PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-

ボストン響オーボエ奏者 若尾圭介の世界
~モーツァルトとジョン・ウィリアムズ

1990年より20年以上にわたりボストン響で活躍するオーボエ奏者、若尾圭介が東京春祭に初登場。長く親交をもつジョン・ウィリアムズが、彼のために作曲したオーボエ協奏曲、モーツァルトの名旋律を豪華な室内楽でお届けします。

プログラム詳細

2013:04:02:19:00:00

© 青柳 聡
■日時・会場
2013.4.2 [火] 19:00開演(18:30開場)
上野学園 石橋メモリアルホール

■出演
オーボエ:若尾圭介 [インタビュー]
ヴァイオリン:白井 圭、直江智沙子、須山暢大、外園彩香
ヴィオラ:鈴木康浩、西 悠紀子
チェロ:辻本 玲、大宮理人
コントラバス:山崎 実
※当初出演を予定しておりました高宮城 凌は
 本人の都合により出演できなくなりました


■曲目
モーツァルト:
 「恋とはどんなものかしら」(歌劇《フィガロの結婚》より)speaker.gif[試聴]
 「恋を知る男たちは」(歌劇《魔笛》より)
 セレナード 第12番 ハ短調《ナハトムジーク》K.388(五重奏版)speaker.gif[試聴]
ジョン・ウィリアムズ:
 「テーマ」( 映画《シンドラーのリスト》より)speaker.gif[試聴]
 オーボエ協奏曲
[アンコール]
ヘンデル:ラルゴ

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

オーボエ:若尾圭介 Keisuke Wakao ボストン交響楽団準首席オーボエ奏者。ボストン・ポップス・オーケストラ首席オーボエ奏者。1990年、ボストン交響楽団準首席及びボストン・ポップス・オーケストラ首席オーボエ奏者に就任、現在に至る。88年、創立の年よりマイケル・ティルソン・トーマス率いるニュー・ワールド交響楽団にて首席オーボエ奏者。89年、秋山和慶指揮、東京交響楽団との共演を始め各地での ▼続きを見る オーケストラとの共演、また97年、東京での初リサイタル以降、ソリストとしても幅広く活躍している。98年、札幌のパシフィック・ミュージック・フェスティバルでピアニスト、クリストフ・エッシェンバッハとのリサイタルを開催。87年マンハッタン音楽院卒業後、同音楽院で教鞭をとる。元ニューヨーク・フィルハーモニック首席オーボエ奏者、ジョゼフ・ロビンソン、新松敬久、佐藤順子、小島葉子、元ボストン交響楽団首席奏者であるラルフ・ゴンバーク、同準首席アルフレッド・ジョナベスの各氏に師事。88年より「若尾圭介オーボエキャンプ」を主宰、ロンジー音楽院、ニューイングランド音楽院で教鞭をとる。昨今の活動としては、代官山ヒルサイドテラス音楽祭音楽監督、ボストン郊外リディーマー教会コンサートシリーズ、ヴェントフォート夏の室内楽シリーズ(マサチューセッツ州レノックス)、日本アメリカ交流コンサートをそれぞれプロデュース、開催している。日本始め海外の音楽家をボストンに招聘する日本アメリカ交流コンサートでは2009年、豊嶋泰嗣(Vn)、水谷上総(Fg)、10年エマニュエル・アックス(Pf)、山本正治(Cl)、12年クリストフ・エッシェンバッハ各氏との共演で好評を博した。これまでに日本コロンビア(Denon)より3枚のソロ録音をリリースしており、クリストフ・エッシェンバッハとのCD『Abendlied』(1997)や、『若尾圭介playsジョン・ウィリアムズ』(1998)等がある。元ボストン・ポップス・オーケストラ音楽監督、作曲家ジョン・ウィリアムズとは1994年、ボストン・ポップス・オーケストラとともにモーツァルト・オーボエ協奏曲を共演している。 2011年、ジョン・ウィリアムズが若尾圭介に捧ぐとして作曲した初のオーボエ協奏曲「Oboe Concerto for Keisuke Wakao」は11年5月25/26日、ボストン・シンフォニーホールにてジョン・ウィリアムズ指揮、ボストン・ポップス・オーケストラとの共演で世界初演された。12年8月タングルウッド音楽祭にて盛大に催された「ジョン・ウィリアムズ80歳記念コンサート」でも同オーボエ協奏曲のソリストを務めた。

