PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-

にほんのうた~東京オペラシンガーズ ~合唱で聴く美しい日本の歌

世代を超えて歌い継がれてきた日本の美しい情景、ことば。全員がソリストを務められる実力を持ち、日本屈指の水準を誇る合唱団、東京オペラシンガーズの中でも選りすぐりのメンバーが美しいハーモニーでお届けします。

プログラム詳細

2011:03:23:19:00:00

Photo: Rikimaru Hotta
■日時・会場
2011.
3.23 [水] 14:00開演(13:30開場)
3.23 [水] 19:00開演(18:30開場) ※各回約60分
旧東京音楽学校奏楽堂

■出演
合唱:東京オペラシンガーズ
  ソプラノ:柴田由香、永﨑京子、藤田美奈子
  アルト:三宮美穂、菅原章代、戸畑リオ
  テノール:高田正人、真野郁夫、与儀 巧
  バス:寺本知生、成田 眞、藪内俊弥
指揮:宮松重紀
ピアノ:野平一郎
ナビゲーター:好本 惠

■曲目
北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲/林 光・編曲:この道
北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲/林 光・編曲:待ちぼうけ
土井晩翠・作詞/滝 廉太郎・作曲/源田俊一郎・編曲:荒城の月
鳥居 忱・作詞/滝 廉太郎・作曲/林 光・編曲:箱根八里
北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲/増田順平・編曲:かやの木山の
北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲/池辺晋一郎・編曲:からたちの花
野平一郎・作曲:「ずいずいずっころばし」によるパラフレーズ[ピアノ・ソロ]
吉丸一昌・作詞/中田 章・作曲/中田喜直・編曲:早春賦
高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲/源田俊一郎・編曲:朧月夜
武島羽衣・作詞/滝 廉太郎・作曲/平井康三郎・編曲:花
林 古溪・作詞/成田為三・作曲/林 光・編曲:浜辺の歌
われは海の子(文部省唱歌/飯沼信義・編曲)
高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲/飯沼信義・編曲:もみじ
三木露風・作詞/山田耕筰・作曲/篠原 真・編曲:赤とんぼ
冬景色(文部省唱歌/飯沼信義・編曲)
雪(文部省唱歌/石若雅弥・編曲)
冬の夜(文部省唱歌/平吉毅州・編曲)
曲目解説はこちら

[アンコール]
ふるさと
仰げばとうとし


出演者

合唱:東京オペラシンガーズChorus: Tokyo Opera Singers 1992年、小澤征爾指揮・蜷川幸雄演出で話題を呼んだ《さまよえるオランダ人》の公演に際して「世界的水準のコーラスを」という小澤氏の要望により、東京を中心に活躍する中堅・若手の声楽家によって結成された。そして同公演での合唱が圧倒的な成果を上げ、各方面から絶賛された。これにより同年の第1回サイトウ・キネン・フェスティバル松本《エディプス王》、バイエルン国立歌劇場の日本公演(ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮)《さまよえるオランダ人》に招かれ、再び高い評価を得た。
翌1993年から活動は本格化し、「サイトウ・キネン・フェスティバル松本(2009年まで連続出演)」「東京フィルハーモニー交響楽団主催コンサート」「神奈川県民ホール主催オペラ公演」等を活動の中心に置きながら、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、キーロフ歌劇場管弦楽団(ワレリー・ゲルギエフ指揮)、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団(ユーリ・テミルカーノフ指揮)、イタリア国立放送交響楽団等の来日公演に出演、音楽界の活性化に大きく貢献することとなった。
1998年には長野冬季オリンピック開会式における世界6カ国を結ぶ《第九》合唱で、中心となる日本側の演奏を担当した。1999年にはヨーロッパの代表的音楽祭の一つであるエディンバラ音楽祭に出演(東急文化村制作《トゥーランドット》)、最大級の賞賛を得た。2000、01年とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共演(小澤征爾、サイモン・ラトル指揮)、同楽団からも高い評価を得た。東京のオペラの森には、東京のオペラの森合唱団として第1回から連続出演。2006、07、10年に共演したリッカルド・ムーティ(ヴェルディ《レクイエム》他)と共演、2010年からスタートした「東京春祭ワーグナー・シリーズ」の第1回《パルジファル》でも好演し注目を集める。

