PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2017-

ミュージアム・コンサート「ティツィアーノとヴェネツィア派展」記念コンサート vol.1
つのだたかし(リュート)

ティツィアーノと同時代にヴェネツィアで活躍した作曲家ヴィラールト、そしてヴェネツィア楽派の集大成ともいえるモンテヴェルディ他の声楽作品を、古楽に定評ある松井亜希のソプラノ、つのだたかしのリュート、伊藤美恵のバロックハープによる繊細な響きで贈ります。

プログラム詳細

2017:03:17:14:00:00

■日時・会場
2017.3.17 [金] 14:00開演(13:30開場)[約60分]
東京都美術館 講堂

■出演
リュート:つのだたかし
バロックハープ:伊藤美恵
ソプラノ:松井亜希

■曲目
【ヴェネツィアの音楽をたどる】
ヨハン・アンブロシオ・ダルツァ:ヴェネツィア風パヴァーヌ/サルタレロ
アドリアン・ヴィラールト:
 奥様、私に良いお恵みを
 愛しいあの人は [試聴]
フィリップ・ヴェルドロ (A.ヴェラールト編)
 なんと幸せな日 [試聴]
 逃れよ 私の心 [試聴]
チプリアーノ・デ・ローレ:愛のために歌おう [試聴]
クラウディオ・モンテヴェルディ:
 神を賛美せよ
 私は広野の花 [試聴]
 苦しみは甘く [試聴]
バルバラ・ストロッツィ:恋するヘラクレイトス [試聴]
ベネデット・フェッラーリ:恋する男たちよ教えてあげよう [試聴]

[アンコール]
タルクイニオ・メルラ:愚かな恋人

【試聴について】
[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


チケットについて

■チケット料金(税込)

席種 全席自由
料金 ¥2,100

 ■発売日
  一般発売:2016年12月8日(木)10:00

■曲目解説

角田圭子(ダウランド アンド カンパニイ)

1500年代から1600年の初めにかけて、ヨーロッパの音楽の世界には大きな転換期がやってきます。一つは活版印刷による楽譜の出版、もう一つはルネサンスからバロックへ、オペラの登場を準備する新しい音楽の形の登場です。本日のコンサートは水の都ヴェネツィアに響いた100年の音楽の移り変わりを、声楽曲を通してお聴きいただきます。

1498年、オッターヴィオ・ペトルッチはヴェネツィア共和国議会から特許を得て、活版印刷による楽譜印刷業を始めました。1501年に初めての印刷楽譜が出版されます。それまでの手写本、木版印刷に比べ、精密で美しく、量産できる活版印刷楽譜の出現はヨーロッパの音楽の流れを大きく変えました。ポリフォニー(多声合唱)音楽において優れた作曲技術を持つフランドル地方(現在のオランダ南部・ベルギー西部・フランス北部)の作曲家たちの楽譜が普及し、彼らはイタリア、ドイツ、ポーランドなどの宮廷に招聘され、ヨーロッパ各地にポリフォニーの音楽が広まっていきます。特にイタリアにおいては、文化の中心であったローマが1527年、カール5世による略奪を受けて荒廃したため、この時期、多くの音楽家たちがヴェネツィアに集まってきました。

ヴェネツィアを象徴するような壮大なサン・マルコ寺院。1527年から終生、この聖堂の楽長を務めたアドリアン・ヴィラールトもまた、フランドル出身の作曲家です。ルネサンス期、ヨーロッパで最も影響力のある作曲家といわれ、サン・マルコ寺院の2つの聖歌隊席を生かした規模の大きな合唱作品など多くの声楽作品を残しています。今日演奏する2曲は、合唱の形で書かれた作品のソプラノ声部を歌い、残りの声部は器楽で伴奏しています。フランス生まれで主にフィレンツェで活躍したフィリップ・ヴェルドロの美しい歌は、ヴィラールトによってリュート伴奏の歌曲の形で編曲・出版され、残されたものです。1563年にヴィラールトの後を継いで、サン・マルコ寺院の楽長に就任したチプリアーノ・デ・ローレもフランドルの出身です。マドリガーレと呼ばれる多声の歌曲において、声の多様な使い方や装飾、変奏、半音階進行などさまざまな作曲技法を駆使した作品を残し、その試みはモンテヴェルディに引き継がれます。

クラウディオ・モンテヴェルディは、ルネサンスからバロックへ、ヨーロッパの音楽を大きく揺り動かした人物です。マドリガーレの作曲において「第二作法」と呼ばれる新しく表現力豊かな作曲法を提案し、保守的な作曲家とのあいだで物議をかもします。またこの頃、イタリアではポリフォニーに対してモノディと呼ばれる作曲技法が生まれ、合唱ではなく、ソロの歌と伴奏という演奏形式が開発され、より表情豊かな歌の表現が可能となりました。このような作曲の試みが、言葉に即した表現を追求するバロックの音楽、そしてオペラの登場につながっていきます。モンテヴェルディが1607年にマントヴァで書いた傑作オペラ《オルフェーオ》は、現在でもその輝きを放ち続けています。彼は1613年にサン・マルコ寺院の楽長に任命されてヴェネツィアに移り、貴族、宮廷でなく、市民のための最初のオペラハウスのために二つのオペラを作曲しました。

ベネデット・フェッラーリはモンテヴェルディの門下であり、オペラの作曲、台本作家、ティオルバ奏者として活躍し、オペラ劇場の興行主も務めた人物です。同じくオペラ台本作家として知られていたジューリオ・ストロッツィの娘、バルバラ・ストロッツィは父の音楽サークル「調和のアカデミー」で、モンテヴェルディほか当時一流の文化人たちと交流し、サークルの花形歌手として活躍した、当時としては珍しい女性音楽家です。その作品からは、広い音域と表現力を生かして声の表現の限りを尽くすバルバラの華やかな演奏風景、彼女が活躍したヴェネツィアの街の栄華までが香り立つようです。

主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団) 協力:日本音響エンジニアリング株式会社


※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

(2017/03/18更新)

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