PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-

ミュージアム・コンサートガラテア弦楽四重奏団 ~スイスを中心に欧州で活躍する精鋭たち

スイスで結成された若き弦楽四重奏団には期待が高まります。国籍も文化も違う若者たちが集い、音楽を深めていく過程を、共に楽しみ、その瞬間に立ち会ってみませんか。

プログラム詳細

2013:04:06:14:00:00

© 堀田力丸
■日時・会場
2013.4.6 [土] 14:00開演(13:30開場)
国立科学博物館 日本館講堂

■出演
ガラテア弦楽四重奏団
  ヴァイオリン:坪井悠佳、サラ・キルヒェンマン
  ヴィオラ:ダヴィッド・シュネーベリ
  チェロ:ジュリエン・キルヒェンマン

■曲目
ハイドン:弦楽四重奏曲 第75番 ト長調 op.76-1 speaker.gif[試聴]
ケルターボーン:弦楽四重奏曲 第6番
ブロッホ:
 前奏曲 speaker.gif[試聴]
 山にて
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 op.10 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
ブロッホ:夜

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~関連コラム~

出演者

ヴァイオリン:坪井悠佳 Yuka Tsuboi 1979年、東京に生まれる。14歳でイギリスのユーディ・メニューイン・スクールに留学。メニューインに認められメニューイン指揮フィルハーモニア・ハンガリカとドイツで共演、またメニューインの80歳記念コンサートやウィグモア・ホールでのコンサートにも出演。パブロ・サラサーテ国際ヴァイオリンコンクール、ロドルフォ・リピツァー賞ヴァイオリンコンクール、ヤマハ奨学金、 ▼続きを見る マイスター奨学金等、数々の賞を受賞。今まで恵藤久美子、フー・クン、アナ・チュマチェンコ、ザハール・ブロン各氏に師事。現在、チューリヒ音楽大学でザハール・ブロン氏のアシスタントを務める。ウィーン・マスタークラス、モーツァルテウム夏期国際音楽アカデミー、エッティンゲン国際ヴァイオリンフェスティバル、チューリヒ・マスタークラス等で教える。 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:坪井悠佳 Yuka Tsuboi

ヴァイオリン:サラ・キルヒェンマン Sarah Kilchenmann 1981年に生まれる。ヴァイオリンをU.ロマナート、G.シュトゥラー各氏に師事し、フリブール音楽院を卒業。2003年よりシュトゥットガルト音楽大学でクリスティーナ・ブッシュ氏に師事し、ソリスト・ディプロマを取得。ピラシカバ青少年器楽コンクール(ブラジル)で第2位入賞。フィリードル・ワルド財団とエル・バンクより奨学金を授与される。▼続きを見る また、スイス青少年オーケストラではセクションリーダーを務め、シュトゥットガルト音楽大学在学中より古楽器のプロジェクトにも積極的に参加する。これまでにティボール・ヴァルガ、ボリス・クシュニール、ミシェル・オークレール各氏のマスタークラスを受講。 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:サラ・キルヒェンマン Sarah Kilchenmann

ヴィオラ:ダヴィッド・シュネーベリ David Schneebeli 1980年クールに生まれる。ヴィオラをニコラス・コルティ氏に師事、チューリヒ音楽大学で演奏家ディプロムを取得する。ガラテア・クァルテットでの活動のみならず、様々なアンサンブルや現代音楽、ジャズのジャンルでも活躍している。2004年ベルンで映画音楽賞を受賞。12年ZKBジャズ賞で第1位受賞。これまでにイゴール・オジム、ピエール・ブーレーズ、今井信子、ブルーノ・ジュランナ各氏のマスタークラスを受講。

