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東京・春・音楽祭 2018

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イルダール・アブドラザコフ (バス) ロシア出身のアブドラザコフは、今日もっとも引く手あまたのバス歌手の一人として、そのキャリアを築いてきた。2001年、25歳でミラノ・スカラ座にデビューして以来、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場、ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場といった世界一流のオペラハウスの主軸を担うようになった。彼の力強く、洗練された声質は、舞台上の圧倒的な存在感とあいまって、▼続きを見る「押しの強い声、美しいレガート、溢れる技巧――すべてにおいて素晴らしいバス歌手である」(インディペンデント紙)といった評論家の賞賛を裏打ちしている。コンサート出演にも精力的で、ロンドンのBBCプロムス、ニューヨークのカーネギー・ホール等で演奏する他、シカゴ交響楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団等の世界的な一流オーケストラとも共演している。 17/18シーズンは、バリ・オペラ座でヴェルディ《ドン・カルロ》(フランス語版)フィリッポ2世をはじめ、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で《フィガロの結婚》タイトルロールとロッシーニ《セミラーミデ》アッスールを演じる。またパリでは、ムソルグスキー《ボリス・ゴドゥノフ》タイトルロールのデビューが予定されている。さらに18年春には、バルセロナのリセウ大劇場で演奏会形式のヴェルディ《アッティラ》にも主演予定。 コンサート活動では、17年11月/12月にローランド・ビリャソンのヨーロッパ・ツアーに参加する。プラハ、ベルリン、バーデン=バーデン、シュトゥットガルト、ミュンヘン、パリ、ウィーンにおけるコンサートでは、彼らの初共演アルバム「デュエッツ」のレパートリーを披露する。同CDは、イタリア・フランスのオペラからのデュエット曲を集めた内容で、ドイツ・グラモフォンから17年9月22日にリリース。アブドラザコフは17年初めより、同レーベルの専属アーティストとなっている。 04年にジェームズ・レヴァイン指揮《ドン・ジョヴァンニ》でデビュー以来、メトロポリタン歌劇場の主軸となっている。15/16シーズンには、ジェームズ・レヴァイン指揮サー・リチャード・エアー新演出の《フィガロの結婚》タイトルロールを務め、歌劇場のシーズン・オープニングガラを飾った。また、以前に歌った新演出のボロディン《イーゴリ公》タイトルロールはドイツ・グラモフォンから発売のDVD/ブルーレイに収められている。その他、メトロポリタン歌劇場制作による主な役としては、11/12シーズンの幕開けでアンナ・ネトレプコの相手を務めた《アンナ・ボレーナ》ヘンリー8世役のデビュー、ムソルグスキー《ホヴァーンシチナ》ドシフェイ、2種類の演出で《カルメン》エスカミーリョ、リッカルド・ムーティ指揮によるヴェルディ《アッティラ》新演出版のタイトルロール等が挙げられる。 ミラノ・スカラ座では、ムーティ指揮のもと04/05シーズンの歌劇場リニューアル・コンサートに出演。同シーズンで演じたロッシーニ《モーゼとファラオ》モーゼはCD/DVDに収録されており、同じ役で09年にムーティ指揮・新演出版でザルツブルク音楽祭にデビュー。ローマにおいてもこのイタリアのマエストロのもとで演じている。16年には、ミラノ・スカラ座で最初のソロ・リサイタルを行なった。09年ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスにデビューし、アントニオ・パッパーノ指揮による演奏会形式のヴェルディ《レクイエム》に出演、次にこの歌劇場に出演した時はロッシーニ《セビリアの理髪師》ドン・バジリオと、ヴェルディ《ドン・カルロ》フィリッポ2世を歌った。 《フィガロの結婚》タイトルロールは、1998年にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場デビューへのきっかけとなった役である。