PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-

東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.2 《ローエングリン》(演奏会形式) 

-本公演は中止となりました-

プログラム詳細

■日時・会場
2011.
4.8 [金] 17:00開演(16:00開場)
4.10 [日] 15:00開演(14:00開場)
東京文化会館 大ホール


■出演
指揮:アンドリス・ネルソンス
ローエングリン:ロバート・ディーン・スミス
エルザ:ハイディ・メルトン
フリードリヒ:ゲルト・グロホウスキ
オルトルート:リオバ・ブラウン
ハインリヒ王:クリストフ・フィシェッサー
王の伝令:ボアズ・ダニエル
ブラバントの貴族:大槻孝志、西岡慎介、大井哲也、小田川哲也
小姓:藤田美奈子、坂井田真実子、磯地美樹、小泉詠子
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:トーマス・ラング、宮松重紀


■曲目
ワーグナー:歌劇《ローエングリン》 speaker.gif[試聴]  
(全3幕/ドイツ語上演・字幕付
※上演時間:約5時間(休憩含む)

物語のあらすじはこちら



【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

指揮:アンドリス・ネルソンス Conductor: Andris Nelsons 「世界の指揮者界において、最も素晴らしく、輝ける期待の新星。この30歳のラトヴィア人は、音楽的才能の化身である」(「ターゲスシュピーゲル」紙)

現在、世界で最も人気がある若手指揮者の一人。オペラとコンサートの両方で名声を得ている。
今後、数シーズンにわたって、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ベルリン国立歌劇場管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団、ピッツバーグ交響楽団、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団等との共演が予定されている。また、デビュー公演としては、ウィーン楽友協会でのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を始めとして、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ロンドン交響楽団、パリ管弦楽団、サンタ・チェチーリア国立音楽院管弦楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック等との共演が決まっている。ウィーン・フィルのツアーで日本にも初登場することになっており、シーズン後半には東京・春・音楽祭の《ローエングリン》にも出演する。
2009/10のシーズンには、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場に出演し、これらの劇場に再び登場することも決まっている。2010年の夏にはハンス・ノイエンフェルスの新演出による《ローエングリン》の指揮者として初めてバイロイト音楽祭に登場した。そして2011年夏に再び、同作品でバイロイト音楽祭に出演することが決まっている。
2008年にバーミンガム市交響楽団の音楽監督に就任。以来2シーズン、批評家から絶賛されている。2009年の夏のフェスティバル・ツアーでルツェルン音楽祭、ベルリン音楽祭、BBCプロムスに出演し、2010年3月には同楽団と共にヨーロッパ・ツアーを行なった。2010年の夏のツアーではルツェルン音楽祭とBBCプロムスに再び登場した他、ベルリンのヴァルトビューネにも出演。同楽団と開始されたオルフェオ・レーベルとのレコーディングも期待が高まっており、これまでにリリースされたCDは、チャイコフスキーの交響曲第5番と幻想序曲《ハムレット》(ドイツ音楽評論家大賞受賞)、タイムズ紙に「最も贅沢で洗練された《英雄の生涯》の演奏のひとつ」と賞賛されたR.シュトラウスの作品集がある。また最新のCDでは、ストラヴィンスキーの《火の鳥》(全曲版)と《詩篇交響曲》が収録されている。
1978年、リガの音楽一家に生まれる。ラトヴィア国立歌劇場管弦楽団のトランペット奏者として音楽家のキャリアをスタートさせたが、声楽でも数々の賞を受賞している。2001年、彼の音楽活動における輝かしい業績に対してラトヴィア音楽大賞が授与された。同年にはサンクトペテルブルクに移り、アレクサンドル・ティトフ教授の下で指揮を学ぶ。2002年からは個人的にマリス・ヤンソンスに師事してきた。2009年にドイツはヘアフォルトの北西ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者の任期を終えた。2003〜07年までラトヴィア国立歌劇場の音楽監督を務めた。

