PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-

河村尚子 ピアノ・リサイタル ~リストへの旅ー生誕200年に寄せて

一度聴いたら誰もがその音楽性と美音の虜になるピアニスト、河村尚子が東京春祭に初登場。リストを中心に考え抜かれたプログラミングで、テクニックとスケールの大きさに期待が膨らみます。

プログラム詳細

2011:04:07:19:00:00

Photo: Rikimaru Hotta
■日時・会場
2011.4.7 [木] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ピアノ:河村尚子

■曲目
J.S.バッハ(ブゾーニ編)
 コラール前奏曲「主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ」BWV639speaker.gif[試聴]
 シャコンヌspeaker.gif[試聴]
R.シュトラウス:5つの小品 op.3speaker.gif[試聴]
ワーグナー(リスト編):イゾルデの愛の死speaker.gif[試聴]
シューベルト(リスト編)
 糸を紡ぐグレートヒェンspeaker.gif[試聴]
 《美しい水車小屋の娘》より「水車屋と小川」speaker.gif[試聴]
シューマン(リスト編):献呈speaker.gif[試聴]
リスト:
 《愛の夢》第3番speaker.gif[試聴]
 《巡礼の年 第2年 イタリア》より「ダンテを読んで」speaker.gif[試聴]
曲目解説はこちら

[アンコール]
J.S.バッハ(ペトリ編):羊たちは安らかに草を食み BWV208-9

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

ピアノ:河村尚子 Piano: Hisako Kawamura 兵庫県西宮市生まれ。クラシック界に新風を吹き込む新進気鋭のピアニストとして、今、最も期待されている。
ウラディーミル・クライネフ、澤野京子、マウゴルジャータ・バートル・シュライバーらに師事。1986年、渡独。ハノーファー国立音楽芸術大学在学中にヴィオッティ、カサグランデ、ゲーザ・アンダ等、数々のコンクールで優勝・入賞を重ね、2006年には権威ある難関ミュンヘン国際コンクールで第2位。続いて翌年、多くの名ピアニストを輩出しているクララ・ハスキル国際コンクールで優勝を飾り、世界の注目を浴びる。
ドイツを拠点に、オーストリア、スイス、イタリア、フランス、ポーランド、ロシア等で積極的にリサイタルを行ない、オーケストラとの共演は、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団、モスクワ・ヴィルトゥオーゾ、ジェノヴァ交響楽団、スロヴェニア・フィルハーモニック管弦楽団等にソリストとして迎えられている。また、ルール、オーヴェール・シュル・オアーズ、ラ・フォル・ジュルネ(東京)に参加する等、国際的な活動を広げている。
日本においては、2004年11月、小林研一郎指揮東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会でデビュー。その後、現在までに日本フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団、兵庫芸術文化センター管弦楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、広島交響楽団等、国内主要オーケストラと相継いで共演。また2009年6月、ウラディーミル・フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団とサントリーホールでチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を共演し、好評を博した。同年9月には紀尾井ホール(東京)で初めての本格的なリサイタルを行ない、満員の聴衆から喝采を受け、大きな話題となった。
2009/10シーズンにはNHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、山形交響楽団との共演を予定。国内各地でのリサイタル出演も決まっている。同時にヨーロッパではスイス、イタリア、ドイツ、スロヴェニア、ウクライナ等で公演を行なう。
2009年度新日鉄音楽賞、出光音楽賞、日本ショパン協会賞、2010年度井植文化賞を受賞。
CDは、2009年3月、名門RCAよりオール・ショパン・アルバム『夜想(ノットゥルノ)~ショパンの世界』でメジャー・デビュー。その他、ディスコヴェール(仏)とアウディーテ(独)から2枚のアルバムが発売されている。
2010/11シーズンは、6月1日にファビオ・ルイジ指揮ウィーン交響楽団と共演。2010年秋には全国でリサイタルツアーを行なう。2011年6月にはアレクサンドル・ドミトリエフ指揮サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団と地元サンクトペテルブルグで共演し、同年秋にはヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団との日本ツアーを控えている。

