PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2010-

前橋汀子の《四季》

誰もが待ち望んだ「前橋汀子の四季」が実現。ヴィヴァルディの最高傑作を、日本が誇る女流ヴァイオリニスト、渾身の演奏で贈ります。

プログラム詳細

2010:04:08:19:00:00

Photo: Satoshi Aoyagi
■日時
2010/4/8(木) 19:00(18:30開場)

■会場
東京文化会館 小ホール 

■出演
ヴァイオリン:前橋汀子
都響メンバーによるアンサンブル
  ヴァイオリン:山本友重、田中雅子、横山和加子、
         高田はるみ、谷口哲朗、永吉慶子
  ヴィオラ:小島綾子、南山華央倫
  チェロ:松岡陽平、柳瀬順平
  コントラバス:渡邊章成
チェンバロ:山口範子

■曲目
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集《四季》 speaker.gif[試聴]
J.シュトラウス2世:春の声
モーツァルト:ディヴェルティメント ヘ長調 K.138
クライスラー:愛の喜び、愛の悲しみ、美しきロスマリン
マスネ:タイスの瞑想曲
ドヴォルザーク:わが母の教えたまいし歌
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番 ト短調
曲目解説はこちら

[アンコール]
エルガー:愛の挨拶
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番 ト短調

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏家は、「東京・春・音楽祭」の出演者とは異なります。


出演者

ヴァイオリン:前橋汀子 Teiko Maehashi 日本を代表する国際的ヴァイオリニストとして、その演奏は優雅さと円熟味に溢れ、多くの聴衆を魅了してやまない。5歳から小野アンナにヴァイオリンを学び、その後、桐朋学園子供のための音楽教室、桐朋学園高校を通じて斎藤秀雄、ジャンヌ・イスナールに師事。17歳で旧ソ連国立レニングラード音楽院(現サンクトペテルブルク音楽院)創立100年記念の一環として、日本人初の留学生に選ばれ、ミハイル・ヴァイマンのもとで3年間学んだ。
ここではヴァイオリンのテクニックのみならず、芸術全般にわたり幅広い基礎教育を受け、これが今日に至る前橋汀子の音楽的姿勢に大きな影響を与えたといっていい。
その後、ニューヨーク・ジュリアード音楽院でロバート・マン、ドロシー・ディレイ等の指導を受け、さらにスイスでヨーゼフ・シゲティ、ナタン・ミルシテインの薫陶を受けた。
レオポルド・ストコフスキーの指揮により、ニューヨーク・カーネギーホールで演奏会デビュー。国内外で活発な演奏活動を展開し、世界各国の代表的なオーケストラとの協演も数多く、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、英国ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、フランス国立管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団等枚挙に暇がない。指揮者もズービン・メータ、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、ルドルフ・ケンペ、ウォルフガング・サヴァリッシュ、クルト・マズア、小澤征爾ほか多彩なマエストロたちと協演している。スイス・ロマンド管弦楽団とは国連コンサートに招かれ、その演奏の模様は全世界に放送された。室内楽の分野でも、ピアノのイェルク・デームス、クリストフ・エッシェンバッハ、アナトール・ウゴルスキー等の名手たちと共演している。
また、レニングラードの変貌ぶりをレポートしたNHKテレビ番組「前橋汀子・わが心の旅」は多くの人々に感動を与えた。2006年12月にはテレビ朝日系「SmaSTATION-6」に出演、これまでの活躍ぶりが紹介された。
近年小品を中心とした親しみやすいプログラムによるリサイタルを全国各地で展開、2005年から年1回東京・サントリーホールで開催している「アフタヌーン・コンサート」は大好評を博している。一方、2007年にはヴァイオリン音楽の原点ともいえる「J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ 全曲演奏会」、2008/09のシーズンには2夜にわたる「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 全曲演奏会」を行うなど、本格的なプログラムにも積極的に取り組む。2008年秋にはミラノ弦楽合奏団と日本ツアーを行い、円熟した演奏を聴かせた。
レコーディング活動にも意欲的に取り組み、デビューアルバム『チゴイネルワイゼン』、文化庁芸術作品賞を受けた『バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ全集』、その他『ヴィヴァルディ:四季』、『メンデルスゾーン&チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲』、『ヴァイオリン小品100曲選シリーズ全6巻』等々がある。また、エイベックス・クラシックスに移籍し、8年ぶりにレコーディング活動を再開。『ブラームス&フランク ヴァイオリン・ソナタ』のCDが本年5月に発売された。
2004年日本芸術院賞受賞、2007年には第37回エクソンモービル音楽賞洋楽部門本賞受賞。
現在、大阪音楽大学教授として後進の指導にもあたっている。
使用楽器は1736年製作のデル・ジェス・グァルネリウス。