その他の代表的な役としては、モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》タイトルロールとレポレッロ、2016年のザルツブルク音楽祭で絶賛を浴びた新演出のグノー《ファウスト》メフィストフェレス、ベルリオーズ《ファウストの劫罰》メフィストフェレス、ベッリーニ《ノルマ》オロヴェーゾ、ロッシーニ《イタリアのトルコ人》セリム、《セミラーミデ》アッスール等がある。ヴェルディ作品における役も特筆すべきであり、《ルイザ・ミラー》ヴァルター、《オベルト》や《アッティラ》のタイトルロール、《マクベス》バンクォー、《ドン・カルロ》フィリッポ2世等が挙げられる。 実際、欧米の主要な歌劇場ほとんどに出演経験があるが、さらに付け加えるならば、ザルツブルク音楽祭、バルセロナのリセウ大劇場、マドリードのテアトロ・レアル、パリのオペラ・バスティーユ、サンフランシスコ・オペラ、ワシントン・ナショナル・オペラ、ロサンゼルス・オペラでも歌っている。コンサートでは、ロシア、イタリア、日本、アメリカでリサイタルを行なった他、シカゴ交響楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、フランス国立管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、ローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団等とも共演している。また、共演した著名な指揮者には、リッカルド・ムーティ、ヴァレリー・ゲルギエフ、ジェームズ・レヴァイン、ジャナンドレア・ノセダ、ベルトラン・ド・ビリー、リッカルド・フリッツァ、リッカルド・シャイー、アントニオ・パッパーノ等がいる。 ソロ・デビューアルバム「パワー・プレイヤーズ」は、有名なロシア・オペラのバス役を歌ったもので、14年初めにデロス・レーベルよりリリースされ、大好評を博した。リッカルド・ムーティ指揮シカゴ交響楽団と収録したヴェルディ《レクイエム》はグラミー賞を受賞。また、ロッシーニの未出版アリアをリッカルド・シャイー指揮ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団とともにデッカから、ケルビーニ《荘厳ミサ曲》をムーティ指揮バイエルン放送交響楽団とともにEMIクラシックスからリリース。シャンドス・レーベルには、ショスタコーヴィチ《ミケランジェロの詩による組曲》とラフマニノフ《けちな騎士》をジャナンドレア・ノセダ指揮BBCフィルハーモニックと収録している。 DVDは、ミラノ・スカラ座の《モーゼとファラオ》、ビルバオでの《オベルト》、パルマでの《ノルマ》、メトロポリタン歌劇場の《ランメルモールのルチア》等がリリースされており、ヴェルディ生誕200年にあたる13年5月には《アッティラ》タイトルロールで、マリインスキー・レーベル初のオペラDVD/ブルーレイを不朽のものとした。 1976年、当時はバシキール自治ソビエト社会主義共和国(現・バシコルトスタン共和国)だった首都ウファで生まれる。両親はともに芸術家であり、母は画家、今は亡き父はディレクターだった。4歳のとき、父親の舞台と映画で演技を始めるが、この幼い頃の経験が、芸術の道を全うする上で大いに励みとなっている。ウファ国立芸術院を卒業後、バシキール国立オペラ・バレエ劇場に加わった。90年代終わりには、イリーナ・アルヒーポワにちなんだモスクワ・グランプリ、グリンカ国際声楽コンクール、リムスキー=コルサコフ国際コンクール、エレーナ・オブラスツォワ国際コンクールと、一連の名誉あるコンクールで優勝する。そして2000年パルマでのマリア・カラス国際テレビジョン・コンクール優勝が、彼を国際的な表舞台へと押しやり、翌年のミラノ・スカラ座デビューへと導いたのである。 07年より、音楽とブランド価値をプロモーションする「ゼニア&ミュージック・プロジェクト」のブランド大使を務めている。これは1997年にエルメネジルド・ゼニアによって設立された慈善提唱ブランドで、アブドラザコフのコンサート衣装は、すべてこのデザイナーによる提供を受けている。また彼は、エレーナ・オブラスツォワ国際音楽アカデミーの芸術監督――2014年にエレーナ・オブラスツォワ本人から指名された――でもあり、15年8月にはガラコンサートを開催している。▲プロフィールを閉じる

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