公式サイト http://wakaokeisuke.com/ ▲プロフィールを閉じる

オーボエ:若尾圭介 Keisuke Wakao

ヴァイオリン:白井 圭 Kei Shirai 1983年トリニダード・トバゴ共和国生まれ。3歳でヴァイオリンを始め、6歳より徳永二男に師事。東京藝術大学附属高校を経て、同大学を卒業。その間、大谷康子、田中千香士、ゴールドベルク山根美代子の各氏に師事。2007年には、文化庁「新進芸術家海外研修制度」の奨学生として留学、ウィーン国立音楽大学でヨハネス・マイスルに師事する他、▼続きを見る ヴェスナ・スタンコーヴィチのレッスンも受ける。これまでに、日本音楽コンクール第2位及び増沢賞(2001)、ミュンヘン国際音楽コンクール第2位及び聴衆賞(2007)等、国内外での受賞歴多数。ソリストとして、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会への出演を始め、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、神戸市室内合奏団、ミュンヘン室内管弦楽団等と共演を重ねる。その他、ウィーン楽友協会のグラス・ホールや、東京のトッパンホール、シュヴァルツヴァルト音楽祭等の招きにより、ソロ及びデュオリサイタルを開催した。室内楽奏者としては、在学中に結成したピアノ三重奏「Trio Accord」としての活動の他、国内外数多くの音楽祭、演奏会に招かれている。11年9月より半年間は、ウィーン国立歌劇場管弦楽団及びウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の契約団員として、著名な指揮者との共演を重ねた。また、薫陶を受けた田中千香士氏亡き後、氏の創設したレボリューションアンサンブルの音楽監督に就任、岐阜県中津川市加子母で開催されている「田中千香士音楽祭」には指揮者として招かれている。 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:白井 圭 Kei Shirai

ヴァイオリン:直江智沙子 Chisako Naoe 札幌市出身。桐朋女子高校音楽科を経て桐朋学園大学演奏学科卒業。在学中より小澤征爾音楽塾、若い人のための「サイトウ・キネン室内楽勉強会」、宮崎国際音楽祭、プロジェクトQ・第3章/第4章、東京のオペラの森、水戸室内管弦楽団、JTアートホール室内楽シリーズ、サイトウ・キネン・オーケストラ等に参加、室内楽を中心に多方面で活躍中。▼続きを見る 2008年秋より、ロームミュージックファンデーションの奨学金を得てシュテファン・ピカールに師事。これまでに荒谷正雄、市川映子、徳永二男氏に師事。 ▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:直江智沙子 Chisako Naoe

ヴァイオリン:須山暢大 Nobuhiro Suyama 1987年、東京都出身。東京都立芸術高等学校を経て、東京藝術大学卒業。第1回宗次エンジェルヴァイオリンコンクール第2位。NPO法人イエローエンジェルより、2年間1831年G.F.プレッセンダ製作(Ex.シュルツ)を貸与される。2007年シオン・ヴァレー国際ヴァイオリンコンクール入賞。12年NAGANO国際音楽祭でのコンクール第1位。大学在学中に、▼続きを見る 弦楽シリーズ「Virtuoso、サラサーテとその時代」に於いてソロ演奏、藝大定期室内楽、モーニングコンサートに出演、卒業時に同声会賞受賞。これまでにヴァイオリンをグリゴリー・フェイギン、石川 静、ジェラール・プーレ、山口裕之、シュミュエル・アシュケナージ各氏に師事。室内楽を川本嘉子、岡山 潔、山崎伸子の各氏に師事。ソリストとして小松長生指揮:セントラル愛知交響楽団、シュロモ・ミンツ指揮ブダフォク・ドホナーニ管弦楽団、山下一史指揮:藝大フィルハーモニア、ウラディミール・キラディエフ指揮スピリット・オブ・ヨーロッパ、その他多くのアマチュアオーケストラと共演。室内楽では、小林美恵、川本嘉子の各氏と共演する他、小澤国際室内楽アカデミー奥志賀に参加し、設立記念演奏会にて弦楽四重奏曲を演奏。また、姫路国際音楽祭、赤穂国際音楽祭、JTが育てるアンサンブルシリーズ、紀尾井シンフォニエッタ東京定期演奏会、東京ヴィヴァルディ合奏団演奏会に出演する等、数多くの演奏会に出演。▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:須山暢大 Nobuhiro Suyama

