PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2010-

ミュージアム・コンサート東博でバッハ vol.4 児玉 桃(ピアノ)

パリに暮らし、メシアン・プロジェクトで高い評価を得た人気のピアニスト児玉桃。多彩なレパートリーを弾きこなす彼女による、渾身のオール・バッハ・プログラムを。

プログラム詳細

2010:03:28:14:00:00

Photo: RikimaruHotta
■日時
2010/3/28(日) 14:00(13:15開場)

■会場
東京国立博物館 平成館

■出演
ピアノ:児玉 桃 

■曲目
J.S.バッハ(ブゾーニ編)
コラール前奏曲「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」 BWV659
コラール前奏曲「今ぞ喜べ、愛するキリスト者の仲間たちよ」BWV734
J.S.バッハ:
 カプリッチョ 変ロ長調 「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV992
 イタリア風協奏曲 ヘ長調 BWV971 speaker.gif[試聴]
 平均律クラヴィーア第1巻より
   前奏曲とフーガ第1番 ハ長調 BWV846
   前奏曲とフーガ第3番 嬰ハ長調 BWV848
   前奏曲とフーガ第8番 変ホ短調 BWV853
J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV826 speaker.gif[試聴]
曲目解説はこちら

[アンコール]
ショパン:
 マズルカ第15番 ハ長調 op.24-2
 マズルカ第14番 ト短調 op.24-1

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏家は、「東京・春・音楽祭」の出演者とは異なります。


出演者

ピアノ:児玉 桃 Momo Kodama バッハからメシアンを含む現代作品まで、幅広いレパートリーと豊かな表現力で国際的な活躍を続けている。
大阪に生まれ、1歳でヨーロッパに渡り、幼い頃からパリ国立音楽院教授故ジェルメーヌ・ムニエ女史に師事。 13歳の時、最年少最優秀でパリ国立音楽院に入学。故タチアナ・ニコライエワ、アンドラーシュ・シフ、マレイ・ペライア、ヴェラ・ゴルノスタエワの各氏に 師事し、16歳でピアノと室内楽のクラスを審査員全員一致のプレミエ・プリで卒業。在学中、セニガリア、エピナール両国際コンクールで優勝。1991年、 ミュンヘン国際コンクールに最年少の19歳で最高位に輝く。
17歳でパリ・シャトレ座の「若手と大家」シリーズに抜擢され、ヴァイオリンの大家、ジャン・ジャック・カントロフとの共演でパリ・デビューを行う。以後、ケント・ナガノ指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、小澤征爾指揮/ボストン交響楽団をはじめ、バイエルン放送交響楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ロイヤル・リバプール交響楽団、ハレ管弦楽団など、世界のトップオーケストラと共演を重ねている。
2002/03シーズンは、マカル指揮/モントリオール交響楽団、ベルティーニ指揮/バルセロナ交響楽団との共演、デュトワ指揮/NHK交響楽団とのアジアツアー、ベルリン芸術週間への参加、インバル指揮/ベルリン交響楽団でシーズン・オープニングコンサートとスペイン・ツアーなどが挙げられる。
リサイタルでは、チューリヒ・トーンハレをはじめ、1999年にはロンドンのウィグモアホールでデビューを飾るなど、ヨーロッパ各地で行い、ティボリ、エネスク、モーストリー・モーツァルト、ハロゲートなど、多くの国際音楽祭から招かれている。2002年のスイス・ルツェルン音楽祭では、ヴィードマンの新作を世界初演した。
国内では、2002年、トッパンホールで行った、メシアン「みどり子イエスに捧ぐ20のまなざし」全曲リサイタルが朝日新聞紙上で絶賛され、翌年年始の特集記事「2003年これがイチ押し!!」アーティストに選ばれるなど大きな話題を集めた。室内楽においては、マールボロ、ダボス、カシス音楽祭への参加、 ウィーン八重奏団との日本ツアーで活躍。また、現代の新進作曲家、ペルト、ヴィードマンから厚い信頼を得ており、新作初演などを手掛けている。 2004年は5月に名古屋フィルハーモニー交響楽団とのヨーロッパ・ツアーでメシアンの「トゥーランガリラ」を演奏し、各地で高い評価を得、続いてワレリー・ゲルギエフ指揮/東京都交響楽団と共演、イタリアでペルト作曲の新作協奏曲をイタリア国営放送(RAI)交響楽団と、またエストニア、ラトビア、ベルグラード・フィルハーモニック管弦楽団との共演等で活躍。また8月のサイトウ・キネン・オーケストラとの共演も話題を呼んだ。11月にはロジャー・ノリントン指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団とのドイツ及び日本ツアーで大成功を収めた。2005年は、ラ・フォル・ジュルネ(ナント、リスボン及び東京)、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン、南仏のラ・ロック・ダンテロンの各音楽祭に参加。ラ・ロック・ダンテロンでのリサイタルは「いままでに聴いたことのない、まさにショパンの芸術の神髄とも言えるほど熱狂的な演奏を披露・・・」(ル・モンド紙)と絶賛された。
2006年4月には北ドイツ放送交響楽団の定期演奏会に出演し、細川俊夫の新作(世界初演)とモーツァルトの協奏曲を一夜に演奏する企画と演奏が高く評価された。同年12月には、小澤征爾指揮/水戸室内管弦楽団定期演奏会でも同企画での演奏を果たし絶賛された。また、同年8月には、メシアン未発表の作品 「ヴァイオリンとピアノのための幻想曲」の世界初演をフランスで果たした。
2008年は、6月に水戸室内管とのヨーロッパ・ツアーにソリストとして参加し、細川作品を演奏するほか、メシアン生誕100年にあたり「メシアン・プロジェクト」と題してピアノ作品を中心とした5回のシリーズ公演を行い高い評価を得た。
CDはオクタビアレコードより2003年2月に、デビュー盤『ドビュッシー:impressions』を、次いで12月には『ショパン・ピアノ作品集』を リリース。2005年12月には『メシアン:幼子イエスに注ぐ20のまなざし』がリリースされ、好評を得ている。1994年度アリオン奨励賞。1997 年第7回出光音楽賞。1999年第9回テレンス・ジャッド賞(英国)受賞。2007年メシアン国際コンクール審査員。2009年中島健蔵音楽賞および、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。パリ在住。

