HARUSAI JOURNAL春祭ジャーナル

春祭ジャーナル 2013/01/31

アーティスト・インタビュー
~坪井悠佳(ヴァイオリン/ガラテア弦楽四重奏団)

スイスを拠点に活動を続けるガラテア弦楽四重奏団。スイスの作曲家を取り上げるなど、ユニークなレパートリーが注目を集めています。結成のきっかけや選曲のポイントなどを日本人メンバーの坪井悠佳さん(ヴァイオリン)に伺いました。


Tsuboi2013.png ■ガラテア弦楽四重奏団 ~スイスを中心に欧州で活躍する精鋭たち
clm_q.png  結成のきっかけを教えてください
 チェロのジュリアン、ヴィオラのダヴィットとはチューリッヒの芸術大学で一緒でした。それぞれソロを勉強していましたが、近所に住むカルミナ弦楽四重奏団のチェロ奏者シュテファン・ゲルナーさんにカルテットを熱心に進められ、ジュリアンの妹サラを誘ってカルテットを結成。2ヶ月後の4月にはスイス国内で室内楽コンクールがあったので急ピッチで準備を始めました。コンクールでは3位を頂き、そのまま4人で室内楽として活動しています。
 結成するまでは室内楽を本格的に勉強した事はありませんでしたが、以前からやりたいという話はしていたので、ゲルナーさんとコンクールに後押ししてもらった形です。

clm_q.png その後はどんな風に4人で活動しようと決めたのでしょうか
 コンクールでは入賞者へ演奏の機会を与えるために、コンクール側が経費の2/3を負担してくれるのです。企画をする側(主催者)は経費が1/3で済むので、入賞後すぐに国内外で演奏する機会を頂きました。その後、2006年ジュネーヴ国際コンクールに入賞したことを皮切りに日本を含め各国で演奏活動を行うようになりました。
 コンクール直後にお仕事を頂いたことが、4人で先々も続けるきっかけになったと思います。仕事がなかったら、続けるかどうか話し合っていたかもしれません。

clm_q.png ガラテア弦楽四重奏団の良さを教えてください
 私以外の3人はスイス人ですが、それぞれのキャラクターが出せるようにと考えています。楽器のキャラクターもそうですし、個人のキャラクターも演奏に反映させて聴き手に届くようにと思っています。
 昔のカルテットは第1ヴァイオリンがリーダー的な役割を持つことでが多かったと思いますが、リーダーは置かずに音楽作りをしていく中で意見がぶつかる時にはディスカッションをして物事を進めるようにしています。選曲する際も4人で決めますが、今回は日本での演奏会なので、私が中心に決めていいよと言ってもらいました。

clm_q.png 選曲のポイント、聴きどころを教えてください
 スイスのコンクールで入賞した後に演奏会をいくつか開いて頂きましたが、その際プログラムにスイス人の現存する作曲家の作品を取り上げることが条件でした。そのこともあり、私たちのレパートリーにはスイス人の現代作曲家の作品が並んでいます。
 今回は2人のスイス人を取り上げています。ケルターボーンは、日本ではあまり知られていないので紹介したいと思いました。「弦楽四重奏曲第6番」は比較的歌うような旋律が出てきますし、現代音楽らしいエフェクト(効果音)を出すところもあります。ブロッホは、よりクラシック音楽に近い作品を作曲しています。「山にて」はフランスの〈サボア山脈〉という副題がついていて、第2楽章は山の踊りを想像して書かれたような作品です。
 ハイドンは弦楽四重奏曲の中でも有名で明るく、コンサートの1曲目に良いかなと思い選びました。

clm_q.png カルテットの今後の活動は?
 ドイツでの演奏会がいくつか予定されています。また次のレコーディングが夏に控えています。フランスのベルエポック時代の作品を収録しますが、その中には今回演奏するドビュッシーも含まれています。

clm_q.png 今後の活躍が楽しみですね 最後にカルテットを一言で紹介すると?
 「フレッシュでいろんなカラーがあるカルテット」。いろんなカラーとは、人のキャラクターであったりレパートリーであったり。私たちはレパートリーを「この時代を追求する」というより多彩に演奏しようと考えているので、その意味も込めています。


~出演公演~


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