PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2010-

東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.1《パルジファル》 (演奏会形式) 

東京春祭ワーグナー・シリーズ第1弾は、オペラ指揮者として信頼の厚いウルフ・シルマー指揮のもと、世界中からワーグナー歌手たちが集められ、最高の布陣で贈るワーグナー人生最後の大作、《パルジファル》で開幕です。

プログラム詳細

2010:04:04:15:00:00

Photo: Satoshi Aoyagi
■日時
2010.
4/2(金) 17:00(16:00開場)
4/4(日) 15:00(14:00開場)

■会場
東京文化会館 大ホール

■出演
指揮:ウルフ・シルマー
パルジファル:ブルクハルト・フリッツ
クンドリ:ミヒャエラ・シュスター
アムフォルタス:フランツ・グルントヘーバー
グルネマンツ:ペーター・ローズ
クリングゾル:シム・インスン
ティトゥレル:小鉄和広
聖杯騎士:渡邉澄晃、山下浩司
侍童:岩田真奈、小林由佳、片寄純也、加藤太朗
魔法の乙女たち:藤田美奈子、坂井田真実子、田村由貴絵、
        中島寿美枝、渡邊 史、吉田 静
アルトの声:富岡明子
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
児童合唱:東京少年少女合唱隊
合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ
音楽コーチ:イェンドリック・シュプリンガー

■曲目
ワーグナー:舞台神聖祝典劇《パルジファル》[演奏会形式] speaker.gif[試聴]
(全3幕/ドイツ語上演・字幕付) 曲目解説はこちら
※上演時間は約5時間を予定しております(休憩含む)

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏家は、「東京・春・音楽祭」の出演者とは異なります。


出演者

指揮:ウルフ・シルマー Ulf Schirmer ドイツ、エッシェンハウゼン生まれ。ブレーメンの高等学校と音楽学校で学んだ。ピアノのレッスンを受け、音楽理論を最初に学んだのもブレーメンだった。

エッシェンハウゼンと東京
シルマーはアーティストとして多彩な日々を過ごしている。数多くの国でゲスト出演を重ね、国際的に大活躍している。(NHK交響楽団、新国立劇場など)のんびりとした田舎の環境とアジアの大都会である東京とのコントラストが、何よりもシルマーのパワーとインスピレーションの源となっている。


ハンブルグ音楽大学では、ホルスト・シュタイン、クリストフ・フォン・ドホナーニ、ジョルジ・リゲティなどに師事した。
1980年、マンハイム国民劇場で最初に仕事をしたのを皮切りに、その後、ウィーン国立歌劇場でロリン・マゼールのアシスタントを務めるまでとなる。
1988年から1991年まで、ヴィースバーデンで音楽監督の任に就き、ヘッセン州立歌劇場でオーケストラのコンサートを担当する芸術監督を務めた。
1991年、ウィーン国立歌劇場の常任指揮者に就任、その翌年からは同歌劇場のコンサルタントも兼任した。
1995年から1998年までの間、活動の範囲はデンマークにまで広がり、デンマーク放送交響楽団の首席指揮者を務めた。

形式と多様性
活動は20世紀から21世紀の映画音楽、オペラ、オペレッタ、宗教音楽まで多岐にわたっている。自らが始めたプロジェクトにはサイモン・キーンリーサイドとの‘歌手の肖像’、傑出したオペレッタのレコーディングである《この世は美しい》、《微笑みの国》(レハール)、《美しい夜》(オッフェンバック作曲、共演:カサロヴァ・ヴェッセリーナ(メゾ・ソプラノ))などがある。
シルマーの音楽的な幅をさらに広いものとし、完成させているのは映画音楽である。ドラマティックなプロセスの解釈と感情豊かなストーリーテリングこそ、この表現形式におけるシルマーの最大の関心事であり、何年にもわたって毎年一定の時間をこのために費やしている。


2006/07シーズンからミュンヘン放送管弦楽団で芸術監督を務め、2009年8月にはライプツィヒ歌劇場の音楽監督に就任した。

音楽とは責任である
幼い頃から、シルマーの生活は音楽が中心だった。音楽のクオリティには、責任と模範とされる芸術的なリーダーシップが必要である。この成功についてのコンセプトは、シルマーがクルトゥア・バーンホフ(ブレーメン)の会長だった頃から彼のプロとしての生活についてまわるものであり、現在ではミュンヘン放送管弦楽団との活動の礎となっている。
次世代への責任:2006年以来、ミュンヘン放送交響楽団はバイエルン劇場アカデミーと協力関係にある。シルマーは、楽曲分析と音楽ドラマトゥルギーの教授として(ハンブルグ劇場アカデミー)、熱心に才能ある若手の指導にあたっている。


ブレゲンツ音楽祭、ウィーン国立歌劇場、ザルツブルグ音楽祭、グラーツ歌劇場、国立パリ・オペラ座、ミラノ・スカラ座、ベルリン・ドイツ・オペラ、ドレスデン国立歌劇場などでたびたび客演している。
コンサートでは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン交響楽団、バンベルク交響楽団、ドレスデン・シュターツカペレ、スイス・ロマンド管弦楽団などとの共演も多い。

