PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-

ミュージアム・コンサート 久元祐子(ピアノ)~名器エラールで聴くピアノ名曲選

プログラム詳細

Photo:青柳 聡
■日時・会場
2012.3.28 [水] 14:00開演(13:30開場)※ この公演は終了いたしました。
国立科学博物館 日本館講堂

■出演
ピアノ:久元祐子

■曲目
ベートーヴェン:
 バガテル イ短調 《エリーゼのために》 speaker.gif[試聴]
 ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 op.53 《ワルトシュタイン》 speaker.gif[試聴]
リスト:《コンソレーション》 S.172 第3番 変二長調 speaker.gif[試聴]
モーツァルト(リスト編):《アヴェ・ヴェルム・コルプス》 speaker.gif[試聴]
ショパン:
 ノクターン 第2番 変ホ長調 op.9-2 speaker.gif[試聴]
 ノクターン 第5番 嬰へ長調 op.15-2 speaker.gif[試聴]
 ノクターン 第20番 嬰ハ短調(遺作) speaker.gif[試聴]
 ワルツ 第9番 変イ長調 op.69-1《告別》 speaker.gif[試聴]
 ワルツ 第6番 変ニ長調 op.64-1《小犬》 speaker.gif[試聴]
ショパン(リスト編):《6つのポーランドの歌》より「私のいとしい人」 speaker.gif[試聴]
リスト:《愛の夢》S.541より第3番 変イ長調
シューマン(リスト編):《献呈》 speaker.gif[試聴]
[アンコール]
ショパン:
 エチュード op.10-3 《別れの曲》
 エチュード op.10-12 《革命》


【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ピアノ:久元祐子 Piano:Yuko Hisamoto 東京藝術大学音楽学部器楽科(ピアノ専攻)を経て、同大学大学院修士課程を修了。
日本各地や海外でリサイタルを開催。近年では、ヴァルター、プレイエル、エラール等、歴史的楽器を用いたコンサートに数多く出演。当時の楽器の奏法や美学をも踏まえた新境地を確立しつつある。音楽を多面的に捉えることを目指して、レクチャー・リサイタルの公演にも取り組み、朝日新聞の天声人語でも紹介される。
2009年にリリースの『ハイドンとモーツァルト』(コジマ録音)は、毎日新聞CD選1位、「レコード芸術」推薦盤に選ばれる。その他にも『ショパンリサイタル』『ノスタルジア』『青春のモーツァルト』『ベートーヴェンピアノ・ソナタ『テレーゼ』『ワルトシュタイン』』等、多数のCDをリリース。
演奏経験をもとに著述にも取り組み『モーツァルトのピアノ音楽研究』(音楽之友社)、『作曲家別演奏法~シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン、ショパン~』(ショパン)、『モーツァルトはどう弾いたか』(丸善出版)等を刊行。共著に『作曲家ダイジェストショパン』(学研)、『ビジュアルで楽しむピアノの世界』(学研)等がある。
これまでに、小林研一郎氏指揮日本フィルハーモニー交響楽団、下野竜也氏指揮読売日本交響楽団、金聖響氏指揮東京フィルハーモニー交響楽団、飯森範親氏指揮神奈川フィルハーモニー交響楽団、延原武春氏指揮テレマン室内合奏団、ヘルベルト・ギーセンス指揮ラトヴィア国立交響楽団等と共演。ベルリン弦楽四重奏団、澤カルテットとの共演等、室内楽のコンサートにも多数出演。またNHK-FM「名曲リサイタル」、NHK「ラジオ深夜便」等の放送番組にも出演している。園田高弘賞、毎日21世紀賞等を受賞。

