PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2016-

ミュージアム・コンサート「ボッティチェリ展」 記念コンサート vol.1
ヴォーカル・アンサンブル カペラ(声楽アンサンブル)

ボッティチェリの時代、音楽ではポリフォニーが栄え、メディチ家などのパトロンたちがこぞって北方フランス・フランドルからの歌い手を宮廷聖歌隊に抱えていました。人間の声だけの柔らかで豊かな響きが、ルネサンス の聖堂へと聴くものをタイムスリップさせてくれます。

プログラム詳細

2016:03:19:14:00:00

■日時・会場
2016.3.19 [土] 14:00開演(13:30開場)[約60分]
東京都美術館 講堂

■出演
ヴォーカル・アンサンブル カペラ
 スペリウス:花井尚美、安邨尚美
 コントラテノール/テノール:望月裕央、渡辺研一郎、富本泰成、根岸一郎
 バッスス:櫻井元希、花井哲郎(音楽監督)

■曲目
《メディチ家の宗教音楽》
 グレゴリオ聖歌:入祭唱「ここは畏れ多い場所」 [試聴]
 ギョーム・デュファイ:ばらの花が先ごろ [試聴]
 ハインリヒ・イザーク:誰が私の頭に水を与えるか
グレゴリオ聖歌:アンティフォナ「幸いな御母」
ジョスカン・デ・プレ:ああ、いとも賢いおとめ/幸いな御母 [試聴]
ピエール・ムリュ:御母は花咲き [試聴]

[アンコール]
ピエール・ド・ラ・リュー:めでたし天の女王

【試聴について】
[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


~「ボッティチェリ展」 記念コンサート~

チケットについて

■チケット料金(税込)

席種 全席自由
料金 ¥2,100
残席状況 本公演は終了いたしました。

 ■一般発売日
 2015年12月10日(木)10:00

■曲目解説

本日のプログラムは「ボッティチェリ展」にちなんで、ボッティチェリと同時代のフィレンツェとメディチ家に関連のある宗教作品を集めました。

フィレンツェのシンボルであるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂はボッティチェリが生まれるほんの少し前に完成し、1436年に教皇エウジェニウス4世によって献堂式が行われました。その際に演奏されたのがデュファイの 2. 「ばらの花が先ごろ」です。歌詞はまさにその献堂式のことを語っており、聖堂が捧げられた聖母に対するフィレンツェの民の祈りが続きます。4つのセクションからなっていますが、各セクションでテノールの声部が献堂式のためのグレゴリオ聖歌の冒頭部分を繰り返します。本日の演奏ではこの聖歌 1. 入祭唱「ここは畏れ多い場所」をデュファイに先立って歌います。

ハインリヒ・イザークはフランドル地方出身の作曲家で、後に神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン1世に仕えるようになる前は、メディチ家の宮廷音楽家でした。 3. 「誰が私の頭に水を与えるか」は1492年のロレンツォ・デ・メディチの死を悼む哀歌で、同じ宮廷の詩人アンジェロ・ポリツィアーノが作詞したものです。詩の第3連ではロレンツォを表す「月桂樹」が雷の打撃によって切り倒されたことを、4つの声部の中心であるテノールが全く沈黙することによって示しています。そしてグレゴリオ聖歌の一節「平安のうちに安らぐことができますように」が、次第に音高を下げながら繰り返されていき、哀悼の念を示します。

やはりフランドルの作曲家ジョスカン・デ・プレの聖母のためのモテット 5. 「ああ、いとも賢いおとめ/幸いな御母」の歌詞も、ポリツィアーノの作です。受胎告知、マリアへの聖霊の降臨、聖母を象徴する海の星といったテーマが巧みな詩に作り込まれています。6つの声部からなりますが、そのうちふたつのテノール声部はグレゴリオ聖歌「幸いな御母」をカノンとして追いかけるように歌います。ジョスカンの作品の演奏に先立ってまずこの 4. アンティフォナ「幸いな御母」をお聴きいただきます。ポリツィアーノによる元々の詩はもう少し長いのですが、ジョスカンは作曲する際に説得力ある音楽的展開になるように短縮し、さらにはアンティフォナの歌詞をそこに絡み合うように織り込んでいます。

ロレンツォ・デ・メディチの息子のひとり、ジョヴァンニ・デ・メディチは、教皇レオ10世となります。フランス・フランドルの音楽を好んだこの教皇がおそらく1518年に作らせたと考えられている豪華な音楽写本が残されていて、一般にメディチ写本 Medici Codex と呼ばれています。ジョスカン・デ・プレをはじめとした様々な作曲家の宗教音楽が収録されています。ピエール・ムリュの 6. 「御母は花咲き」はそのなかの一つです。歌詞は当時活躍していたいろいろな音楽家の名前をあげて、彼らのために祈る、祈りの歌です。そのなかには現在まで作品が残され、知られている作曲家も何人も含まれています。ムリュはフランス宮廷で歌手として活躍しており、ジョスカンの弟子とも言われている作曲家です。おそらく何人もの音楽家が集まった際に、自ら歌いながら仲間たちひとりひとりのために祈ったのでしょう。(花井哲郎)

主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)

後援: イタリア大使館朝日新聞社 協力:日本音響エンジニアリング株式会社


※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

(2016/03/17更新)

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