ヴァイオリン:外園彩香 Violin:Ayaka Hokazono 1991年生まれ。3歳よりヴァイオリンを始める。第10回江藤俊哉ヴァイオリンコンクール・ジュニア・アーティスト部門第1位。第61回全日本学生音楽コンクール全国大会高校の部第1位、横浜市民賞受賞。これまでにプロジェクトQ・第7章、京都・国際音楽学生フェスティバル、PMFオーケストラ・アカデミーに出演。▼続きを見る ヴァイオリンを渡邉ゆづき、堀内麻貴、現在は堀 正文の各氏に師事。また室内楽を原田幸一郎、毛利伯郎、徳永二男、加藤知子の各氏に師事。現在桐朋学園大学音楽学部3年に在学中。▲プロフィールを閉じる

ヴァイオリン:外園彩香 Violin:Ayaka Hokazono

ヴィオラ:鈴木康浩 Yasuhiro Suzuki 新潟県生まれ。5歳よりヴァイオリンを始める。辰巳明子氏に師事。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て、桐朋学園大学卒業。読売新聞社新人演奏会出演。第47回全日本学生音楽コンクール東京大会高校の部第1位。卒業後ヴィオラに転向、岡田伸夫氏に師事。第9回日本クラシック音楽コンクール全国大会ヴィオラ部門最高位。第2回淡路市立しづかホールヴィオラコンクール第2位。 ▼続きを見る 第12回宝塚ベガ音楽コンクール弦楽器部門第1位。2001年よりドイツのヘルベルト・フォン・カラヤン・アカデミーで研鑽を積み、その後ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の契約団員となる。2003年にはクラズィッシェ・フィルハーモニー・ボンのソリストとして、ドイツ各地で演奏し好評を博す。2004年秋に帰国し、日本で活動を始める。ソロ活動として、東京オペラシティでの「B→C(ビートゥーシー)」に出演、リサイタル、読売日本交響楽団とコンチェルトのソリストとして共演、ヴィオラスペースに出演。室内楽ではレガーメ弦楽四重奏団のメンバーとしてカルテットの活動、王子ホールでの「MAROワールド」やランチタイムに行われる名曲シリーズ、JTアートホールではJTアートホール室内楽シリーズに度々出演。その他にもサイトウ・キネン・フェスティバル松本、宮崎国際音楽祭等、多方面で活動中。フェリス女学院大学の非常勤講師として後進の指導にも当たる。現在、読売日本交響楽団ソロ首席ヴィオラ奏者。

©読売日本交響楽弾団 ▲プロフィールを閉じる

ヴィオラ:鈴木康浩 Yasuhiro Suzuki

ヴィオラ:西 悠紀子 Yukiko Nishi 神奈川県出身。2010年、横浜国際音楽コンクール・弦楽器部門大学の部第3位。桐朋学園富山室内楽講座、ニース夏期国際音楽アカデミー、PhoenixOSAQA2012、別府アルゲリッチ音楽祭等に参加。小澤征爾音楽塾オーケストラ・プロジェクトⅡに出演予定。これまでにヴァイオリンを角永 操、小西麻紀子、豊田弓乃の各氏に、ヴィオラを店村眞積氏に師事。現在、桐朋学園大学音楽学部4年に在学中。