ヴィオラ:ダヴィッド・シュネーベリ David Schneebeli

チェロ:ジュリエン・キルヒェンマン Julien Kilchenmann 1979年に生まれる。フリブール音楽院にてチェロを始める。その後チューリヒ音楽大学に進み、チェロをヴァルター・グリマーとロエル・ディエルティエンス各氏に師事。2004年に演奏家ディプロムを取得。これまでにバーナード・グリーンハウス、ダヴィッド・ゲリンガス、ラウレンティウ・スバルセア、アラン・ジュヴロー各氏のマスタークラスを受ける。▼続きを見る 03年ピエール・エ・ルネ・グラソン財団より奨学金を受賞。また、イタリアで行われたミネルビオ国際室内楽コンクールではトリオ部門で優勝。06年ニンク・チェロコンクール(チューリヒ)第1位。 ▲プロフィールを閉じる

チェロ:ジュリエン・キルヒェンマン Julien Kilchenmann

■曲目解説

ハイドン:弦楽四重奏曲 第75番 ト長調 op.76-1
 1797年にハイドンが完成した弦楽四重奏曲集(作品76)の全6曲(第75~80番)は、エルディーティ伯爵のために書かれ、すでに104曲すべての交響曲を書き終えたハイドンの円熟の極みとも言える作曲技法が注ぎ込まれた作品である。今回演奏される《エルディーティ四重奏曲》1曲目の第75番は、思わず口ずさみたくなるほどの旋律主題を持つ第1楽章、美しいレガートの響きにうっとりする第2楽章、スタッカートの鋭利な響きに驚かされる第3楽章を経て、終楽章では、力強いユニゾンによる主題提示の後、対位法的に発展し、最後は3連符の余韻を残して終わる。

ケルターボーン:弦楽四重奏曲 第6番
 スイス・バーゼル出身の作曲家ルドルフ・ケルターボーンは、ボリス・ブラッハーやヴォルフガング・フォルトナーらに師事した経歴の持ち主。今回演奏される作品は2001年に書かれたもので、4楽章構成。速度記号等は記されておらず、第1楽章「4分音符=98-104」、第2楽章「4分音符=60」、第3楽章「4分音符=48」、第4楽章「2分音符=38-42」というように、それぞれの楽章のテンポだけが設定されている。この設定を順守すれば、トータルの演奏時間は16分ほどになる。全楽章は切れ目なく演奏される。

ブロッホ:
 ジュネーヴに生まれ、後にアメリカで活躍したユダヤ人作曲家エルネスト・ブロッホは、自らのルーツに基づいてユダヤ的な精神性を尊重した作品を多く残している。
 「前奏曲」は、1925年、クリーヴランド音楽院の音楽監督を務めた時期も終わりに近づいた頃に書かれたユダヤ色濃厚な小品。副題にはフランス語で《瞑想》と書かれてある。内面の情緒的な葛藤を抑えるかのような、静かな祈りにも似た音楽である。
 「山にて」は、同じくクリーヴランド時代の1924年に書かれた2楽章からなる作品である。副題に《オート=サヴォワ》(スイスアルプスを眺めるフランス南東部の地名)とあるが、実際にこの作品をスケッチしたのは、ニューメキシコ州サンタフェだった。第1楽章「黄昏」は、まるで聳え立つ山嶺に感じる霊的な畏怖を表現したような音楽。第2楽章「田舎の踊り」は賑やかな踊りの音楽と、その踊りの合間にゆったりと流れる時間のように美しい中間部が混じる。

ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 op.10
 この作品は、1893年に完成されたドビュッシーにとって唯一の弦楽四重奏曲である。第1楽章冒頭の第1主題は非常に印象的な旋律を持ち、全楽章に渡って形を変えて循環する。また、自由な形式で書かれているにもかかわらず、それに配される主題群が無理なく整然と置かれ、きわめて自然な統一感を構築している。調性からの呪縛を逃れるためにドビュッシーが取り入れた「旋法」は非常に効果的に作用し、この作品はドビュッシー自身の音楽の方向性を決定づけるものとなった。《牧神の午後への変奏曲》が姿を現すのは、この翌年のことである。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館 後援:スイス大使館

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