アンドリス・ネルソンス公式サイト  http://www.andrisnelsons.com/

© Marco Borggreve

指揮:アンドリス・ネルソンス Conductor: Andris Nelsons

ローエングリン:ロバート・ディーン・スミス(テノール) Lohengrin: Robert Dean Smith 1997年のバイロイト音楽祭で上演された《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のヴァルター・フォン・シュトルツィング役で鮮烈なデビューを果たして以来、世界各国の一流歌劇場やコンサートホールで活躍。ドラマティックなヘルデンテノールの解釈者として絶賛されており、世界中の劇場やコンサートホールでズービン・メータ、アントニオ・パッパーノ、クリスティアン・ティーレマン、リッカルド・ムーティ、ダニエル・バレンボイム、ウォルフガング・サヴァリッシュ、ピエール・ブーレーズ、クリストフ・フォン・ドホナーニ、ベルナルド・ハイティンク、ケント・ナガノ、ダニエレ・ガッティといった指揮者と共演し、現在、最も知名度の高い歌手の一人として、その地位を確固たるものにしている。
バイロイト音楽祭では《トリスタンとイゾルデ》のタイトルロール、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のヴァルター・フォン・シュトルツィング、《ローエングリン》のタイトルロール、《ワルキューレ》のジークムント等を歌ってきた。この他にもバイエルン国立歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》《フィデリオ》《トスカ》《マノン・レスコー》《魔弾の射手》《スペードの女王》)、ウィーン国立歌劇場(《トリスタンとイゾルデ》《マノン・レスコー》《ニュルンベルクのマイスタージンガー》)、ミラノ・スカラ座(《ローエングリン》《フィデリオ》)、ベルリン・ドイツ・オペラ(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》《フィデリオ》《ローエングリン》《パルジファル》)、ドレスデン国立歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》《カルメン》《ローエングリン》)、コヴェント・ガーデン王立歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》《ローエングリン》《カーチャ・カバノヴァ》)、(東京)新国立劇場(《運命の力》《ワルキューレ》)、ロサンゼルス・オペラ(《影のない女》)、サンフランシスコ歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》)、マドリッド・レアル劇場(《パルジファル》《影のない女》)、バルセロナのリセウ大劇場(《パルジファル》《ナクソス島のアリアドネ》)、ハンブルク国立歌劇場(《スペードの女王》)、フィレンツェ歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》)、アムステルダム歌劇場(《ニュルンベルクのマイスタージンガー》)等に出演している。
コンサートで共演したオーケストラとしては、バイエルン放送交響楽団(マーラー《大地の歌》)、バイエルン国立歌劇場管弦楽団(マーラー《大地の歌》)、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(マーラー《大地の歌》、コダーイ《ハンガリー詩篇》、ベートーヴェン《交響曲第9番》、ストラヴィンスキー《エディプス王》)、ロンドン交響楽団(エルガー《ゲロンティアスの夢》)、フィラデルフィア管弦楽団(ベートーヴェン《ミサ・ソレムニス》)、サンタ・チェチーリア国立音楽院管弦楽団(ドヴォルザーク《レクイエム》、ワーグナー《ワルキューレ》第一幕)、ベルリン国立歌劇場管弦楽団(マーラー《交響曲第8番》)、パリ管弦楽団(ベートーヴェン《交響曲第9番》、《フィデリオ》(演奏会形式))、ロサンゼルス・フィルハーモニック(ベートーヴェン《交響曲第9番》)、ウィーン交響楽団(ベートーヴェン《交響曲第9番》、ドヴォルザーク《スターバト・マーテル》)、ハンブルク・シンフォニカー(オペラ・ガラ)、ベルリン・ドイツ交響楽団(ベートーヴェンのオラトリオ《オリーヴ山上のキリスト》)、南西ドイツ放送交響楽団(シェーンベルク《グレの歌》)、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団(ワーグナー《パルジファル》(演奏会形式))、シンシナティ交響楽団(ワーグナー《ローエングリン》(演奏会形式))等がある。
2001年8月には、バイロイト祝祭劇場で行われたバイロイト音楽祭125周年を祝うティーレマン指揮のベートーヴェンの交響曲第9番で、バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団と共演し、テノール・ソロを歌うという栄誉に浴した。アルテ・ノヴァからリリースされたワーグナーのオペラ・アリア集のCDは、リリック・ディスク国際アカデミーのオルフェ・ドールを受賞している。
米国のカンザス州に生まれ、ピッツバーグ(カンザス)州立大学ではMargaret Thuenemannに、ニューヨークのジュリアード音楽院ではダニエル・フェッロに、またヨーロッパではジャニス・ハーパー教授に師事した。多くのドラマティック・テノールがそうであるように、最初はバリトンとしてスタートし、ドイツの国内で何年か歌っていた。優れたトレーニングと舞台で見せる多才さによって、オペラとコンサートの両方で様々な言語やスタイルによる幅広いレパートリーをこなす存在となっている。
今後の出演予定には、パリ・オペラ座(バスティーユ)での《死の都》《ワルキューレ》(新演出)、ミラノ・スカラ座での《タンホイザー》(新演出)、ドレスデン国立歌劇場での《ダフネ》(新演出)、そしてメトロポリタン歌劇場での《ナクソス島のアリアドネ》《蝶々夫人》等がある。

