PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-

ミュージアム・コンサート平井千絵 フォルテピアノ・リサイタル

優しく、柔らかな音色のフォルテピアノで聴くピアノ名曲選。オランダ古楽界でも認められたフォルテピアノの第一人者による演奏で、誰もが知る曲の新たな魅力をお伝えします。

プログラム詳細

2015:03:15:14:00:00

■日時・会場
2015.3.15 [日] 14:00開演(13:30開場)
国立科学博物館 日本館講堂

■出演
フォルテピアノ:平井千絵

■曲目
D.スカルラッティ:
 ソナタ ハ長調 K.159
 ソナタ ヘ短調 K.481
 ソナタ ニ長調 K.491
 ソナタ ニ長調 K.492
ゲリネク:
 モーツァルト 歌劇《魔笛》より「恋人か女房か」の主題による6つの変奏曲
モーツァルト:
 フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲 ハ長調 K.265
 (きらきら星変奏曲) speaker.gif[試聴]
デュセック:フランス王妃の受難 op.23/44speaker.gif[試聴]
ハイドン:アレグレット ト長調 Hob.ⅩⅦ:10
モーツァルト:小ジーグ ト長調 K.574
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 op.27-2《月光》speaker.gif[試聴]

[アンコール]
ベートーヴェン:エリーゼのために
モーツァルト:トルコ行進曲

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。


 

出演者

フォルテピアノ:平井千絵 Fortepiano:Chie Hirai フォルテピアノという、音楽史の中で重要な位置を占める楽器を演奏し、温かみのある音色で多くの作品に命を吹き込む平井千絵。桐朋学園大学ピアノ科在学中に、故小島芳子氏の演奏を通じてフォルテピアノと出会い、卒業後同氏に師事。その後、オランダのデン・ハーグ王立音楽院古楽器科へ留学し、スタンリー・ホッホランド氏に師事して修士課程を首席で卒業している。▼続きを見る
その後はオランダを拠点に国内外で演奏活動を続け、ユトレヒト古楽祭(オランダ)、バルセロナ国際古楽祭(スペイン)、ボーヌ国際バロック・オペラ・フェスティバル(フランス)、ハレ・ヘンデル音楽祭(ドイツ)ほか、多くのコンサートや音楽祭に出演。またオルフェオ・バロック・オーケストラをはじめ、多くのオーケストラやアンサンブルと共演し、器楽奏者や歌手とのデュオも盛んに行っている。ヨーロッパのメディアでは、「傑出したフォルテピアノの専門家」と評され、その演奏がオーストリア放送、ラジオ・フランス、オランダ国営放送などで採り上げられた。2008年からはアムステルダム音楽院や母校であるハーグ王立音楽院で学内試験の審査員を務める。
日本国内においては鈴木秀美氏(チェロ)とのデュオや室内楽演奏で脚光を浴び、ソロ・コンサートも多数。特にフォルテピアノについてのわかりやすい紹介トークを交えたプログラムが好評である。銀座・王子ホールの「ぴあのの部屋」というコンサート・シリーズでは、女性作曲家による作品をプログラムに並べるなど、新鮮な視点で古典派時代の音楽を紹介している。また、ピティナ・ピアノ・コンペティションの審査員を務めるなど後進の育成にも力を注いでいる。
レパートリーは、18世紀に活躍したバッハ・ファミリーからハイドン、モーツァルト、そしてベートーヴェンを経て19世紀前半のシューベルトやショパンなど、「フォルテピアノの黄金期」と言える古典派〜前期ロマン派時代の作品。加えてギタリストの鈴木大介氏(19世紀ギター)や、フランスの若手バロック・ヴァイオリニスト、ジュリアン・ショーヴァンと共演するなど、新しいレパートリーの拡大にも意欲的に取り組んでいる。
鈴木秀美氏とのCD『メンデルスゾーン:チェロとピアノのための作品集』『ショパン:チェロとピアノのための作品集』(以上ソニー=BMG)は、「レコード芸術」誌や朝日新聞など多くのメディアで注目された。その後も唐澤まゆこ氏(ソプラノ)との『アート・オブ・マリー・アントワネット』(フォンテック)、初のソロCDであるショパンとグリンカの作品集『1840』(アクースティカ)をリリースしている。モーツァルトのピアノ・ソナタ全曲録音『Mozart Speaks』が進行中であり(フォンテック)、第1弾は「レコード芸術」特選盤に、第2弾は準特選盤に、2014年4月にリリースした第3弾は特選盤に選ばれた。

