PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-

N響メンバーによる弦楽四重奏
~磯部周平(元N響首席クラリネット奏者)を迎えて

東京春祭の定番、N響メンバーによる弦楽四重奏では、ベートーヴェン作品に加え、今年はクラリネットの磯部周平が共演、長年の音楽仲間たちによる、息の合ったモーツァルトにも期待が高まります。

プログラム詳細

2011:03:29:19:00:00

Photo: Michiharu Okubo, Yukiko Koshima
■日時・会場
2011.3.29 [火] 19:00(18:30開場)
上野学園 石橋メモリアルホール

■出演
N響メンバーによる弦楽四重奏
  第1ヴァイオリン:山口裕之  
  第2ヴァイオリン:宇根京子
  ヴィオラ:飛澤浩人
  チェロ:藤村俊介
クラリネット:磯部周平

■曲目
モーツァルト:
 弦楽四重奏曲 第8番 ヘ長調 K.168speaker.gif[試聴]
 クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581speaker.gif[試聴]
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 op.132speaker.gif[試聴]
曲目解説はこちら

[アンコール]
ベートーヴェン:弦楽四重奏 第16番 ヘ長調 op.135 第1楽章

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

第1ヴァイオリン:山口裕之 1st Violin: Hiroyuki Yamaguchi 鷲見三郎に師事。桐朋学園大学卒業。桐朋女子高等学校(共学)在学中の1969年に全国学生音楽コンクール高等学校の部全国第1位。1975年、第44回日本音楽コンクール第2位。1977年、民音コンクール室内楽部門第2位(1位なし)。1975年6月、在学中に東京フィルハーモニー交響楽団に入団、翌年卒業と同時にコンサートマスターに就任し1979年まで在籍。同年5月、NHK交響楽団入団、第2ヴァイオリン首席奏者を務め、1984年6月、コンサートマスターに就任。ゼルフィス弦楽四重奏団を結成、「カザルスホール・レジデント・クァルテット」として活躍。現在、NHK交響楽団第1コンサートマスター、桐朋学園大学講師。

© 松嶋 惇

第1ヴァイオリン:山口裕之 1st Violin: Hiroyuki Yamaguchi

第2ヴァイオリン:宇根京子 2nd Violin: Kyoko Une 桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学卒業。同大学研究科を修了後、スイス政府給費留学生として2002年、国立チューリヒヴィンタートゥーア音楽大学ソリストディプロマコースに入学。2004年、最高位でディプロマを取得し卒業。サイトウ・キネン・フェスティバル松本等の音楽祭や、小澤征爾音楽塾、トウキョウモーツァルトプレーヤーズ等に参加。1998年、神戸国際学生音楽コンクール県知事賞、東京室内楽コンクール第1位。2002年、パガニーニ国際ヴァイオリンコンクール第6位。2005年、東京文化会館にて日本演奏連盟主催によるリサイタルを開く。2006年4月、NHK交響楽団入団。中村静香、小林健次、ジョルジュ・パウクの各氏に師事。

第2ヴァイオリン:宇根京子 2nd Violin: Kyoko Une

ヴィオラ:飛澤浩人 Viola: Hiroto Tobisawa 桐朋女子高等学校音楽科(共学)を経て同大学音楽学部卒業。卒業後、ヴィオラ奏者の店村眞積の薦めによりヴィオラに転向。1990年、第101回神奈川県立音楽堂推薦演奏会で第3回新人賞受賞。同年よりサイトウ・キネン・オーケストラのメンバーとして公演に参加。1992年、フランスの第4回モーリス・ヴュー国際ヴィオラコンクール第2位(1位なし)。1995年、文化庁在外研修員としてパリに留学。1997年、パリ・エコール・ノルマルでコンサート・ディプロムを満場一致で取得。L'Orchestre National des Pays de la Loireにヴィオラ第2ソリストとして入団。帰国後、2006年にNHK交響楽団入団。これまでにヴィオラを店村眞積、ジェラール・コッセの両氏に師事。

