PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-

アルゼンチン・タンゴの夕べ ~哀愁漂うタンゴの名曲を集めて

ピアソラ自身からも絶賛されたアルゼンチン・タンゴの実力者たちが一堂に会し、センチメンタルなメロディーから熱く情熱的なリズムまで、多彩なプログラムを贈ります。

プログラム詳細

2011:04:01:19:00:00

Photo: Rikimaru Hotta
■日時・会場
2011.4.1 [金] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
小松真知子&タンゴクリスタル
  ピアノ:小松真知子
  バンドネオン:早川 純、鈴木崇朗
  ヴァイオリン:吉田 篤、宮越建政
  コントラバス:田辺和弘
  ギター・編曲:小松 勝
ダンス:Hiroshi & Kyoko
(※当初発表の出演者より変更になりました)

■曲目
パドゥーラ:7月9日 speaker.gif[試聴]
ダゴスティ-ノ:カフェ・ドミンゲス
モーレス:タンゲーラ
滝 廉太郎:荒城の月
ビジョルド:エル・エスキナーソ
カナロ:黄金の心
グアラニー:ある古い歌の伝説
ヴァレンテ:鍵盤の悲しみ
ビジョルド:エル・チョクロ
デ・カロ/ラウレンス:悪友たち
パウロス:インスピラシオン
スカルピーノ/カルダレーラ:パリのカナロ
ラミレス:巡礼
ピアソラ:来るべきもの
プグリエーセ:ラ・ジュンバ
エレーロ:ケフンブローソ
バルディ:ガジョ・シエゴ

[アンコール]

ロビーラ:エバリスト・カリエゴに捧ぐ
マトス・ロドリゲス:ラ・クンパルシータ speaker.gif[試聴]  
曲目解説はこちら



【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


出演者

小松真知子&タンゴクリスタル Machiko Komatsu & Tango Cristal 小松真知子&タンゴクリスタルは、現代タンゴの巨匠アストル・ピアソラも絶賛した、確かで華麗なタッチで知られるピアニストの小松真知子と、ギタリストで作曲・編曲家の小松勝の二人により1986年に結成。
センチメンタルな古典タンゴから懐かしいコンチネンタルタンゴ、陰影に富む現代タンゴまでの多彩な演奏と、小松勝編曲による日本人の感性を捉えたオリジナリティあふれるサウンドで常に聴く人の心を魅了している。日本国内でのコンサート、ライブ、イベント出演はもとより、アルゼンチンでの公演、アメリカやカナダでの国際的セレモニーへの出演等、名実共に日本を代表するタンゴ楽団として活躍中。
1990年、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された「日亜物産展」での公演は大成功を収め、アルゼンチン大統領からも賞賛された。1996年からは外航クルーズ客船「にっぽん丸」「ふじ丸」に乗船。以来毎年、世界一周クルーズに参加し、メインショー等に出演。1999年には再びブエノスアイレスに渡り、国立セルバンテス劇場、市立アルベアール大統領劇場で演奏し絶賛を浴びた。近年、日本のみならず世界を舞台に活躍中のバンドネオン奏者の小松亮太は小松真知子と勝の長男で、10年以上タンゴクリスタルに在籍し活動した(現在はコンサートイマジン所属)。これまでに発表した5枚のCD中タンゴライブ集では19~21歳の若き小松亮太の快演が聴かれる。

小松真知子&タンゴクリスタル 公式サイト http://www.tangocristal.com/

ピアノ:小松真知子 Piano: Machiko Komatsu 東京都出身。桐朋学園大学ピアノ科卒。現代タンゴの巨匠アストル・ピアソラも絶賛した、確かで華麗なピアノタッチは、タンゴクリスタルの個性となっている。CDも5作品を発表。ヤマハからはピアノプレーヤー用のソロアルバム『アルゼンチンタンゴの詩情』、カワイからは『マイピアノタイム』等、多数のポピュラーピアノの楽譜を出版している。
アルゼンチンタンゴのピアノ奏法研究に意欲を燃やし、アルゼンチンでのコンサートにも出演し、2000年から現在までアルゼンチンから数度にわたり音楽家を招聘し、国内外で共演してきた。
最近「日本人が愛してきた、またこれからも愛し続けるタンゴ」を追求することが自身のライフワークと自覚。「時代を超えて輝くタンゴ」と題したコンサートでは、日本におけるタンゴ発展の歴史等のトークも交え、好評を博している。
凝縮されたリズムのアルゼンチンタンゴはもちろん、ヨーロッパタンゴ、日本のタンゴも時には華麗に、時には現代風におしゃれに展開。タンゴの魅力を聴衆にアピールし続けている。

ピアノ:小松真知子 Piano: Machiko Komatsu

バンドネオン:早川 純 Bandoneon: Jun Hayakawa 東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。大学在学中の19歳からバンドネオンを小松亮太に師事。以降「小松亮太&オルケスタ・ティピカ」の一連の演奏会に参加。2001年、アルゼンチンに短期留学し、バンドネオンをM.バルベーロ氏等に師事。現在、自身のタンゴバンド「Tango-jack」の他、「小松亮太&オルケスタ・ティピカ」「小松真知子&タンゴクリスタル」といった国内の代表的タンゴグループで活動中。NHKのテレビドラマ「チェイス」中でのバンドネオンの音色をご記憶の方も多いのではないだろうか。