ウルフ・シルマー公式サイト http://www.ulfschirmer.com/

指揮:ウルフ・シルマー Ulf Schirmer

パルジファル:ブルクハルト・フリッツ Burkhard Fritz 1970年、ハンブルグに生まれる。ハンブルグにて、歌手としての専門教育をウテ・ブーゲのもとで学び、その後、サンタンデールでのアルフレード・クラウスのマスター・コースに参加する。同時に、ハンブルグ大学医学部を卒業する。2000年から2006年まで、アルトゥーロ・セルジに師事。
ブレーマーハーフェン歌劇場との最初の契約をし、後にゲルゼンキルヒェン歌劇場と契約を結ぶ。そこでは、《魔弾の射手》マックス、《パルジファル》タイトル・ロールを歌い、2004年秋には、《ベンヴェヌート・チェッリーニ》の非常に難しい役を演じたことにより、大きな成功を得た。また、エッセン・アールト劇場での、ステファン・ソルテス指揮《フィデリオ》フロレスタン、そしてオルデンブルク州立歌劇場での《イドメネオ》タイトル・ロールを歌い好評を博す。
2004/05シーズンは、ベルリン国立歌劇場のアンサンブル・メンバーとして活躍。そこでは、ダニエル・バレンボイム指揮の新演出《パルジファル》を歌い、後に《フィデリオ》フロレスタンを演じる。続いて、《ボリス・ゴドゥノフ》ドミトリー、《トスカ》カヴァラドッシ役のデビューを果たす。また《運命の力》アルヴァーロや《蝶々夫人》ピンカートンなどのイタリア作品も演じ、定着してきている。2008年春には、ベルリン国立歌劇場にて、ダニエル・バレンボイム指揮《ニュルンベルクのマイスタージンガー》シュトルツィンクに出演。2009年1月には、《カルメン》ドン・ホセ役のデビューを果たした。
2005年秋には、ミラノ・スカラ座でのベートーヴェン《第九》、そしてインスブルック・チロル歌劇場での《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のヴァルター・フォン・シュトルツィンク役での客演が大評判となり、センセーションを巻き起こした。ハノーファーでは、《ルーチョ・シッラ》タイトル・ロールでデビュー、ロッテルダムとアムステルダムでは、ワレリー・ゲルギエフ指揮の《ファウストの劫罰》ファウストを演じ、2006年4月には、《パルジファル》タイトル・ロールで、ウィーン国立歌劇場に注目のデビューを果たす。シカゴでは、シカゴ交響楽団と、ベートーヴェン《第九》と《パルジファル》(演奏会形式)にて共演。また、ローター・ツァグロツェック指揮/シュトゥットガルト州立管弦楽団と《グレの歌》ヴァルデマール王、そしてダニエル・バレンボイム指揮による《大地の歌》に出演し、さらなる成功を遂げた。エッセン・アールト劇場と、ヴィースバーデン州立歌劇場では、《運命の力》アルヴァーロを演じ、好評を博す。
2007年夏は、《ベンヴェヌート・チェッリーニ》でザルツブルク音楽祭へ、2008年には、《ナクソス島のアリアドネ》バッカスで、ミュンヘン・オペラ・フェスティバルにデビュー。続いて、ハンブルグ・ライスハレでの、ジェフリー・テイトのハンブルグ交響楽団首席指揮者就任コンサートでは、マーラーの《大地の歌》に出演し、ベルギー王立モネ劇場へは、シュテファン・ヘルハイムの指揮による《ルサルカ》王子でデビューを果たした。
今後は、ウィーンとニューヨークでの《大地の歌》、グラーツ歌劇場での《ニュルンベルクのマイスタージンガー》シュトルツィンク、またベルリンでの《ローエングリン》に出演する予定である。
また、ダニエル・バレンボイム指揮との共演によるベートーヴェン《第九》のCDがリリースされている。