ロバート・ディーン・スミス公式サイト  http://www.robertdeansmith.com/

© www.photopulse.ch

ローエングリン:ロバート・ディーン・スミス(テノール) Lohengrin: Robert Dean Smith

エルザ:ハイディ・メルトン(ソプラノ) Elsa von Brabant: Heidi Melton 「これはおそらく、フラグスタートやニルソン以来、私たちが待ちこがれていたワーグナー歌いの歌手と言えるだろう」(Claude GIngras、La Presse、2010年7月12日 – ラノディエール音楽祭開幕のワーグナー・プログラム)

「ハイディ・メルトンと言う名前を覚えておいて欲しい。この、まだ28歳の力強い歌声のアメリカ人のソプラノ歌手には、これから先、輝かしいキャリアが待っている。《タンホイザー》でエリーザベトが歌う、響き渡るような“歌の殿堂”と、《ワルキューレ》でのジークリンデが歌うより重々しく、感情に訴える“一族の男たちが”と“あなたこそ春です”は、明るく、澄み切って、甘く、スケールの大きな声を聴かせ、魅惑的なヴィブラートで包み込んだ。ゴージャスな低音と美しいフレージングを有し、自らの歌唱を魂から捉えている」(Paula Citron, Globe and Mail. 2010年7月11日 – ラノディエール音楽祭開幕のワーグナー・プログラム)
2010/11のシーズンには東京・春・音楽祭でアンドリス・ネルソンスが指揮する《ローエングリン》に出演し、初めてエルザを歌う他、ドナルド・ラニクルズが指揮をするBBCスコティッシュ管弦楽団との《ワルキューレ》第一幕(演奏会形式)でジークリンデを歌うことになっている。ボルドー国立歌劇場には《ナクソス島のアリアドネ》のタイトルロールで、ベルリン・ドイツ・オペラには《ヘンゼルとグレーテル》のゲルトルートで、いずれも再登場する。サンフランシスコ歌劇場ではフランチェスカ・ザンベロ演出、ドナルド・ラニクルズ指揮によるワーグナー《ワルキューレ》のジークリンデを初めて通しで歌い、同じく《神々の黄昏》では第三のノルンを歌う。またサンフランシスコ歌劇場の《アイーダ》ではタイトルロールのカバーを務めることにもなっており、サン・アントニオ交響楽団とはロッシーニの《スターバト・マーテル》で共演する。今後の出演予定には、メトロポリタン歌劇場とベルリン・ドイツ・オペラへの再出演が決まっている他、カールスルーエ・バーデン国立歌劇場でアンサンブル・メンバーとしてこれからの数シーズン、レパートリーとして持っている主要な役を歌うことになっている。
2009/10のシーズンには、サンフランシスコ歌劇場のアドラー・プログラムの最終年を迎え、同劇場に戻った。また、ファビオ・ルイジ指揮による《エレクトラ》の第二のメイド役でメトロポリタン歌劇場にデビュー、ドナルド・ラニクルズ指揮のBBCスコティッシュ管弦楽団とはベルクの《七つの初期の歌》で共演した。春には、ベルリン・ドイツ・オペラにアンサンブル・メンバーとしてデビューし《魔笛》の第一の侍女、《ばらの騎士》のマリアンネ・ライトメッツェリン、《ワルキューレ》のヘルムヴィーゲ、《神々の黄昏》の第三のノルン等を歌った。2010年の夏、ラノディエール音楽祭の33度目のシーズンの幕開けを飾るガラ・コンサートで、ワーグナーの《タンホイザー》と《ワルキューレ》からの抜粋を歌った。
ボルドー国立歌劇場には《仮面舞踏会》のアメリア役で2007/08にデビューし、2008/09には《タンホイザー》のエリーザベトで同劇場に再び出演した。この時の演技でForum Operaはメルトンを“天啓”と褒め称えた。このシーズンのその他の主な活躍には、大晦日のガラ公演でベートーヴェンの交響曲第9番を歌ったミルウォーキー交響楽団との初共演や、カリフォルニアのノース・ステート交響楽団とのマーラーの交響曲第4番、ゴリホフの《空飛ぶ馬たちの夜》とショスタコーヴィチの《ユダヤの民族詩より》でのバークリー交響楽団との共演等がある。リサイタルでは、サンフランシスコ歌劇場を通じてシュヴァーバッハ・デビュー・リサイタルを開いた他、スウェーデンのボクスナでユッシ・ビョルリンク・ソサエティのためのリサイタルを行なった。さらにドナルド・ラニクルズがサンフランシスコ歌劇場の音楽監督を退任する際のフェアウェル・コンサートでヴェルディの《レクイエム》を歌った。
サンフランシスコ歌劇場のアドラー・フェローとして様々な役を歌っており、その中にはフィリップ・グラス《アポマトックス》(世界初演)のメアリー・トッド・リンカーン、《ばらの騎士》のマリアンネ・ライトメッツェリン、《タウリスのイフィゲニア》のダイアナ等がある。2006年にはメローラ・オペラ・プログラムに参加し、《シモン・ボッカネグラ》からの場面でアメリア・グリマルディを演じた。カーティス音楽院で音楽修士の学位を取得しており、同校では《ナクソス島のアリアドネ》のアリアドネ、《アルチーナ》のアルチーナ、《アルバート・ヘリング》のレディ・ビロウズ、《コジ・ファン・トゥッテ》のフィオルディリージ等を演じた。
メルトンは多数の権威ある賞を受賞している。2009年にはジョージ・ロンドン財団よりジョージ・ロンドン/キルステン・フラグスタート記念賞を受賞、リチャード・タッカー音楽財団からはサラ・タッカー奨学金を授与された他、ホセ・イトゥルビ国際コンクールでは第2位、第27回ベルベデーレ国際コンクールでは第3位という成績を収めた。2006年にはメトロポリタン歌劇場のナショナル・カウンシル・オーディションで準決勝に残った他、マリオ・ランツァ・コンクールにも入賞している。

