PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2017-

ミュージアム・コンサート「ティツィアーノとヴェネツィア派展」記念コンサート vol.3
太田光子(リコーダー)

8本のルネサンス・リコーダーによる、豪華絢爛なハーモニー。ヴェネツィアで活躍したリコーダー奏者・シルヴェストロ・ガナッシに由来するルネサンス・リコーダーセットを使用し、ティツィアーノの絵画が息吹く「水の都」で響いた音楽が、色鮮やかに甦ります。

プログラム詳細

2017:03:31:14:00:00

■日時・会場
2017.3.31 [金] 14:00開演(13:30開場)[約60分]
東京都美術館 講堂

■出演
リコーダー:太田光子村田佳生水内謙一浅井 愛辺保陽一高橋明日香
      菅沼起一大塚照道

■曲目
A.パドヴァーノ:バッタリアによる8声のアリア [試聴]
A.ヴィラールト:愛よ、いつ生まれたのだ? [試聴]
G.グアーミ:8声のカンツォン 「ラ・ルッケズィーナ」
A.ヴィラールト:3声のリチェルカーレ [試聴]
C.グッサゴ:ソナタ 第14番 「ラ・ファッカ」 [試聴]
C.ポルタ:8声のジロメッタ [試聴]
L.G.ダ・ヴィアダーナ:8声のシンフォニア 「ラ・マントヴァーナ」
A.ヴィラールト/G.バッサーノ:「泉にて」 によるディミニューション [試聴]
A.ガブリエーリ:天国で摘みたるか、2輪の初々しい薔薇 [試聴]
J.C.ノン・パパ/A.ガブリエーリ:「元気溌剌」 によるディミニューション
L.G.ダ・ヴィアダーナ:8声のシンフォニア 「ラ・ロマーナ」
G.ガブリエーリ:第7旋法による8声のカンツォン [試聴]

[アンコール]
L.G.ダ・ヴィアダーナ:8声のシンフォニア 「ラ・マントヴァーナ」

【試聴について】
[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


チケットについて

■チケット料金(税込)

席種 全席自由
料金 ¥2,100

 ■発売日
  一般発売:2016年12月8日(木)10:00

■曲目解説

太田光子 (リコーダー奏者)

ティツィアーノが活躍していた時のヴェネツィア、そこではどのような音楽が鳴り響いていたのでしょうか。絵画を見ながら想像するだけでもわくわくします。

当時の音楽の象徴的な存在は、何と言っても聖マルコ大聖堂です。まず始めに、聖マルコ大聖堂にてオルガニストを務めていたアンニヴァーレ・パドヴァーノによる、「バッタリアによる8声のアリア」をお聴きいただきましょう。戦いを描写した音楽・バッタリアのファンファーレが高らかに響きわたります。

本日のプログラムでは、ティツィアーノとほぼ同い年の2人の音楽家がキーパーソンとなります。一人目はアドリアン・ヴィラールト。1527年12月12日に聖マルコ大聖堂の楽長に任命されます。彼の楽長としての手腕は目覚ましいものがあり、楽長就任後、聖マルコ大聖堂はたちまち音楽の一大中心地となりました。

彼の功績のうち代表的なものが、聖マルコ大聖堂の特殊な建築様式を生かして合唱隊を2つに分けたことです。2つに分けられた合唱、もしくは合奏が交互に演奏され、ステレオ効果をもたらしました。これを「コーリ・スペッツァーティ」(分割合唱)と言います。この作曲技法は人気を博し、聖マルコ大聖堂のみならず各地へ広がっていきました。本日はこの作曲技法による作品の中から8声のものを中心にお聴きいただきます。4声部ずつに分かれた、二組による掛け合いがお楽しみいただけます。

さて、もう一人のキーパーソンは、当時ヴェネツィアで活躍していたリコーダー奏者、シルヴェストロ・ガナッシです。1535年に出版された彼のリコーダー教本「フォンテガーラ」の中に、3種類のメーカーによるリコーダーが登場します。そのうち「B」の文字がつけられているものがバッサーノ、ヴェネツィアで名を馳せていたリコーダーメーカーです。この楽器は現在ウィーンの美術史美術館に所蔵されています。本日使用しているガナッシ・リコーダー・コンソートセットは、この楽器を基に製作されたものです。

本日はこのほかにも、詩人パンフィロ・サッソの詩によるマドリガーレ「愛よ、いつ生まれたのだ?」、ダンテと並ぶイタリア最大の詩人フランチェスコ・ペトラルカのソネット「天国で摘みたるか、2輪の初々しい薔薇」などの声楽曲に加え、技巧的な装飾音を散りばめ、声楽曲から器楽用にアレンジされた「泉にて」「元気溌剌」、旋律が複雑に絡み合う「3声のリチェルカーレ」など、当時の様々な種類の作品をお聴きいただきます。

ヴェネツィアの至る所でティツィアーノの絵画は見られます。リアルト橋に隣接する、シルヴェストロ・ガナッシゆかりのドイツ商館にも、音楽家としてのキャリアをスタートさせたばかりのコスタンツォ・ポルタがいたサンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ教会にも。ティツィアーノは彼らの音楽を聴きながら描き、音楽家たちは彼の絵画を見ながら音楽を紡ぎだしていったのでしょう。

本日のプログラムで、ティツィアーノの色彩とヴェネツィアに響いた音色との交差をお楽しみいただけましたら幸いです。

主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団) 協力:日本音響エンジニアリング株式会社平尾リコーダー工房


※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

(2017/04/03更新)

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