ブルクハルト・フリッツ公式サイト http://www.burkhard-fritz.de/

パルジファル:ブルクハルト・フリッツ Burkhard Fritz

クンドリ:ミヒャエラ・シュスター Michaela Schuster バイエルンのフルス出身。ザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学、ベルリン芸術大学にて学んだ。モーツァルテウム音楽大学、バイロイトのリヒャルト・ワーグナー協会、ベルリン芸術大学、ドイツ音楽コンクールにて奨学金を授与され、またボナー・オペラフロインデのスポンサーを受けた。さらに様々な賞を多数受賞している。
1999年から2002年まで、ダルムシュタット州立歌劇場のアンサンブル・メンバーとして、《ウェルテル》シャルロッテ、《ホフマン物語》ジュリエッタ、《カヴァレリア・ルスティカーナ》サントゥッツァ、《影のない女》乳母、《トリスタンとイゾルデ》ブランゲーネ、《ローエングリン》オルトルートなどを歌った。
また客演として、ドレスデン国立歌劇場(《ワルキューレ》ジークリンデ)、フランクフルト歌劇場(《パルジファル》クンドリ、《カリギュラ》カエソニア、《ドン・カルロ》エポリ公女/他)、シュトゥットガルト州立歌劇場(《ラインの黄金》フリッカ)、ベルリン国立歌劇場(《パルジファル》クンドリ、《ワルキューレ》ジークリンデ/他)、ウィーン国立歌劇場(《ワルキューレ》フリッカ、ジークリンデ)、ベルリン・ドイツ・オペラ(《ラ・ジョコンダ》ラウラ)、アムステルダム、ブリュッセル、バーデン・バーデン(《アイーダ》アムネリス)、などに定期的に出演している。
また、ノルウェー歌劇場では《ローエングリン》オルトルートを、マドリード・レアル劇場では《ワルキューレ》ジークリンデを歌い、好評を博した。コンサートのレパートリーも広くベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、フランス国立管弦楽団、シカゴ交響楽団などとも共演を重ね、フランクフルトのアルテ・オーパー、シュトゥットガルトのリーダーハレにも出演するなど、多彩な活躍を続けている。
今後は、ベルリン国立歌劇場、ウィーン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場、シカゴ・リリック・オペラフランクフルト歌劇場での新演出作品等への出演が予定されている。

Photo:Arve Dinda 

クンドリ:ミヒャエラ・シュスター Michaela Schuster

アムフォルタス:フランツ・グルントヘーバー Franz Grundheber トリヤーに生まれ、高校卒業後、米国ブルーミントンのインディアナ大学でマーガレット・ハーショウのもと声楽を学ぶ。
1966年、ロルフ・リーバーマンに見出されハンブルグ州立歌劇場と契約、現在もゲスト契約が続いており、2006年には40年にわたる同劇場での活動に対し、名誉会員として迎えられる。また来シーズンは、リゴレット、イアーゴ、さまよえるオランダ人、オレスト、スカルピア、バラク、シモン・ボッカネグラ等の役柄で出演する。2006年には、シモーネ・ヤング指揮のもと、新演出《シモン・ボッカネグラ》のタイトル・ロールを歌い、2010年には《アンドレア・シェニエ》で再び共演する予定である。ドイツ国内では、ドレスデン国立歌劇場(アモナズロ、イアーゴ、マクベス役)やベルリン・ドイツ・オペラ(スカルピア役)にゲストとして多数出演している。
ハンブルグ州立歌劇場同様、グルントヘーバーの長年にわたる芸術活動の中心となっているウィーン国立歌劇場からは、「宮廷歌手」の称号が贈られている。1976年以降、同歌劇場では、新演出作品のヴォツェック、オレスト、カルディヤク、ボロメオ、シェーン博士、グリエルモ、ウルフ(《ヴィッリ》)、モーゼ等の役で出演。さらに、リゴレット、イアーゴ、マクベス、アモナズロ、スカルピア、アムフォルタス、さまよえるオランダ人、クルヴェナル、バラク、マンドリュカ、ヨカナーンなど幅広いレパートリーを持つ。また、ウィーン国立歌劇場とは2010年まで契約が結ばれている。ザルツブルクのイースター並びに夏の音楽祭では、ジュピター(《ダナエの愛》)、オリヴィエ、オレスト、アムフォルタス、ファニアル、弁者(《魔笛》)などに出演し、特にヘルベルト・フォン・カラヤン指揮による《トスカ》では、スカルピアを演じ大好評を博した。
今後の主な公演としては、ヨーロッパではパリ(ガルニエ宮殿、シャトレ座、バスティーユ・オペラ)への出演のほか、バルセロナ(2010年/ファニナル、シゴルヒ役)、マドリッド(2009年/シゴルヒ役、2011年/モーゼ役)などが挙げられる。また、彼がドイツ人として初めて《アイーダ》アモナズロを演じたヴェローナ野外劇場ほか、オヴィエド、アテネ、ローマ、ミラノ・スカラ座(ヴォツェック役)、フィレンツェ、トリノ、コペンハーゲン、ヘルシンキ、サヴォンリンナ、モスクワ、ブリュッセル、アムステルダムなどでの出演が予定されている。
ロンドンのコヴェント・ガーデン王立歌劇場では、バラク、リゴレット、シモン・ボッカネグラを演じ高い評価を得る。
アメリカでは、ロサンゼルス・オペラ、サンフランシスコ・オペラ、シカゴ・リリック・オペラ、ヒューストン、フィラデルフィア、メトロポリタン・オペラへ出演予定である。また、彼はメトロポリタン・オペラでリゴレットを10回歌った最初のドイツ人歌手である。 サンチャゴ・デ・チリでは、シモン・ボッカネグラを演じ、2001年チリ国際オペラ評論家賞が与えられ、2004年にスカルピア役で再び登場する。
東京には、5度の来日を果たし、《パルジファル》アムフォルタス、2005年には、東京のオペラの森での《エレクトラ》オレスト、サイトウ・キネン・フェスティバル松本での《グレの歌》に出演。
多数のレコーディングがある中で、クラウディオ・アバド指揮とダニエル・バレンボイム指揮によるベルク《ヴォツェック》の2枚は、ジョルジュ・ティル賞を受賞するなど特に高い評価を得ている。また、セミヨン・ビシュコフ指揮で、オリヴィエ、ファニナル、マンドリカ、ジュピター、バラク、オレストといったR.シュトラウスの主なレパートリーも録音している。
コンサートやリサイタルの出演も多く、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ロリン・マゼール、クルト・マズア、小澤征爾、コリン・デイヴィス、ジュゼッペ・シノーポリ、クラウディオ・アバド、セミヨン・ビシュコフなど多数の指揮者と共演している。