ヴィオラ:西 悠紀子 Yukiko Nishi

チェロ:辻本 玲 Rei Tsujimoto 1982年生まれ。7歳よりチェロを始める。11歳まで米国フィラデルフィアで過ごし、東京藝術大学音楽学部器楽科を首席で卒業(アカンサス音楽賞受賞)。2003年、第72回日本音楽コンクール第2位、併せて聴衆賞受賞。07年度青山音楽賞新人賞受賞。06/07年ヴァイオリニスト五嶋みどり氏が主催する「Community Engagement Program」に参加し、世界各地で共演。 ▼続きを見る みどり氏より「彼の演奏は、その音色が自然体でのびのびしており、音楽の大切な要素であるLOVEが伝わってきます。これは、彼のパーソナリティそのものであり、それを伝達する技術を彼が持ち合わせているという他ありません」と賞賛された。ロームミュージックファンデーションより奨学金を得て、シベリウス音楽院(フィンランド)、ベルン芸術大学(スイス)に留学し卒業。09年7月サントリーホールにおいてチャイコフスキー《ロココの主題による変奏曲》を演奏(秋山和慶指揮:東京交響楽団)。8月「Rencontres de Violoncelle de Bélaye 2009」(フランス)に招待された。12月、第2回ガスパール・カサド国際チェロ・コンクール第3位入賞(日本人最高位)、併せて日本人作品最優秀演奏賞を受賞(その模様はNHK-BSにてドキュメンタリー番組「チェロ・エスプレッシーボ!~国際コンクールに懸ける青春~」としてオンエアされた)。10年8月キジアーナ音楽院において、アントニオ・メネセス、サルヴァトーレ・アッカルド等と共演。11月NHK-FM「気ままにクラシック」にゲスト出演。11年3月から京都コンサートホールを皮切りに札幌コンサートホールKitara、名古屋・宗次ホール、兵庫県立芸術文化センター、東京・サントリーホールでリサイタル・ツアーを実施。7月にアルカスSASEBOのレジデンス・カルテットの一員として活動開始、また8月にはサイトウ・キネン・オーケストラにも参加した。12年2月、大阪・ザ・シンフォニーホールにてドヴォルザーク「チェロ協奏曲」を演奏(山下一史指揮:日本センチュリー交響楽団)、名古屋・宗次ホールと東京・白寿ホールにてリサイタルを開催。3月からは「及川浩治トリオBee」へも参加する等、実力派として注目を集め、今後の活躍が期待される若手チェリストである。これまでに、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、関西フィルハ−モニ−管弦楽団、日本センチュリー交響楽団等と共演。メタ・ワッツ、オーランド・コール、川元適益、上村 昇、山崎伸子、アルト・ノラス、アントニオ・メネセスの各氏に師事。使用楽器は、NPO法人イエロー・エンジェルより1724年製作のアントニオ・ストラディヴァリウスを貸与されている。

公式サイト http://rei-tsujimoto.com/

©Yuji Hori ▲プロフィールを閉じる

チェロ:辻本 玲 Rei Tsujimoto

チェロ:大宮理人 Yoshito Omiya 平成1年11月1日生まれ。横浜市出身。7歳よりチェロに親しむ。2001年、第2回泉の森ジュニアチェロコンクール銀賞受賞(金賞なし)。04年テレビ朝日「題名のない音楽会21~未来の大器~」に出演。ドヴォルザークのチェロコンチェルトを演奏(指揮:飯森範親)。05年、和歌山県立近代美術館、大阪リーガロイヤル「Rの音楽会」にてデュオリサイタル開催。 ▼続きを見る 第5回泉の森ジュニアチェロコンクール高校生以上の部で銀賞受賞。06年、桐朋学園主催スチューデントコンサートに出演。08年、桐朋学園音楽部門・平成19年度高校卒業演奏会に出演。08年からサイトウ・キネン・フェスティバル松本、若い人のための「サイトウ・キネン室内楽勉強会」、青少年のためのオペラ、小澤征爾音楽塾の中国公演等に参加。12年、チェンバーオーケストラ相模原に参加。これまでにチェロを石橋かほる、毛利伯郎の各氏に、室内楽を毛利伯郎、諸田由里子、東京クヮルテットの各氏に師事。 ▲プロフィールを閉じる

