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東京・春・音楽祭 2019

アーティスト

リッカルド・ムーティ (指揮) ナポリ生まれ。サン・ピエトロ・ア・マイエッラ音楽院にてヴィンチェンツォ・ヴィターレのもとでピアノを学び、優秀な成績で卒業した。その後、ミラノにあるジュゼッペ・ヴェルディ音楽院でブルーノ・ベッティネッリとアントニーノ・ヴォットーに師事し、作曲と指揮で学位を取得した。1967年ミラノでのグィード・カンテッリ国際指揮者コンクールにおいて、権威ある審査員により満場一致で優勝の栄誉を与えられ、▼続きを見る批評家及び一般の聴衆から初めて注目を集めることとなる。翌年には「フィレンツェ五月音楽祭」の首席指揮者に任命され、80年までその任を務めた。71年には、カラヤンに招かれてザルツブルク音楽祭に初登場。それ以来何度も出演を重ね、2010年には、このオーストリアの音楽祭との芸術的コラボレーションは40周年を迎えた。1970年代には、オットー・クレンペラーの後を継いでロンドンのフィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者(72~82年)を務め、80~92年まではユージン・オーマンディの後任としてフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督を務めた。1986~2005年までは、ミラノ・スカラ座の音楽監督として、モーツァルトのダ・ポンテ三部作やワーグナーの『リング』ツィクルス等の重要なプロジェクトを手がけた。また、レパートリーである古典の名曲と並行して、演奏される機会の少ない作品や顧みられることのない作品も取り上げた。そのなかには18世紀ナポリ楽派の作品やグルック、ケルビーニ、スポンティーニのオペラ等がある。つい最近ではプーランク《カルメル派修道女の対話》で、栄えあるアッビアーティ賞を授与された。スカラ座の音楽監督として過ごした長い歳月は、改修を終えたスカラ座の輝かしい再開を祝う2004年12月7日のサリエリ《見出されたエウローパ》公演で最高潮に達した。ヴェルディ作品に対する貢献は多大で、これまでに《エルナーニ》《ナブッコ》《シチリア島の夕べの祈り》《椿姫》《アッティラ》《ドン・カルロ》《ファルスタッフ》《リゴレット》《マクベス》《運命の力》《イル・トロヴァトーレ》《オテロ》《アイーダ》《仮面舞踏会》《二人のフォスカリ》《群盗》を指揮している。スカラ座の音楽監督としての在任期間は史上最長である。 並はずれた経歴のなかで、これまでに世界中の一流オーケストラのほとんどを指揮しており、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やバイエルン放送交響楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、フランス国立管弦楽団、そして1971年以来ザルツブルク音楽祭で共演してきたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とはとりわけ強く大切な絆で結ばれており、創立150周年記念コンサートを指揮するために招かれた際には、オーケストラから特別な感謝と愛情の印として、選ばれたごく少数の指揮者にしか与えられない「金の指輪」が贈られた。2018年には、評判も知名度も高いウィーンでのニュー・イヤー・コンサートを1993年、97年、2000年、04年に続いて、14年ぶり5回目となる指揮をしている。03年4月には、フランス国立ラジオ放送の音楽専門局フランス・ミュジークが「リッカルド・ムーティの日」と題した番組を放送し、これまでに指揮をしてきたすべてのオーケストラとのオペラやコンサートの録音を14時間にわたって紹介した。また同年12月14日には、再建を果たしたヴェネツィアのフェニーチェ劇場で待望のこけら落とし公演を指揮した。04年には、イタリア全土から集まった600人もの応募者の中から、国際委員会によって選ばれた若手演奏家で構成されるルイージ・ケルビーニ管弦楽団を設立。レコーディング活動は古典的な交響曲・オペラのレパートリーからコンテンポラリー作品にまで及び、数多くの賞を受賞している。 ムーティの芸術家としての社会的・市民的な良心は、過去の過ちや現代の歴史を象徴するいくつもの場所でのコンサートに示されている。ラヴェンナ音楽祭のプロジェクト「友情の道」の一環として指揮をしてきた公演が、まさにそれである。