指揮:宮松重紀 Conductor: Shigeki Miyamatsu 1963年、横浜生まれ。横浜国立大学教育人間科学部を卒業後、東京藝術大学指揮科を1991年に首席で卒業。指揮を山田一雄、遠藤雅古に師事。1989年にはイタリアのキジアーナ音楽院で学び、ロジェストヴェンスキーに師事。東京二期会や日生劇場等のオペラ公演に副指揮として携わり、小澤征爾、若杉弘、外山雄三らのもとで研鑽を積む。
1989年、新星日本交響楽団を指揮してデビュー。1992年、東京オペラ・プロデュース公演《ドン・ジョヴァンニ》でオペラデビュー。以来、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、読売日本交響楽団、東京シティフィルハーモニック管弦楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、群馬交響楽団、広島交響楽団等を数多く指揮し、いずれも高い評価を得た。特に東京フィルハーモニー交響楽団との関係は長く、新星日本交響楽団時代を含めると、指揮した演奏会は100を超える。
オペラ公演では、新国立劇場や二期会を始め、横浜シティオペラ、関西二期会等、全国各地でオペラ公演を数多く指揮。様々な演出家、歌手と共に多数の公演を上演し、大きな信頼を得ている。特に2001年、新国立劇場主催公演《花言葉》(ロッセリーニ作曲)では「大きな流れと繊細さを併せ持つ指揮者」(日本経済新聞)、「歌手を自由にさせながら、オーケストラを歌わせる能力に舌を巻く」(「音楽の友」)と絶賛される。知られていないオペラの発掘にも意欲的で、《サーカスの女王》(カールマン作曲)、《やきもち亭主》(ペルゴレージ作曲)を日本初演している。2008年に渡伊し、ミラノ・スカラ座で研修。スカラ座での大野和士指揮《マクベス》に携わり、アシスタントを務める。
合唱指揮者としても絶大な信頼を得ており、日本における重要な公演に数多く携わっている。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演(2000年/小澤征爾指揮)、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団(2006年/テミルカーノフ指揮)、東京オペラの森管弦楽団(2006、07年/ムーティ指揮)、その他、NHK交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団の定期演奏会等に客演する。
サイトウ・キネン・フェスティバル松本では、2000年のバッハ《ロ短調ミサ》の公演以来、長年に渡り合唱指導の責任を担っている。また東京オペラシンガーズとの関係も大変深く、数多くの公演を成功に導いている。東京混声合唱団のコンダクター・イン・レジデンスも務める。
ピアニストとしても、東京フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団のメンバーとサロンコンサートを行なったり、歌手のリサイタルの伴奏を続け、「劇的な表現にもかかわらず歌手と一つに溶け合う」(神奈川新聞)と評される。2008年には広島市民オーケストラと自身の弾き振りによってモーツァルトのピアノ協奏曲第24番を演奏し絶賛された。 さらに編曲も手がけ、自身の指揮のもと新星日響や東響で演奏された。クラシック以外にも活動を広げており、小椋佳、チャゲ&飛鳥、小松亮太(バンドネオン)、藤原道山(尺八)らとのコラボレーションや、東京フィルハーモニー交響楽団によるアニメ音楽のCDを発売(エイベックス)している。
現在、母校である横浜国立大学、東京音楽大学指揮科の講師として、後進の育成に情熱を注いでいる。

指揮:宮松重紀 Conductor: Shigeki Miyamatsu

ピアノ:野平一郎 Piano: Ichiro Nodaira 1953年生まれ。東京藝術大学、同大学院修士課程を修了後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に学ぶ。ピアニストとして、内外の主要オーケストラにソリストとして出演する一方、名手と数多く共演し、室内楽奏者としても活躍。古典から現代に至る幅広いレパートリーを得意としている。近年では、オペラ《マドルガーダ》、歌曲集《悲歌集》、オーケストラのための《トリプティーク》、チェロと管弦楽のための《響きの連鎖》、混声合唱のための《フランスの7つの詩》等を作曲。現在、児童合唱のための大作《進化論》、バッハ《ゴルトベルク変奏曲》の管弦楽化に挑んでいる。2007年には、バッハ《平均律クラヴィーア曲集》のピアノ、チェンバロ、オルガンを使った全曲録音を行なう。また2008年から水戸藝術館で、モーツァルトのピアノ・ソナタ全曲演奏会を3年間行ない、現在、ライブ録音をCDでリリース中。2010年にはフィンランドのアヴァンティ、サマー・サウンド音楽祭に作曲家・ピアニストとして参加した。また、野平のために2001年に書かれた松平頼則の遺作のピアノ協奏曲を2010年10月にサントリーホールで初演。
第13回中島健蔵音楽賞(1995)、第44回尾高賞、芸術選奨文部大臣新人賞、第11回京都音楽賞実践部門賞(1996)、第35回サントリー音楽賞(2004)、第55回芸術選奨文部科学大臣賞(2005)等を受賞。現在、静岡音楽館AOI芸術監督。東京藝術大学作曲科教授。

