PROGRAMプログラム

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-

N響メンバーによる室内楽
〜首席奏者たちが贈る、洒脱で極上な夜

名手がもてなす音楽のオードブル。マルティヌーの隠れた名曲の登場人物は、キッチン用品!?鍋や泡立器、布巾たちが繰り広げる大騒動組曲。

プログラム詳細

2015:03:14:19:00:00

■日時・会場
2015.3.14 [土] 19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール

■出演
ヴァイオリン:堀 正文、大宮臨太郎、松田拓之
ヴィオラ:坂口弦太郎
チェロ:木越 洋
コントラバス:吉田 秀
クラリネット:松本健司
ファゴット:水谷上総
トランペット:菊本和昭
ピアノ:児玉 桃

■曲目
サン=サーンス:七重奏曲 変ホ長調 op.65 speaker.gif[試聴]
ドヴォルザーク:三重奏曲 ハ長調 op.74 speaker.gif[試聴]
マルティヌー:組曲《調理場のレビュー》 H.161 speaker.gif[試聴]
モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581《シュタードラー》speaker.gif[試聴]

【試聴について】
speaker.gif[試聴]をクリックすると外部のウェブサイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」へ移動し、
プログラム楽曲の冒頭部分を試聴いただけます。
ただし試聴音源の演奏は、「東京・春・音楽祭」の出演者および一部楽曲で編成が異なります。

 

出演者

ヴァイオリン:堀 正文 Violin:Masafumi Hori 5歳よりヴァイオリンをはじめ、京都市立堀川高校音楽科を経てドイツ・フライブルク音大へ留学。在学中より、ハイデルベルク室内合奏団のソリストとして、ヨーロッパ各地への演奏旅行を行う。
1973年、フランクフルト放響とヴィエニャフスキ/ヴァイオリン協奏曲第1番を共演。74年よりダルムシュタット国立歌劇場管の第1コンサートマスターに就任。▼続きを見るヨーロッパ各国でオーケストラ活動はもとより、ソロ、室内楽などに幅広く活躍した。79年、東京でのNHK交響楽団とのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲共演が大きな反響を呼び、同年9月NHK交響楽団にコンサートマスターとして入団。現在、同団ソロ・コンサートマスターとしての重責を果たすとともに、数多くのソロ・リサイタルや室内楽に幅広く活躍している。また、N響での功績に対して有馬賞を受賞している。
その他、ジュネーヴ国際コンクール、レオポルト・モーツァルト国際コンクール、シュポア国際コンクールの審査員を務め、桐朋学園大学で後進の指導にあたるなど、日本クラシック界を代表するヴァイオリニストとして精力的な活動を繰り広げている。

©青柳聡
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ヴァイオリン:堀 正文 Violin:Masafumi Hori

ヴァイオリン:大宮臨太郎 Violin:Rintaro Omiya 1981年生まれ。横浜市出身。辰巳明子・堀正文両氏に師事。
2000年第69回日本音楽コンクール3位。同年ミレニアム・ニュークラシックオーディション1位、併せて審査員特別賞を受賞。2001年仙台国際コンクール5位、聴衆者賞受賞。2002年メニューイン国際ヴァイオリンコンクール(フランス)2位、▼続きを見る2003年プラハの春国際コンクールファイナリストほか国内外のコンクールにて受賞多数。小澤征爾音楽塾、サイトウキネンフェスティバルに参加。
桐朋学園大学4年生在学中にN響オーディションに合格、現在NHK交響楽団フォアシュピーラーを務める。2008年12月より一年間アフィニス文化財団の奨学金を得てドイツフライブルグに留学。
2005年毎日新聞社主催毎日ゾリステンにてリサイタル(ピアノ清水和音 於王子ホール)、 ウィーンヴィルトゥオーゾとモーツアルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」を共演(神奈川県民ホール)、など リサイタルをはじめ「響」「PACE」「ヴィルトゥオーゾカルテット」「クインテット・エスペランツァ」などの室内楽メンバーとしても活躍中。

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ヴァイオリン:大宮臨太郎 Violin:Rintaro Omiya