エルザ:ハイディ・メルトン(ソプラノ) Elsa von Brabant: Heidi Melton

フリードリヒ:ゲルト・グロホウスキ(バス・バリトン)
 Friedrich von Telramund: Gerd Grochowski
ケルン音楽大学でエディト・ケルテスから声楽を学んだ後、恩師であるディーター・ミュラー、ヨゼフ・メッテルニヒに師事し、研鑚を積んだ。
最近の活躍から多くの歌劇場に出演するようになり、メトロポリタン歌劇場でのバレンボイム指揮による《トリスタンとイゾルデ》でクルヴェナルを歌った。クルヴェナル役では、ミラノ・スカラ座とベルリン国立歌劇場にもデビューしている。ヨーロッパではバイエルン国立歌劇場、アムステルダムのネーデルランド・オペラ、ハンブルク国立歌劇場、シュトゥットガルト国立歌劇場といった主要な歌劇場に出演している。2005年にはシュトゥットガルト国立歌劇場でブゾーニ《ファウスト博士》の主役を演じ、「ドイツ・オペルンヴェルト」誌の年間最優秀歌手賞を受賞。今後の出演予定には《ルル》のシェーン博士と《エレクトラ》のオレストでマドリードのレアル歌劇場へのデビュー等がある。クルヴェナルでデビューし大成功を収めたミラノ・スカラ座へは、2009年に再演された同作品に出演。2010年には、ザルツブルク・イースター音楽祭とエクサン・プロヴァンス音楽祭で、サイモン・ラトル指揮の《神々の黄昏》でグンター役を演じた。オペラに限らず、コンサートやオラトリオの解釈にも定評がある。

