PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2010-

リカルダ・メルベート(ソプラノ)歌曲の夕べ
~ロマン派最後の輝き、そして・・

ウィーン国立歌劇場を中心に欧州で活躍。豊かな音楽性と幅広いレパートリーで定評あるメルベート、歌曲伴奏の第一人者との共演は、ウィーンでも大きな話題を集めました。

プログラム詳細

2010:04:05:19:00:00

Photo: Satoshi Aoyagi
■日時
2010/4/5(月) 19:00(18:30開場)

■会場
東京文化会館 小ホール 

■出演
ソプラノ:リカルダ・メルベ-ト
ピアノ:イェンドリック・シュプリンガー

■曲目
R.シュトラウス:《ブレンターノの詩による6つの歌》op.68より speaker.gif[試聴]
          夜に、花束を編みたかった、ささやけ愛らしいミルテよ
ヒンデミット:《ソプラノのための8つの歌》op.18
          酔った踊り子 (詩:ボック)
          私は聖フランシスのように宙に浮かぶ (詩:モルゲンシュテルン)
          夢 (詩:ラスカー=シューラー)
          はしごに立つ私の耳 (詩:モルゲンシュテルン)
          おまえの前で私は目覚めた (詩:モルゲンシュテルン)
          おまえは私を悲しませる (詩:ラスカー=シューラー)
          夕暮れの園を通って (詩:シリング)
          トランペット (詩:トラークル)
R.シュトラウス:《ブレンターノの詩による6つの歌》op.68より
          あなたの歌が私の心に響くとき、愛、女たちの歌
ヴォルフ:小さいものでも (詩:ハイゼ) speaker.gif[試聴]
     見捨てられた娘 (詩:メーリケ) speaker.gif[試聴]
     世をのがれて (詩:メーリケ) speaker.gif[試聴]
     時は春 (詩:メーリケ) speaker.gif[試聴]
ワーグナー:《ヴェーゼンドンク歌曲集》 speaker.gif[試聴]
          天使、止まれ、温室にて、悩み、夢
(字幕付)
曲目解説はこちら

[アンコール]
R.シュトラウス:万霊節、献呈

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者及び編成とは異なる場合がございます。


出演者

ソプラノ:リカルダ・メルベ-ト Ricarda Merbeth ドイツのケムニッツ出身。1989年、ライプツィヒのフェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ音楽院で声楽と教育の勉強を終えた後、ドイツ・マークデブルク市立劇場に招かれ、リリック・ソプラノとしての契約を結ぶ。
1999年から、ウィーン国立歌劇場に所属し、《フィデリオ》のマルツェリーネで同劇場デビューを果たした。以来ウィーンでは、《ラインの黄金》のフライア、《ワルキューレ》ゲルヒルデ、《神々の黄昏》グートルーネ、《ホフマン物語》ジュリエッタ、《フィガロの結婚》伯爵夫人、《ドン・ジョヴァンニ》ドンナ・アンナ、《魔笛》パミーナ、《エレクトラ》クリソテミスなどを演じている。セミヨン・ビシュコフ指揮による《ダフネ》では、タイトル・ロールを歌い好評を博した。最近は、ウィーン国立歌劇場で《イエヌーファ》のタイトル・ロール、《ローエングリン》エルザ役のデビューを果たしている。
2000年と2001年のバイロイト音楽祭における、新演出の《ニーベルングの指輪》では、フライア、ゲルヒルデ、ヘムヴィーケ、グートルーネを演じた。 2002年と2003年には、オープニングを飾ったクリスティアン・ティーレマン指揮による、新演出《タンホイザー》エリーザベトを歌い、2004年と 2005 年、そして2007年には、再びエリーザベトを演じている。
またトゥールーズでは《影のない女》皇后、ケルンでは《ワルキューレ》ジークリンデ、バイエルン国立歌劇場では《タンホイザー》エリーザベトを演じている。また、《タンホイザー》(東京)、《さまよえるオランダ人》、《エジプトのヘレナ》(ベルリン・ドイツ・オペラ)、《フィガロの結婚》(トゥールーズ)の新演出となる作品に出演した。
今後は、国立パリ・オペラ座 (バスティーユ)にて《ナクソス島のアリアドネ》、新演出による《死の都》、《ワルキューレ》、トゥールーズでは、新演出《オベロン》、ドイツ・ベルリン・オペラと東京では、新演出《ローエングリン》、またウィーン国立歌劇場には定期的に出演する予定である。
また、多くののオペラやコンサートに出演しており、ジュゼッペ・シノーポリ、ズービン・メータ、マルチェッロ・ヴィオッティ、ゲルト・アルブレヒト、ペーター・シュナイダー、クリスティアン・ティーレマン、ワレリー・ゲルギエフ、ドナルド・ラニクルズ、ファビオ・ルイジ、ベルトラン・ドゥ・ビリー、アダム・フィッシャー、ピンカス・スタインバーグ、チョン・ミョンフン、ラルフ・ワイケルト、フレデリック・シャスラン、セミヨン・ビシュコフ、フランツ・ ウェルザー=メストなど、著名な指揮者と共演している。
R.シュトラウスの《4つの最後の歌》と《ブレンターノの詩による6つの歌》を収録したCDをリリースしており、好評を得ている(NAXOS、ミヒャエル・ハラース指揮/ワイマール・シュターツカペレ)。