公式サイト http://www.yuko-hisamoto.jp/

ピアノ:久元祐子 Piano:Yuko Hisamoto

■曲目解説

ベートーヴェン:バガテル イ短調《エリーゼのために》
《エリーゼのために》は1810年の作品。ベートーヴェンが愛したテレーゼ・マルファッティに捧げられたと言われ、もともとは「テレーゼのために」と題されていたという説もある。あまりにも有名な旋律により始められる第1部、愛らしさに満ちた第2部、激しさをともなった第3部からなる美しい小品である。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 op.53《ワルトシュタイン》
《ワルトシュタイン》という通称は、献呈者であるフェルディナント・フォン・ワルトシュタイン伯爵に由来する。ベートーヴェンはこの頃、《クロイツェル・ソナタ》、交響曲第3番《英雄》、歌劇《フィデリオ》といった大作を書くなど、脂の乗り切った時期であった。
静かな和音の連打に乗って現れ、徐々に盛り上がっていく第1主題と抒情的な第2主題からなる第1楽章。続く第2楽章は、終楽章への序奏的な要素が強い。そして素朴な主題(彼が生まれたボン地方の民謡にもとづくという説もある)による、力強く華々しいロンド形式の終楽章で全曲が閉じられる。

リスト:《コンソレーション》S.172より 第3番 変ニ長調
《コンソレーション》は1849年から翌年にかけて作曲された6つの小品集。なかでも今回演奏される変ニ長調は、もっとも演奏頻度が高い。流れるような伴奏にのったメロディが全編を通して現れ、柔らかくどこか温かみのある静謐さを醸し出している。

モーツァルト(リスト編):《アヴェ・ヴェルム・コルプス》
リストは、19世紀、急速に進化したピアノという楽器の可能性を最大限に拡張した音楽家である。彼は他の作曲家の楽曲をピアノ演奏用に数多く編曲したことで知られるが、この《アヴェ・ヴェルム・コルプス》もモーツァルトの清澄なメロディを生かしつつ、そこにリスト独自の色合いを付加している。

ショパン:
 ノクターン 第2番 変ホ長調 op.9-2、ノクターン 第5番 嬰へ長調 op.15-2、ノクターン 第20番 嬰ハ短調(遺作)
ノクターン(夜想曲)という形式は、アイルランドの作曲家ジョン・フィールドによって創始され、ショパンのもとでさらなる発展を遂げた。
「ノクターン 第2番」は、彼のノクターンの代名詞ともいえる作品で、1830年から翌年にかけて作曲。装飾音で彩られた甘美な旋律が、再現のたびに変奏されていく。
「ノクターン 第5番」は1830年から翌年にかけて作曲され、同第4、6番とともに作品15として1833年に出版された。歌うような装飾的音形が効果的に用いられ、美しく独創的な曲として作品15のなかでも特に人気がある。
「ノクターン 第20番」は1830年の作曲だが、出版されたのはショパンの死後である。暗く沈んだ主題が印象深く、今日、ショパンのノクターンのなかでも著名な一曲に数えられている。映画『戦場のピアニスト』でも演奏された。

ショパン:ワルツ 第9番 変イ長調 op.69-1《告別》、ワルツ 第6番 変ニ長調 op.64-1《小犬》
《告別》は1835年9月、ドレスデンにて作曲。ショパンは当時16歳だったヴォジンスキ家の令嬢マリアと恋に落ち、本作品を彼女に捧げた。婚約までこぎ着けた二人であったが、最終的には破局を迎える。そういった思い出もあってか、この作品はショパンの生前、出版されることはなかった。美しさと物憂げな雰囲気が、二人の恋の軌跡を思わせる。
《小犬》は1846年から翌年にかけて作曲された。軽やかな音の動きは、ジョルジュ・サンドの愛犬が、自分の尻尾を追ってぐるぐる回る様を表現したとされる。

ショパン(リスト編):《6つのポーランドの歌》より「私のいとしい人」
《6つのポーランドの歌》は、素朴な味わいを持つショパンの歌曲をリストがピアノ独奏用に編曲した作品で、「乙女の願い」「春」「指輪」「バッカナール」「私のいとしい人」「家路」の6曲からなる。

リスト:《愛の夢》S.541より 第3番 変イ長調
《愛の夢》は、自作の歌曲をピアノ用に編曲した作品(全3曲)で、ピアニズム的な要素より、メロディそのものに重点が置かれている。なかでも演奏頻度が高いのがこの変イ長調で、耽美な旋律と伴奏部の流麗な分散和音が極上の美しさを放っている。

シューマン(リスト編):《献呈》
シューマンの歌曲集《ミルテの花》の第1曲「献呈」をリストがピアノ独奏用に編曲した一篇。シューマンの美しいメロディとリストの巧みなアレンジが融合し、ロマンチックな作品に昇華されている。




主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館

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