PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2010-

アルゼンチン・タンゴの夕べ~哀愁漂うタンゴの名曲を集めて

日本の若手を代表するタンゴ・バンドによる、アルゼンチン・タンゴの古典的名曲で綴る一夜。本場アルゼンチンからダンサーも招き、情熱的で熱いひとときを。

プログラム詳細

2010:03:24:19:00:00

Photo: Satoshi Aoyagi
■日時
2010/3/24(水) 19:00(18:30開場)

■会場
東京文化会館 小ホール 

■出演
オルケスタ・アウロラ
  ヴァイオリン:会田桃子
  ピアノ:青木菜穂子
  ヴァイオリン:吉田 篤
  バンドネオン:北村 聡 、鈴木崇朗
  コントラバス:東谷健司
ダンス:ジセラ&ガスパル

■曲目
会田桃子:私の希望のすべて 
フィリベルト:カミニート 
ガルデル:ポル・ウナ・カベーサ(首の差で) 
タランティーノ:悲しい街
スタンポーニ:亜麻の花
青木菜穂子:トリギータ
モーレス:グリセール 
青木菜穂子:バーレス
A.ロドリゲス:イ・ペルマネセ [ダンス:ジセラ&ガスパル]
ピアソラ:ブエノスアイレスの夏 
ショパン:ワルツ op.69
コビアン:酔いどれたち
プラサ:ノクトゥルナ
会田桃子:恋ひ
ピアソラ:鮫
ピアソラ:ブエノスアイレスの冬 
ラウレンス:悪友たち
フィリベルト:バンドネオンの嘆き [ダンス:ジセラ&ガスパル]
マトス・ロドリゲス:ラ・クンパルシータ 
ピアソラ:アディオス・ノニーノ
曲目解説はこちら


[アンコール]
ピアソラ:リベルタンゴ
スカルピーノ、カルダレーラ:パリのカナロ

出演者

オルケスタ・アウロラ Orquesta AurorA 現在のタンゴシーンを牽引する若手ミュージシャンで構成されるこのバンドは、本場ブエノスアイレスの評価も高い。会田桃子(Vn)、青木菜穂子(Pf)を中心に、古典からオリジナルまでこなす。

オルケスタ・アウロラ公式サイト http://www.latina.co.jp/html/aurora/

オルケスタ・アウロラ Orquesta AurorA

ヴァイオリン:会田桃子 Momoko Aida 横浜市生まれ。3歳よりヴァイオリンを始める。桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部卒業。在学中よりアストル・ピアソラやアルゼンチンタンゴに興味を持ち、バンドネオン奏者小松亮太氏のタンゴバンド「小松亮太&ザ・タンギスツ」でタンゴの演奏を始める。卒業後は小松氏のバンドで数年間ソロヴァイオリン奏者を務め、国内外のコンサートで活躍。その後度々本場ブエノスアイレスを訪れ、現地のミュージシャンたちとのライブや、ブエノスアイレス市立タンゴオーケストラ学校への短期入学などで研鑽を積んだ。2000年より自身のタンゴバンド「クアトロシエントス Cuatrocientos」を立ち上げ、ライブ及びコンサート活動、タンゴダンスショー、アルバム製作などを精力的に行う中、日本人の生み出す、ピアソラ以降の現代タンゴの形を模索するべく、アルゼンチンタンゴの作編曲に、非常に強く力を注いでいる。
また、タンゴ以外の様々な音楽シーンでも活躍。クラシック、ジャズ、フラメンコ、ポップス、ブラジル、キューバンなど、その活動は多岐に渡る。2007年 には自身のワールド&ポップスバンド「ピンクショコラ」も立ち上げ、オリジナル作品を中心に、タンゴと対照的な音楽造りも探求している。ポップスシーンでは、数多くのシンガーのバックオーケストラのコンサートマスターを務め、これまでに、ピーボ・ブライソン、倖田來未、平原綾香、大黒摩季、小柳ゆき、杏里、中西圭三、別所哲也、 HIROなどと共演している。
クアトロシエントスでは、2004年にヴァイオリンのラミーロ・ガジョをゲストで招き、2005年には韓国の人気番組EBSスペース共感に、チェリスト、ソン・ヨンフン氏と出演、2006年から2008年には数回に渡り、韓国、香港での公演や、豪華客船内でのショーを度々行っている。ファン・カルロス・コペス、ミゲル・アンヘル・ソト等のタンゴダンサーとの共演も数多く行っている。