アムフォルタス:フランツ・グルントヘーバー Franz Grundheber

グルネマンツ:ペーター・ローズ Peter Rose 1986年、「グラインドボーン音楽祭」香港公演での《ドン・ジョヴァンニ》にて、騎士長を演じてデビューを果たす。
レパートリーとしては、《真夏の夜の夢》ボトム(エクサン・プロヴァンス、パリ、ロンドン、ローマ、メトロポリタン・オペラ、バルセロナ、グラインドボーン)、《パルジファル》グルネマンツ(ウィーン、ハンブルグ、グラーツ)、《アルジェのイタリア女》ムスタファ(アムステルダム、ドレスデン)、《ドン・カルロ》フィリッポ二世(ケルン、ベルリン国立歌劇場、ハンブルグ)、《売られた花嫁》ケツァル(コヴェント・ガーデン王立歌劇場、シカゴ)、《セビリアの理髪師》バジリオ(サンフランシスコ、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ベルリン王立歌劇場、ハンブルグ、メトロポリタン・オペラ)、《ホヴォーンシチナ》ドシファイ(ハンブルグ)、《後宮からの逃走》オスミン(ザルツブルク、ハンブルグ、ミュンヘン、イスタンブール、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、シドニー)、《ドン・ジョヴァンニ》レポレッロ(ケルン)、《フィデリオ》ロッコ(ウィーン国立歌劇場、アン・デア・ウィーン劇場、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、ブレゲンツ音楽祭)、《ビリー・バッド》クラッガード(ケルン、ウィーン、ハンブルグ、ミュンヘン、サンタフェ)、《アイーダ》ランフィス(メトロポリタン・オペラ、コヴェント・ガーデン王立歌劇場)ベルリン王立歌劇場)、《ルイザ・ミラー》ヴァルテル伯爵(アムステルダム)、《さまよえるオランダ人》ダラント(コヴェント・ガーデン王立歌劇場、メトロポリタン・オペラ、ボルドー、ミュンヘン、ボルドー)、《ナブッコ》ザッカリーア(ダラス)、《ルサルカ》ヴォドニク(シアトル)、《ばらの騎士》オックス男爵(スコティッシュ・オペラ、ウィーン、ベルリン・ドイツ・オペラ、ハンブルグ、シドニー、メルボルン、東京、ミネアポリス、シアトル、メトロポリタン・オペラ)など、多数挙げられる。
また、ベートーヴェン《第九》をカルロ・マリア・ジュリーニ、ダニエル・バレンボイムと、モーツァルト《レクイエム》をチャールズ・マッケラス、ダニエル・バレンボイム、ズービン・メータ、ロリン・マゼール、ロバート・ショウ、ユロフスキと、マーラー「交響曲第8番」をマイケル・ティルソン・トーマスと、ヴェルディ《レクイエム》をカルロ・リッツィと、《ファウストの劫罰》をゲオルグ・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団と、ラヴェル《子供と魔法》《スペインの時》をピエール・ブーレーズ指揮/クリーヴランド管弦楽団と、ベートーヴェン《ミサ・ソレムニス》をクルト・マズア指揮/ニューヨーク・フィルハーモニックなど、著名な指揮者等と共演を果たしている。
主な録音としては、ダニエル・バレンボイム指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との《フィガロの結婚》、クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との《サロメ》、カルロ・リッツィ指揮《仮面舞踏会》など数多い。シャンドス・レコードからは、《セビリアの理髪師》、《トスカ》、《ランメルモールのルチア》、《エルナーニ》、《アイーダ》、《売られた花嫁》、ヴァージン・クラシックスからは、チャールズ・マッケラス指揮《後宮からの逃走》、サカリ・オラモ指揮/バーミンガム市交響楽団との《ゲロンティアスの夢》、コリン・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団《キリストの幼時》のCDやDVDがリリースされている。
また近年の出演や予定としては、イングリッシュ・ナショナル・オペラ《ボリス・ゴドノフ》、ドイツ国立歌劇場《ばらの騎士》オックス男爵、ハンブルグ《パルジファル》グルネマンツ、《ファウスト》メフィストフェレス、バイエルン国立歌劇場《パレストリーナ》法王ピオ四世、《後宮からの逃走》オスミン、《ばらの騎士》オックス男爵、シカゴ・リリックオペラ《真夏の夜の夢》ボトン、サンフランシスコ歌劇場《後宮からの逃走》オスミン、コヴェント・ガーデン王立歌劇場《ルル》、《ばらの騎士》オックス男爵、シアトル《ファルスタッフ》などが挙げられる。