フリードリヒ:ゲルト・グロホウスキ(バス・バリトン)<br /> Friedrich von Telramund: Gerd Grochowski

オルトルート:リオバ・ブラウン(メゾ・ソプラノ) Ortrud: Lioba Braun 1994年のバイロイト音楽祭で、急きょ代役としてダニエル・バレンボイムが指揮する《トリスタンとイゾルデ》のブランゲーネを歌うという急展開を経て、国際的な歌手としての活躍が始まった。その後、ミラノ・スカラ座、マドリッドのレアル劇場、バルセロナのリセウ大劇場、ベルリン、ドレスデン、ライプツィヒ、ミュンヘン、シュトゥットガルト、チューリッヒ、ローマ、ロサンゼルス、ウィーンといったヨーロッパの主要な歌劇場や、その他数多くの世界的な歌劇場に招かれ、ブランゲーネ以外にもワーグナーの諸役(《パルジファル》クンドリ、《ローエングリン》オルトルート、《ニーベルングの指環》フリッカ、《神々の黄昏》ヴァルトラウテ、《タンホイザー》ヴィーヌス、最近では《トリスタンとイゾルデ》イゾルデ)を歌ってきた。
ワーグナーやヴェルディ(エボリ皇女、アズチェーナ)に加えて、とりわけバルトーク(《青ひげ公の城》ユディット)、R.シュトラウス(《ナクソス島のアリアドネ》作曲家、《影のない女》乳母)、モーツァルト(《ドン・ジョヴァンニ》ドンナ・エルヴィーラ)、そしてマーラーの交響曲やベルク、ブラームス、ベートーヴェンの作品におけるソロ・パート(ウィーン楽友協会ホール、バーデン・バーデン音楽祭、ザルツブルク音楽祭、ドレスデン音楽祭、ローマ教皇の御前演奏、ベルリン・フィルハーモニー)も歌っている。共演した数多くの著名な指揮者には、クリスティアン・ティーレマン、マリス・ヤンソンス、アンドリス・ネルソンス、ズービン・メータ、ダニエル・バレンボイム、リッカルド・シャイー、クラウディオ・アバド、クリストフ・エッシェンバッハ、ロリン・マゼール、チョン・ミュンフン、ケント・ナガノ、ジュゼッペ・シノーポリ、サイモン・ラトル、リッカルド・ムーティ等がいる。
主要なオーケストラでは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、バイエルン放送交響楽団等と共演してきた。
現在は歌曲のリサイタルに重きを置きつつあり、特にワーグナーの《ヴェーゼンドンク歌曲集》や「イゾルデの愛の死」等、ドイツ・ロマン派の作品を組み合わせたプログラムに力を入れている。
リリースされたCDには、ペーター・シュナイダーの指揮によるワーグナー作品集(ソニー、2005年)、ティーレマン指揮によるモーツァルト《レクイエム》(ドイツ・グラモフォン、2006年)、ジョナサン・ノット指揮によるマーラーの交響曲第2番と第8番(Tudor、2009/11年)、ヘルムート・リリングと共演したブラームスの《アルト・ラプソディ》(Hänssler、2006年)等がある。

