春祭ジャーナル 2012/02/02
ようこそハルサイ〜クラシック音楽入門~
イーゴリ・ストラヴィンスキー ~華麗なるバレエ音楽
文・後藤菜穂子(音楽ライター)

イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)
これらの作品で一躍脚光を浴びたストラヴィンスキーでしたが、その後の人生には、20世紀の二つの大戦が大きな影響を与えました。第一次世界大戦が勃発すると、彼はヨーロッパにとどまることを決意し、その後さらにロシア革命も起きたことから、なんと50年以上も祖国の地を踏むことがありませんでした。フランス時代にはドビュッシー、ラヴェル、サティなど当時のフランスの作曲家たちをはじめ、ピカソ、コクトー、ポール・ヴァレリーらの多くの芸術家や文化人と交友を深めました。彼とファッション・デザイナーのココ・シャネルとの関係については最近映画にもなり、ご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

火の鳥の衣装デザイン

ペトルーシュカの舞台デザイン
ストラヴィンスキーは作曲のスタイルにおいても立ち止まることなく、一作ごとに違うスタイルを追求しました。たとえば《火の鳥》(




「東京・春・音楽祭2012」では、《火の鳥》(1910年のバレエ全曲版)と《ペトルーシュカ》(1947年の管弦楽版)を目下絶好調なインバルと都響のコンビで取り上げます。今から100年前のパリで誕生したストラヴィンスキーの華麗なサウンドワールドは、今なお色褪せることなく、生き生きと私達に語りかけてくれるのです。
~関連公演~
東京春祭のStravinsky