ペーター・ローズ公式サイト http://www.peter-rose.com/

グルネマンツ:ペーター・ローズ Peter Rose

クリングゾル:シム・インスン In-sung Sim 2007/08シーズン、トリエステ・ヴェルディ劇場にてデビューを果たした。また2007年11月フェルッチョ・フルラネットと共演し《エルナーニ》シルヴァを演じ、2008年6月にはジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ劇場にて《Tea》皇帝でデビューを果たした。これらのデビューは、聴衆、新聞社(Nazione, Il piccolo, L‘opera)から絶賛される。ウィーン国立歌劇場では、エディタ・グルベローヴァ、エリーナ・ガランチャ、ホセ・クーラらと共演し《ラ・ボエーム》、《ノルマ》、《愛の妙薬》、《ロメオとジュリエット》に出演。また2008年3月には《夢遊病の女》ロドルフで、同劇場において大成功をおさめ、クローネン新聞では、この公演で彼を“贅沢な伯爵”と評し、著名な関係者たちを驚かせた公演として好評を博した。
韓国の大学、ウィーン音楽学校、マルセイユ国立オペラ歌手研究所で学び、韓国の光州で開かれたコンクールにて優勝、2005年にはドミンゴ・オペラリア国際コンクールでサルスエラ賞、ソニヤ王妃国際コンクールで第3位入賞を果たす。1998年から2001年にかけ、韓国国立劇場での《フィガロの結婚》、《ドン・パスクアーレ》、《ラ・ボエーム》に出演。ソウル・アーツ・センターでの《愛の妙薬》、モーツァルト《レクイエム》、《リゴレット》にも出演した。
また、マルセイユ、アヴィニオンにてリサイタルを行い、《ロベルト・デヴリュー》、《ロメオとジュリエット》でウィーン国立歌劇場でのデビューを果たした。
2001年から2007年まで、ウィーン国立歌劇場のメンバーとして、《ビリー・バッド》、《ピーター・グライムズ》、《影のない女》、《魔笛》、《ドン・ジョヴァンニ》、《愛の妙薬》、《ロメオとジュリエット》、《ラ・ボエーム》に出演し、2007年3月には新演出《マノン》の伯爵を演じ、アンナ・ネトレプコ、ロベルト・アラーニャと共演した。4月にはウィーン国立歌劇場にて《パルジファル》のクリングゾルでデボラ・ポラスキ、ファルク・シュトルックマンらと共に大成功をおさめ、5月には《ランメルモールのルチア》ライモンドを演じ、エディタ・グルベローヴァと共演、また《アンドレア・シェニエ》にも出演した。
2008年には、ザルツブルク音楽祭にて《ロメオとジュリエット》キャピュレットで、パレルモ・マッシモ劇場には、ローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団と、《ミサ・ソレムニス》で、デビューを果たした。
近年彼は、ペーター・シュナイダー、ドナルド・ラニクルズ、クリスティアン・ティーレマン、マルコ・アルミリアート、セバスティアン・ヴァイグル、ベルトラン・ドゥ・ビリー、パオロ・アリヴァベーニ、フリードリヒ・ハイダー、ロランス・レーヌ、ステファノ・ランツァーニ、アルフレッド・エシェヴェ、シュテファン・ゾルテス、グレアム・ジェンキンス、シモーネ・ヤング、ディエゴ・ファゾーリス、ガブリエーレ・フェッロ他、著名な指揮者らと共演している。 また《パルジファル》、《トリスタンとイゾルデ》のCDがドイツ・グラモフォンから、2008年には、ヘンデルの《ファラモンド》グスターヴォが、EMI/ヴァージン・クラシックスからリリースされている。
今後は、ローザンヌ歌劇場、カーン劇場、パリ・シャンゼリゼ劇場にて、ヘンデル《ファラモンド》、サヴォリンナ音楽祭にて《トゥーランドット》ティムール、バート・キッシンゲン音楽祭にて《メルリン》、パレルモ・マッシモ劇場にて《リゴレット》スパラフチーレ、ソウルにて《愛の妙薬》ドゥルカマーラ、ウィーン国立歌劇場にて《パルジファル》クリングゾル、プラハにて《ドン・キホーテ》、クラーゲンフルト州立劇場にて《ボリス・ゴドゥノフ》プーメンなどを演じる予定である。
2011年には、《清教徒》でジュネーヴ大劇場にデビューする予定であり、モンペリエでは新演出の《魔笛》ザラストロ、再びローザンヌで新演出《セルセ》アリオダーテの出演が予定されている。

