家の思い出に》
 チャイコフスキー作品に対する信頼できる助言者であり、かけがえのない友人でもあったニコライ・ルビンシテインは、1881年にパリで没した。翌年、その死を悼んで書かれたのがこの作品で、ニコライの没後1周年に初演された。
 2楽章構成になっているが、第2楽章は「主題と変奏」と「最終変奏とコーダ」に分かれ、実質的には後者が終楽章の役割を果たしている。全曲を通して、友を喪った悲しみと、その友を追想するような優しさに満ちた音楽である。第2楽章では、生前の友に関するエピソード主題が11の変奏として奏でられ、力強い最終変奏を経て、コーダでは第1楽章の第1主題が葬送行進曲となって現れ、静かに幕を引く。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 特別協力:上野学園 石橋メモリアルホール

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