PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2016-

シェイクスピアの時代 ― 文芸の扉を開くイングランド
~シェイクスピアが聴いた音楽

イングランドの黄金期ともいわれるエリザベス1世の時代にその名を轟かせたシェイクスピア。16世紀から17世紀初頭の、文芸の花が開くその時代に流行した劇中歌をはじめ、同時代を生きたジョン・ダウランドらの音楽で時間旅行を。

プログラム詳細

2016:03:26:18:00:00

■日時・会場
2016.3.26 [土] 18:00開演(17:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
メゾ・ソプラノ&朗読:波多野睦美
リュート:つのだたかし
リコーダー:浅井 愛
ヴィオラ・ダ・ガンバ:福沢 宏坪田一子譜久島 譲田中孝子

■曲目
【シェイクスピア劇の音楽】
J.ダウランド:
 デンマーク王のガリアード [試聴]
 ウォルシンガム(『ハムレット』より) [試聴]
 それは恋人たち(『お気に召すまま』より)
J.ダウランド(T.モーリー編)
 涙のパヴァーヌ [試聴]
 それは恋人たち(『お気に召すまま』より)
 柳の歌(『オセロ』より)
 グリーン・スリーヴス(『ウィンザーの陽気な女房たち』より )
 俺が小さなガキの頃(『十二夜』より)
 ああ、私の恋人(『十二夜』より)
 さようなら 薄情な人(『ヴェニスの商人』より)
J.ダウランド:ケンプのジグ

【女王エリザベス一世の時代の音楽】
J.ダウランド:
 プレリュード
 悲しみよ とどまれ [試聴]
 甘い愛が呼んでいる
 彼女は言い訳できるのか
T.ヒューム:ヒューム大尉のパヴァーヌ
J.ダウランド:
 去れ 夜毎の悩みよ [試聴]
 この震える影の中で
 ヘンリー・ノエル氏のガリアード
 もう泣かないで 悲しみの泉よ [試聴]
 言っておくれ 愛の神よ
 来たれ 重き眠りよ [試聴]
/他

*本公演には朗読が入ります。


【試聴について】
[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


チケットについて

■チケット料金(税込)

席種 S席 A席 U-25
料金 ¥5,200 ¥4,100 ¥1,500
残席状況 本公演は終了いたしました。

 ■一般発売日
 2016年1月31日(日)10:00
 ※ U-25チケットは、2016年2月12日(金)12:00発売開始
  (公式サイトのみで取扱)

■曲目解説

【シェイクスピア劇の音楽】

「デンマーク王のガリアード」のデンマーク王とは、名君と謳われたクリスチャン4世。1598~1606年、ジョン・ダウランドは王付きのリュート奏者だった。ガリアードとは3拍子の快活な舞曲。「ウォルシンガム」は、当時有名だったイングランド東部ノーフォークの巡礼地。『ハムレット』の第4幕第5場で狂乱のオフィーリアが王妃ガートルードの御前で披露する歌には、バラッド「ウォルシンガム」の旋律が使われている。「それは恋人たち」は「この世はすべて、ひとつの舞台」というセリフが有名な喜劇『お気に召すまま』の第5幕第3場で、2人の小姓が歌う恋の歌。「涙のパヴァーヌ」は、ダウランドの代表作といえるリュート独奏曲。編曲者のトマス・モーリーはオックスフォード大学でダウランドと同級だった。パヴァーヌとは2拍子の優雅な舞曲。「柳の歌」は、シェイクスピア四大悲劇のひとつ『オセロ』の第4幕第3場で、ヒロインのデズデモーナが歌う不吉な死の予感に満ちた歌。「グリーン・スリーヴス」は作者も起源も定かでない。イングランド民謡として名高いが、シェイクスピアの頃にはすでにポピュラーだったらしく、『ウィンザーの陽気な女房たち』では「みだらな恋歌」というニュアンスで言及される。「俺が小さなガキの頃」は、双子の兄妹の取り違えが様々な波乱を巻き起こす恋愛喜劇『十二夜』で、劇が大団円を迎えて登場人物が退場した後、道化フェステが歌う。「ああ、私の恋人」は『十二夜』の第2幕第3場で、恋の歌を所望されたフェステが得意げに披露する。「さようなら 薄情な人」は、『ヴェニスの商人』の挿入歌として書かれたという説もあるが、真偽は不明。歌詞内容が、強欲な金貸しの父シャイロックから離れて、恋人ロレンゾのもとへ行く娘ジェシカの心情と一致する。「ケンプのジグ」のジグとは、劇の幕間などに行なわれた即興の余興(歌や踊り)。ウィリアム・ケンプはシェイクスピアの劇団でも活躍した喜劇役者で、ジグを得意とした。

【女王エリザベス1世の時代の音楽】

J.ダウランドの作品

「プレリュード」はダウランド唯一の前奏曲。リュート独奏による憂いを含んだ荘重な響きが、聴く者をダウランドの世界へと誘う。「悲しみよ とどまれ」ではダウランドの洗練された技巧が発揮され、曲の後半「下へ、下へと落ちて行くだけ」という箇所では「down, down...」というリフレインとともに旋律も下行していく。「甘い愛が呼んでいる」はダウランドの歌曲のなかでも特に有名な1曲。舞曲調のリズムが、憧れの女性の素振りに一喜一憂を繰り返す恋心を巧みに表現している。「彼女は言い訳できるのか」では、恋する相手のつれない仕打ちを責めるが、歌詞の作者はエリザベス女王の恋人として知られたエセックス伯との説もある。

T.ヒューム:ヒューム大尉のパヴァーヌ

スコットランド出身で、職業軍人でもあったトバイアス・ヒュームは、ライラ・ヴァイオル(小型のバス・ガンバ)のために2つの曲集を残した。本曲は愁いに満ちたヒュームの自画像ともいうべきガンバ独奏曲。

J.ダウランドの作品

「去れ 夜毎の悩みよ」は、ダウランド最後の歌曲集《巡礼の慰め》所収。深い憂愁に包まれて甘美な死を夢見る、ほの暗い心情が込められている。「この震える影の中で」も同歌曲集所収。宗教的な色合いが濃く、伴奏にも讃美歌のような響きが感じられる。「ヘンリー・ノエル氏のガリアード」のノエルとは、エリザベス女王の廷臣であり、ダウランドの友人・パトロンだった人物。この曲は亡き友を悼む肖像画である。「もう泣かないで 悲しみの泉よ」は、ダウランドの歌曲のなかでも演奏機会が多い。悲しみが、ため息のように自然に、心洗われるような美しさで歌われる。「言っておくれ 愛の神よ」は、愛の神にも屈しない意志と美しさを兼ね備えた唯一無二の女性(=エリザベス女王)を賛美した曲。「来たれ 重き眠りよ」は、嘆き疲れた心を癒すために、眠りを希求する歌。悲嘆を歌いながらも、引き伸ばされた長音が深い眠りへと誘うかのように心地よい。

主催:東京・春・音楽祭実行委員会


※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

(2016/03/25更新)

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