クリングゾル:シム・インスン In-sung Sim

ティトゥレル:小鉄和広 Kazuhiro Kotetsu 鳥取県出身。東京藝術大学卒業、同大学院修了。国際ロータリー財団奨学生、文化庁派遣芸術家在外研修員等としてイタリアに学ぶ。イタリア声楽コンコルソ、シエナ部門優勝。ヴィオッティ・ヴァルセジア国際音楽コンクール入賞。
二期会《トロヴァトーレ》フェランド、愛知県立芸術劇場《ルイーザ・ミラー》ヴァルター、びわ湖ホール《アッティラ》表題役、《ドン・カルロ》フィリッポ二世等、とりわけヴェルディの主要なバス役で卓越した実力を認められた。
また、東京室内歌劇場のモーツァルト《フィガロの結婚》フィガロ、新国立劇場の一柳彗《光》イシダ、二期会のブリテン《真夏の夜の夢》ボトム、ベートーヴェン《フィデリオ》ロッコ等、幅広い役柄で評価が高い。近年では2008年2月、二期会《ワルキューレ》フンディング、9月東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団《トリスタンとイゾルデ》マルケ王を歌うなど、第一線で活躍を続けている。
ペルゴレージ《奥様女中》ウベルトは当たり役の一つで、1996年以降、新国立劇場、新潟市民芸術文化会館、水戸芸術館、フェラーラ、ヴェローナ音楽院、ヨーロッパ・チマローザ・フェスティバル、アルバ音楽祭等、日本とイタリアの各地で出演を重ねている。
またリエーティ、シチリア島タオルミナの野外劇場等にもコンサートやオペラに客演している。演奏会においては、NHK交響楽団等、日本の主要オーケストラと共演し、幅広いレパートリーを歌った。また、TOGレーベルよりCD『ドン・キホーテの唄』をリリースしている。オペラ演出にも進出、国内外で数多くの《奥様女中》演出の他、文化庁芸術拠点形成事業アートスフィア・東京オペラ共同主催のモーツァルト《フィガロの結婚》《コジ・ファン・トゥッテ》等を手がけている。
新潟市芸術文化振興財団のオペラ・コンサート制作においては、2001年より本年2009年まで毎年、芸術監督、アーティスティック・アドヴァイザー、演出家等として参画している。 その新潟においては2008年「ローマ歌劇場オペラコンサート&レクチャー」をプロデュースし、当時の歌劇場総裁フランチェスコ・エルナーニ氏を講師として招聘。同年、ローマ県のアンツィオ・ネットゥーノ市より、イタリア音楽普及の功績により「エンリーコ・カルーソ」賞、また2009年ローマを州都とするラツィオ州よりメダルを授与された。
その後も東京にて2008年「アルバ音楽祭 in Japan」、また新潟にて2009年「ローマ歌劇場オペラコンサート第2回」をプロデュース、イタリアの音楽界との緊密な協力関係を築いた。
オペラ演出家・プロデューサーとしても活躍しており、東京オペラ代表取締役。東京オペラグループ代表。NPO法人日本声楽家協会正会員。国立音楽大学講師。二期会会員。

ティトゥレル:小鉄和広 Kazuhiro Kotetsu

管弦楽:NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra,Tokyo NHK交響楽団の歴史は、1926年10月5日にプロ・オーケストラとして結成された新交響楽団に遡る。その後、日本交響楽団の名称を経て、1951年に日本放送協会(NHK)の支援を受けることとなり、NHK交響楽団と改称した。この間、ドイツからジョセフ・ローゼンストックを専任指揮者として迎え、日本を代表するオーケストラとしての基礎を築く。演奏活動の根幹となる定期公演は1927年2月20日の第1回予約演奏会に始まり、第2次大戦中も中断することなく続けられた。以来、今日に至るまで、ヘルベルト・フォン・カラヤン、エルネスト・アンセルメ、ヨーゼフ・カイルベルト、ロヴロ・フォン・マタチッチなど世界一流の指揮者を次々と招聘、また、話題のソリストたちと共演し、歴史的名演を残している。
近年N響は、年間54回の定期公演(NHKホール、サントリーホール)をはじめ、全国各地で約120回の演奏活動を行っている。その演奏は、NHKのテレビジョン、FM放送で全国に放送されるとともに、国際放送を通じて欧米やアジアにも紹介されている。また、1960年以来の定期的な外国公演や委嘱作品の充実、メジャー・レーベルへのCD録音など、その活動ぶりと演奏は国際的にも高い評価を得ている。
現在N響が擁する指揮者陣は、名誉音楽監督シャルル・デュトワ、桂冠指揮者ウラディーミル・アシュケナージ、桂冠名誉指揮者ウォルフガング・サヴァリッシュ、名誉指揮者ヘルベルト・ブロムシュテット、正指揮者外山雄三、尾高忠明、首席客演指揮者アンドレ・プレヴィン。また、ネルロ・サンティ、準・メルクル、アラン・ギルバートら、多彩な実力派たちが定期的に客演している。

