東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2015-
にほんのうたⅤ~東京オペラシンガーズ
~合唱で聴く美しい日本の歌
失われつつある日本の美しい情景、美しい言葉を歌い継ぐ。
東京オペラシンガーズの精鋭による最高のハーモニーで、心の情景を刻む名曲をお贈りします。
プログラム詳細
2015:03:14:14:00:00
2015.3.14 [土] 14:00開演(13:30開場) [約60分]
東京文化会館 小ホール
■出演
合唱:東京オペラシンガーズ
ソプラノ:黒田なるみ、駒井ゆり子、谷原めぐみ、馬原裕子
アルト:小泉詠子、菅原章代、橋本恵子
テノール:土崎 譲、藤井雄介、真野郁夫
バス:寺本知生、成田 眞、藪内俊弥
指揮:宮松重紀
ピアノ:寺嶋陸也
■曲目
【終戦から70年を迎えて】*
とんがり帽子(鐘の鳴る丘):菊田一夫・作詞/古関裕而・作曲(白川雅樹・編曲)
里の秋:斎藤信夫・作詞/海沼 實・作曲(平吉毅州・編曲)
異国の丘:増田孝治・作詞/吉田 正・作曲(寺嶋陸也・編曲)
海ゆかば:大伴家持・作詞/信時 潔・作曲
インターナショナル:
佐々木孝丸、佐野 碵・訳詞/P.ドジェーテル・作曲(寺嶋陸也・編曲)
死んだ男の残したものは:谷川俊太郎・作詞/武満 徹・作曲
【日本の四季】*
春の唄:喜志邦三・作詞/内田 元・作曲(平吉毅州・編曲)
背くらべ:海野 厚・作詞/中山晋平・作曲(平吉毅州・編曲)
みかんの花咲く丘:加藤省吾・作詞/海沼 實・作曲(源田俊一郎・編曲)
山小舎の灯:米山正夫・作詞作曲(寺嶋陸也・編曲)
さとうきび畑:寺島尚彦・作詞作曲
叱られて:清水かつら・作詞/弘田龍太郎・作曲(林 光・編曲)
鈴懸の径:佐伯孝夫・作詞/灰田有紀彦・作曲(寺嶋陸也・編曲)
一月一日:千家尊福・作詞/上 真行・作曲(寺嶋陸也・編曲)
遥かな友に:磯部 俶・作詞作曲
*当初発表の曲目より変更になりました。
[アンコール]
すみれの花咲く頃
朧月夜
出演者
合唱:東京オペラシンガーズ Tokyo Opera Singers 1992年、小澤征爾指揮、蜷川幸雄演出で話題を呼んだ《さまよえるオランダ人》の公演に際して、世界的水準のコーラスをという小澤氏の要望により、東京を中心に活躍する中堅、若手の声楽家によって組織された。当公演の合唱は圧倒的な成果を上げ、各方面から絶賛を受けた。その評価により同年、第1回サイトウ・キネン・フェスティバル松本《エディプス王》
指揮:宮松重紀 Conductor:Shigeki Miyamatsu 1963年、横浜生まれ。横浜国立大学教育人間科学部を卒業後、東京藝術大学指揮科を1991年、首席にて卒業する。指揮を山田一雄、遠藤雅古の各氏に師事。1989年にはイタリアのキジアーナ音楽院に学び、ロジェストヴェンスキーに師事。東京二期会や日生劇場等のオペラ公演に副指揮として携わり、小澤征爾、若杉弘、外山雄三等のもとで研鑽を積む。
ピアノ:寺嶋陸也 Piano:Rikuya Terashima 1964年生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科卒、同大学院修了。オペラシアターこんにゃく座での演奏や、1997年、東京都現代美術館でのポンピドー・コレクション展開催記念サティ連続コンサート「伝統の変装」、2003年パリ日本文化会館における作品個展「東洋・西洋の音楽の交流」等は高く評価された。
【終戦から 70 年を迎えて】
「とんがり帽子」は、昭和 22~25 年に NHK ラジオで放送された菊田一夫作のラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の主題歌。丘の上のとがった屋根の時計台がある施設で、戦災孤児たちが明るく生きていく様を描いたドラマである。