リオバ・ブラウン公式サイト  http://www.lioba-braun.de/

© Susie Knoll

オルトルート:リオバ・ブラウン(メゾ・ソプラノ) Ortrud: Lioba Braun

ハインリヒ王:クリストフ・フィッシェッサー(バス) 
 König Heinrich der Vogler: Christof Fischesser
ヴィースバーデン生まれ。フランクフルトの舞台芸術アカデミーで声楽を学んだ。2000年にベルリンの全国声楽コンクールで優勝。これを機にカールスルーエ・バーデン国立歌劇場と複数年契約を結び、《清教徒》のジョルジオ、《ルイザ・ミラー》のワルター伯爵、《ランメルモールのルチア》のライモンド、《エレクトラ》のオレスト、《フィガロの結婚》のフィガロ、《シモン・ボッカネグラ》のフィエスコ、ボイトの《メフィストフェレ》のタイトルロール等を演じた。
2004年にシモーネ・ヤングの指揮する《フィデリオ》のロッコ役でベルリン国立歌劇場にデビューした後、同劇場と1年毎の契約を結ぶことになり、《魔笛》のザラストロ、《フィガロの結婚》のフィガロ、《マクベス》のバンクォー、《アイーダ》のラムフィス、《パルジファル》のクリングゾル、《トリスタンとイゾルデ》のマルケ王、《タンホイザー》の領主ヘルマン、《エフゲニー・オネーギン》のグレーミン侯爵、《カルメン》のエスカミーリョ、《セビリアの理髪師》のドン・バジリオ等を歌った。さらにカールスルーエ・バーデン国立歌劇場では《魔弾の射手》のカスパールを、ヴィースバーデンでは《ファウスト》のメフィストフェレスとカスパールを、ロンドンのコヴェント・ガーデン王立歌劇場では《マノン》の伯爵デ・グリューを、そしてウィーン国立歌劇場では《清教徒》のジョルジオと《セビリアの理髪師》のドン・バジリオを歌っている。
今後の出演予定としては、バイエルン国立歌劇場、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、パリ・オペラ座、トゥールーズ・キャピトル劇場での《タンホイザー》の領主ヘルマン、リヨン歌劇場とヒューストン・グランド・オペラでの《トリスタンとイゾルデ》のマルケ王、アントワープでの《運命の力》のグアルディアーノ神父、ミュンヘンでの《ルイザ・ミラー》のワルター伯爵、チューリッヒ歌劇場での《タンホイザー》の領主ヘルマン、《リゴレット》のスパラフチーレ、《パルジファル》のクリングゾル等がある。 最近のコンサートでの主な活躍には、ダニエル・バレンボイムが指揮するウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団のスペイン公演(ベートーヴェン《交響曲第9番》)、ケント・ナガノが指揮するバイエルン国立歌劇場管弦楽団(ベートーヴェン《ミサ・ソレムニス》)、ウィーン楽友協会でファビオ・ルイジ指揮・ウィーン交響楽団と共演したベートーヴェン《ミサ曲ハ長調》、クラウディオ・アバド指揮・マーラー室内管弦楽団とのモーツァルト《レクイエム》等がある。2010年にはルツェルン音楽祭でクラウディオ・アバド指揮による《フィデリオ》でロッコを歌った。

クリストフ・フィシェッサー公式サイト  http://www.fischesser.de/

© Mummbächer

ハインリヒ王:クリストフ・フィッシェッサー(バス) <br> König Heinrich der Vogler: Christof Fischesser

王の伝令:ボアズ・ダニエル(バリトン) Der Heerrufer des Königs: Boaz Daniel イスラエルのテルアビブ生まれ。1996年ルービン音楽院を卒業後、ウィーンに移り、ウィーン音楽院で二つ目の学位を取得する。在学中からニュー・イスラエル・オペラに何度も出演していたが、1998年の9月からはウィーン国立歌劇場のアンサンブル・メンバーとして、《ファルスタッフ》のフォード、《トリスタンとイゾルデ》のクルヴェナル、《蝶々夫人》のシャープレス、《マノン・レスコー》のレスコー、《フィガロの結婚》のアルマヴィーヴァ伯爵、《愛の妙薬》のベルコーレ、《清教徒》、《シモン・ボッカネグラ》のパオロ、《ラ・ボエーム》のマルチェロ、《ローエングリン》の王の伝令、《ランメルモールのルチア》のエンリコ、《カルメン》といった幅広いレパートリーを歌っている。2008年12月《神々の黄昏》(新演出)でグンターを歌い大成功を収め、その後の《ファウスト》《ドン・カルロ》でも好評を博した。
2000年の秋にはウィーン・フォルクスオーパーで《ドン・ジョヴァンニ》のタイトルロールを歌い、2002年の夏には《トゥーランドット》(新演出)でピンを歌いザルツブルク音楽祭にデビューした。2002/03年にはロンドンのバービカン・センターで行われた《トリスタンとイゾルデ》(演奏会形式)でBBC交響楽団と共演しクルヴェナルを歌い、2004年5月にはドニゼッティの《ランメルモールのルチア》のエンリコでベルリン・ドイツ・オペラにデビューした。2006年の初めにはテルアビブで《ドン・カルロ》のロドリーゴを歌い、同年6月にはアン・デア・ウィーン劇場で《音楽の蜂》を歌った。
2006年10月《トリスタンとイゾルデ》のクルヴェナルでサンフランシスコ歌劇場にデビューし成功を収め、2007年4月にミュンヘンでバイエルン放送交響楽団とのコンサート、《ラ・ボエーム》でアンナ・ネトレブコ、ローランド・ヴィリャソンと共演した。
パリ・オペラ座の日本公演で《トリスタンとイゾルデ》に出演した後、2008年1月に《ファルスタッフ》のフォード役でシカゴ・リリック・オペラにデビュー、翌シーズンには《エルナーニ》を歌った。2008年秋《仮面舞踏会》のレナートでフランクフルト歌劇場にデビュー。2009年2月には《トリスタンとイゾルデ》のクルヴェナルでドレスデン国立歌劇場に、2009年4月には《ローエングリン》の王の伝令でコヴェント・ガーデン王立歌劇場にデビューした。
今後の出演予定には、ウィーン国立歌劇場の公演以外にも、バルセロナのリセウ大劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、二度目の登場となるシカゴ・リリック・オペラ、ウィーン・コンツェルトハウス等での公演がある。