NHK交響楽団公式サイト http://www.nhkso.or.jp/

合唱:東京オペラシンガーズ Tokyo Opera Singers 1992年、小澤征爾指揮、蜷川幸雄演出で話題を呼んだ《さまよえるオランダ人》の公演に際して、世界的水準のコーラスをという小澤氏の要望により、東京を中心に活躍する中堅、若手の声楽家によって組織された。当公演の合唱は圧倒的な成果を上げ、各方面から絶賛を受けた。
その評価により、同年第1回サイトウ・キネン・フェスティバル松本《エディプス王》、バイエルン国立歌劇場日本公演(ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮)《さまよえるオランダ人》に招かれ、再び高い評価を得た。
翌1993年から活動は本格化し、「サイトウ・キネン・フェスティバル松本(本年まで連続出演)」、「東京フィルハーモニー交響楽団主催コンサート」、「神奈川県民ホール主催オペラ公演」等を活動の中心に置くほか、ベルリン・コーミッシェ歌劇場、キーロフ歌劇場管弦楽団(ワレリー・ゲルギエフ指揮)、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団(ユーリ・テミルカーノフ指揮)、イタリア国立放送交響楽団等の来日公演に出演、音楽界の活性化に大きく貢献することとなった。
1998年には長野冬季オリンピック開会式において、世界6カ国を結ぶ《第九》合唱で、中心となる日本側の演奏を担当した。1999年にはヨーロッパの代表的音楽祭の一つであるエディンバラ音楽祭に出演(東急文化村制作《トゥーランドット》)最大級の賞賛を得た。2000年、2001年とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共演(小澤征爾、サイモン・ラトル指揮)、当団からも高い評価を得た。東京のオペラの森には、東京のオペラの森合唱団として第1回から連続出演。2006年、2007年に共演したリッカルド・ムーティ(ヴェルディ《レクイエム》他)からも高い評価を得ている。

児童合唱:東京少年少女合唱隊 The Little Singers of Tokyo 1951年故ポーロ・アヌイ神父と初代指揮者長谷川新一のもとに「ルネサンスの楽曲を日本の子供たちにも」と誕生。グレゴリオ聖歌から現代作品まで幅広いレパートリーを持つ。定期公演は年2回。その他、国内外のオーケストラ、オペラ劇場との共演等。1998年クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とマーラー「交響曲第3番」で共演し、また同年、ジャン・フルネ指揮によるフォーレ《レクイエム》をCD録音し好評を得る。海外公演は 1964年以来29回を数え、2000年にはルツェルン国際音楽祭における細川俊夫作品個展演奏会に出演。2007年台北文化教育基金会主催“春の合唱祭”に招聘参加。今年57回定期公演「Duo Seraphim」では2009年の記念年作曲家の作品を取り上げた意欲的なプログラムに取り組んだ。

東京少年少女合唱隊公式サイト http://www.lsot.jp/

合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ Roberto Gabbiani イタリアのプラート生まれ。フィレンツェのルイジ・ケルビー二音楽院にてピアノと作曲を学ぶ。
若くしてフィレンツェ歌劇場の招聘を受け、助手を数年務めた後、同歌劇場の合唱指揮者となる。フィレンツェ在任中はリッカルド・ムーティ、トーマス・シッパーズ、ジョルジュ・プレートル、ズービン・メータ、カルロ・マリア・ジュリーニ、ロリン・マゼール、カルロス・クライバーなどの著名指揮者と共に活動。歌劇場の合唱指揮者としての活動と各地のオーケストラや合唱団への客演指揮を交互に行いながら、そのいずれにおいても大きな成功を収めた。
レパートリーは古典から現在に至るまで幅広い。1991年より、リッカルド・ムーティに招聘されてミラノ・スカラ座合唱団を指揮。ここでは、同劇場の全プログラム作成に携わる他、ミラノ・スカラ座管弦楽団やヴェルディ管弦楽団を指揮して、様々な大規模声楽曲のコンサートを行った。また合唱レパートリーを、ルネサンス、バロック、現代音楽の分野にまで拡張し、彼独自のバラエティ豊かなレパートリーを作り上げた。ミラノ・スカラ座合唱団の首席指揮者として数々のツアーも行い、ラヴェンナ音楽祭に関連して、サラエヴォ、ベイルート、モスクワでコンサートを開催。