河村尚子公式サイト http://www.hisakokawamura.com/

© 寺澤有雅

ピアノ:河村尚子 Piano: Hisako Kawamura

■曲目解説

J.S.バッハ(ブゾーニ編):
  コラール前奏曲「主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ」BWV639、シャコンヌ

 20世紀初頭を代表するピアニストであり、作曲家としても高名なフェルッチョ・ブゾーニ(1866-1924)によるバッハ作品の編曲から、今回は2曲を採り上げる。
 コラール前奏曲「主イエス・キリストよ、われ汝を呼ぶ」は《オルガン小曲集(オルゲル・ビュヒライン)》に収録された作品で、カンタータ第177番「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」BWV177のコラールを用いて作曲された。敬虔な祈りの心が、オルガンからピアノに置き換えられても、損なわれることなく表現されている。
 「シャコンヌ」は名作《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番》の第5楽章であるが、その荘厳で広大なスケールを感じさせる音楽は、オーケストラなどさまざまな編成に編曲された。なかでもブゾーニによるピアノ独奏用は、その巧みな編曲と編成の手ごろさもあってか、演奏頻度の高い作品となっている。和声的な進行を主体としたニ短調のテーマと30の変奏から構成されるが、ピアノに編曲されたことで原曲よりさらに劇的な要素が際立っている。

R.シュトラウス:5つの小品 op.3

 1881年、作曲者が16歳のときに作曲。ホルン奏者であった父親から保守的な音楽教育を徹底された影響か、シューマンやメンデルスゾーンなどロマン派に近い作風となっている。変ロ長調、変ホ短調、ト短調、変イ長調、変ニ長調の5曲からなる25分程度の作品。

ワーグナー(リスト編):イゾルデの愛の死
シューベルト(リスト編):糸を紡ぐグレートヒェン
シューベルト(リスト編):《美しい水車小屋の娘》より 「水車小屋と小川」
シューマン(リスト編):献呈

 当時最高のヴィルトゥオーゾ・ピアニストであったリストは、その技巧を示すべく(ギリシャを除いた)ヨーロッパ全域でリサイタルを開いた。今日知られている、彼の編曲によるさまざまな作曲家の作品(その数300曲以上!)は、自身のリサイタルで披露した即興演奏の副産物とも言える。
 今回はそのなかから特に原曲が有名な4曲が演奏される。いずれもピアノを熟知したリストの真骨頂が発揮されており、高い難度を持ちつつも、テクスチュアの透明化が図られた編曲となっている。

リスト:《愛の夢》第3番

 《愛の夢》全3曲は、自身の《テノールもしくはソプラノ独唱のための3つの歌曲》を編曲したもので、いずれも旋律に重点が置かれた作品となっている。
 なかでも有名な第3番は、ドイツ・ロマン派の革命詩人フライリヒラート(1810-76)の抒情詩「おお、愛しえる限り愛せよ」に曲をつけたもの。甘い変イ長調のメロディと伴奏部の流麗な分散和音が、全曲を通して美しさを醸し出す。

リスト:《巡礼の年 第2年 イタリア》より「ダンテを読んで」

 《巡礼の年》は全3集からなるピアノ独奏曲集で、リストが旅の最中で経験したり、感じたことを音楽として書き留めたもの。20代から60代にかけて作曲されたこともあり、作風の変遷が見られ、興味深い。
 「ダンテを読んで」は《巡礼の年 第2年 イタリア》全7曲の終曲(その後、補遺として「ヴェネチアとナポリ」が1859年に作曲された)。標題はユーゴーが1836年に書いた詩集『内なる声』所収の詩から採られ、内容的には、リストがダンテの『神曲』の第1部「地獄篇」からインスピレーションを得たと言われている。「ソナタ風の幻想曲」という副題が付けられた、演奏時間16分程度の作品である。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 協力:株式会社ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

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