会田桃子公式サイト http://www.aida-momoko.jp/

ピアノ:青木菜穂子 Naoko Aoki 東京都出身。武蔵野音楽大学ピアノ科卒業。在学中よりタンゴに興味を持ち、演奏を始める。
2002年単身アルゼンチンに渡り、Nicolas Ledesma、Emilio De La Penaに師事する。2003年よりEmilio Balcarce指揮によるBsAs市立楽団「ORQUESTA Escuela de Tango」のピアニストとして2年間TV、RADIO <2×4>等で演奏、Jose LibertellaやNestor Marconiを始め多くの巨匠と共演する。同時にバンドネオン、チェロ、ピアノによる自己のトリオも結成、活動の場を広げた。2004年第6回ブエノスアイレス国際タンゴフェスティバルでソロピアノ、歌手Sayacaとのデュオ、オーケストラと3部門で出場。ブエノスアイレスの雑誌「TXT」、朝日新聞等に掲載された。2005年1st CD『TierraQuerida』(アルゼンチン録音/BishopRecords)を発表し、帰国後自身のグループを率いて活動。
2006年再び渡亜、Horacio Romo(Bn)、Pablo Agri(Vn)、Daniel Falasca(Cb)とCD録音の他、現地ミュージシャンやダンサーとSHOW(tangueria MADERO TANGO、Salon DANDI)やダンスホール等で演奏。11月には2nd CD『Buenos Aires, Mi Refugio』(アルゼンチン・東京録音/BishopRecords)を発表。 2007年1月に第7回 Cumbre Mundial(チリ/タンゴフェスティバル)で演奏したほか、2007年3月にはそのまま第9回 ブエノスアイレス国際タンゴフェスティバル出場。
2008年2.3月渡亜、‘2×4tokyo’のピアニストとしてBuenos Aires市内にてゲストにRamiro Gallo(Vn)、Federico Pereiro(Bn)等を招いての公演を行う。シンガーソングライターAriel Asselbornとのデュオ活動開始。また国内でも杉本彩主演によるshow、タンゴノスタルジアへ参加など活動の幅を広げる。2009年2月、ハーモニカのJoe Powers Bandでアメリカツアーを敢行。2009年3月に行われた第8回Cumbre Mundial(バリローチェ/タンゴフェスティバル)には‘2×4tokyo’で出場し、脚光を浴びた。

青木菜穂子公式サイト http://celeste.coplan.jp/

ヴァイオリン:吉田 篤 Atsushi Yoshida 山口県出身。山口県学生音楽コンクール金賞及びコンクール大賞受賞。全日本学生音楽コンクール福岡大会第一位。東京芸術大学音楽学部楽理科卒業、同大学大学院室内楽科ヴィオラ専攻修了。現在、同大学管弦楽研究部非常勤講師。ヴィオラを務める弦楽四重奏団「カルテット・アーニマ」で松尾学術振興財団より音楽助成を、またリゾナーレ室内楽セミナーにて緑の風奨励賞を受ける。タンゴは大学在学中より始め、「小松亮太&タンギスツ」などのバンドに参加。現在「小松真知子&タンゴクリスタル」「Tango-jack」「ロス・タンゲーロス」等のバンドで活躍。

バンドネオン:北村 聡 Satoshi Kitamura 関西大学文学部中退。大学在学中にバンドネオンに出会い、小松亮太氏に師事。アルゼンチンに短期留学しフリオ・パネ、オラシオ・ロモのレッスンを受ける。またオルケスタ・エスクエラ・デル・タンゴに参加し学び、大型タンゲリーア「エスキーナ・デ・カルロス・ガルデル」や「チェ・タンゴ」に出演した。 2001年ベトナムでピアソラのバンドネオン協奏曲を演奏、2003年、バンドネオンの最高峰、レオポルド・フェデリコ氏の日本ツアーに参加した。 2007年にはチリのバルパライソで行われた世界タンゴサミットに、またミゲル・バルベーロ・セステートのメンバーとしてモントリオールタンゴフェスティバルに出演。2008年、小松亮太氏の「若き民衆」公演ではピアソラの「プンタ・デル・エステ組曲」のソリストを務めた。これまでに、鈴木理恵子、須川展也、店村真積、平部やよい、菊地成孔、川井郁子、夏木マリ、あがた森魚、エゴラッピン、ビクトル・ラバジェン・オルケスタ、仙台フィル、奈良フィル等と共演、様々なアーティストのレコーディングに参加している。現在クアトロシエントス、小松亮太&オルケスタティピカ、中島ノブユキ・エテパルマ・アンサンブル等で活動中。