音楽コーチ:イェンドリック・シュプリンガー Jendrik Springer 1972年、ゲッティンゲンに生まれる。7歳より、ピアノをカール・ハインツ・ケマーリンクに師事し、ハノーファー国立音楽大学にて、指揮をルッツ・ケラーに師事。さらに、同大学で、ハルトムート・ヘルのマスター・クラスに参加したのを契機に、歌曲伴奏者としても多くのレパートリーを持つことになる。
ピアニストとして、傑出した才能を持ち、1995年にハノーファーで行われたKarl-Bergemann-Blattspielコンクールで第1位を受賞するなど、多くのコンクールにおいて入賞歴を持つ。
現在の主な活動分野は2つに分けられる。ひとつは、著名な指揮者のアシスタントとしての活動であり、彼らに定期的に招かれ、ワーグナーやR.シュトラウスをレパートリーに活躍している。一例を挙げると、クリスティアン・ティーレマン(バイロイト音楽祭《ニーベルングの指環》、バーデンバーデン《ばらの騎士》と《エレクトラ》)、サイモン・ラトル(ウィーン国立歌劇場《パルジファル》)などがあり、そのほかファビオ・ルイジやフランツ・ウェルザー=メストのアシスタントも務めている。
もうひとつは、歌曲伴奏者としての活動である。マリス・ピーターゼンなど世界的に活躍している歌手との共演も多く、高い評価を得ている。ウィーン楽友協会での公演へは定期的に出演し、リカルダ・メルベート、ヤニナ・ベヒレとの歌曲リサイタルで共演。
2010年夏は、ミュンヘン・オペラ・フェスティバルに、クラッシミラ・ストヤノヴァとヴェッセリーナ・カサロヴァと共に出演する予定。

■曲目解説

ワーグナー:舞台神聖祝典劇《パルジファル》

[物語のあらすじ]
 舞台は中世スペイン、モンサルヴァート(「荒涼たる山岳」という意味)。山の北には聖杯を守護する聖堂が、南にはクリングゾルの魔法の城がある。クリングゾルは、かつて聖杯騎士団に加わろうとしたが叶えられなかったため、騎士を誘惑する楽園を作って彼らを堕落させ、いつか聖杯を奪おうと目論んでいる。一方、先王ティトゥレルのあとを継いで聖杯王となったアムフォルタスは、クリングゾルの楽園を征伐しようとするが、逆に聖槍を奪われ、さらにはその槍で深手を負わされてしまった。癒えない傷に苦しむ王に、あるとき「共に苦しみ智に至る、純粋な愚者を待て」との神託が下る。そこへ、白鳥を射た罪で一人の若者が連れてこられた。この若者こそ純粋な愚者ではないか……そう感じた老騎士グルネマンツは、彼を聖餐の席へ連れて行く。しかし、若者は茫然と立ち尽くすばかり。グルネマンツは若者をただの愚者だと断じ、追い出してしまう。(以上、第1幕)

 舞台はクリングゾルの魔法の城。クリングゾルはクンドリに若者の誘惑を命じる。クンドリは抵抗するが、最後は屈してしまう。なにも知らない若者は魔法の城に入っていく。襲ってくる兵士を若者がなぎ倒しながら進むと、クリングゾルの魔法によってあたりは花園に一変する。花の乙女たちに誘惑される若者。そこに「パルジファル!」とクンドリの呼び声が響き、若者の名前が初めて明らかになる。クンドリはパルジファルの出自や母ヘルツェライデのことを語りながら、巧みにパルジファルに近づき、その唇を奪う。しかしこの接吻がきっかけとなって、パルジファルは“智”を獲得し、アムフォルタスに苦悩をもたらした真因を認識し、その苦しみを共有する。それでもなおクンドリはパルジファルに迫るが、彼はこれを退ける。クリングゾルは誘惑が失敗したことを悟り、聖槍をパルジファルに投げつけるが、槍はパルジファルの頭上で静止し、逆にパルジファルが槍を掴んで十字を切ると、魔法が解けて城は崩壊し、花園も姿を消す。(以上、第2幕)

 パルジファルの彷徨を暗示する前奏曲に続き、舞台は再びモンサルヴァートの森。老いたグルネマンツが倒れているクンドリを見つけ、目を覚まさせる。するとそこに槍を手にした騎士が現われる。それは変貌したパルジファルだった。パルジファルが自身の苦難の道程を語ると、グルネマンツの口からは、アムフォルタスが聖杯の儀式を行わず死を望んでいること、先王ティトゥレルが逝ったこと、聖杯騎士団の士気が著しく低下していることなどが告げられる。自責の念に駆られるパルジファル。彼は、アムフォルタスに会うことを請い、グルネマンツ、クンドリと共に聖堂に向かう。堂ではティトゥレルの葬儀が始まろうとしていた。騎士たちはアムフォルタスに聖杯の覆いを取るよう迫るが、アムフォルタスは頑なに応じない。アムフォルタスの苦悩が頂点に達し「自分を殺せ!」と叫んだとき、パルジファルが現われ、聖槍をアムフォルタスの傷口にあてると、傷は即座に癒えた。パルジファルが新しい聖杯王となり、「至高の救いがもたらす奇跡! 救済者に救済を!」が唱和される。(以上、第3幕)


[主な登場人物]
パルジファル(テノール):愚かだが無垢な若者
クンドリ(ソプラノ):呪われた女。クリングゾルの女使者
アムフォルタス(バリトン):モンサルヴァート城の城主
グルネマンツ(バス):モンサルヴァート城の老騎士
クリングゾル(バリトン):魔法使い
ティトゥレル(バス):アムフォルタスの父。先代の王


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 後援:日本ワーグナー協会

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