PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2010-

ミュージアム・コンサートジャスパー弦楽四重奏団

イェール大学レジデント・カルテットとして東京クヮルテットの下で研鑽を積む若き弦楽四重奏団。アメリカの主要音楽祭で活躍する、期待のグループによる「音楽の改革者たち」をテーマにした初リサイタルが実現。

プログラム詳細

2010:04:03:14:00:00

Photo: Satoshi Aoyagi
■日時
2010/4/3(土) 14:00(13:15開場)

■会場
国立科学博物館 日本館講堂

■出演
ジャスパー弦楽四重奏団
  第1ヴァイオリン:ジェイ・フライヴォーゲル
  第2ヴァイオリン:丹羽紗絵
  ヴィオラ:サム・クインタル
  チェロ:レイチェル・ヘンダーソン

■曲目
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番 へ長調 op.18-1 speaker.gif[試聴]
ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章 speaker.gif[試聴]
ウェーベルン:弦楽四重奏のための5つの楽章 op.5 speaker.gif[試聴]
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 op.127 speaker.gif[試聴]
曲目解説はこちら

[アンコール]
スメタナ:弦楽四重奏第1番 ホ短調 《わが生涯より》第2楽章


【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏家は、「東京・春・音楽祭」の出演者とは異なります。


出演者

ジャスパー弦楽四重奏団 Jasper String Quartet  2008年、プラウマン室内楽コンクールにてグランプリとともに観客賞を受賞。また同年、コールマン・コンクール、イエロー・スプリングス室内楽コンクールにて最優秀賞を受賞し、フィッシュオフ室内楽コンクールにて第2位を獲得。今後が最も期待される新進気鋭の若手クァルテットである。現在は、レジデンス・クァルテットとしてイェール大学に在籍し、東京クヮルテットに師事。
2003年、オハイオ州・オバーリン音楽院にて結成。その後、テキサス州・ライス大学のクァルテット・プログラムにて弦楽四重奏の学位を取得する。ジェームス・ダナム、ノーマン・フィッシャー、ケン・ゴールドスミスから研鑽を積む。
これまで、アスペン音楽祭・室内楽講座、エマーソン弦楽四重奏団国際研修会、ジュリアード弦楽四重奏団のセミナー、ノーフォーク室内楽音楽祭、カナダのバンフセンターにレジデンス・クァルテットとして、また札幌で行われたパシフィック・ミュージック・フェスティバルや、ラ・ホヤ音楽祭にも参加し、東京クヮルテットや、世界的なヴァイオリニストのチョー=リャン・リンらと共演した。 今春には、イェール大学より、室内楽グループとして初のハラティオ・パーカー・メモリアル賞が授与された。
今秋は、クラリネット奏者デーヴィット・シフリンと共にニューヨーク、カーネギーホールにて室内楽コンサートに出演予定。また、ニューヨークで行われるケアモア音楽祭のレジデンス・クァルテットとして出演が予定されているなど、現在の活動は、ニューヨークを拠点にし、国際的に幅広く活躍している。

ジャスパー弦楽四重奏団公式サイト http://www.jasperquartet.com/

Photo:David Long

ジャスパー弦楽四重奏団 Jasper String Quartet 

第1ヴァイオリン:ジェイ・フライヴォーゲル J Freivogel アメリカ、ミズーリ州出身。2歳よりヴァイオリンを始める。他の3人の兄弟と同様、音楽教育を受けて育ち、2人の姉はジュピター弦楽四重奏団のメンバーとしてアメリカを中心に活躍中である。オバーリン音楽院にて音楽学位と共に政治学位を取得。学内にて、カウフマン室内楽賞を3度受賞、その他、協奏曲部門の コンクールで優勝、プレッサー音楽賞、著しく活躍しているヴァイオリニストに授与されるハーバット賞など受賞。
ジャスパー弦楽四重奏団の他のメンバーと同様、弦楽四重奏での修士学位をヒューストンのライス大学で取得。これまでソロを、メアリン・マクドナルド、シル ヴィア・ローゼンべルク、チョー=リャン・リンの各氏に、室内楽を、ジェイムズ・ダンハム、ノーマン・フィッシャーおよび東京クァルテットに師事。