野平一郎公式サイト http://www.ff.iij4u.or.jp/~nodaira/

ピアノ:野平一郎 Piano: Ichiro Nodaira

ナビゲーター:好本 惠 Navigator: Megumi Yoshimoto 1954年、東京都生まれ。1976年、東京女子大学文理学部日本文学科卒。同年、NHK入局。1981年、フリーアナウンサー。「きょうの料理」「すくすく赤ちゃん」「NHK俳壇」「ペット相談」等で司会者として活躍。現在、医療、健康、暮らし等をテーマにシンポジウムのコーディネーターも務める。十文字学園女子大学客員教授。立正大学、NHK文化センターの講師。2010年9月、「ことばの杜」に7人目のメンバーとして参画。

ナビゲーター:好本 惠 Navigator: Megumi Yoshimoto

■曲目解説

北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲/林 光・編曲:この道
北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲/林 光・編曲:待ちぼうけ
北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲/増田順平・編曲:かやの木山の
北原白秋・作詞/山田耕筰・作曲/池辺晋一郎・編曲:からたちの花
三木露風・作詞/山田耕筰・作曲/篠原 眞・編曲:赤とんぼ

 欧米でその名を知られた日本人初の作曲家・山田耕筰(1886-1965)と、北原白秋、三木露風の作詞によって生まれた珠玉の名作5曲。
 編曲者を紹介すると、《この道》《待ちぼうけ》は日本の現代音楽の重鎮である林光、《かやの木山の》は合唱指導としても名高い増田順平、《からたちの花》は芸術音楽及び映画音楽のほか、文筆やトークなどでも人気の池辺晋一郎、《赤とんぼ》はオランダを拠点に海外での評価が高い作曲家・篠原眞。

土井晩翠・作詞/滝 廉太郎・作曲/源田俊一郎・編曲:荒城の月
鳥居 忱・作詞/滝 廉太郎・作曲/林 光・編曲:箱根八里
武島羽衣・作詞/滝 廉太郎・作曲/平井康三郎・編曲:花

 滝廉太郎(1879-1903)の代表作とも言える3作品。《荒城の月》は数々の合唱作品編曲で知られる源田俊一郎、《箱根八里》は林光、《花》は文部省唱歌《スキー》などで有名な作曲家・平井康三郎による編曲。

野平一郎・作曲:「ずいずいずっころばし」によるパラフレーズ[ピアノ・ソロ]

 名ピアニストとして知られ、作曲でも国内外で高い評価を受けている野平一郎(1953- )の編作。作者自身によってしばしば演奏されている。

吉丸一昌・作詞/中田 章・作曲/中田喜直・編曲:早春賦

 安曇野付近の早春の自然をうたった、中田章(1886-1931)作曲、吉丸一昌(1873-1916)作詞の名品。編曲は作曲者の実子で、童謡の巨匠である中田喜直による。

高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲/源田俊一郎・編曲:朧月夜
高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲/飯沼信義・編曲:もみじ

 岡野貞一(1878-1941)は、文部省編纂の『尋常小学唱歌』に大きく貢献した作曲家。作詞の高野辰之(1876-1947)は、国文学者としても活躍した。作詞者が長野県飯山市で見た菜の花畑にインスピレーションを得た《朧月夜》。いっぽう《もみじ》は、信越本線熊ノ平駅(現在は廃線)から眺めた紅葉の美しさをテーマにしたという。

林 古溪・作詞/成田為三・作曲/林 光・編曲:浜辺の歌

 成田為三(1893-1945)は、旧東京音楽学校で山田耕作に師事。《浜辺の歌》は在学中の1916年(大正5年)頃の作品。林古溪(1875-1947)による歌詞(元の名称は『はまべ』)は、もともと作曲用として想定されたという。

我は海の子(文部省唱歌/飯沼信義・編曲)
冬景色(文部省唱歌/飯沼信義・編曲)
雪(文部省唱歌/石若雅弥・編曲)
冬の夜(文部省唱歌/平吉毅州・編曲)

 1910年(明治43年)の『尋常小学読本唱歌』から、1944年(昭和19年)の『高等科音楽一』までの国定教科書(当時の文部省による編纂)に掲載された「文部省唱歌」より。《われは海の子》《冬景色》は飯沼信義、《雪》は合唱音楽の若手のホープである石若雅弥、《冬の夜》は《気球にのってどこまでも》などの合唱作品でも有名な平吉毅州による編曲。




主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:財団法人台東区芸術文化財団

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