ヴァイオリン:松田拓之 Violin:Hiroyuki Matsuda 1975年山口県生まれ。5歳よりヴァイオリンを始める。桐朋女子高等学校(男女共学)を経て、桐朋学園大学音楽学部卒業。2000年にNHK交響楽団にヴァイオリン奏者として入団。
指揮者を置かない室内オーケストラ「ARCUS(アルクス)」を国内第一線で活躍している演奏家たちと結成、2005年3月にデビュー。▼続きを見るひとつのテーマにそって演奏者みずからが企画するというコンサートをおこなっている。また、メンバーが意見を出し合って構成される、「ARCUSファミリーコンサート」や、2・3歳児を対象にした「よちよちワークショップ」等子供向けの意欲的なプログラムにも力を入れている。
新日本フィルハーモニー交響楽団、九州交響楽団などに客演首席奏者として出演。ソロ・室内楽をはじめオーケストラの指揮、指導などの分野にも力を入れている。現在、NHK交響楽団次席奏者、昭和音楽大学講師、桐朋学園大学オーケストラ特別招聘講師、桐朋学園オーケストラアカデミー講師。これまでにヴァイオリンを辰巳明子、堀正文、指揮を山本七雄、小泉ひろしの各氏に師事。

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ヴァイオリン:松田拓之 Violin:Hiroyuki Matsuda

ヴィオラ:坂口弦太郎 Viola:Sakaguchi Gentaro NHK交響楽団 次席代行ヴィオラ奏者。
1977年大阪府堺市に生まれる。3歳よりヴァイオリンを始め17歳でヴィオラに転向し、東京藝術大学音楽学部器楽科ヴィオラ専攻、同大学院音楽研究科修士課程器楽科室内楽専攻(ヴィオラとピアノの二重奏)修了。
▼続きを見る 第9回日本室内楽コンクール第3位入賞。(原田恭子:pfとの二重奏)奨励賞受賞。
オーケストラの他に「アペルト弦楽四重奏団」、「N響メンバーによる室内楽団」のメンバーとして、また様々なプロオーケストラへの客演首席、TV、ラジオ出演、アーティストのサポート録音などジャンルの垣根をこえての演奏活動、「ヴィオラの伝道師」としてその魅力の啓発活動も行なっている。
室内楽のレコーディング作品としては2005年12月、マティアス・ムジクム・カルテットのメンバーとして、すぎやまこういち作曲の弦楽四重奏による『ドラゴンクエスト』をリリース。
2008年、NAR(日本アコースティックレコーズ)より「クインテット・ディ・ピアノフォルテ・ラ・スペランツァ」のメンバーとして『シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 他』、Casual Classics Vol.1 『赤とんぼのふるさと』の2枚をリリース。
近日中にマイスターミュージックよりN響メンバーによるゴールドベルク変奏曲のCDをリリース予定。

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ヴィオラ:坂口弦太郎 Viola:Sakaguchi Gentaro

チェロ:木越 洋 Cello:Yo Kigoshi 元NHK交響楽団首席チェロ奏者。
’13年6月まで33年にわたりN響と数々の名演を共にした。 吉田貴寿、齋藤秀雄、に師事。’77年桐朋学園ディプロマコース修了。新日フィルハーモニー交響楽団の首席チェロ奏者を経て、’78年から文化庁在外芸術研修員としてミュンヘン国立音楽大学に留学。
▼続きを見る ワルター・ノータスに師事。その後ミュンヘン国際音楽コンクールに入選。
帰国後、NHK交響楽団に入団。今年からソリスト、室内楽奏者としての活動を本格的に開始した。ここ数年毎年行っているバッハの「無伴奏チェロ組曲」演奏会は、感動的な演奏として評価が高い。スケールの大きい朗々たる輝きとまろやかな美しい音色で聴衆を魅了している。

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チェロ:木越 洋 Cello:Yo Kigoshi

コントラバス:吉田 秀 Contrabass:Shu Yoshida 1986年、東京藝術大学音楽学部卒業。同大学管弦楽研究部首席奏者を経て、1991年NHK交響楽団に入団。現在、首席奏者を務める。室内楽の分野ではオーギュスタン・デュメイ、ピンカス・ズッカーマン、ライナー・キュッヒル、マリア・ジョアン・ピリス、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、カルミナ弦楽四重奏団、ベルリン・フィルハーモニー・ピアノ四重奏団、ターリッヒ弦楽四重奏団、▼続きを見るメロス弦楽四重奏団、ゲヴァントハウス弦楽四重奏団、ウィーン弦楽トリオ等と共演。またオイロスアンサンブル、東京シンフォニエッタ、いずみシンフォニエッタ大阪、紀尾井シンフォニエッタ東京、鎌倉ゾリステン等のメンバーとしても活動。霧島国際音楽祭、宮崎国際音楽祭等にも参加。東京音楽大学客員教授、京都市立芸術大学非常勤講師を務める。