Photo:細谷秀樹 

ヴァイオリン:前橋汀子 Teiko Maehashi

■曲目解説

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集《四季》
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)は、ヴェネツィアで生まれウィーンで没した、バロック末期の作曲家。生前の愛称は「赤毛の司祭」。1704〜40年、ヴィヴァルディはヴェネツィアにあった女子専用の孤児院(修道院と音楽学校を兼ねていた)で音楽教師として働き、その女子生徒のために多くの曲を作った。本曲集の《四季》という名は、全12曲から成るヴァイオリン協奏曲集《和声と創意の試み》の、第1番「春」から第4番「冬」までの通称。これら4つの協奏曲は全て3楽章構成で、楽章毎に作者不明の「ソネット」が付されている。ちなみに「春」の第1楽章のソネットでは、春の到来に喜びさえずる小鳥、小川の流れる様子、雷鳴を轟かせる嵐などが描写されている。

J.シュトラウス2世:春の声
“ワルツ王”として愛され続けているヨハン・シュトラウス2世(1825-99)。この「春の声」は、ブダペストを訪れていた彼が、晩餐会でリストと同席した折に即興で作り上げたと伝えられている。

モーツァルト:ディヴェルティメント ヘ長調 K.138
1772年、16歳のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-91)は、3曲のディヴェルティメントを作曲した。ニ長調K.136、変ロ長調K.137、ヘ長調K.138がそれで、今回演奏されるK.138は、第1楽章冒頭のフォルテとピアノの対比がひときわ鮮やかな、ロココ風の佳作である。

クライスラー:愛の喜び、愛の悲しみ、美しきロスマリン
20世紀最高のヴァイオリニストの一人に数えられるフリッツ・クライスラー(1875-1962)は創作の面でも、ヴァイオリンのための数多くの小品や、ベートーヴェン、ブラームスのヴァイオリン協奏曲のカデンツァなどを残し、いまだに多くの人に愛奏・愛聴されている。クライスラーの有り余る才能を物語るエピソードとして、次のようなものがある。彼は昔の作曲家の知られざる作品を「編曲」したと言って演奏を行っていたが、実はその多くが自分で作曲したオリジナル作品であることが分かり世間を驚嘆させた――というウソのようなホントの話である。

マスネ:タイスの瞑想曲
原曲は、ジュール・マスネ(1842-1912)のオペラ《タイス》の第2幕で、ヴァイオリンとハープによって奏でられる間奏曲。ヴァイオリン演奏会のアンコールピースとしてしばしば取り上げられる。

ドヴォルザーク:わが母の教えたまいし歌
今日では単独で演奏されることが多いが、もともとはアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1880年に作曲した歌曲集《ジプシーの歌》op.55の第4曲。歌の内容は、幼いころ母が教えてくれた歌を今度は我が子に教えよう、というもの。

ブラームス:《ハンガリー舞曲集》より第5番 ト短調
ハンガリー出身のヴァイオリニスト、エドゥアルト・レメーニとの交友がきっかけとなって生まれた曲集(全21曲)。ヨハネス・ブラームス(1833-97)は当初、ピアノ連弾を想定して作曲したが、のちに本人やその他の作曲家(ドヴォルザークもその一人!)によって、管弦楽用などに編曲された。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会

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