1997年サラエヴォ、98年ベイルート、99年エルサレム、2000年モスクワ、01年エレバンとイスタンブール、02年ニューヨーク、03年カイロ、04年ダマスカス、05年チュニジアのエル・ジェム、06年メクネス、07年レバノンのためのコンサート、08年マツァーラ・デル・ヴァッロ、09年サラエヴォ、10年トリエステ、11年ナイロビ、12年ラヴェンナ、13年ミランドラ、14年レディプーリア、15年オトラント、16年東京、17年テヘラン等において、ミラノ・スカラ座の管弦楽団・合唱団、フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団・合唱団、ヨーロッパの主要オーケストラのトップ・プレイヤーたちで構成された「ミュージシャンズ・オブ・ヨーロッパ・ユナイテッド」、そして最近ではルイージ・ケルビーニ管弦楽団等が参加して行なわれてきた。 これまでに授けられた栄誉は数知れず、イタリア共和国からはカヴァリエーレ大十字勲章、ドイツ連邦共和国からは功労十字勲章を授与された。フランスでは、エリゼ宮殿で開かれた非公開のセレモニーで、サルコジ前大統領からレジオンドヌール勲章が贈られた。また英国では、エリザベス女王から大英帝国勲章(ナイト爵)を受章した。ザルツブルクのモーツァルテウムからはモーツァルトの音楽に対する貢献により銀メダルを授与され、ウィーンではウィーン楽友協会、ウィーン宮廷楽団及びウィーン国立歌劇場の名誉会員にも選ばれた。さらにロシアのプーチン大統領から友好勲章が、イスラエルからはヴォルフ賞(芸術部門)が贈られた。また、イタリアを始め諸外国の数多くの大学から名誉学位を授与されている。14年にはシカゴのノースウェスタン大学より名誉学位を授与されている。 ザルツブルク祝祭大劇場で開かれたモーツァルト生誕250年祝賀行事のオープニング・コンサートではウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したが、2017年には同管弦楽団とムーティとの関係は47周年を迎えることになる。また、07年ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭では、ルイージ・ケルビーニ管弦楽団を率いて、18世紀ナポリ楽派のオペラ及び宗教音楽という遺産の再発見と評価向上に捧げる5年間のプロジェクトを開始した。10年9月シカゴ交響楽団の音楽監督に就任、「ミュージカル・アメリカ」誌により「ミュージシャン・オブ・ジ・イヤー」に選ばれた。11年2月には、シカゴ交響楽団・合唱団とのヴェルディ《レクイエム》のライブ録音が第53回グラミー賞において、最優秀クラシック・アルバム賞と最優秀合唱パフォーマンス賞の2つを獲得した。11年3月には名誉あるビルギット・ニルソン賞の受賞者に選ばれ、10月13日にストックホルムのスウェーデン王立歌劇場での授賞式で、カール16世グスタフ国王ならびにシルビア王妃ご臨席のもと同賞が授与された。11年4月には第6回オペラ・ニュース賞を、5月にはスペインの栄誉あるアストゥリアス皇太子賞(芸術部門)を受賞。皇太子賞は秋にアストゥリアス皇太子が主宰するオビエドでの授賞式で授与された。11年7月にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の名誉団員に、8月にはローマ歌劇場の終身名誉指揮者に選ばれた。12年5月、最高位の騎士団勲章である大聖グレゴリウス勲章(大十字)がローマ教皇・ベネディクト16世から贈られた。16年には日本政府より旭日重光章を受章している。 15年7月、これまで以上に若手演奏家の指導に注力したいという気持ちが実現して、若手の指揮者・コレペティトール・歌手のための「リッカルド・ムーティ イタリア・オペラ・アカデミー」の第1回がラヴェンナで行なわれて絶賛を博し、世界中の才能ある若手演奏家が参加した。このアカデミーは、マエストロ・ムーティの経験や受けてきた指導を若手演奏家に伝え、オペラ制作に至る複雑なすべての過程についても理解を深めることを目的としている。第1回は《ファルスタッフ》、16年には韓国とラヴェンナで《椿姫》、17年に《アイーダ》、18年には《マクベス》を取り上げている。 18年、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞。▲プロフィールを閉じる

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