バンドネオン:早川 純 Bandoneon: Jun Hayakawa

バンドネオン:鈴木崇朗 Bandoneon: Takatoki Suzuki 1986年生れ。4歳からヴァイオリンを始める。中学生時代、小松亮太の演奏を聴いて衝撃を受け、バンドネオンを始めることを決意。2001年よりバンドネオンを小松亮太に師事する。現在、一年の数ヵ月をアルゼンチンに留学。日本国内では「小松真知子&タンゴクリスタル」「オルケスタ・アウロラ」等で活躍する若きホープ。

バンドネオン:鈴木崇朗 Bandoneon: Takatoki Suzuki

ヴァイオリン:吉田 篤 Violin: Atsushi Yoshida 山口県防府市出身。4歳よりヴァイオリンを始める。山口県学生音楽コンクール金賞、コンクール大賞受賞。全日本学生音楽コンクール福岡大会第1位。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院室内楽科ヴィオラ専攻修了。クラシックでは弦楽四重奏団「カルテット・アーニマ」のヴィオラ奏者として活動、2008年度松尾財団音楽助成を受け、また2009年にはリゾナーレ室内楽セミナーで緑の風音楽奨励賞を受賞する。現在、東京藝術大学管弦楽研究部非常勤講師。「芸大フィルハーモニア」「カルテット・アーニマ」等のメンバー。タンゴでは2003年より「小松真知子&タンゴクリスタル」のファースト・ヴァイオリンを務める。華麗な音色で聴衆を魅了している。

ヴァイオリン:吉田 篤 Violin: Atsushi Yoshida

ヴァイオリン:宮越建政 Violin: Kensei Miyakoshi 4歳でヴァイオリンを始める。京都大学大学院人間・環境学研究科中退、NHKに入局。ディレクターとして、ニュース、野球中継からのど自慢、ラジオドラマまで、様々な番組の企画・取材・構成・制作を担当。その後、桐朋学園芸術短期大学卒業。2004年、ウィーン国立音楽大学教授E.コヴァチッチのマスタークラスを受講。「小松真知子とタンゴクリスタル」や小松亮太のバンドに参加。2009年3月、2×4Tokioの世界タンゴサミット及びブエノスアイレス公演でアルゼンチンに赴いた。

ヴァイオリン:宮越建政 Violin: Kensei Miyakoshi

コントラバス:田辺和弘 Contrabass: Kazuhiro Tanabe 愛媛県出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て東京藝術大学を卒業。コントラバスを渡辺彰考、永島義男、ツォルト・ティバイらに師事。クラシックでの活動と共にタンゴでは小松亮太や西塔祐三らの楽団や、2004年頃から「小松真知子&タンゴクリスタル」に参加。海外のミュージシャンとも多数共演し、幅広いジャンルで活動している。

コントラバス:田辺和弘 Contrabass: Kazuhiro Tanabe

ギター・編曲:小松 勝 Guitar / Arrange: Masaru Komatsu 古典から現代タンゴまで、独自の作曲・編曲でタンゴクリスタルのオリジナリティを追求。比類なきアイデアマンとして、タンゴクリスタル本来のアカデミックな味わいにひとひねりもふたひねりも加えている。長男である小松亮太のレコーディングにも度々編曲・演奏で参加。2010年9月発売の小松亮太氏のCD(ソニー)にも2曲編曲を提供している。

ギター・編曲:小松 勝 Guitar / Arrange: Masaru Komatsu

ダンス:Hiroshi & Kyoko 山尾洋史は神奈川県川崎市生まれ。桑原和美に師事しサロンタンゴを学んだ後、イベントオーガナイザー、ダンサー、DJとして活動する。山尾恭子は神奈川県横浜市生まれ。桑原和美に師事しサロンタンゴを学んだ後、ダンサー、DJとして活動する。 二人はお互いのタンゴに対する真摯な姿勢に強く共感し2003年よりペアとなる。06年にはブエノスアイレスに渡り、Carlos y Rosa Perez、Fabian Pelarta、Valentina Villarroelに師事し、伝統的なサロンタンゴ、ステージタンゴを学び、さらなる研鑽を積む。渡亜中は政府主催のフェスティバルや、数々のミロンガ(ダンスホール)でのエキシビションを依頼される。 ここ数年の活躍は特筆すべきもので、07年にはタンゴダンス選手権・ブエノスアイレス市大会にて参加570組中、サロンタンゴ部門において9位、ミロンガ部門において4位。同年8月に行なわれた世界大会ではサロンタンゴ部門6位、ショータンゴ部門3位という外国人初の全4部門入賞という快挙を収めた。 その活躍を受けて“Almorzando con Mirtha Regrand”(アルゼンチン最高視聴率のテレビ番組)に出演し、15ヶ月の留学から帰国した。08年、世界大会アジア選手権にてサロン部門優勝、そして09年にはアルゼンチンタンゴ史上歴史的快挙と言える世界大会サロン部門で外国人初の世界チャンピオンに輝く。また同年10月にはユネスコにおいてタンゴが「世界無形文化遺産」に認定、その記念イベントに招待されオープニングを務める等、今国内外で最も注目されているダンサーであり、教師としても積極的に後進の指導に当たっている。