チェロ:大宮理人 Yoshito Omiya

コントラバス:山崎 実 Minoru Yamazaki 東京生まれ。4歳でヴァイオリンを始め、16歳よりコントラバスに転向。中央大学を経て、桐朋学園大学卒業。在学中よりクラシックを始め様々なジャンルで活動。1999年よりバンドネオン奏者の小松亮太率いるタンゴユニットに参加し、様々なライブやレコーディングを行う。プレイアード五重奏団のメンバーとなり、現代音楽にも真剣に取り組む。▼続きを見る 2005年、東京オペラシティ主催のリサイタルシリーズ「B→C」に出演。08年9月より1年間、ドイツのケルンに留学。01~03年、国立音楽大学非常勤講師。03年より群馬交響楽団首席コントラバス奏者。これまでに吉田 秀、江口朝彦、星 秀樹、池松 宏、河原泰則の各氏に師事。 ▲プロフィールを閉じる

コントラバス:山崎 実 Minoru Yamazaki

■曲目解説

モーツァルトの作品

「恋とはどんなものかしら」(歌劇《フィガロの結婚》より)

 1786年に書かれた歌劇《フィガロの結婚》は、伯爵の従僕フィガロを軸に、複数の男女の恋が絡み合う様をコミカルに描いたオペラ・ブッファである。この曲は、その第2幕第3場において小姓ケルビーノが慕っている伯爵夫人に向けて純真な恋心をアピールするアリアである。恋に対する憧れと、瑞々しい気持ちに溢れ、若いケルビーノの天真爛漫さが香るアリアとなっている。
「恋を知る男たちは」(歌劇《魔笛》より)
 1791年に書かれた歌劇《魔笛》は、ドイツ語によるジングシュピールの形式で書かれたモーツァルト生涯最後のオペラ。王子による姫の救出劇を軸に、善悪の世界が逆転するような仕掛けがある。この曲は、第1幕第14場で姫・パミーナと鳥刺し・パパゲーノによって歌われる二重唱で、ベートーヴェンがこの曲の主題を用いて《7つの変奏曲》を書いたことでも知られている。
「セレナード 第12番 ハ短調(ナハトムジーク)K.388(五重奏版)」
1782年7月末に書かれたこの作品は、モーツァルトのセレナードのなかでも唯一、短調となっている異色のセレナードである。後に弦楽五重奏曲ハ短調K.406(516b)として編曲されている。第1楽章は、オペラの幕開けのように劇的な主題から始まり、第2楽章はゆったりと優雅に歌われ、第3楽章ではカノンの技法が駆使される。そして終楽章は主題と7つの変奏を経て、明るいフィナーレで幕を閉じる。

ジョン・ウィリアムズの作品
「テーマ(映画《シンドラーのリスト》より)」

 1993年度アカデミー賞の受賞作品『シンドラーのリスト』は、念願だったオスカーをスティーヴン・スピルバーグ監督にもたらした作品である。作品、監督、撮影、作曲等7部門に渡っての受賞であり、作曲者ジョン・ウィリアムズは翌94年度のグラミー賞でも作曲賞を獲得した。ナチス占領下のポーランドで1000人以上のユダヤ人救出に奔走したドイツ人実業家オスカー・シンドラーの実話を描いた映画で、そのテーマ曲は、切ないメロディが全編に渡って漂い、胸を打つ作品である。
「オーボエ協奏曲」
若尾圭介と作曲者ジョン・ウィリアムズとは、ボストン・ポップス・オーケストラ等を通して親交を深めた。この作品は、ジョン・ウィリアムズが若尾圭介のために作曲した初のオーボエ協奏曲で、2011年5月25日にボストン・シンフォニーホールにおいて、若尾圭介のオーボエ、ジョン・ウィリアムズの指揮、ボストン・ポップス・オーケストラの演奏で世界初演されている。
 全体は3楽章構成で、演奏難易度も高い。「プレリュード」では、軽やかなオーボエの旋律が美しいハーモニーを紡ぎ出し、「パストラーレ」(牧歌)は、不思議な足取りで小道を行くような、思索的かつ内省的な音楽である。最終楽章の「コメディア」は、音楽的ユーモアに満ちた楽想となっている。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 特別協力:上野学園 石橋メモリアルホール

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