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コントラバス:吉田 秀 Contrabass:Shu Yoshida

クラリネット:松本健司 Clarinet:Kenji Matsumoto 東京都立芸術高校、国立音楽大学を経て1997年にパリ国立高等音楽院クラリネット科を“レオン・ルブラン特別賞”を得て卒業。1998年に同音楽院室内学科を卒業し、本格的な演奏活動を始める。
クラリネットを角田晃、浜中浩一、二宮和子、竹森かほり、ミシェル・アリニョン、ジェローム・ジュリアン=ラフェリエール、アラン・ダミアンの各氏に、▼続きを見る室内楽をアラン・ムニエ、モーリス・ブルグ、シルヴィー・ガゾー、ダリア・オヴォラ、ピエール=ロラン・エマール、ジャン=ギアン・ケラスの各氏に師事。
1995年 第6回日本木管コンクール第2位
1996年 第4回日本クラリネットコンクール最高位
1997年 第22回トゥーロン国際音楽コンクール第3位、SPEDIDAM賞受賞
1997年 第53回ジュネーヴ国際音楽コンクールセミファイナリストディプロマ受賞
2002年7月にNHK交響楽団に入団し、2011年1月にNHK交響楽団首席クラリネット奏者に就任。また、「トリオ・サンクァンシュ」「室内オーケストラARCUS」のメンバーとしても活躍する他、洗足学園音楽大学、東京音楽大学、上野学園大学、国立音楽大学、沖縄県立芸術大学において後進の指導にあたっている。

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クラリネット:松本健司 Clarinet:Kenji Matsumoto

ファゴット:水谷上総 Fagott Kazusa Mizutani 京都市出身。16歳よりファゴットを始め、仙崎和男氏に師事。1987年京都市立芸術大学卒業、光永武夫氏に師事。同年、ドイツ学術交流会(DAAD)給費留学生としてデトモルト音楽大学に留学。90年同大学を最優秀で卒業、ヘルマン・ユンク氏に師事。ライン・ドイツ歌劇場管弦楽団(89年~)、群馬交響楽団(93年~)を経て、2000年NHK交響楽団首席ファゴット奏者に就任。▼続きを見る紀尾井シンフォニエッタ東京メンバー。CDは池辺晋一郎のファゴット協奏曲『炎の資格』(カメラータ)、『ゾナーテン』『ドイツ作曲家によるファゴット作品集』(オクタヴィア・レコード)をリリース。また東京音楽大学兼任教授、東京芸術大学講師として後進の指導にもあたっている。

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ファゴット:水谷上総 Fagott Kazusa Mizutani

