PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-

《午前11時》の音楽会工藤すみれ チェロ・リサイタル
~齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞者支援コンサート~

NYを活動の拠点に移し10年以上、現在、ニューヨーク・フィルの奏者としても活躍する工藤すみれ。久々の東京でのリサイタルが実現。現代音楽も積極的に紹介するなど、その活動は現地でも注目を集めています。「工藤すみれの現在」を聴いてください。

プログラム詳細

2011:04:07:19:00:00

Photo: Rikimaru Hotta
■日時・会場
2011.4.7 [木] 11:00開演(10:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
チェロ:工藤すみれ
ピアノ:中野翔太

■曲目
J.S.バッハ:《無伴奏チェロ組曲》より組曲 第1番 ト長調 BWV1007speaker.gif[試聴]
ペレイラ:組曲 第1番
クラム:無伴奏チェロ・ソナタspeaker.gif[試聴]
ダヴィドフスキー:シンクロニズム 第3番(チェロと電子音のための)speaker.gif[試聴]
ドヴォルジャーク:ロンド ト短調 op.94speaker.gif[試聴]
ドヴォルジャーク:森の静けさ op.68-5speaker.gif[試聴]
バーバー:チェロ・ソナタ ハ短調op.6speaker.gif[試聴]
※当初発表の曲目より変更になりました
曲目解説はこちら

[アンコール]
ドヴォルザーク:わが母の教えたまいし歌

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

チェロ:工藤すみれ  Cello: Sumire Kudo 東京生まれ。チェロを4歳から父に、その後、井上頼豊、毛利伯郎に師事。室内楽を原田幸一郎に師事。桐朋学園子供のための音楽教室、桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースを経て、2000年9月からジュリアード音楽院に留学し、ハーヴィー・シャピーロに師事。2001〜06年の5年間、アヴァロン弦楽四重奏団のチェロ奏者として、アメリカのみならずヨーロッパでも国際的な活動を行なった。2001〜03年、ジュリアード弦楽四重奏団のアシスタントを務め、ジュリアード音楽院のアーティスト・ディプロマコースを卒業。2004〜06年までアヴァロン弦楽四重奏団の一員としてインディアナ大学サウスベンド校のアーティスト・イン・レジデンスを務め、教鞭をとった。また2003年よりニューヨーク拠点の現代音楽グループ“counter)induction”の一員として活動しており、「現在の現代音楽シーンの先端をゆくグループ」(ワシントンポスト)、「火花が散るほど音楽的なグループだ。知られざる作品を精密に演奏し、それは彼らにとってはまるで簡単なことのようだった」(ニューヨークタイムズ)と評価され、現在も委託作品の初演や、知られざる作曲家の紹介、作品の初演等を定期的に行なっている。2006年6月からはニューヨーク・フィルハーモニックのチェロ奏者として活動を始め、インディアナからニューヨークに居を移した。
1992年、札幌ジュニア・チェロ・コンクールで優秀賞。1993年、第62回日本音楽コンクールで第2位。その後、長野・アスペン音楽祭に参加し、スカラシップを得て翌年アメリカ・アスペン音楽祭に参加。サンタ・フェ、ラ・ホヤ音楽祭にも招かれ、1997年4月には大垣音楽祭において最優秀新人賞受賞。その後、マールボロ音楽祭や宮崎国際音楽祭にも参加している。1999年6、10月にはサントリーホールのフェスティバル・ソロイスツとも共演を果たし、2000年3月にカザルスホールで行なった初の自主リサイタルは高く評価された。また2005年には小澤征爾と堤剛の推薦により第4回「斎藤秀雄メモリアル基金賞」を受賞した。
これまでに、東京都交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、京都市交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団、桐朋学園オーケストラ等と共演。
2000年にはフィリップス(ユニバーサルミュージック)からデビューCDがリリースされ、翌年リリースされた2作目は「レコード芸術」誌においてベスト・レコーディング賞を与えられた。
1回1回の演奏に大器の片鱗をうかがわせ、豊かな将来性に大きな期待が寄せられている。