バンドネオン:鈴木崇朗 Takatok Suzuki 2001年よりバンドネオンを小松亮太氏に師事。 2005年には小松亮太&オルケスタティピカのメンバーとして南米ツアーに参加し、ペルー、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルで公演。好評を博す。同年、単身アルゼンチンに留学し、バンドネオンをオスバルド・モンテス氏に師事。また同年小松真知子&タンゴクリスタルのメンバーとしてアルゼンチンサンルイス州で行われた国際タンゴフェスティバルに参加した。2007、2008年にはアルゼンチンに留学し、バンドネオンをフリオ・パネ氏、ネストル・マルコーニ氏に師事。2009年には2×4Tokioのメンバーとしてアルゼンチンバリローチェで行われた世界タンゴサミットに参加。また、Bar Sur、Biblioteca Ncionalでのリサイタルに参加。現在小松亮太&オルケスタティピカ、小松真知子&タンゴクリスタル等で活動中。

コントラバス:東谷健司 Kenji Azumaya 1969年生。三重県鈴鹿市出身。早稲田大学第一文学部卒。 オルケスタ・デ・タンゴワセダ91年度バンドマスター。在学中より、赤坂に有ったタンゴラウンジ「ノスタルヒアス」にて、演奏活動を開始。卒業後も「ノスタルヒアス」の専属コントラバス奏者として、アルゼンチンより来日したトップアーティストたちと3年間に渡り研鑽を積む。「ノスタルヒアス」で共演したマエストロは、ホルヘ・ドラゴーネ(p)、オマール・バレンテ(p)、サントス・マジ(bn)、カルロス・ニエシ(bn)、ロベルト・シカレ(p)、ポーチョ・パルメル、ビクトル・ビジャダンゴス(gt)ほか。
1996年から2002年頃まで、「小松亮太とタンギスツ」のメンバーとして多くのコンサート、ライブ、CD録音等に参加。2000年にはビクトル・ラバジェン(bn)とも共演。1996年ピアニスト熊田洋と、デュオ「エル・タンゴ・ビーボ」を結成。ライブ、コンサート等で活動中。また、数々のタンゴ楽団 のサポートメンバーとしても活動中。2008年3月「2×4TOKYO(ドス・ポル・クアトロ・トーキョー)」のメンバーとしてアルゼンチン、ブエノスアイレスの「ラ・カサ・デル・タンゴ(タンゴの家)」、「フェルナンデス・ブランコ博物館」でのコンサートに参加。2009年3月同じく 「2×4TOKYO」のメンバーとして、アルゼンチン、バリローチェにおける「世界タンゴサミット」での演奏、ブエノスアイレスの「国立図書館ホール」でのコンサートに参加。

ダンス:ジセラ&ガスパル Gisela & Gaspar 2003年「第1回タンゴダンス世界選手権」ステージ・タンゴ部門のチャンピオン。2人ともアルゼンチン出身。女性のジセラ・ガレアッシは、1995〜 98年に数々のラテンアメリカのダンス・コンテストに出場し、20個ものゴールド・メダルを獲得した。男性のガスパル・ゴドイは、00年 Enthusiaticタンゴ・バレエ団の一員として欧州公演に参加。02年アメリカ・ダンス競技会のタンゴ・ダンス・プロフェッショナル部門でゴールド・メダルを獲得した。

■曲目解説

曲目解説:飯塚久夫(日本タンゴアカデミー副会長)
会田桃子:私の希望のすべて アルゼンチンで学んだ会田が、日本人の創造するタンゴが世界中の人達に届き、一人でも幸せな気持ちにすることができたら、という想いを込めて作った曲。

フィリベルト(会田桃子編):カミニート
1924年発表。タンゴ発祥の地・ボカ地区にある通りの名。今日ではブエノスアイレスの代表的観光地。実際は作詞者ペニャローサの幼少時代の町のイメージ。