リカルダ・メルベート公式サイト http://www.ricardamerbeth.de/

Photo:Masahiko Takeda 

ソプラノ:リカルダ・メルベ-ト Ricarda Merbeth

ピアノ:イェンドリック・シュプリンガー Jendrik Springer 1972年、ゲッティンゲンに生まれる。7歳より、ピアノをカール・ハインツ・ケマーリンクに師事し、ハノーファー国立音楽大学にて、指揮をルッツ・ケラーに師事。さらに、同大学で、ハルトムート・ヘルのマスター・クラスに参加したのを契機に、歌曲伴奏者としても多くのレパートリーを持つことになる。
ピアニストとして、傑出した才能を持ち、1995年にハノーファーで行われたKarl-Bergemann-Blattspielコンクールで第1位を受賞するなど、多くのコンクールにおいて入賞歴を持つ。
現在の主な活動分野は2つに分けられる。ひとつは、著名な指揮者のアシスタントとしての活動であり、彼らに定期的に招かれ、ワーグナーやR.シュトラウスをレパートリーに活躍している。一例を挙げると、クリスティアン・ティーレマン(バイロイト音楽祭《ニーベルングの指環》、バーデンバーデン《ばらの騎士》と《エレクトラ》)、サイモン・ラトル(ウィーン国立歌劇場《パルジファル》)などがあり、そのほかファビオ・ルイジやフランツ・ウェルザー=メストのアシスタントも務めている。
もうひとつは、歌曲伴奏者としての活動である。マリス・ピーターゼンなど世界的に活躍している歌手との共演も多く、高い評価を得ている。ウィーン楽友協会での公演へは定期的に出演し、リカルダ・メルベート、ヤニナ・ベヒレとの歌曲リサイタルで共演。
2010年夏は、ミュンヘン・オペラ・フェスティバルに、クラッシミラ・ストヤノヴァとヴェッセリーナ・カサロヴァと共に出演する予定。

ピアノ:イェンドリック・シュプリンガー Jendrik Springer

■曲目解説

R.シュトラウス:《ブレンターノの詩による6つの歌》op.68
まず、クレメンス・ブレンターノはドイツ・ロマン派の詩人。音楽との関連で言うと、アヒム・フォン・アルニムと収集・編纂した詩集『少年の魔法の角笛(Des Knaben Wunderhorn)』が特に重要。同作品に収められた詩には、マーラーを筆頭に、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームスといった作曲家がメロディを付けている。そして本曲《6つの歌》は、ワーグナーから多大な影響を受けたリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が、50歳を過ぎてその手法から脱却し始めた頃の作品と言われている(リヒャルトの父フランツはミュンヘン宮廷歌劇場の首席ホルン奏者を務めた人物で、ブラームス派の一員だった)。

ヒンデミット:《ソプラノのための8つの歌》op.18
パウル・ヒンデミット(1895-1963)は、20世紀ドイツを代表する作曲家の一人で、生涯に600以上の作品を生み出した。歌曲の分野においても、リルケの詩をもとにした《マリアの生涯》やヘルダーリンの詩に音楽を付けた《6つの歌》など、文学性を兼ね備えた作品を残している。この作品18は、ヒンデミット初期の表現主義的傾向を持つもので、主に同時代の詩人の仕事に創意を得ている。楽想的にもバリエーション豊かで、リズミカルな第4曲や、深い憂いを湛えた第8曲など、詩の内容に応じて音楽も自在に変化する。

ヴォルフ:「小さいものでも」「見捨てられた娘」「世をのがれて」「時は春」
フーゴー・ヴォルフ(1860-1903)は、オーストリア生まれの作曲家・音楽評論家。ウィーンの音楽院ではマーラーと同期だった。ヴォルフはワグネリアンであったが、創作面では純然たる「歌曲作曲家」。よって、今回取り上げられるハイゼやメーリケ、そしてそれ以外ではゲーテ、アイヒェンドルフ、ハイネといったドイツ・ロマン派最良の遺産に新たな生命を吹き込んだ“リート”にこそ、彼の音楽家としての真骨頂がある。

ワーグナー:《ヴェーゼンドンク歌曲集》
1849年ドレスデン蜂起に失敗したリヒャルト・ワーグナー(1813-83)は、スイスへの亡命を余儀なくされたが、そこでワーグナーは、自身のパトロンであった豪商ヴェーゼンドンクの妻マティルデと恋に落ちた。その時、マティルデの詩にワーグナーが旋律を与え、生み落とされたのが《ヴェーゼンドンク歌曲集》。《トリスタンとイゾルデ》(この官能的なオペラにもマティルデとの恋愛が影を落としている)と創作時期が重なるため、「温室にて」や「夢」は《トリスタンとイゾルデ》にも引用されている。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会

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