©2006 Chris Lee

チェロ:工藤すみれ  Cello: Sumire Kudo

ピアノ:中野翔太 Piano: Shota Nakano ジュリアード音楽院プレ・カレッジを経て、同音楽院卒業。これまでに、マティアス・バーメルト指揮NHK交響楽団、シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団、小澤征爾指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団等、国内外のオーケストラと共演。リサイタルや室内楽の他、ジャズの松永貴志と即興も交えた演奏を披露する等、更なる進化を遂げている。2009年8月、オクタヴィアレコードよりシューマンのピアノ曲集でデビューアルバムをリリースし、「レコード芸術」誌の特選盤に選ばれる。2005年、第15回出光音楽賞受賞。

ピアノ:中野翔太 Piano: Shota Nakano

■曲目解説

J. S. バッハ:《無伴奏チェロ組曲》より組曲 第1番 ト長調 BWV1007
 「チェロの旧約聖書」とも呼ばれるバッハの《無伴奏チェロ組曲》(全6曲)から、今回は第1番を採り上げる。分散和音が連続する第1曲プレリュード、作曲当時「安らぎと秩序を楽しむ、平和で満ち足りた心情の反映」(マッテゾン)と評された第2曲アルマンド、第3曲クーラントは、標準的なフランス型ではなく、急速な3拍子が特徴的なイタリア型を採用。そして、落ち着いた雰囲気の第4曲サラバンド、三部形式の第5曲メヌエットと続き、明確なリズムが快活なテンポによって生かされる第6曲ジーグで全体が締め括られる。

ペレイラ:組曲 第1番
 ジョセフ・ペレイラはボストン大学で演奏と作曲および音楽理論を学び、ジュリアード音楽院で修士号を修得。ティンパニストとしてニューヨーク・フィル副主席奏者を経て、現在はロサンジェルス・フィルの首席奏者を務めている。作曲活動のほうも活発で、打楽器作品のみならず、オーケストラ作品も手がけるなど、多才ぶりを発揮している。

クラム:無伴奏チェロ・ソナタ
 ジョージ・クラムはアメリカを代表する作曲家の一人。1968年にピューリッツァー賞、2001年度グラミー賞を受賞。その作品は国内外で数多く演奏されている(1973年の映画『エクソシスト』でも、彼の弦楽四重奏《ブラック・エンジェルス》の一部が使用されている)。
 この《無伴奏チェロ・ソナタ》は、ドイツの作曲家ボリス・ブラッハーに師事していた頃の作品。第1楽章はピツィカートが多用された「幻想曲」。第2楽章は半音階的な主題を用いた3つの変奏とコーダ。第3楽章は「トッカータ」では、穏やかで短い前奏に続いてコントラストの激しい音楽が展開される。

ダヴィドフスキー:シンクロニズム 第3番(チェロと電子音のための)
 マリオ・ダヴィドフスキーは、アルゼンチン生まれの作曲家。1971年にピューリッツァー賞を受賞するなど、数々の栄誉を受けている。《シンクロニズム》は、1962年に作曲されたフルートと電子音の第1番から現在にまで続く、多様な編成と電子音ないしはテープのための連作。1964年に作曲された第3番は、チェロの音域の広さを生かした跳躍の激しいフレーズと、絶え間なく変容するさまざまな奏法が特徴的な作品である。

ドヴォルジャーク:ロンド ト短調 op.94
 名作である《チェロ協奏曲 ロ短調》に先駆けて、ドヴォルジャークが作曲したチェロとオーケストラのための作品。チェロとピアノへの編曲は、帝政ロシア生まれでのち、ドイツやアメリカで活躍したチェリスト、エドマンド・クルツ(1908-2004)によるものが名高い。

ドヴォルジャーク:森の静けさ op.68-5
 原曲は1883年から翌年にかけて作曲されたピアノ連弾用の作品《ボヘミアの森から》の第5曲。1891年にチェロとピアノの編成に編曲され、さらに2年後には、チェロと管弦楽伴奏のためにも編曲されている。シンコペーションを施した、もの静かなメロディを主題にした、3部形式の小品。

バーバー:チェロ・ソナタ ハ短調op.6
 近現代アメリカを代表する作曲家の一人、サミュエル・バーバーと、名門カーティス音楽院で同窓生だったチェリスト、オルランド・コールとの交友から生まれた作品。1932年の夏に作曲を開始して12月に完成したのち、翌年3月にニューヨークでコールのチェロと作曲者のピアノにより初演された。急‐緩‐急の3楽章形式で構成された、ブラームスを想わせる息の長い旋律が特徴的な秀作である。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会/Sony Music Foundation(財団法人ソニー音楽芸術振興会)

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