PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-

ミュージアム・コンサート和谷泰扶(ハーモニカ) ~懐かしの音色で聴く名曲選

誰もが一度は手に持ったことがある小さな楽器ハーモニカ。その概念が変わる超絶技巧によるメロディーの数々は、新しい世界への扉となることでしょう。懐かしい音と新しい音、そのふたつを同時にお楽しみください。

プログラム詳細

2011:04:06:19:00:00

Photo: Rikimaru Hotta
■日時・会場
2011.4.6 [水] 14:00開演(13:15開場)
国立科学博物館 日本館講堂

■出演
ハーモニカ:和谷泰扶
ハープ:福島青衣子

■曲目
さくらさくら(日本古謡)
滝 廉太郎:花
シュテックメスト:《歌の翼に》幻想曲
フォーレ:シチリアーナ op.78 speaker.gif[試聴]
ビゼー:《アルルの女》op.23より「メヌエット」 speaker.gif[試聴]
J.S.バッハ:「サラバンド」
(パルティータ 第1番 変ロ長調 BWV825より)[ハープ・ソロ]
ムーディ:ハーモニカとハープのための組曲(フランス風の踊り)
アイリッシュ・ソング・メドレー
 ~グリーンスリーブス、オキャロランズ・レシピ、
  エレノア・プランケット、スカボロー・フェア~
十河陽一:たまゆら(ハーモニカ&ハープ版)
野田暉行:こきりこ変奏曲 speaker.gif[試聴]
イベール:間奏曲 speaker.gif[試聴]
ピアソラ:
 オブリヴィオン speaker.gif[試聴]
 《タンゴの歴史》より「カフェ1930」 speaker.gif[試聴]
曲目解説はこちら

[アンコール]

ショパン:子犬のワルツ


【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ハーモニカ:和谷泰扶 Harmonica: Yasuo Watani 6歳よりハーモニカを始める。同志社大学卒業後、ホーナー・コンセルヴァトリウム(トロッシンゲン市立音楽院)の招待留学生として渡独、H.ヘロルドに師事。英国の名手T.ライリー、H.ノートの各氏に師事。1988年、国際ハーモニカ・コンクール(オランダ)第1位及び特別賞。1989年、第2回ワールド・ハーモニカ・チャンピオンシップス(ドイツ)第1位。京都市交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、新星日本交響楽団、群馬交響楽団、九州交響楽団、ロイトリンゲン市響と共演。1998年、国際交流基金の派遣でアルゼンチン、ブラジル公演に参加。サイトウ・キネン・フェスティバル松本(1996年)、〈東京の夏〉音楽祭(1999年)に出演。従来のハーモニカの概念を覆す超絶技巧と音楽性で世界的な注目を集めている。1991~2002年、ホーナー・コンセルヴァトリウム主任講師。現在はソロ、室内楽奏者として活発な演奏活動を展開中。1996年に村松賞を、1998年には京都府文化賞奨励賞、第6回バロックザール賞を受賞。2005年より洗足学園大学講師。

和谷泰扶公式サイト http://www.yasuowatani.com/

ハーモニカ:和谷泰扶 Harmonica: Yasuo Watani

ハープ:福島青衣子 Harp: Seiko Fukushima 10歳よりハープを吉野篤子に師事。1999年、早稲田大学第一文学部心理学専修卒業。同年、フランス・リヨン国立高等音楽院に入学し、ファブリス・ピエールに師事。2001年、パリ・シャルパンティエ・コンクールでルーセル賞受賞。2002年、マドリッド・ルドヴィコ国際ハープコンクール第3位受賞。2003年、リヨン国立高等音楽院首席卒業、同大学院入学。在学中、即興演奏のグループや現代曲のアンサンブル「L’Atelier du XXeme」に所属。ハープ、パーカッション、コラ(アフリカの伝統楽器)、歌からなるグループ「KHAPS」を結成しフランス各地で演奏。2004年、アフリカのガボンで開催された「国際弦楽器フェスティバル」に参加、またフィンランドの「クフモ室内楽フェスティバル」でベリオ《セクェンツァ》等を演奏。2005年、リヨン国立高等音楽院大学院卒業。リヨン、東京でリサイタルを開催。セネガルのアベネ音楽祭に参加、ダカール等で演奏。2006、07年、サイトウ・キネン・オーケストラに参加。2007年、NHK-FM「名曲リサイタル」に出演。スウェーデン、ポーランドでリサイタルを開催。2010年、「アンサンブル・カップス」のメンバーとして国内ツアーを行なう。
現在、日本やフランスでソロ、室内楽、オーケストラ等の活動を行ない、公共ホール音楽活性化支援事業登録アーティストとして、地域に密着したコンサート、アウトリーチ等の幅広い演奏活動を展開している。