王の伝令:ボアズ・ダニエル(バリトン) Der Heerrufer des Königs: Boaz Daniel

管弦楽:NHK交響楽団 Orchestra: NHK Symphony Orchestra, Tokyo NHK交響楽団の歴史は、1926年10月5日にプロ・オーケストラとして結成された新交響楽団に遡る。その後、日本交響楽団という名称を経て、1951年に日本放送協会(NHK)の支援を受けることとなり、NHK交響楽団に改称した。この間、ドイツからジョセフ・ローゼンストックを専任指揮者として迎え、日本を代表するオーケストラとしての基礎を築く。演奏活動の根幹となる定期公演は1927年2月20日の第1回予約演奏会に始まり、第2次大戦中も中断することなく続けられた。以来、今日に至るまで、ヘルベルト・フォン・カラヤン、エルネスト・アンセルメ、ヨゼフ・カイルベルト、ロヴロ・フォン・マタチッチといった世界一流の指揮者を次々と招聘、また、話題のソリストたちと共演し、歴史的名演を残している。
近年N響は、年間54回の定期公演(NHKホール、サントリーホール)を始め、全国各地で約120回の演奏活動を行なっている。その演奏は、NHKのテレビ・FM放送で全国に放送されると共に、国際放送を通じて欧米やアジアにも紹介されている。また1960年以来、定期的に外国公演を行なう等、その活動と演奏は国際的にも高い評価を得ている。
現在N響が擁する指揮者陣は、名誉音楽監督シャルル・デュトワ、桂冠指揮者ウラディーミル・アシュケナージ、桂冠名誉指揮者ウォルフガング・サヴァリッシュ、名誉指揮者ヘルベルト・ブロムシュテット、正指揮者 外山雄三、尾高忠明、首席客演指揮者アンドレ・プレヴィン。また、ネルロ・サンティ、準・メルクル、アラン・ギルバートら、多彩な実力派たちが定期的に客演している。

NHK交響楽団公式サイト  http://www.nhkso.or.jp/

合唱:東京オペラシンガーズ Chorus: Tokyo Opera Singers 1992年、小澤征爾指揮・蜷川幸雄演出で話題を呼んだ《さまよえるオランダ人》の公演に際して「世界的水準のコーラスを」という小澤氏の要望により、東京を中心に活躍する中堅・若手の声楽家によって結成された。そして同公演での合唱が圧倒的な成果を上げ、各方面から絶賛された。これにより同年の第1回サイトウ・キネン・フェスティバル松本《エディプス王》、バイエルン国立歌劇場の日本公演(ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮)《さまよえるオランダ人》に招かれ、再び高い評価を得た。
翌1993年から活動は本格化し、「サイトウ・キネン・フェスティバル松本(2009年まで連続出演)」「東京フィルハーモニー交響楽団主催コンサート」「神奈川県民ホール主催オペラ公演」等を活動の中心に置きながら、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、キーロフ歌劇場管弦楽団(ワレリー・ゲルギエフ指揮)、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団(ユーリ・テミルカーノフ指揮)、イタリア国立放送交響楽団等の来日公演に出演、音楽界の活性化に大きく貢献することとなった。
1998年には長野冬季オリンピック開会式における世界6カ国を結ぶ《第九》合唱で、中心となる日本側の演奏を担当した。1999年にはヨーロッパの代表的音楽祭の一つであるエディンバラ音楽祭に出演(東急文化村制作《トゥーランドット》)、最大級の賞賛を得た。2000、01年とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共演(小澤征爾、サイモン・ラトル指揮)、同楽団からも高い評価を得た。東京のオペラの森には、東京のオペラの森合唱団として第1回から連続出演。2006、07、10年に共演したリッカルド・ムーティ(ヴェルディ《レクイエム》他)と共演、2010年からスタートした「東京春祭ワーグナー・シリーズ」の第1回《パルジファル》でも好演し注目を集める。

