PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2013-

クロード・ドラングル サクソフォン・リサイタル

世界で最も多忙を極めるサクソフォンの第一人者、ドラングル待望の東京公演です。ヒンデミットのソナタからシャンソン・メドレーまで、魔法のような音作りを是非お聴きください。

プログラム詳細

2013:03:30:15:00:00

© 堀田力丸
■日時・会場
2013.3.30 [土] 15:00開演(14:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
サクソフォン:クロード・ドラングル
ピアノ:野平一郎

■曲目
サンジュレー:
 カプリース 変ロ長調 op.80
 幻想曲 へ長調 op.89
ミヨー:スカラムーシュ op.165b speaker.gif[試聴]
プーランク:クラリネット・ソナタ speaker.gif[試聴]
フランス・シャンソン集(フィリップ・ポルトジョワ編)
 「愛の讃歌」speaker.gif[試聴] 「バラ色の人生」speaker.gif[試聴]
 「パリの空の下」speaker.gif[試聴] 「枯葉」speaker.gif[試聴]
ヒンデミット:アルト・サクソフォン・ソナタ speaker.gif[試聴]
ブラームス:ヴィオラ・ソナタ 第2番 変ホ長調 op.120-2 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
ラヴェル:ハバネラ形式による小品
サティ:あなたが欲しい
ドビュッシー:シリンクス

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。

出演者

サクソフォーン:クロード・ドラングル Claude Delangle ソリスト、研究者、教育者でもあるクロード・ドラングルは、偉大な現代サクソフォーン奏者の一人であり、フランス・サクソフォーンの名手として抜きんでた存在である。クラシック作品の特権的な解釈者として、L.ベリオ、P.ブーレーズ、武満 徹、A.ピアソラ等の有名な作曲家たちとコラボするとともに、若い世代の作曲家を支援することによって、現代音楽のレパートリーを広げ、▼続きを見る 作品の創造を促している。1986年にアンサンブル・アンテルコンタンポランのサックス奏者に招かれて以降、ソリストとして名声あるオーケストラ(BBC交響楽団、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団、フィンランド放送交響楽団、ケルンWDR交響楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、紀尾井シンフォニエッタ東京)に出演し、またD.ロバートソン、P.エトヴェシュ、ケント・ナガノ、E.P.サロネン、チョン・ミョンフン、L.バーンスタイン他多くの指揮者とも共演している。さらにザグレブ・ビエンナーレ、ラジオ・フランスのプレゾンス・フェスティバル、ムジカ・ノヴァ・フェスティバル、パリ・アゴラ音楽祭(IRCAM)等の主要な音楽祭にも招かれている。ストラスブールのフェスティバル・ムジカでは、《未来のタンゴ》の世界初演を行い、これはその後エクサン・プロヴァンス音楽祭やパリのパレ・ロワイヤル劇場でも再演された。また、彼は自分の楽器に情熱を傾けるあまり、ソリストとしての仕事の範疇を越えて、パリ第7大学の音楽音響研究所に足しげく通った。そこで得られたサクソフォーンの音響に特化した彼の研究成果は、作曲家たちとコラボする上での貴重な財産となっている。録音では、BIS、ドイツ・グラモフォン、ハルモニア・ムンディ、エラート、ピエール・ヴェラニーにおいてフランス音楽を紹介する一方で、かのアドルフ・サックスによって創られたレパートリーから、前衛的な作品或いはポピュラーなレパートリーまで、新しい音楽の地平を開いていく。パリ国立高等音楽院でいくつもの抜きんでた一等賞(プルミエ・プリ)を得た後、1988年には教授に任命され、世界でも有数のサクソフォーン・クラスを創り上げた。様々な国籍を持つ学生たちが、彼の指導を受けることを切望している。彼の指導は、重要な作曲家たちとともに学ぶ可能性とコンサートとを結びつけ、幅広く学際的な活動の場を提供するからである。彼はヨーロッパのみならずアメリカ大陸、オーストラリア、アジア等からも公開レッスンに招聘され、積極的に出向いている。現在、アンリ・ルモワンヌ社で「ドラングル・コレクション」を監修し、新しいレパートリーやクラシック作品だけでなく、教育的な作品も出版している。2003~04年のシーズンにはアジアに招かれ、東京都交響楽団、香港シティ・チェンバー・オーケストラと共演、シンガポール交響楽団と協奏曲の名曲集をBISに録音し、中国ではリサイタルを行った。また、マルティン・マタロンの《トラム1》をメッツ・アーセナルで初演し、アメリカ中部でリサイタル、サンクトペテルブルクとノヴォシビルスクのオーケストラともコンサートを行った。パリのシーズンで特筆すべきは、ircam(フランス国立音楽音響研究所)からアゴラ音楽祭の全権を委任されたことである。