トランペット:菊本和昭 Trumpet:Kazuaki Kikumoto NHK交響楽団首席トランペット奏者。国内外のコンクールに積極的に参加し、2002年、日本トランペット協会設立20周年記念トランペットコンクール第1位。第19回日本管打楽器コンクール第1位。2003年、第72回日本音楽コンクール第1位及び増沢賞、E.ナカミチ賞、聴衆賞。2006年、第4回済州ブラスコンペティション第2位(済州・韓国)。▼続きを見る2007年、第3回リエクサ国際トランペットコンクール第3位(リエクサ・フィンランド)。2008年、エルスワース・スミス国際トランペットソロコンペティション第2位及びChosen Vale賞受賞(ボストン・アメリカ)。コンクール以外においても、2006年度青山音楽賞新人賞、第31回神戸灘ライオンズクラブ音楽賞、平成19年度坂井時忠音楽賞、第12回松方ホール音楽賞(金管楽器部門)、平成24年度兵庫県芸術奨励賞を受賞。
独奏者としてこれまでに大津、西宮、京都、神戸、東京でリサイタルを開催。2007年6月には東京オペラシティ・リサイタルシリーズ「B→C バッハからコンテンポラリーへ」に出演。2009年6月にアメリカで開催された“Chosen Vale 国際トランペットセミナー”に於いてソロコンサートを開催した。J.ハイドンの協奏曲を東京交響楽団、京都市交響楽団と、H.トマジの協奏曲を新日本フィルハーモニー交響楽団と、A.アルチュニアンの協奏曲を神奈川フィルハーモニー管弦楽団、京都市交響楽団と共演。室内楽奏者としても京都トランペットグル-プ「Summer Breeze」、きょうと金管五重奏団、ジャパンブラスコレクション、いずみシンフォニエッタ大阪各メンバーとして活動中。2004年より約7年間、京都市交響楽団に在籍した。
1980年兵庫県生まれ。西宮市立今津中学校吹奏楽部にてトランペットを始める。私立洛南高等学校を経て京都市立芸術大学首席卒業及び同大学院首席修了。大学派遣によりフライブルク音楽大学に交換留学し、A.プログ教授、E.アントニー各氏に師事。第73回読売新人演奏会、第19回YAMAHA管楽器新人演奏会に出演。2008年4月より(財)ロームミュージックファンデーション奨学生として、また(財)青山財団の助成を受けカールスルーエ音楽大学に1年間留学。R.フリードリッヒ教授、Dr.E.H.タール教授、K.ブレーカー、L.ヴコブラトヴィッチ各氏にバロックトランペットからオーケストラスタディまでを幅広く師事。これまでにトランペットを早坂宏明、有馬純昭の両氏に、室内楽を呉信一教授に師事。西宮音楽協会会員。関西トランペット協会理事。「バンドジャーナル」2008年度ワンポイントレッスン担当。ソロアルバム《奏鳴曲 Sonate》リリース。ドルチェ・ミュージックアカデミー講師。洗足学園音楽大学非常勤講師。

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トランペット:菊本和昭 Trumpet:Kazuaki Kikumoto

ピアノ:児玉桃 Piano:Momo Kodama J.S.バッハからメシアンを含む現代作品まで、幅広いレパートリーと豊かな表現力で活躍を続ける国際派ピアニスト。 幼少の頃よりヨーロッパで育ち、パリ国立音楽院に学ぶ。1991年、ミュンヘン国際コンクールに最年少で最高位入賞を果たす。 その後、ケント・ナガノ指揮ベルリン・フィル、小澤征爾指揮ボストン響、モントリオール響、ベルリン・ドイツ響など、▼続きを見る世界のトップオーケストラと共演し、デュトワ指揮NHK交響楽団とのアジアツアーやウィーン八重奏団との日本ツアー等着実にキャリアを築く。また、マール・ボロ、ベルリン、シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭など多くの国際音楽祭からも招かれている。
2004年は、5月に名古屋フィルとのヨーロッパ・ツアーでメシアンの「トゥーランガリラ」を演奏、イタリアではペルト作曲の新作協奏曲をイタリア国営放送(RAI)交響楽団と共演し、それぞれ好評を得た。また、11月にはノリントン指揮シュトゥットガルト放響とのドイツ及び日本ツアーでも大きな成功を収めた。2005年は、南仏のラ・ロック・ダンテロンの各音楽祭に参加し、「いままでに聴いたことのない、まさにショパンの芸術の神髄とも言えるほど熱狂的な演奏を披露・・・」(ル・モンド紙)とリサイタルが絶賛された。
2006年4月には北ドイツ放送交響楽団の定期演奏会に出演し、細川俊夫の新作世界初演とモーツァルトの協奏曲を一夜で演奏するといった企画と演奏を行い、また同年12月には、小澤征爾指揮水戸室内管弦楽団定期演奏会でも同企画の演奏をし、いずれも高く評価された。
2008年は、水戸室内管弦楽団のヨーロッパ・ツアーや、ルツェルン音楽祭に参加し、大きな成功を収めたほか、メシアン生誕100年を記念した5回にわたるシリーズ公演を行い、2009年中島健蔵音楽賞および、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞するなど高い評価を得た。2012年には、2011年9月に開催したリサイタル「児玉桃ピアノ・ファンタジー vol.1」が佐治敬三賞を受賞。2012年ロン=ティボー国際コンクールの審査員を務めた。
CDはオクタビア・レコードより『ドビュッシー:impressions』、『ショパン・ピアノ作品集』『メシアン:幼子イエスに注ぐ20のまなざし』がリリースされており、ヨーロッパでも高い評価を得ている。2010年1月にはメシアンの『鳥のカタログ』全集をリリース。最新CDはECMより『鐘の谷~ラヴェル、武満、メシアン:ピアノ作品集』が2013年10月に発売。 2013年11月にはローレンス・フォスター指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団に出演。また、ルツェルン音楽祭、ウィグモアホール、東京オペラシティ文化財団の共同委嘱による「細川俊夫:練習曲集」を同月のルツェルン音楽祭にて世界初演予定。12月には東京オペラシティにて日本初演予定。パリ在住。