Photo:Vincent Garnier 

ピアノ:児玉 桃 Momo Kodama

■曲目解説

J.S.バッハ(ブゾーニ編):
コラール前奏曲「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV659、コラール前奏曲「今ぞ喜べ、愛するキリスト者の仲間たちよ」BWV734

イタリア生まれの名ピアニストにして作曲家、指揮者、教育家のフェルッチョ・ブゾーニ(1866-1924)は、「シャコンヌ」をはじめとするJ.S.バッハ(1685-1750)の楽曲の多くをピアノ用に編曲している。BWV659は、管弦楽用などいくつかのバージョンで親しまれているが、やはり演奏頻度がいちばん高いのはブゾーニ編曲によるもの。BWV734の原曲は、通称「27のコラール編曲」(BWV714〜740)と呼ばれるオルガン・コラール集の1曲。なお「コラール前奏曲」とは、コラール(=賛美歌)を歌う前に演奏されるオルガン曲のこと。

J.S.バッハ:カプリッチョ 変ロ長調「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV992
全6曲から成る、若きバッハのクラヴィーア作品。バッハは1703年からアルンシュタットのオルガン奏者となったが、ちょうどその頃、すぐ上の兄のヨハン・ヤーコプがスウェーデン王の軍楽隊にオーボエ奏者として入隊することになり、その送別に際して作ったのが本曲。

J.S.バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
バッハ自身が「イタリア趣味による協奏曲」と呼んでいたこの曲には、青年時代からイタリア音楽を研究してきた成果が取り入れられている。例えば、トゥッティとソロが交互に現われる協奏曲の様式をチェンバロ1台で表現するために、奏法や響きに工夫を凝らして音量や音質の対比を的確に再現している。

J.S.バッハ:《平均律クラヴィーア曲集》第1巻より
「前奏曲とフーガ第1番 ハ長調」BWV846、「前奏曲とフーガ第3番 嬰ハ長調」BWV848、「前奏曲とフーガ第8番 変ホ短調」BWV853

ピアノ作品の『旧約聖書』とも称される《平均律クラヴィーア曲集》は、第1巻・第2巻それぞれ24曲、合計48曲から成る鍵盤楽器のための作品集。大きな特徴は、一対の前奏曲とフーガが全て異なる“調”によって書かれているところで、ハ長調、ハ短調、嬰ハ長調、嬰ハ短調……と半音ずつ高くなりながら最後のロ短調に至る24曲が整然と並んでいる。今回演奏される3曲は、バッハの「ケーテン時代」に属する1722年に完成されたもの。

J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV826
《パルティータ》(全6曲)は、《イギリス組曲》《フランス組曲》と並ぶ、バッハの3大クラヴィーア組曲の一つ。なかでも《パルティータ》は、最も規模が大きく技巧的で、なおかつその様式はきわめて自由。特にこの第2番のように、冒頭にシンフォニアを置き、それに呼応するかのようなカプリッチョでもって終曲する構成は、当時の組曲としても非常にユニーク。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:東京国立博物館 

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