ダンス:Hiroshi & Kyoko

■曲目解説

解説・日本タンゴ・アカデミー副会長 飯塚久夫
パドゥーラ:7月9日

アルゼンチンには独立記念日が二つあるが、これは1816年の独立宣言発布日。リズムとメロディが一体化して進行するタンゴの典型的なスタイルが心地良い。

ダゴスティーノ:カフェ・ドミンゲス

昔のブエノスアイレスの盛り場にあったカフェを謳った名曲。そこは、酒飲みがアルコールに惹かれるように、演奏家たちが毎夜タンゴという磁石に集う場所。

モーレス:タンゲーラ

「タンゴ好きのお嬢さん」と訳されて日本では最も好まれている曲の一つ。一度聴いただけで忘れられないメロディが印象的。「さらば草原よ」の作者の曲。

滝 廉太郎:荒城の月

「タンゲーラ」が日本人に好まれるのも訳がある。この曲の楽譜を古賀政男が作者のモーレスに渡したと言われ、確かにその片鱗が第二主題にうかがわれる。

ビジョルド:エル・エスキナソ

初期のタンゴ形式であった“ミロンガ”というリズムの曲。1930年代にミロンガも復興されるが、これは1905年の作品。作曲は「エル・チョクロ」の作者。

カナロ:黄金の心

カナロはタンゴ史上最大の演奏家の一人。1961年の来日公演以来、日本で最も有名なワルツ。彼国のワルツは三拍子のタンゴと言われるほどで、甘く悲しく美しい。

グアラニー:ある古い歌の伝説

これはタンゴでなくフォルクローレ(アルゼンチン民謡)。作者は歌手で、この曲は最大のヒット。東欧のジプシー風の旋律を巧に採り入れており印象に残る。

バレンテ:鍵盤の悲しみ

作者はバンドネオン、ピアノ奏者。この曲は優れた編曲者でもある彼のモダンな感覚がよく出た代表作。「鍵盤の喜び(Alegria de un Teclado)」と対をなす。

ビジョルド:エル・チョクロ

日本では「ラ・クンパルシータ」と並んで有名。1953年にアメリカで「火の接吻」というタイトルでヒットした。でも実は1903年初演の古くて奥深いタンゴ。

デ・カロ/ラウレンス:悪友たち

作者たちは1920年代にタンゴを音楽的に発展させたヴァイオリン、バンドネオン奏者。この曲のポリフォニー奏法は画期的で、以後の編曲に大きな影響を与えた。

パウロス:インスピラシオン

1916年初演の古いタンゴだが、当時としては革新的で、今日でもよく演奏される。上昇・下降の音階が表情を豊かにし、流麗なオブリガートも魅力的。

スカルピーノ/カルダレーラ:パリのカナロ

1925年、タンゴに対する偏見も正されたパリに乗込んだカナロの大成功を讃えた曲。半音階の派手な前奏の三部構成で、終盤のバンドネオン変奏が聴き所。

ラミレス:巡礼

作者はフォルクローレ界を代表するピアニスト兼作曲・編曲家。ウィーンに学び、スペイン文化の知識を吸収し、帰国後フォルクローレを現代化して世に広めた。

ピアソラ:来るべきもの

1954年の作品。下降半音階による9小節の前奏、シンコペーションのリズムによる第一部、対旋律が主役の第二部など、タンゴに新しい道を開いた傑作。

プグリエーセ:ラ・ジュンバ

ピアソラと並ぶタンゴ界のヒーローがプグリエーセ。ピアノの左手が叩き出すジュンバのリズムは彼のスタイルの象徴。単純な繰返しのようでありながら、タンゴの真髄を湛えている。

エレーロ:ケフンブローソ

作者はオスバルド・プグリエーセ楽団の第1ヴァイオリン奏者として活躍した。曲の意味は「不平屋」。プグリエーセ・スタイルの魅力を余すところなく発揮。

ロビーラ:エバリスト・カリエゴに捧ぐ

ロビーラは12音階技法なども習得したバンドネオン奏者。カリエーゴは20世紀初めのブエノスアイレス下町の風物や民衆感情を詠った詩人。重厚な低音の響きと今日的なメロディが調和した曲。

バルディ:ガジョ・シエゴ

作者はタンゴ草創期を代表する作曲家。半音ずつ上る低音に乗って同じリズム型を繰り返していく第一部が印象的。今日、ダンスの場で最もよく使われる曲。

マトス・ロドリゲス:ラ・クンパルシータ

ウルグアイ人の作者が学生時代に作った曲に、大御所フィルポが和音やヴァイオリンの対旋律、第三部などを付加した。それがタンゴの代名詞にまでなった。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会  後援:アルゼンチン共和国大使館 協力:株式会社ラティーナ

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