PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2012-

ミュージアム・コンサート原田 節~不思議な楽器オンド・マルトノ

プログラム詳細

Photo:青柳 聡
■日時・会場
2012.3.20 [火・祝] 14:00開演(13:30開場)
※ この公演は終了いたしました。
国立科学博物館 日本館講堂

■出演
オンド・マルトノ:原田 節
打楽器・マリンバ:池上英樹

■曲目
《私のお気に入り》(ロジャース&ハマースタイン)
《ブルー・ボッサ》(K.ドーハム)~《ウェイヴ》(A.C.ジョビン)
フォーレ:《レクイエム》ニ短調 op.48より「慈愛深いイエスよ」
J.S.バッハ:フルート・ソナタ ハ長調 BWV1033 speaker.gif[試聴]
マスカーニ:
 歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より「間奏曲」(アヴェ・マリア)
原田 節:私たちはみな太陽からやって来た賢人を知っています
ピアソラ:デカリシモ
原田 節:
 金の毒
 二つの無邪気の間で
 帰れトロントへ
[アンコール]
ラヴェル:プレリュード
J.S.バッハ:27のコラールより愛しきイエスよ我らはここに

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

オンド・マルトノ:原田 節 Ondes Martenot:Takashi Harada 世界中のオーケストラとの共演やフェスティバルを飛び回る原田節は、慶應義塾大学卒業後、渡仏。パリ国立高等音楽院オンド・マルトノ科を首席で卒業。ジャンヌ・ロリオ女史のもとで研鑚を積んだ。現代音楽界での先進的な創作と共に、その活動は映画、テレビ、アニメ、そしてプレステ2までボーダレスで一つの定義には収まりきらない。オンド・マルトノの第一人者という評価にとどまらず、作曲家としての地位も確立しており、独自の哲学に裏打ちされた多様多彩な作品群を生み出している。
特にメシアン《トゥランガリラ交響曲》は、オンド・マルトノが登場する代表的な曲であり、この楽器を用いる曲としては最も演奏頻度が高い。メシアンの生誕100年の2008年は、ベルリン・ドイツ交響楽団、ソウル・フィルハーモニックオーケストラ、NHK交響楽団、九州交響楽団、PMFオーケストラリヨン国立歌劇場管弦楽団、ボストン交響楽団と共演。これまでに同曲の演奏回数は、20ヵ国、200回以上に及んでいる。出光音楽賞、横浜文化奨励賞、ミュージック・ペンクラブ賞等、受賞歴多数。

公式サイト http://harady.com/onde/

オンド・マルトノ:原田 節 Ondes Martenot:Takashi Harada

打楽器・マリンバ:池上英樹 Percussion/Marimba:Hideki Ikegami 8歳から高校時代までジャズ、ロックのドラマーとして活動。その後クラシックの世界に衝撃を受け、パーカッション、マリンバを始める。大阪教育大学を経て、1996年にフランスへ留学、パリ国立高等音楽院、パリ国立音楽院で学ぶ。1997年、第46回ミュンヘン国際音楽コンクール打楽器部門最高位入賞し、ヨーロッパでの演奏活動を始める。ミュンヘンJazz&Moreフェスティバル、フランス日本年記念公演、ベルリン室内楽フェスティバル等、約50公演を行う。その後1999年ドイツ・カールスルーエ音楽大学に入学、演奏活動を休止し、打楽器を一から学び直す。打楽器奏者だけでなく、ヴァイオリニスト、ピアニスト、オペラ歌手等に師事し、音楽的な研鑽を積む。ベルカント唱法を打楽器に応用したテクニックを基盤とし始める。
2001年、日本に帰国後、現在はリサイタル、ワークショップ、コンチェルト等、全国各地で演奏活動を展開。2004年、佐渡裕指揮・東京都交響楽団定期演奏会にて石井眞木《アフロ・コンチェルト》のソリストを務める。以降、佐渡裕と度々共演を重ねている。近年では、御喜美江(アコーディオン)、佐藤美枝子(ソプラノ)との共演が話題を呼んでいる。その他、「音楽するカラダ」と題したワークショップも好評。マリンバでの縦横無尽な音楽性や、打楽器の独創的な世界観が高い評価を得ている。2005年、青山音楽賞、2006年、文化庁芸術祭音楽部門新人賞受賞。

公式サイト http://www.ikegamihideki.com

©T.Oda

打楽器・マリンバ:池上英樹 Percussion/Marimba:Hideki Ikegami

■曲目解説

《私のお気に入り》(ロジャース&ハマースタイン)
  ~《ブルー・ボッサ》(K.ドーハム)~《ウェイヴ》(A.C.ジョビン)

ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の劇中歌として一世を風靡した《私のお気に入り》に始まり、ジャズ・トランペッターのケニー・ドーハムによるスタンダード・ナンバー《ブルー・ボッサ》を経て、ボサノバの大御所アントニオ・カルロス・ジョビンが1967年に発表した名作《ウェイヴ》へと至る。

フォーレ:《レクイエム》ニ短調 op.48より「慈愛深いイエスよ」

フォーレの代表作《レクイエム》の慎ましやかで穏やかな雰囲気は、第4曲「慈愛深いイエスよ」においてもっとも顕著に感じられるのではないだろうか。「死の恐怖」よりも「天へ召される至福の喜び」を歌ったこの作品は、1888年の第1稿、1893年の第2稿を経て、1900年に今日我々が耳にする第3稿が成立した。

J.S.バッハ:フルート・ソナタ ハ長調 BWV1033

この作品に関しては、J.S.バッハの「真作」であるという説と、「偽作説」(息子のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの筆写譜には「父の作品」と記されているが……)がある。楽曲の構成は、伝統的な教会ソナタ(緩/急/緩/急)の楽章配置にもとづいている。

マスカーニ:歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より「間奏曲」(アヴェ・マリア)

1890年に初演され一躍マスカーニの名を世に知らしめた《カヴァレリア・ルスティカーナ》。直接的な感情表現と重厚なオーケストラによる「ヴェリズモ・オペラ」の先駆けとなった同歌劇は、この「間奏曲」のみが独立して演奏されることも多い。澄み切った素朴さを持つメロディに、マッツォーニが歌詞を付け、「マスカーニのアヴェ・マリア」として世界に広まった。

ピアソラ:デカリシモ

《デカリシモ》とは、アルゼンチン・タンゴの発展に貢献した作曲家フリオ・デ・カロ(1899-1980)に由来し、「きわめてデ・カロ的な」という意味。よって、この作品は、ピアソラが自らの先駆者であるデ・カロに捧げたオマージュとも言える。情熱に満ちた作品が多いピアソラであるが、本作ではどこか陽気でエレガントな雰囲気を醸し出している。

原田 節:
 私たちはみな太陽からやって来た賢人を知っています 金の毒 二つの無邪気の間で 帰れトロントへ

日本におけるオンド・マルトノの第一人者である原田節は、自らの演奏者としての役割を三つ掲げている。第1に「メシアンなどパリを取り巻くすでに評価の定まった古典とも呼ぶべき作品の紹介」、第2に「オンド・マルトノの持つ音の快感に浸れるような楽曲の披露」、第3に「他の作曲家との共同作業で創り出す新しい作品への取り組み」(東京藝術大学演奏藝術センター企画「楽器シリーズⅡ オンド・マルトノ―ハラダタカシの世界―」プログラムより)。
今回は、その第2の取り組みから生まれた諸作が、作曲者の自演により披露される。我が国でこの楽器をもっとも熟知した原田節の妙技を堪能したい。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館会

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