第2ヴァイオリン:丹羽紗絵 Sae Niwa 茨城県出身。3歳よりヴァイオリンを始め、全日本学生音楽コンクール中学生の部で第2位、日本ストラディヴァリウス国際コンクールにて入賞。長野アスペン音楽祭、石川ミュージックアカデミーにおいて、最年少で奨学金を得て、アメリカのアスペン音楽祭に参加。2006年「スウェーデン国際デュオコンクール」 にてピアニストの大山聡氏と組み、第3位入賞。日本での活動は、小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトで《フィガロの結婚》、《コシ・ファン・トッテ》など に出演。若い人のためのサイトウ・キネン室内楽勉強会のコンサートマスターとして小澤征爾氏と共にテレビ放映される。桐朋女子音楽高校を卒業し、ボストン のニュー・イングランド音楽院より、全額奨学生としてディプロマ、修士ディプロマの資格を取得、首席で卒業する。2007年にジャスパー弦楽四重奏団のメンバーに選ばれ、アメリカ、ヒューストンにあるライス大学にて、レジデント・クァルテットとして修士学位を取得。現在、イェール大学のレジデント・クァルテット及び、東京クヮルテットのアシスタント講師として在籍中。これまでソロを川崎雅男、原田幸一郎、ドナルド・ワイラーシュタイン、チョー=リャン・リンの各氏に師事、室内楽をクリーヴランド弦楽四重奏団、エマーソン弦楽四重奏団、東京クァルテット等に師事。

ヴィオラ:サム・クインタル Sam Quintal アメリカ、アラスカ州出身。6歳でヴァイオリンを、11歳でヴィオラを始める。ジャスパー弦楽四重奏団のメンバーとして、2008年のプロウマン室内楽コンクール優勝や、同年のコールマン室内楽コンクール優勝の他、数々の入賞を果たしている。
ニューヨークのザンケル・ホールや、メルキン・ホール、アスペンのハリス・ホール、カナダのバンフ・センターでの演奏会など北アメリカを中心に活動をしている。
オバーリン音楽院にてヴァイオリン演奏での博士学位を、ライス大学にてヴィオラで修士学位をとっている。これまでにヴァイオリンをメアリン・マクドナルド氏に、ヴィオラを、ジェイムズ・ダンハム、磯村和英の各氏に師事。

チェロ:レイチェル・ヘンダーソン Rachel Henderson Freivogel アメリカ、ミシガン州出身。母の手ほどきにより、4歳よりチェロを始める。オバーリン音楽院にてバロック・チェロとヴィオラ・ダ・ガンバ科の修士学位を、 チェロ科の博士学位を取得する。弦楽四重奏団の活動に加え、アポロ・ファイアー・オーケストラ、クリーヴランド・バロック・オーケストラのバロック・チェロ奏者としても活動している。これまでチェロを、ダレット・アドキンス、キャサリーナ・メイント、ノーマン・フィッシャーの各氏に師事。

■曲目解説

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番 へ長調 op.18-1
30歳になるかならないかのルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が書いた第1〜6番までの弦楽四重奏曲は、作品18としてまとめられている(作品18は出版の際、当時のウィーンで音楽家のパトロンとして有名だったロプコヴィツ侯爵に献呈された)。本作は第1番となっているが、実際は第3番のあとに完成している。メランコリックな響きを持つ第2楽章は『ロミオとジュリエット』の墓場のシーンをイメージした、と作曲者自身が漏らしている。

ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章
「弦楽四重奏のための緩徐楽章」は、アントン・ウェーベルン(1883-1945)がシェーンベルクに作曲を学び始めたばかりの1905年に作られた。生前には出版されず、没後、遺稿のなかから発見された。《夏の風のなかで》などと同じく習作期の作品に属するため、後期ロマン派の影響を色濃く残している。

ウェーベルン:弦楽四重奏のための5つの楽章 op. 5
無調的技法に取り組み始めた1909年に作曲されており、作品番号1の《パッサカリア》(1908年)などと並ぶ、初期ウェーベルンの代表作。緻密かつ明晰で、高度に凝縮されたウェーベルンの作風は、しばしば美術の細密画に喩えられ「ミニアチュール様式」と呼ばれるが、その傾向が本作にも見てとれる。後年、弦楽合奏用にも編曲された。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 op.127
第11番《セリオーソ》以降、14年ものあいだ弦楽四重奏曲から遠ざかっていたベートーヴェンが1825年に完成させた作品。彼の後期弦楽四重奏群は本曲をもって嚆矢とするが、この時すでに32曲のピアノ・ソナタは書き終えており、《荘厳ミサ曲》や《第九》といった大作と一部創作時期が重なる。構成は4楽章と一般的だが、第2楽章の「アダージョ」が全楽章中最長で、楽聖の晩年に特有な、深い歌心を宿した静謐な音楽となっている。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館

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