HARUSAI JOURNAL春祭ジャーナル

春祭ジャーナル 2018/01/30

ウィーン国立歌劇場コレペティトールのある日のスケジュール

 オペラ上演には欠かせない重要な役割を果たす「コレペティトール」。
 ただのピアノ伴奏者ではなく、あらゆるオペラに精通し、歌詞の発声・発音といった技術的なことから、その解釈まで、歌手に稽古をつけるピアニストのこと。
 「2台のピアノによるワーグナー & R.シュトラウス」に登場する2人のピアニストの一人、オペラの本場、ウィーン国立歌劇場で声楽指導監督(Musikalische Studienleitung)を務めるトーマス・ラウスマンの12月のある日のスケジュールを追った。

トーマス・ラウスマン

トーマス・ラウスマン


 東京春祭ワーグナー・シリーズを支える重要なスタッフの一人、歌手陣の音楽コーチを務めるトーマス・ラウスマン。

 2010~13年まではウィーン国立歌劇場で「ソロ・レペティトール」を務め、2013年より彼らを束ねる声楽指導監督を務める。現在ウィーン国立歌劇場の音楽スタッフは、ラウスマン氏に加えて、フルタイムの10名のコレペティトール、1名の練習指揮者、4名のプロンプターが勤務している。

 常時複数演目のリハーサルと本番が同時進行で進むウィーン国立歌劇場でのコレペティトールの1日のスケジュールは、本番の有無によって、二つに分けられるそう。

トーマス・ラウスマン

東京春祭ワーグナー・シリーズ
『ニーベルングの指環』第2日《ジークフリート》
リハーサルの舞台上にて
©堀田力丸

トーマス・ラウスマン

東京春祭ワーグナー・シリーズ
『ニーベルングの指環』第2日《ジークフリート》
本番前の舞台裏にて
©堀田力丸


※ 画像をクリックすると、拡大表示します。

2017年12月某日(本番がない日) 2017年12月某日(本番がある日)
6:00
7:00

7:15

娘のリリーとともに家を出発

7:15

娘のリリーとともに家を出発
娘と一緒に駅へ向かう 通勤で使っている電車

7:30

リリーを学校に送り届ける

7:30

リリーを学校に送り届ける
12月の朝のウィーン国立歌劇場 楽屋口

7:45

劇場に到着、これから数日間のリハーサル・スケジュールの準備を行う

7:45

劇場に到着、これから数日間のリハーサル・スケジュールの準備を行う
8:00
9:00

9:00

スケジューリング・オフィス* にて仕事

9:00

スケジューリング・オフィス* にて仕事
スケジューリング・オフィスにて
机にあるのは、スケジュールを練るのに皆で使用している"ブック"
ある1日のスケジュール
* 主に客演歌手たちのスケジュール等を調整するスタッフが勤務しているオフィス
10:00
11:00

11:00

進行中のリハーサルの様子を確認

1100

総監督のオフィスでミーティング
マネージメント・オフィスへの廊下
12:00

12:00

同僚たちとミーティング
子どものための新作オペラの音楽に関する点を話し合う

13:00

13:00

劇場内のキャンティーンで昼食

13:00

劇場内のキャンティーンで昼食
14:00

14:00

ユニオンのミーティング 劇場の勤続年数の長い従業員のお祝いをする

14:00

コンサートに備えてピアノの練習
15:00

15:00

翌週以降のスケジュールを練る

15:00

インターンと新しいプロジェクトに関する仕事をこなす
翌日のスケジュールを練るための準備
16:00

16:00

コンサートと舞台に備えてピアノの練習
17:00

17:30

夜の本番の準備を行う

17:40

リリーを学校に迎えに行く
18:00

18:00

帰宅し、家族と夕食

18:30

 - 

 

22:15

《ルル》本番 オーケストラピットにて、ピアノパートの演奏
19:00
20:00
21:00
22:00
公演のポスター オーケストラピットでの
定位置
《ルル》終演後にアグネタ・アイヒェンホルツ(ルル)、ヴォルフガング・バンクル(力業師/猛獣使い)ら出演者たちと

22:30

《ルル》最終日を祝って職場の仲間たちと飲みにいく
23:00

23:30

帰宅
24:00

 オペラとその制作現場を知り尽くした「スーパー・コレペティトール」。

 彼らがスタッフとして支える東京春祭ワーグナー・シリーズはもちろん、今年は彼らのピアノによるオペラの世界を、ぜひ堪能してほしい。


~関連公演~

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