合唱指揮:トーマス・ラング Chorus Master: Thomas Lang ドイツ・シュトゥットガルト生まれ。シュトゥットガルト音楽大学とチュービンゲン大学で教育音楽、声楽、音楽学、指揮を学ぶ。1988年からリューベックの劇場で合唱指揮者や指揮者を歴任。その後は、ヴィースバーデンのヘッセン国立歌劇場における合唱指揮者を経て、2006年からウィーン国立歌劇場の合唱指揮者を務める。近年では、ザルツブルク音楽祭でのウィーン国立歌劇場合唱団の公演に参加する等、活躍を続けている。

合唱指揮:宮松重紀 Chorus Master: Shigeki Miyamatsu 1989年、新星日本交響楽団を指揮してデビュー。以後、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団他を指揮。新国立劇場や二期会等で100を超えるオペラ公演を指揮。2008年ミラノ・スカラ座で研修。ウィーン・フィル来日公演、NHK交響楽団等に合唱指揮者として客演。サイトウ・キネン・フェスティバル松本、東京・春・音楽祭等で小澤征爾、リッカルド・ムーティ、チョン・ミョンフンのアシスタントを務める。東京音楽大学、横浜国立大学講師。

■物語のあらすじ

 舞台は10世紀前半のベルギー、アントウェルペン(アントワープ)のシェルデ河畔より始まる。ドイツ国王ハインリヒ一世が、ハンガリー軍討伐の軍勢を募るため、アントウェルペンを訪れる。このブラバント国の領主ゴットフリート侯爵は、しばらく前から行方不明となっている。後見人のテルラムント伯爵は、妻オルトルートに唆されゴットフリートの姉エルザを弟の殺害者として国王に訴える。無実の罪に問われた彼女は、王の計らいによる神の裁判にかかることを承諾する。エルザはテルラムントとの決闘相手として、彼女がある日夢で見た騎士を選ぶと言う。軍令使が二度ラッパを吹くと、シェルデ河上に一羽の白鳥に曳かれた小舟とともに、エルザの夢に現れた騎士ローエングリンが現れる。彼女はローエングリンの前にひざまずき、すべてを彼に委ねることを誓う。やがて決闘は始まり、ローエングリンは見事相手を倒す。しかし、彼はテルラムントを助命する。(以上、第1幕)

 アントウェルペンの城庭の場に座るテルラムント夫妻。オルトルートの正体は異教徒の魔女で、ゴットフリートを白鳥の姿に変えた全ての黒幕である。彼女はエルザに魔法をかけて、ローエングリンの殺害を企む。軍令使が現れ、テルラムントの追放とローエングリンをエルザの夫とするよう定めた旨を宣告する。テルラムントは、ローエングリンは神を欺く者と訴え、その名と素性を明かすことを要求する。しかしローエングリンは、エルザ以外の者がその要求をすることは許されないと拒む。(以上、第2幕)

 ローエングリンとエルザの結婚式が催される。二人は幸せに浸るが、エルザは夫の素性が気になり、警告を無視してその正体を問う。その時、テルラムントが4人の臣下を引き連れローエングリンに襲いかかる。ローエングリンは、エルザに渡された剣で彼らを斬り斃した後、エルザを前に「はや我らの幸せは終わった!」と言う。ローエングリンは王にテルラムントとのいきさつを説明したのち、エルザの問いによって自らの正体を明かす。彼は聖杯王パルジファルの息子にして聖杯の騎士であり、エルザを冤罪から救うという使命を果たした今、その聖なる秘密が破られたゆえに、モンサルヴァートの聖杯城へと帰らなければならなくなった。彼は国王の遠征に帯同することはできないが、ドイツ軍の勝利によって国の平安は保たれることを予言する。間もなく白鳥が小舟を曳いて迎えに訪れた。ローエングリンが黙祷を捧げると、一羽の白鳩が小舟の上へと飛んできた。それを見た彼は、白鳥をつないでいた鎖を解いた。白鳥は湖に潜ると、やがて一人の美少年へと姿を変える。この少年こそ、ゴットフリートであった。ローエングリンは悲しみを湛えつつ、白鳩が曳く小舟に乗ってはるか彼方へと去って行った。悲しみのあまり、エルザは弟の腕の中で息絶えて幕を閉じる。(以上、第3幕。終)


主催:東京・春・音楽祭実行委員会
協力:株式会社キングインターナショナル/東京藝術大学/東京工科大学デザイン学部

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