ガルデル(会田桃子編):ポル・ウナ・カベーサ(首の差で)
不世出のタンゴ歌手カルロス・ガルデルが事故死の数ヵ月前に出演した最後の映画『タンゴ・バー』の挿入歌。最近多くの映画やCMで効果的に使われている。

タランティーノ(青木菜穂子編):悲しい街
1954年、ファン・カナロ楽団来日時のピアニストがオスバルド・タランティーノで、その時、本場のタンゴが初めて紹介された。この曲はピアソラ8重奏団が初演した。

スタンポーニ(青木菜穂子編):亜麻の花
エクトル・スタンポーニは現代感覚溢れる作編曲で知られる異才のピアニスト。バルス・クリオージョ(アルゼンチンのワルツ)は甘く美しい切なさを湛えている。

青木菜穂子:トリギータ
トリゴとは小麦のこと。20年も暮らした青木の愛猫ムギが静かに逝ったのは一昨年の夏の終わり。その在りし日の姿を思い浮かべながら、心を込めて作った。

モーレス(青木菜穂子編):グリセール
1942年の大ヒット曲。妻子あった作詞者ホセ・マリア・コントゥルシの実際の悲恋の物語。老年になって二人の結婚はかなったが、この曲は絶望期の作詞。

青木菜穂子:バーレス
青木がブエノスアイレスに住んでいた頃、お喋りですぐに感情を表に出すラテンの人々との関わりを面白く思ってよく出かけた場の情景を描いている。

A.ロドリゲス:イ・ペルマネセ
若者達のタンゴ楽団“エル・アランケ”のピアニスト、アリエル・ロドリゲスの作品。「第1回タンゴダンス世界選手権」優勝カップルのダンスは迫力満点。

ピアソラ(会田桃子編):ブエノスアイレスの夏
1965年、『ブエノスアイレスの四季』シリーズの最初に作られた(ピアソラは当初、連作意図はなかったが)。リズムは暑さを、メロディは夜の川風を思わせる。

ショパン(会田桃子編):ワルツ op.69
今年はショパン生誕200年。アルゼンチン建国200周年でもある。このop.69は奇しくも「別れのワルツ」。タンゴにも相通じるものがある。

コビアン(会田桃子編):酔いどれたち
1922年初演。40年代になってA・トロイロが復活させた。「郷愁」という曲に象徴されるタンゴに高度な音楽性をもたらしたJ・C・コビアンの作品。

プラサ(青木菜穂子編):ノクトゥルナ
1959年発表。題名は「夜の(ミロンガ)」の意味。ミロンガというのは、タンゴの源流のリズム。ミロンガとハバネラ等が渾然一体となってタンゴに発展した。

会田桃子:恋ひ
会田渾身の作品。タンゴ的な熱っぽい“ロマン”の中に日本的な“切なさ”の表現もあり、「自分たちにしかできないタンゴを」という想いがよく出ている。

ピアソラ:鮫
1979年の作品。アストル・ピアソラの趣味は鮫釣り。この曲はあたかもそのスリルを、力強いリズムと威厳あるメロディで表現しているかのようである。

ピアソラ:ブエノスアイレスの冬
1969年発表。65年の「夏」、69年の「秋」「春」と並ぶ『ブエノスアイレスの四季』シリーズ。この「冬」は、最後に春を予感させるバロック調で結ばれる。

ラウレンス(会田桃子編):悪友たち
1927年初演。ポリフォニーや多彩な演奏効果など、タンゴに編曲の醍醐味が加わり始めたことを代表する曲。今回のコンサートのために会田が新たに編曲した。

フィリベルト:バンドネオンの嘆き
1918年初演。「カミニート」と同じ作者。1944年、A・トロイロがA・ピアソラの編曲で演奏して、この曲を一躍有名にした。ここでは古典曲の踊りを満喫したい。

マトス・ロドリゲス(会田桃子編):ラ・クンパルシータ
初期(20世紀頭頃)のタンゴは2拍子だったが、この曲が1914年に初めて4分の4拍子で書かれた。世界のどこかで演奏されていない時はない、と言われるタンゴがこれ。

ピアソラ(青木菜穂子編):アディオス・ノニーノ
1959年作曲。プエルトリコのナイトクラブに出演中、父“ノニーノ”の訃報を聞き、公演後ニューヨークに戻って数時間で書き上げた。現代タンゴの傑作。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:アルゼンチン共和国大使館 協力:株式会社ラティーナ

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