PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-

ミュージアム・コンサート「エル・グレコ」展 記念コンサート
vol.1 スペイン音楽紀行 ~松山冴花(ヴァイオリン)

スペイン三大画家のひとりとして人気の高いエル・グレコ展に因んで、ヴァイオリンや同時代の楽器と唄による、スペイン音楽をお届けします。エル・グレコが生きた時代やスペインの空気を彷彿とさせる音楽をお楽しみください

プログラム詳細

2013:03:15:14:00:00

© 青柳 聡
■日時・会場
2013.3.15 [金] 14:00開演(13:30開場)[約60分]
東京都美術館 講堂

■出演
ヴァイオリン:松山冴花
ピアノ:津田裕也

■曲目
グラナドス(クライスラー編)
 アンダルーサ ホ短調 op.37-5(《スペイン舞曲集》より)speaker.gif[試聴]
アルベニス(クライスラー編)
 タンゴ op.165-2(《スペイン》より) speaker.gif[試聴]
ファリャ:
 スペイン舞曲 speaker.gif[試聴]
 スペイン民謡組曲 speaker.gif[試聴]
トゥリーナ:ナバロへのオマージュ speaker.gif[試聴]
サラサーテ:
 アンダルシアのロマンス op.22-1(スペイン舞曲集より)speaker.gif[試聴]
 ボレロ op.30 speaker.gif[試聴]
 奇想曲「ロミオとジュリエット」
 序奏とタランテラ op.43 speaker.gif[試聴]
 カルメン幻想曲 op.25 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
サラサーテ:サパテアード

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~「エル・グレコ」展 記念コンサート~

出演者

ヴァイオリン:松山冴花 Saeka Matsuyama 「非の打ちどころのないテクニックと驚くべき芸術性を持ち、元気溢れる、しかし繊細で爽快な音楽を創り上げている」と評された松山冴花は、ソリストとしてはもちろんのこと、リサイタル、室内楽へと活躍が期待されているヴァイオリニストである。日本ではこれまでに、読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、▼続きを見る 東京交響楽団等を始めとする全国各地の主要なオーケストラとしばしば共演、2008年8月には秋山和慶指揮:東京交響楽団とトーマス・アデスのヴァイオリン協奏曲を日本初演、11年6月の名古屋フィルハーモニー交響楽団定期で再演した。また、ピアニストの津田裕也とデュオを組み、仙台クラシックフェスティバル、トッパンホール、津田ホール(東京)、フィリアホール(横浜)、兵庫県立芸術文化センターを始め、日本各地で活発にリサイタルを行っている。また、二人によるCD録音もナミ・レコードで活発に行っており、09年にはフランク:ソナタ、ブラームス:ソナタ第1番他をリリースし、全国9ヵ所で発売記念のリサイタル・ツアーを行った。さらに10年2月には、2枚目のCD『悪魔のトリル:ヴァイオリン・ロマンティック小品集』を、11年3月には「クロイツェルソナタ」他の3枚目のCDをリリースした。11年にはラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに招かれ好評を博し、12年にはナント(フランス)、東京に招かれた。海外では、アメリカ、スペイン、ドイツ、ベルギー、東地中海、アルゼンチンでリサイタルやオーケストラとの共演、07年4月30日にはニューヨークのアリス・タリー・ホール修復記念のためのガラ・コンサートに数多くの著名アーティストとともに出演した。08年にはブラームス・ダブル・コンチェルトでキメル・センターにてフィラデルフィア・デビューを飾った。10年にもフィラデルフィアでブルッフの《スコットランド幻想曲》を演奏した。数多くの著名なコンクールで目覚ましい成功を収めている。エリザベート王妃国際音楽コンクール第4位(2005)、仙台国際音楽コンクール第1位及び聴衆賞(2004)、ハノーファー国際ヴァイオリン・コンクール第2位(2003)、セントルイス交響楽団コンクール大賞(2000)、カール・ニールセン国際音楽コンクール第2位及び特別オーケストラ賞(1999)、第2回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール第2位及びチャイコフスキー作品最優秀演奏者賞(1995)等。また、マールボロ、コンサートマスターを務めたシュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽アカデミー、タングルウッド、イタリア・シエナのキジアーナ音楽院、アスペン、メドウマウント、ミュージック・マスターズ・コースinかずさ(千葉)等、多くの国際的に有名な夏期音楽祭にも参加している。1999年には、初ライブ録音であるカール・ニールセンのヴァイオリン協奏曲がブリッジ・レコーディングスよりリリースされた。80年、兵庫県西宮に生まれ、2歳でヴァイオリンを始める。9歳でニューヨークへ渡り、ジュリアード音楽院のプレ・カレッジでドロシー・ディレイ、ロバート・チェンに師事。プレ・カレッジ卒業後はグレン・ディクトロウ、ロナルド・コープス、マイケル・ギルバートに師事し、2007年ジュリアード音楽院修士課程修了。現在は、アメリカ・日本を中心に積極的にコンサート活動を行っている。