「里の秋」は、復員してくる父の無事を願いつつ、母子が健気に待つ様を歌う。昭和 16 年に作られた「星月夜」という童謡をもとに、歌詞を改めて「里の秋」とし、昭和 20 年のラジオ放送で反響を呼んだ。
「異国の丘」は、戦後シベリアに抑留されていた兵士たちの間で愛唱された。作曲者の吉田正も抑留兵の一人。シベリアから帰還した兵士が「NHK のど自慢」で歌ったため、世に知られることとなった。
「海ゆかば」は、昭和 12 年に作曲され、出征する兵士を見送る際によく歌われた。詞は『万葉集』の大伴家持の長歌による。この年、盧溝橋事件が勃発し、日中戦争へと突入していく。
「インターナショナル」は、1888 年にフランスで書かれ、ロシア革命を経て世界的に広まった革命歌。第 1 インターナショナル(国際労働者協会)とは、1864 年にロンドンで結成された労働者階級のための最初の国際的な連帯組織である。この歌を日本に持ち込んだのは小牧近江で、大正 12(1922)年にロシア革命 5 周年を記念する集会で初披露した際には、直ちに拘束されたという。
「死んだ男の残したものは」は、ベトナム戦争のさなか、昭和 40 年に催された「ベトナムの平和を願う市民の集会」のために書かれ、バリトン歌手・友竹正則が初演した。戦争の末路を描く反戦歌である。
【日本の四季】
「春の唄」は昭和 12 年、NHK 大阪放送局のラジオ番組「国民歌謡」で、月村光子の歌唱によって放送された。前年には二・二六事件が起こり、軍国主義の風潮が高まっていく時期だが、阪急・西宮北口駅前の市場の様子が生き生きと描かれている。
「背くらべ」の詞は大正 8 年に書かれ、その後大正 12 年に付曲されて 2 番の歌詞が加えられた。作詞者・海野厚の弟の目線で描かれており、柱の傷が一昨年なのは、昨年は海野が帰省できなかったからだという。また、詞に富士山が登場するのは、海野が静岡出身だからである。
「みかんの花咲く丘」は、戦後まもない昭和 21 年、NHK ラジオ番組の放送前日に短時間で詞が書かれ、列車の中で付曲された。その自然で伸びやかなメロディは、望郷を歌う詞とともに人々の心に希望を灯した。
「山小舎の灯」は、昭和 22 年の流行歌。NHK の「ラジオ歌謡」で放送された。シベリアから復員した米山正夫が抑留中に書いた曲を、彼と懇意にしていた近江俊郎が歌い大ヒットした。戦後いくばくも経たない暗い世相を吹き飛ばすような明るさがある。
「さとうきび畑」は昭和 39 年、寺島尚彦が本土復帰前の沖縄を訪れた際に想を得て書いた反戦歌。初演は昭和 42年、初めて NHK「みんなのうた」で放送されたのは昭和 50 年である。実際の歌詞は 11 番まであり、全編を歌うと 10分を超える大曲となる。
「叱られて」は、大正 9 年に『少女号』に発表された童謡。農村の静かに暮れる黄昏に、叱られた侘しさがつのる抒情を歌っている。一説にはこの風景は作詞者・清水かつらの継母の実家があった現・埼玉県和光市のものだという。
「鈴懸の径」は、戦時中の昭和 17 年に発表された流行歌。作曲の灰田有紀彦の弟・灰田勝彦の歌唱でヒットした。この年、ミッドウェー海戦により日本の戦局も一つの転機をむかえた。
「一月一日」は、「君が代」と同じく明治 26 年に公布された文部省唱歌。作詞の千家尊福(せんげ たかとみ)は出雲大社の宮司出身で、後に東京府知事や司法大臣等を務めた人物である。
「遥かな友に」を書いた磯部俶は、日本の合唱界に多大な貢献をもたらした人物。早稲田大学グリークラブの OBであり指導者でもあった。また、ボニージャックスの名づけ親でもある。この曲はグリークラブの合宿中に、部員たちを寝かせるために作られたという。気持ちを安らげる美しいララバイである。
主催:東京・春・音楽祭実行委員会
※掲載の曲目は当日の演奏順とは異なる可能性がございます。
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