ハープ:福島青衣子 Harp: Seiko Fukushima

■曲目解説

さくらさくら(日本古謡)

 我が国の代表的な歌曲である「さくらさくら」は、江戸末期、箏を習う子ども向けの手ほどきの曲として作られた(作者不詳)。歌詞のほうは、メロディが流布した明治以降に付けられた。

滝 廉太郎:花

 滝廉太郎(1879-1903)の代表作の一つ「花」は、1900年発表の歌曲集《四季》の第1曲で、作詞は武島羽衣(1872-1967)。春の隅田川における漕艇の様子などが、明るく爽やかに歌われる。

シュテックメスト:《歌の翼に》幻想曲

 原曲はメンデルスゾーンの歌曲(op.34の第2曲)。一般にはフルートのレパートリーとして知られているが、素朴で温かみのあるハーモニカによる演奏でも、原曲の素晴らしさが損なわれることはない。

フォーレ:シチリアーナ op.78

 原曲は、ガブリエル・フォーレ(1845-1924)が1898年に作曲したチェロとピアノのための二重奏で、のちに作曲者自身の劇音楽《ペレアスとメリザンド》にも転用された。歌心に満ちた旋律が印象的な小品である。

ビゼー:《アルルの女》op.23より「メヌエット」

 ジョルジュ・ビゼー(1838-75)の《アルルの女》第2組曲のなかでも特に有名な音楽だが、もとは、同組曲を編曲した友人の作曲家エルネスト・ギローが、ビゼーの歌劇《美しきパースの娘》の音楽を転用・編曲したものである。

J.S.バッハ:「サラバンド」(パルティータ 第1番 変ロ長調 BWV825より)
[ハープ・ソロ]

 サラバンドとは3拍子の荘重なリズムを特徴とする舞曲で、17、18世紀にヨーロッパで流行した。本曲「パルティータ 第1番」は、バッハ(1685-1750)が1726年から1730年にかけて『クラヴィーア練習曲集』(第1巻)として発表した鍵盤楽曲集の第1曲。

ムーディ:ハーモニカとハープのための組曲(フランス風の踊り)

 北アイルランド出身のジェームズ・ムーディ(1907-95)は、クラシック・ハーモニカの第一人者トミー・ライリーとのコンビで多くのハーモニカ作品を残したことで知られる。本曲は1979年に作曲、ライリーの演奏によって広められ、ハーモニカのための重要なレパートリーとなっている。

アイリッシュ・ソング・メドレー
  グリーンスリーヴス、オキャロランズ・レシピ、
  エレノア・プランケット、スカボロー・フェア

 中世のイギリス及びアイルランドには、素朴かつ哀愁を帯びた名旋律が多く存在し、今も世界中で愛され続けている。本公演では、エリザベス朝の頃から伝わる名曲《グリーンスリーヴス》、“アイルランド最後の吟遊詩人”と呼ばれるターロック・オキャロランの《オキャロランズ・レシピ》《エレノア・プランケット》、サイモン&ガーファンクルの編曲でもおなじみの《スカボロー・フェア》をメドレーで演奏する。

十河陽一:たまゆら(ハーモニカ&ハープ版)

 原曲は、関西を拠点に国内外で活躍する作曲家・十河陽一(1959- )が1994年に作曲したハーモニカとギターのための作品。この編曲版は2000年に作られ、神奈川県海老名市で開催された彼の個展で、和谷泰扶らによって初演された。

野田暉行:こきりこ変奏曲

 強固なエクリチュールによる数々の名品を作曲し、東京藝術大学教授としては多くの才能ある音楽家を世に送り出した野田暉行(1940-)。この作品は、富山県五箇山地方の民謡「こきりこ節」を主題に用いた変奏曲で、フルートとギターのために作曲されたもの。

イベール:間奏曲

 ジャック・イベール(1890-1962)は、1940年に日本の皇紀2600年奉祝曲として《祝典序曲》を作曲するなど、日本とも縁のあるフランスの作曲家。《間奏曲》はフルートとギターのために書かれた作品で、スペイン音楽を思わせる情熱がほとばしる小品。

ピアソラ:オブリヴィオン、《タンゴの歴史》より「カフェ1930」

 前衛的な作風によりタンゴの可能性を押し広げたアストル・ピアソラ(1921-92)。《オブリヴィオン》(忘却)は、マルチェロ・マストロヤンニとクラウディア・カルディナーレ主演の映画『ヘンリー四世(エンリコ四世)』のための音楽。いっぽう「カフェ1930」は《タンゴの歴史》の第2曲。この《タンゴの歴史》は、「ボーデル(娼窟)1900」「カフェ1930」「ナイトクラブ1960」「現代のコンサート」の4篇から成る組曲で、哀愁に満ちた旋律と淡々とした伴奏が胸を打つ名作である。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館

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