公式サイト http://www.sax-delangle.com/ ▲プロフィールを閉じる

サクソフォーン:クロード・ドラングル Claude Delangle

ピアノ:野平一郎 Ichiro Nodaira 東京藝術大学大学院修了後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に学ぶ。レパートリーは多彩で、ピアニストとして国内外の主要オーケストラと共演する一方、室内楽奏者、作曲家、指揮者、音楽祭プロデューサーとしても活躍。これまでに尾高賞、芸術選奨文部大臣新人賞並びに文部科学大臣賞、サントリー音楽賞を受賞。また、紫綬褒章を受章。1953年生まれ。 ▼続きを見る 東京藝術大学、同大学院修士課程作曲科を修了後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に学ぶ。作曲、ピアノ、指揮、プロデュース、教育等の多方面に渡る活動を行う。ピアニストとしては国内外のオーケストラにソリストとして出演する一方、多くの内外の名手たちと共演し、室内楽奏者としても活躍。古典から現代までレパートリーは幅広い。マヌリやベンジャミン、松平頼則の作品を世界初演。リゲティ、武満徹作品他の日本初演を行う。また、東京シンフォニエッタの初代代表を務めた。80曲以上に及ぶ自らの作品の中にはフランス文化省、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、IRCAM、ベルリン・ドイツ交響楽団、国立劇場その他からの委嘱作品がある。2002年に東京でエレキギター協奏曲《炎の弦》をステーヴ・ヴァイのソロで、また05年にはドイツでオペラ《マドルガーダ》をケント・ナガノ指揮で、06年には東京でチェロとオーケストラのための《響きの連鎖》を初演。12年6月パリでサクソフォーンとコンピュータのための《息の道》を世界初演。第12回中島健蔵音楽賞(1996)、第35回サントリー音楽賞(2004)、第55回芸術選奨文部科学大臣賞(2005)、紫綬褒章(2012)を受賞。現在、静岡音楽館AOI芸術監督、東京藝術大学作曲科教授。

公式サイト http://ichironodaira.com/j/ ▲プロフィールを閉じる

ピアノ:野平一郎 Ichiro Nodaira

■曲目解説

サンジュレーの作品
 作曲家として主にフランスで活躍したジャン=バティスト・サンジュレーは、1846年にサクソフォンを発明した同じベルギー生まれのアドルフ・サックスとの親交も深かった。カプリース(奇想曲)は、特に決まった形式があるわけではなく、むしろ形式にとらわれない性質を持っている。1862年にソプラノ・サクソフォンとピアノのために書かれた「カプリース 変ロ長調 op.80」は、気まぐれなアイディアが自由に羽ばたいていくような、サクソフォンならではの軽やかさを感じさせる。また、その翌年に同じくソプラノ・サクソフォンとピアノのために書かれた「幻想曲 変イ長調 op.89」は、優雅な楽想に基づく幻想曲で、サクソフォン独特の伸びやかなトーンと流麗なフレージングを素直に堪能できる作品である。

ミヨー:スカラムーシュ op.165b
 「フランス六人組」の一人、ダリウス・ミヨーは1937年、スカラムーシュ劇場で上演されるモリエール劇のために付随音楽を書いた。そこから素材を抜粋して改作されたのが、組曲《スカラムーシュ》である。元来は2台のピアノのために書かれたもので、ミヨーの音楽のなかでは最も親しまれている。この曲は出版当時、異例の人気を博した。

プーランク:クラリネット・ソナタ
 ミヨーと同じく「フランス六人組」の一人であるフランシス・プーランクの室内楽作品に顕著なのは、木管楽器への偏愛である。この作品は、死の前年1962年に作曲され、親しかった作曲家アルテュール・オネゲルの墓前に捧げられたが、これがプーランクにとっても最後の作品となった。初演はプーランクの死後、レナード・バーンスタインのピアノ、ベニー・グッドマンのクラリネットで1963年4月にカーネギー・ホールで行われた。

フランス・シャンソン集(フィリップ・ポルトジョワ編)
 エディット・ピアフの持ち歌として有名な「愛の讃歌」(1950)は、当時プロボクサーの恋人を事故で失ったばかりのピアフが歌って人々を感動させた曲。「バラ色の人生」(1945)も同じくピアフの持ち歌だが、この頃はイヴ・モンタンを愛人にして、文字通りバラ色の人生を謳歌していた。「パリの空の下」は、1951年の映画『巴里の空の下セーヌは流れる』の挿入歌で、作曲はユベール・ジロー。「枯葉」はハンガリー出身の作曲家ジョゼフ・コズマによって1945年に書かれた作品。のちにイヴ・モンタンが映画『夜の門』の挿入歌として歌い、世界的なヒットとなった。

ヒンデミット:アルト・サクソフォン・ソナタ
 パウル・ヒンデミットは、20世紀前半を代表するドイツ人作曲家の一人であるが、戦前、その音楽はナチスから「退廃的」との烙印を押されて弾圧を受けた。1940年にアメリカ合衆国へ亡命した彼は、その時期、様々な楽器のためのソナタを書き上げている。このアルト・サクソフォン・ソナタも新天地アメリカで1943年に作曲された。

ブラームス:ヴィオラ・ソナタ第2番 変ホ長調 op.120-2
 この作品は、本来クラリネット・ソナタとして書かれたもので、出版の際にはヴィオラでも演奏可能であることが示され、ヴァイオリン版の編曲も作られた。作曲当時、老境に至って創作力が減退し、身辺の整理まで始めていたブラームスだが、マイニンゲンの宮廷でクラリネット奏者ミュールフェルトの演奏を聴き、今一度、創作意欲を駆り立てられた。そして彼は、1894年の夏、保養地バート・イシュルで2曲のクラリネット・ソナタ(第1番、第2番)を書き上げた。冒頭から心を持って行かれるような旋律が溢れだす名曲である。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:フランス大使館アンスティチュ・フランセ東京 協力:野中貿易株式会社

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