神奈川県出身。東海大学非常勤講師、ピティナ演奏会員、演奏表現学会会員。

©Atsushi Yokota
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フォルテピアノ:平井千絵 Fortepiano:Chie Hirai

■曲目解説

スカルラッティの鍵盤作品

J.S.バッハ、ヘンデルと同年に生まれたスカルラッティは、バロック時代の鍵盤楽曲に新たな息吹をもたらした。特にポルトガル王女マリア・バルバラ(後にスペイン王妃)のために書かれた 555 曲の練習曲は、その豊富な音楽内容と斬新な演奏技巧により「ソナタ」と呼ばれ、広く愛奏されている。舞踏的な《K.159》は小曲ながら、完全なソナタ形式をとっている。《K.481》は慈雨のような優しさに満ち、溌剌とした《K.491》の構成は緩急に富んでいる。《K.492》にはヴィルトゥオーゾ的要素がふんだんに盛り込まれ、華やかに展開する。

ゲリネク:モーツァルトの歌劇《魔笛》より「恋人か女房か」の主題による 6 つの変奏曲

ボヘミア出身のヨーゼフ・ゲリネクはウィーンでピアニストとして活躍し、ベートーヴェンと競演したことでも知られる。彼はモーツァルト、ベートーヴェン、ウェーバーの主題による変奏曲を数多く残した。愛らしいこの変奏曲は、さながら音の細密画のようである。

モーツァルト:フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による 12 の変奏曲(きらきら星変奏曲)

1778 年にパリで作られたこの曲は、当時フランスで流行していた恋の歌「ああ、お母さん聞いて」を主題とする変奏曲である。のちに別の歌詞が付けられ、童謡《きらきら星》として知られるようになったため、日本では《きらきら星変奏曲》として広く親しまれている。主題は大変愛らしいが、変奏されていくにつれ次第にリズムが技巧的になり、最終の第 12 変奏では 16 音符の速いパッセージが生き生きと奏される。

デュセック:フランス王妃の受難

ボヘミア出身のデュセックは、ピアニスト、ピアノ教師としてヨーロッパ各地で活躍し、マリー・アントワネットの寵愛を受けた。フランス革命勃発後、その難を逃れて渡英していたデュセックは、1793 年、王妃が処刑されたとの報を受け、この曲を作った。最期の瞬間まで気高くあったという王妃の生涯とその心理が見事に表現されている。

ハイドン:アレグレット

この曲は《音楽時計の音楽 Hob.XIX:27》の編曲である。シンプルな和音伴奏にのせて優美な旋律が奏でられるが、短調に転調することにより一瞬悲しげな表情を見せる。慈愛に満ちた佳品である。

モーツァルト:小ジーグ

1789 年、ベルリン旅行の帰途に立ち寄ったライプツィヒでザクセンの宮廷オルガニスト、カール・エンゲルのために書かれたフーガ風の作品。彼の地に眠る J.S.バッハに敬意を表して作られたとも言われる。わずか 38 小節ながら音楽的に充実しており、古い様式に新たな精神が盛り込まれている。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第 14 番《月光》

弟子であり恋人でもあったイタリアの伯爵令嬢ジュリエッタ・グイッチャルディに捧げるための曲として 1801 年に作曲。しかし、ベートーヴェンはジュリエッタとの身分の差に苦しみ、結局この恋は成就しなかった。《月光》という通称はベートーヴェンの死後、1832 年に詩人で音楽評論家のルートヴィヒ・レルシュタープが、第 1 楽章を「ルツェルン(フィアヴァルトシュテッテ)湖の月光の波に揺らぐ小舟のようだ」と評したことに由来する。第 1 楽章は幻想的な厳かさに満ち、第 2 楽章では束の間の平安が訪れるが、そこに第 3 楽章の荒々しい第 1 主題が突如現れ、聴く者を激しい情熱の奔流へと連れ去っていく。


主催:東京・春・音楽祭実行委員会 共催:国立科学博物館

※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

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