ヴィオラ:飛澤浩人 Viola: Hiroto Tobisawa

チェロ:藤村俊介 Cello: Shunsuke Fujimura 1963年、東京生まれ。1986年、桐朋学園大学卒業。この間、チェロを安田謙一郎に師事。日本演奏連盟賞受賞。第21回東京国際室内楽コンクール入選。第58回日本音楽コンクールチェロ部門第2位。桐朋学園オーケストラ、九州交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団等と共演。1989年、NHK交響楽団入団。1990年、東京文化会館で初リサイタルを開く。1993年、アフィニス文化財団の研修員としてドイツに留学し、メロス・カルテットのペーター・ブックに師事。現在、NHK交響楽団フォア・シュピーラー、フェリス女学院大学講師。ソロや室内楽でも活躍中。チェロ四重奏「ラ・クァルティーナ」メンバー。

© 松嶋 惇

チェロ:藤村俊介 Cello: Shunsuke Fujimura

クラリネット:磯部周平 Clarinet: Shuhei Isobe 東京藝術大学を経て同大学院修了。安宅賞受賞。東京交響楽団首席奏者を経て1983年にNHK交響楽団入団。1988~89年、ベルリン留学。首席奏者としてのオーケストラ活動に加え、ソリストとしても2003年のN響定期公演でのニールセンの協奏曲(指揮はH.ブロムシュテット)を始め、東京交響楽団、東京フィルハーモニー管弦楽団、ポーランド・ポモルスカ交響楽団等と共演。(モーツァルト、ウェーバー、トビュッシー、ヒンデミット他)国内外各地で多くのリサイタルを開く。2008年、N響での長年にわたる首席奏者としての功績が認められ有馬賞受賞。2009年6月、同団を退団し、ソロ活動に専念する。東邦音楽大学特任教授。愛知県立芸術大学講師。

クラリネット:磯部周平 Clarinet: Shuhei Isobe

■曲目解説

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第8番 ヘ長調 K.168

 1773年7月から9月末までのあいだ、モーツァルトは父レオポルトとともにウィーンに滞在した。その最中の8月、彼はわずか1ヶ月で8曲の弦楽四重奏曲を作曲した。これらは通称「ウィーン四重奏曲」と呼ばれ、《弦楽四重奏曲第8番》はその第1番目にあたる。
 音域とダイナミクス(強弱法)を幅広く活用した第1楽章、ハイドンの作品から主題を引用した第2楽章、軽妙なメヌエットの第3楽章、厳格なフーガを用いた第4楽章と、古典派の作曲技法を踏まえており、そこにはハイドンの影響が強く感じられる。

モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

 1789年、モーツァルトと親交が深かったクラリネットの名手アントン・シュタートラーのために作曲。初稿ではシュタートラー考案のバセット・クラリネットという楽器の音域(低音域が拡張されたクラリネット)を想定して書かれたが、のちに通常のクラリネットでも演奏できるよう、いくつかの変更が施されたと言われる。
 「雲のない春の朝」(アーベルト)と讃えられた冒頭部分が美しい第1楽章、歌心に満ちたクラリネット独奏と弦楽パートにおける弱音器の使用が巧みな第2楽章、明るさと暗さの対比が特徴的な第3楽章、華やかな変奏曲(ブラームスもこの作品を意識してか、自身のクラリネット五重奏曲で変奏曲をフィナーレとしている)の第4楽章。管楽器を用いた室内楽のなかでも、古典派を代表する名作に数えられている。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 op.132

 1825年、ロシアのニコラス・ガリツィン公爵の依頼により作曲。《弦楽四重奏曲第12番》《弦楽四重奏曲第13番》とともに彼に献呈された。
 序奏をともなう自由なソナタ形式の第1楽章、スケルツォよりもメヌエットに近い要素を持つ三部形式の第2楽章、古代ギリシャのリディア旋法による旋律が美しい第3楽章、行進曲風の楽想とレチタティーヴォ風の楽想によって最終楽章への橋渡しをする第4楽章、そして、本来《第9交響曲》で使用する予定だった要素を転用して作曲された大規模なロンド・ソナタ形式の第5楽章によって締められる、演奏時間約40分の大作。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 特別協力:上野学園 石橋メモリアルホール

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