©武藤 章 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:松山冴花 Saeka Matsuyama

ピアノ:津田裕也 Yuya Tsuda 1982年、仙台市生まれ。2001年、第70回日本音楽コンクール第3位。2005年、東京藝術大学を首席卒業、安宅賞、アカンサス音楽賞、同声会賞等、数々の受賞を果たす。2007年、第3回仙台国際音楽コンクールにて第1位、および聴衆賞、駐日フランス大使賞を受賞。同年、仙台市より「賛辞の楯」を、宮城県より芸術選奨新人賞を授与される。▼続きを見る 2010年、東京藝術大学大学院修士課程を首席修了、併せてクロイツァー賞を受賞。2011年ベルリン芸術大学を最優秀の成績で卒業、現在同大学国家演奏家コースに在籍。ローム・ミュージック・ファンデーション奨学生。 ソリストとしてベルリン交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、広島交響楽団、ドイツ室内管弦楽団等と共演。東京、仙台、新潟でソロリサイタルを開催する他、NHK-FM「名曲リサイタル」、仙台クラシックフェスティバルへの出演、2010年からはドイツ各地でもソロリサイタルを開催、地元紙にて好評を博す。SIMCレーベルよりソロアルバム『悲愴、さすらい人幻想曲』を発売。 室内楽活動にも積極的で松山冴花氏とデュオを組み、ナミレコードより3枚のCDをリリース。また、ジェラール・プーレ、堀米ゆず子、漆原啓子、漆原朝子、山崎伸子の各氏と共演している。ヴァイオリン白井圭、チェロ門脇大樹とともにピアノトリオ「Accord」を結成し、東京、札幌、九州を始め国内各地で演奏。 これまでにパスカル・ドヴァイヨン、ガブリエル・タッキーノ、ゴールドベルク山根美代子、角野裕、渋谷るり子の各氏に、室内楽をゴールドベルク山根美代子、田中千香士、河野文昭、山崎伸子の各氏に師事。

©武藤 章 ▲プロフィールを閉じる

ピアノ:津田裕也 Yuya Tsuda

■曲目解説

グラナドス(クライスラー編):アンダルーサ
 作曲家エンリケ・グラナドスは、ピアニストでもあり、スペイン情緒溢れるピアノ作品を数多く書いた。「アンダルーサ」はグラナドスが20代の頃に書いた作品で、全12曲からなる《スペイン舞曲集》の中で最も親しまれている曲。その哀愁を帯びた美しい旋律は、様々な楽器に編曲されている。

アルベニス(クライスラー編):タンゴ
 作曲家イサーク・アルベニスもまた、優れたピアニストであり、わずか4歳でプロデビューしたと言われるほどの神童だった。1890年に編まれた組曲《スペイン》は、彼の代表的なピアノ作品で、「タンゴ」はその第2曲。アルゼンチン・タンゴとはまた違って、ゆったりとした、古風な気品を持つタンゴである。

ファリャ(クライスラー編):スペイン舞曲
 1905年に書かれた1幕ものの歌劇《はかない人生》は、近代スペインを代表する作曲家マヌエル・デ・ファリャの出世作で、物語は古都グラナダを舞台にしている。「スペイン舞曲」は劇中で用いられる曲で、いかにもファリャらしい濃厚なスペイン情緒に満ち、独立した作品として演奏されることが多い。

ファリャ(コハンスキ編):スペイン民謡組曲
 全6曲からなる《スペイン民謡組曲》は、ファリャがスペインの古い民謡を集めて書いた声楽作品《7つのスペイン民謡》を、友人でもあるポーランドのヴァイオリニスト、ポール・コハンスキがヴァイオリンとピアノ用に編曲したもの。原曲とは配列も異なり、ヴァイオリンとの相性のせいか、1曲(ムルシア地方のセギディーリャ)が省かれている。

トゥリーナ:ナバラへのオマージュ
 ファリャと並んでスペイン国民楽派の一人として20世紀スペイン音楽界に大きな足跡を残したトゥリーナは、サラサーテ等の先達から受け継ぐ精神の明るさを備えていた。ヴァイオリンとピアノのための《ナバラへのオマージュ》は、晩年の1945年夏に書かれた。ナバラとは、サラサーテの故郷である。

サラサーテの作品
 パガニーニ亡き後、19世紀半ばに現れたヴァイオリン界の巨星、それがパブロ・デ・サラサーテである。スペイン北東部ナバラ州の州都、牛追い祭(サン・フェルミン祭)で有名なパンプローナという町の出身で、ヴァイオリニストとして幼少の頃から神童の名をほしいままにした。その魔術的な技巧は、サン=サーンスやラロ、ブルッフ等の大作曲家を魅了し、彼のために書かれた楽曲も数多に及ぶ。作曲家としても大成し、技巧的なヴァイオリン作品をいくつも書いている。
 「アンダルシアのロマンス」は、全6曲からなる《スペイン舞曲集》の第3曲。アンダルシア地方の民謡旋律2つを主題に用いている。ピアノが特徴的なリズムを刻む冒頭から心を揺さぶるようなアンダルシアの旋律が流れ出す。「ボレロ」は、大らかに跳ねるリズムで明るい雰囲気に満ち、サラサーテ得意の技巧が聴きどころの1曲。ジャック=ティボーの師でもあるパリ音楽院の名教師マルティン・マルシックに捧げられた。「グノーの《ロメオとジュリエット》による演奏会用幻想曲」は、グノーの歌劇の中でも最も成功した《ロメオとジュリエット》(1867年初演)に基づいて書かれた演奏会用ピース。サラサーテの小品には珍しく、技巧よりも美しい旋律を歌うことに重点が置かれている。「序奏とタランテラ」は、南イタリア・ナポリの速いテンポの舞曲タランテラのリズムによって書かれた技巧的な作品。タランテラの由来は、一説には毒蜘蛛タランチュラに刺されると毒抜きのために踊り続けなければならなかったところにあるという。タランテラに先立って甘美なモデラートの序奏がついている。「カルメン幻想曲」は、ビゼーの歌劇《カルメン》(1875年初演)に基づいて1883年に書かれた演奏会用ピース。馴染みのメロディに難易度の高い技巧がふんだんに盛り込まれている。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館 後援:朝日新聞社

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