©Marco Borggreve
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ピアノ:児玉桃 Piano:Momo Kodama

■曲目解説

サン=サーンス:七重奏曲 変ホ長調 op.65
 トランペット、弦楽四重奏、コントラバス、ピアノという一風変わった編成の七重奏曲で、パリの室内楽団体「ラ・トロンペット」の委嘱を受けて1881年に書かれた。第1楽章は弦とピアノのユニゾンに乗ってトランペットが華麗に響きわたる。第2楽章はサン=サーンスらしい優美な旋律のメヌエット。第3楽章では雰囲気が変わり、愁いを帯びた曲調となる。第4楽章は、まず楽しいガヴォットが前楽章の憂愁を吹き飛ばし、最後はテンポを速めて華々しいフィナーレで締めくくる。

ドヴォルザーク:三重奏曲 ハ長調 op.74《テルツェット》
 ヴァイオリン2本とヴィオラ1本という珍しい編成の三重奏曲。1887年1月、ヴァイオリンを習っていた親戚の子のために、わずか一週間で書き上げられた。ドヴォルザークは当時45歳。スメタナ亡きあと、名実ともにチェコ作曲界のトップに立ち、充実期を迎えていた。4楽章構成だが、第1楽章の序奏と第2楽章のラルゲットは続けて演奏され、ドヴォルザーク特有の美しい旋律と弦の響きを堪能できる。第3楽章のスケルツォはチェコの舞曲風。第4楽章の主題と変奏では、低音楽器を欠くなかヴィオラが巧みに用いられ、プロのヴィオラ奏者でもあったドヴォルザークの経験が遺憾なく発揮されている。

マルティヌー:組曲《調理場のレビュー》H.161
 チェコ東部出身の作曲家マルティヌーのパリ時代、ルーセルの指導を受けていた1927年に書かれた。アメリカのジャズの影響が顕著なジャズ・バレエ音楽という特異なジャンルの3作目にあたり、調理場のキッチン用品が擬人化されたユニークな作品である。軽快なファンファーレに乗せて様々にリズムが変化する「プロローグ」、ハバネラ調の「タンゴ」、アメリカを席巻したダンス音楽が往時の光景を彷彿とさせる「チャールストン」、そして冒頭のファンファーレとリズムの再現のなかにチャールストンが引用される「フィナーレ」の4曲から成る。

モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581《シュタードラー》
 1789年、モーツァルトと親交が深かったクラリネットの名手アントーン・シュタードラーのために作曲された。初稿はバセット・クラリネットという楽器の音域(低音域が拡張されたクラリネット)を想定して書かれたが、のちに通常のクラリネットでも演奏できるよう、いくつかの変更が施されたという。弦楽四重奏に導かれてクラリネットが活き活きと登場する第1楽章、歌心に満ちたクラリネット独奏と弦楽パートにおける弱音器の使用が巧みな第2楽章、明るさと暗さの対比が特徴的な第3楽章、華やかな変奏曲に彩られた第4楽章という4つの楽章から成る。管楽器を用いた室内楽のなかでも古典派を代表する傑作に数えられている。



主催:東京・春・音楽祭実行委員会
※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※やむを得ぬ事情により内容に変更が生じる可能性がございますが、出演者・曲目変更による払い戻しは致しませんので、あらかじめご了承願います。
※チケット金額はすべて消費税込みの価格を表示しています。
※ネットオークションなどによるチケットの転売はお断りいたします。

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